- 今回の主人公は元さくらねこの「くまお」くんと「いわお」くん。彼らを家族として迎えた飼い主さんにお話を伺ってきましたよぉ。
富士北麓地域で猫・犬の保護活動をしている「ねこねっと山中湖」にスポットをあてた連載企画第9弾。
今回はさくらねこから家猫になった「くまお」&「いわお」のストーリーです。
お外で暮らす猫たちの暮らしは決して自由気ままなものではありません。
今回ご紹介する餌やりさんのように、外猫たちの暮らしに心を寄せ、温かな手を差し伸べてくれる方が少しでも増えたら・・・
くまおくん&いわおくんのように、一匹でも多くの猫たちが幸せになれますように。
※こちらの記事には病気部位の画像が含まれます。苦手な方は閲覧にご注意ください。
元さくらねこのくまお&いわお
さくらの花びらのように耳の先端をカットされた猫を「さくらねこ」と呼ぶ。これは、飼い主のいない猫へ不妊手術を行った”印”だ。
第9回目となる今回の「保護猫のわ」では、そんなさくらねこを家族として迎え入れた飼い主さんにスポットを当ててご紹介していく。
こちらが元さくらねこのくまお(左)といわお(右)。
二匹ともつい数ヶ月前までは生粋の野良だったというが、今ではその面影がまるで感じられないほど穏やかな顔つきをしている。
外で暮らす猫たちは一見自由気ままに暮らしているように見えるかもしれないが、決してそうではない。猫同士の喧嘩、怪我、感染症、交通事故、虐待など常に危険と隣り合わせ、多くの野良猫たちは病気と飢えで命を落とすという。
これまでの「保護猫のわ」でもご説明してきたように、外で暮らす猫たちの不幸の連鎖を断ち切るためには、TNRが欠かせない。彼らも数ヶ月前に不妊手術を受け、その後地域猫として餌やりさんに温かく見守られてきた。
▲不妊手術を受ける前のいわおくん。
彼らを見守ってきたのは、以前ねこねっと山中湖から猫2匹を譲り受けた里親のKさん。Kさんは、家で猫のお世話をしながら、近所の猫たちの餌やりもしているのだ。
そんなKさんは先月大きな決断をした。「彼らをお家に入れてあげよう!」
いったいどんな思いで彼らを迎え入れたのか、、、現在、4匹の猫たちとともに暮らすKさんに詳しくお話を伺ってきた。
▼こちらは、いわおくんが不妊手術を行った時の取材記事。
犬派→猫派へ~運命を感じた猫はタッチの差で・・・
「もともとは100%犬派なんです。」今は生粋の猫派なKさんだが、実は実家でずっと一緒に暮らしてきたのはワンちゃん。約2年ほど前にねこねっと山中湖から猫を譲り受けるまで、猫を飼ったことは一度もなかったという。
12年前最愛の犬を亡くしてからは、いつかまた犬を飼いたいと思っていたものの、子育てで忙しくなかなかそのチャンスがなかったのだそう。でも、SNS等を通して、犬や猫を飼っている友人たちの暮らしぶりを見るたび、「いいな、いいなぁ」と気持ちは高まるばかりだったとか。
そんなある時、友人が保護団体から2匹の猫を譲り受けたことを知ったKさん。その友人というのは、以前猫ねこ部でもご紹介させていただいたリトリートサロン「ソラの家」を営む園子さんだった。
こちらがその2匹、ルカ&ラク。
▲見ての通り、二匹とも愛すべきビッグボディ^^♡
園子さんも、実はKさんと同じく今まで猫を飼った経験がなかった。でも、そんな園子さんがすっかり猫の可愛さに魅了され、幸せそうに過ごしている姿を見て、次第に犬から猫へと気持ちがシフトしていったという。
▲園子さんいわく「彼らは師匠」。
そんなある日、Kさんは行きつけのカフェで、偶然ねこねっと山中湖の副代表・保科さんに出会った。そこで猫のことをあれこれ教えてもらい、ますます飼いたい気持ちが高まった。ただ、「生き物を飼うことをそう簡単には決められない。家族全員の賛成も得られないと・・・」と、なかなか決心がつかなかったという。
悩みに悩んでいた時、ねこねっと山中湖にグレーとハチワレの猫が保護された。園子さんのインスタを通してその子猫たちのことを知ったKさんは、一瞬でその可愛さに心を射抜かれたという。
「この子だ!!」ビビビっときたKさんが家族に知らせると、なんと家族全員一致で賛成の声が。すぐさま保科さんへ連絡したものの、残念ながらタッチの差ですでに里親さんが決まってしまったとのこと。
「すっかり迎える気満々で盛り上がっていたので、もう泣いて泣いて・・・。」特に動物好きのお嬢さんのショックはかなり大きく、その後、なかなか次の子をという気持ちになれなかったという。
初めてのお見合いで大興奮!
それからしばらくたったある日、ついに運命の出会いがK家に訪れる。
インスタで常に子猫情報を探っていたKさんの元に飛び込んできたのは、茶トラグループのこの子達だった。
▲ずっと見ていられる悶絶級の可愛さ♡
この子たちは、とあるお家の使っていない犬小屋で、野良の母猫が産んだ子猫たちだった。その家の方から相談を受けた保科さんは、離乳までは場所を変えず、母猫におっぱいをあげさせてもらうよう依頼。離乳後頃合いを見て母猫とともに引き取り、里親を探す旨伝えたという。
生後8週間、お母さん猫と兄弟たちとともに過ごした子猫たち。そんな子猫にKさんは再びビビビッと惹かれたのだという。すぐに保科さんへ連絡をして、家族全員でお見合いへ。生後1ヶ月半ほどの小さな小さな子猫を見ること自体初めてだったKさんは、それはそれは大興奮だったとか。「どうしよう、どうしよう、しか口から出てこなくて(笑)もう可愛すぎて^^」
ご主人とお嬢さんの目に最初にとまったのは茶白の猫ちゃん。1匹にするかそれとももう1匹一緒に迎えるか、かなり長い時間をかけて悩みに悩んだ末、結局2匹同時に迎えることに。
こうして、白黒の男子を「幸(こう)」、茶白の女子を「福(ふく)」と名付け、念願の猫との暮らしがスタートしたのだ。
「なんでもっと早く飼わなかったんだろう?」幸せいっぱいの猫との暮らし
初めての猫との暮らしは、Kさんにとって”幸せいっぱい”だったという。「なんでもっと早く飼わなかったんだろう?何を迷ってたんだろう?と思いましたね。」
飼う前に「お世話するからお願い!」とお嬢さんから言われたそうだが、「誰も何もしません^^」とKさん。でも、Kさんにとって猫たちのお世話は全く苦ではなく、ただただ可愛くて可愛くてたまらなかったという。もともと大の猫好きのご主人も、子猫たちのためにお手製のゲートを作るなどとても協力的だった。
幸くん&福ちゃんは、その名前の通り家族に「幸福」をもたらしてくれたのだ。
ある日突然現れた野良猫のくまお
幸くん&福ちゃんと暮らすようになって、Kさんの周りである変化が起きたという。近所に野良猫が来るようになったのだ。
それまでも首輪をした猫はときどき見かけていたそうだが、首輪をしていない猫もちらほら現れるように。そのなかに、グレー×白のとても目をひく美形な猫がいたのだという。でもKさんはどうしていいか分からず、保科さんへ相談したところ、「まずは餌付けをして捕まえ、野良であれば手術をしましょう」とのアドバイスが。
早速餌付けを始めたものの、用心深かったその猫は餌付けをしてもなかなか近寄ってこなかったとか・・・。そして、その餌につられやってきたのが「くまお」だったのだ。
どこからか忽然と現れたくまおは、毎日のように餌を食べに来るようになったという。でも不妊手術当日の朝だけは、なぜか現れず・・・^^。結局現れたのは夕方だったというが、急いで連絡をとり無事手術を受けることができたのだとか。
こうして昨年6月、くまおは無事さくらねこになった。