- 飼い猫との幸せエピソードをお届けする”なないろ猫物語”。今回ご紹介するのは1歳の男の子「トニー」くん。出会いのきっかけや性格にまつわるエピソードについて、飼い主さんにお話しいただきましたよぉ。
声はかすれ、傷だらけの子猫がドブに・・・
見事に真ん中ぴっちりなハチワレ具合がとってもキュート♡
そんな彼の名前はトニー。好奇心旺盛な1歳の男の子だ。
「大好きなディズニーのキャラクター・ジェラトーニに顔が似ていて。ジェラトーニの後ろのトーニをちょっと変えて『トニー』と名付けました。」そう語るのは、飼い主のNANAさん。
トニーとの出会いは、NANAさんが小学6年生のときのこと。
「学校帰り、ある男の子に『ドブに子猫が落ちてるよ!!』と言われてすぐに見に行くと…。声はかすれ、体は水に濡れてぐっしょりな傷だらけの子猫が落ちていたんです。」
周りは皆口を揃えてこう言っていたとか。「野良猫だし、体も汚いし、ほっとけ!」
でも、助けてほしそうに一生懸命鳴いている子猫をどうしても放っておくことができなかったNANAさん。結局その子猫を家まで持ち帰ったそう。
家に帰るとお母様からはこんな反応が。
「かわいそうね…。でもうちはお父さんが許可してくれないかぎり飼えないよ…。」
NANAさんは、ひとまず家から徒歩1分の場所にある動物病院に連れていき、なにかできることがないか尋ねたそう。子どもだけで保護したからか、病院からはサービスで粉ミルクをもらったとか。帰り道、SNSで里親募集をしようか…など考えつつ、結局友人と1週間ほど交代でお世話をすることに。
NANAさんがお世話当番だったそんなある日の夜。お父様から意外な言葉が…。
「このまま飼える人がいなかったらどうする?うちで飼おうか!」
NANAさんは驚いた。でも、お父さんの言葉がとてもとても嬉しかった。
こうして晴れてトニーを家族として迎えることになったのだ。
妹思いなお兄ちゃん
好奇心旺盛だけど、それでいてとても穏やかで優しい性格のトニー。
新入りの妹・ジェラちゃんがお家へやってくることになったときのこと。
「初めは警戒していたけど、次の日からはジェラちゃんに興味深々。恐る恐る近づきながらも仲良くなることができたんです。トニーくんが短気で怒りっぽかったら新入り猫ちゃんとは仲良くなっていなかったかも…と思うとトニーくんの性格はとても助かりました。」とNANAさん。
まだまだ小さくて危なっかしいことをしたがるジェラちゃん。そんな妹から常に目を離さず見守ってくれる頼もしさ満点のトニーくん。寝るときもジェラちゃんの体を舐めて寝かせてから自分も隣で寝るという…まるで母のような優しさも。
「新入り猫ちゃんが来てからすっかりお兄さんらしいトニーくんに変わりました。成長を感じられてとても嬉しかったです。」
一緒に暮らし始めてからは明るい毎日に
もともとペットを飼ってみたかったというNANAさん。お父様の理解が得られて、その夢が叶った。
「ペットを飼うことができてとても嬉しい。トニーを飼い始めてからは暗かった毎日が明るく変わりました。」
NANAさんの優しさ、ご友人・ご家族の理解やサポート、トニーくんの生きたいという力。そのすべてがあったからこそ、こんなにもしあわせな”今”がある。
あの日あの場所で出会えたことは本当に「奇跡」なのだ。
トニーくんが明るく照らしてくれたというNANAさんの毎日。トニーくんのこれからはきっとNANAさんが明るく優しく照らしていくだろう。
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。