- 東京の下町・人形町にある保護猫カフェ「たまゆら」は猫を飼っている人もそうでない人も、猫好きさんみんなが楽しめるお店。里親募集の猫を家族として迎えることもできますよぉ。ぜひかわいい猫ちゃんたちに会いに行ってみてくださいねぇ。
今回ご紹介する猫カフェは人形町にある「たまゆら」。
猫と触れ合えるだけでなく、里親としてお迎えすることもできる保護猫カフェだ。なんでも、今お店にいる猫の大半は伊豆諸島・御蔵島(みくらじま)出身の猫なんだとか。
御蔵島の猫を迎えることになった経緯やお店のこだわり、保護猫への想いなどについて店長の今場さんにたっぷりとお話を伺ってきました!
保護猫カフェでのボランティア~猫にとってもっといい飼い主になれるように
下町の雰囲気が色濃く漂う東京日本橋・人形町。静かな路地を入るとそこには古くから続く数々の老舗店が…。駅前にはオフィス街が広がり、平日は多くのビジネスマンが行き交う。
そんな人形町駅から歩いて1分ほどの場所に、一軒の猫カフェがある。お店の名前は「たまゆら」。
匂玉が触れ合うかすかな音から転じ「少しの間」という意味をもつ店名の玉響(たまゆら)。ここは、猫たちが「少しの間」滞在して、新しい家族のもとへ行く準備をするところ。いわゆる里親募集型の保護猫カフェだ。
もちろん、ただただ猫と触れ合いたい方も大歓迎。店名には、お店にいらっしゃったお客さんに「少しの間」日常を忘れて無心で楽しんでもらいたいという願いも込められているそう。
お店はビルの3階にある。ふと目をやると1階には「人形町猫の病院」が。猫専門の動物病院がすぐ下にあるのはなんとも心強い。
エレベーターでさっそく3階へ上がると・・・
キジさん大大大集合^^
取材日当日からちょうど冬仕様になったという店内には、あったかそうなラグやホットカーペットが。暖をもとめてその上に群がるみなみなさま(=^・^=)
ここで暮らしている猫は現在11匹。キジ黒多めときどき茶トラ、サビなたまゆらねこさんたち。
▲さりげなくやりあっていた黒猫~ず^^
▲風の速さでもはやまったく誰だか見分けがつかず^^;
▲胸元の白い毛と白いひげが特徴のイケニャン、ガブリエルくん♡
小さい頃からずっと犬と暮らしてきたという店長の今場さん。でも愛してやまなかったワンちゃんが亡くなってしまい、ご両親とともに悲しみの底に…。その寂しさを癒やしてくれたのが猫だったという。それが今から14年ほど前のことだとか。
そのとき迎えたのは保護猫ではなく、ペットショップの猫だったそうで。。。
「当時はまだ”保護猫”という存在を家族みんな知らなくて、猫を飼うならペットショップへ行くものだと思っていたんですね。周りに猫を拾ったっていう人がいれば、そういう子を引き取ろうとは思っていたんですけど、なかなかその機会もなくて…。いよいよ猫を飼おうと決めた時に親が向かったのがペットショップだったんです。」
▲ちょこっと出た舌がチャームポイントのペプシくん。噛んでしまう子には目印として首輪をつけているそう。
こうして新しい家族として猫を迎え一緒に暮らし始めた今場さん。一緒にいるうちに猫のかわいさにすっかりハマってしまったそう。
「ワンちゃんと暮らしてる方は飼ってる子が一番!って人が多いと思うんですね、うちもそうだったんですけど。でも、猫と一緒に暮らしてる方は猫なら全部可愛い!って人が多いと思うんですよ。私もそんな感じで、猫ならみんな可愛いって思うようになったんですよね。」
すっかり猫の魅力にとりつかれた今場さんは「猫にとってもっといい飼い主になれるように。もっともっと猫のことを知りたい!」と思うように。そんな想いから保護猫カフェでのボランティアを始めたのだとか。会社勤めをしながら、休みの日には2箇所の保護猫カフェへ向かう日々が約2年間ほど続いたという。
活動を続けていくほど、今場さんのなかで大きくなっていく”保護猫”の存在。自分でも”保護猫”の役に立てることができないか。。。そんな気持ちがどんどん高まっていったそう。「猫の受け入れ先が今以上に増えれば、助けられる猫も増える。そのためにいつか自分でも保護猫カフェを開くことができたら…。」
そんな矢先、今場さんに転機が訪れた。
運良く条件の揃った物件を発見
▲キジ黒多めな店内のなかで即発見できる(笑)茶トラのちゃたくん。
「たまたまちょうど会社を辞めて。。。保護猫カフェをやりたいという想いもあったので物件探しを始めたんです。そしたらタイミング良く条件の揃った物件情報をネットで見つけてしまって。」
都内で猫カフェを開こうというときにまずぶつかるのが、猫可物件の少なさ。物件探しに1~2年かかるのはざらだという。でも、今場さんは運良く絶妙なタイミングで「これ!」という物件に出会ってしまったのだ。
「自宅からは30分くらいかかるので、そんなに近くはないんですよ。でも通えない距離ではなかったですし。他にも1階が猫専用の病院だったり、駐車場も近くにあったり、、、条件が揃っていたんですよね。もっといい物件はあるかもしれないけれど、今決めないとこの先同じような物件に出会えるかはわからないと思って、、、すぐに内覧して決めちゃいました。」
こうして2017年11月、今場さんの描いていた夢が現実となりめでたくオープンとなった。
御蔵島の猫たち
▲ご飯待ち@猫の成るキャットタワー^^
たまゆらではオープンから1年間、山梨の保護団体「リトルキャッツ」から猫を預かり里親募集をしていたという。
「一緒に猫カフェをやろうと話していたスタッフが、元々リトルキャッツ運営の保護猫カフェでボランティアをやっていたんですね。なので、猫カフェをやるならリトルの子を預かりたいって最初から決めていたんです。」
▲ドアノブに足をかける順番待ちの列^^
でも今年に入り、たまゆらではリトルキャッツではない別の場所から猫を迎えているとか。その場所は「御蔵島(みくらじま)」。
御蔵島は東京から南に約200kmの島。野生のバンドウイルカと一緒に泳げる日本では珍しい島として知られている。
参考:御蔵島村
その御蔵島で、実は今深刻な問題が起きているという。
御蔵島は”オオミズナギドリ”と呼ばれる渡り鳥の世界最大の繁殖地。オオミズナギドリは毎年春に飛来し1つの卵を大切に育て、子育ての終わる秋頃になると南方へと飛び立つそう。
遠くまで飛べるように体を進化させてきたオオミズナギドリは、海上で飛び回るのは得意だけれど、地上に着地したり池面から飛び立つのは苦手…。そんな弱点をつかれ、島で野生化した猫たちの格好のターゲットになってしまったのだとか。
でも、オオミズナギドリを食べる彼らは元々人間に飼われていたのに捨てられたり逃げ出したりして、森の中で増えてしまった猫達。最初は数十匹だったのが今では2,000匹近くまで増えているであろうと言われている。
猫1匹につき年間約100羽を捕食。2,000匹いるとすると年間200,000羽の鳥たちが食べられてしまう。今まさに御蔵島のオオミズナギドリは絶滅の危機に瀕しているのだ。
でも、御蔵島で暮らす猫たちには何の罪もない。島に猫を持ち込んだのは人間であって、いくら生態系を乱しているからといって駆除や殺処分の対象にするのはあまりにも勝手な話。。。
こうした御蔵島の問題に関心を寄せ、自分たちに「できることを」と立ち上がったのが”御蔵島のオオミズナギドリを守りたい有志の会”の方々だという。
「以前アニマルコミュニケーターの方にお越しいただいてスピリチュアルイベントを開催したんですが、その際にお客さんとしていらしていたのが有志の会の草地さんでした。草地さんは”ドルフィンスイムガイド”という野生のイルカと泳ぐガイドをされていらっしゃって、御蔵島によく行かれていたそうなんですね。そこでこの問題を知って心を痛め活動を始められたそうです。
”猫を島に放してしまったのは人間。であれば、その猫を鳥たちから守るのも人間の責任。”こうした考え方に共感して私たちもその活動を支援できないかと…。リトルキャッツの猫たちは私たち以外の猫カフェさんでも預かって里親募集していて窓口もたくさんあったので、うちは今後御蔵島の猫を預かろうと決めたんです。」
▲これぞ猫の大渋滞><ご飯を早く持っていきたいけど通行止めにあう^^
▲みんなで仲良く「いただきまーす!」。。。とはいかないw 瞬殺ごはんタイム^^
御蔵島からフェリーに揺られて9時間。船の揺れで吐いてしまうのを防ぐために乗船前には猫たちにご飯を食べさせないよう気をつけているという。
「有志の会の方は2名で、おふたりとも都内近郊にお住まいの方。御蔵島に行って島内で直接捕獲もされていますし、捕獲した猫たちの搬送も行っていらっしゃいます。”高円寺ニャンダラーズ(※)”の方がサポートされているそうです。新高円寺にあるハナ動物病院(※)で搬送してきた処置などをして、1ヶ月くらい様子を見てからうちに来るといった流れですね。」
※高円寺ニャンダラーズ・・・高円寺を拠点に保護活動をしているボランティア団体
※ハナ動物病院・・・院長の太田先生はご自身でも御蔵島に行かれるなど野生化した猫による問題に関心が高い
人間に対してトラウマがない
今までに御蔵島から預かった猫たちは総勢18匹。今いる11匹の猫たちも、うち9匹は御蔵島出身の子だという。
オオミズナギドリがたくさんいる夏場は猫の捕獲が難しいが、これから冬にかけては捕獲が増えていくそう。
でも、ずっと森の中で暮らしてきた猫たちと人間、果たして一緒に暮らしていくことができるのだろうか??
「元野生の猫ということで、不意に”野生っ気”が出てしまって攻撃してくることもあるのかな。。。ってちょっと心配していたんですけど、、、みんな普通の猫ですね。むしろ穏やかです。最初はシャーシャー警戒心むき出しですけど、ある程度人馴れさせてからうちにやってくるのでだいぶ穏やかになってます。『こんなキャラだったっけ?』って保護主さんがびっくりするくらいのんびり屋さんになる子も。」
なかには、森の奥深くで暮らしていて今までに一度も人間に出会ったこともないような猫もいるそう。
「人間を全く知らずに生きてきた子は、変に人間に対するトラウマとかもないので、一度慣れればすごく懐っこくなる子もたくさんいます。個体差はありますけど。ただ、怖い目にあったことがある子は警戒心バリバリですね。。。」
こちらはそんな警戒心バリバリタイプ、新入りの淑子さん。御蔵島出身ではなく、他の保護猫カフェからやってきた子だという。外で子育ての経験もしてきた彼女はご飯をあげようとすればシャー!相性のあわない子がいてなかなかフロアに出せないとか><
ちょっとずつ、ちょっとずつなじんでいけるといいね、淑子さん。
▲「あたし、こう見えて気にしないタイプなの。」意外とメンタル鋼の淑子さん^^