「こんな年になるなんて・・・」誰もが予想だにしない激動の1年だった。見えない明日への不安、当たり前だと思っていたことが当たり前にできない日々への苛立ち・・・。
そんなモヤモヤな毎日でも「猫がいてくれたから救われた」そんな人もきっと多いんじゃないかと思う。いつもどんなときも、ただそこにいてくれるだけで、幸せな気持ちにさせてくれる猫。彼らのパワーは本当にとてつもない。
とは言え、猫が大好きだけど事情があっておうちでは飼えない人もいるだろう。SNSなどの猫写真や猫動画を眺めて、”もふ欲”を満たしてる猫好きさんも多いのでは。
「ねこ瞑想」は、猫を飼っている人はもちろん、”猫を飼っていなくても”1日たった5分から始められる「ねこがナビゲートする瞑想」だ。
「ねこ瞑想」(前田理子/辰巳出版)
飼い主が幸せに過ごせれば、愛する猫も幸せ
著者の前田理子さんは、日本でも数少ない「アニマルコミュニケーター」として活躍されている一人。「動物たちの心の声の通訳者」と言った方が分かりやすいかもしれない。2014年に「アニマルコミュニケーション キキのテーブル」を開業し、約10年間で延べ3,000頭もの動物たちの声を聞いてきたプロ中のプロだ。
筆者も以前インタビューさせて頂いたことがあるが、前田さんの説明は実に丁寧で分かりやすく、それでいてまるで家族のような「温かさ」がある。聞き上手と言えばそれなのだが、そうひとくくりにはできない”すべてを受け止めてくれる力”のようなものを感じた。
そんな前田さんがアニマルコミュニケーションを通して感じた「気づき」、それが本書を手掛けるきっかけになったという。
今までペットの問題行動やお悩みと思われていたことの多くが、実は飼い主の心の在り様や、悩みを反映しているものであるケースが非常に多いことに気づいたのです。
-中略ー
私たちが瞑想で癒され、心に余裕を取り戻して幸せに日々を過ごせれば、愛する猫たちやペットも幸せでいられる
根底にあるのは、猫への、動物への深い「愛」。
自身も保護猫3匹と暮らす生粋の猫好きな前田さん。「愛する猫たちを幸せにしてあげたい」いつもそう願う猫好きさんなら、その想いに深く共感し、興味を惹かれる人も多いのではないだろうか。
猫のような私になる
本書を読んでいて心に残った一節がある。
猫は、心地よい場所を探す天才で、一日の大半を気ままに過ごし、飼い主に呼ばれても気が向かなければスルーします。束縛を嫌い、自分の心に正直でマイペースーそれが猫です。
一方、現代社会を生きる私たちはどうでしょうか?
やりたいことよりも”やるべきこと”を優先させてしまう人、笑顔の裏で自分を見失ってしまう人、周囲からの評価に囚われて自分を愛せない人・・・・・・そんなストレスに飲み込まれそうになりながら、必死に生きている人が多いのではないでしょうか。
自分のことを言われているようで、思わずハッとした。
「猫みたいに生きられたらな」本気でそう思うときがあるけれど、その理由までは深く考えたことがなかった。「人の目を気にすることなく、自分の心に正直に・・・」これだったんだ!と胸のつっかえが取れた気がした。
本書で紹介しているねこ瞑想で目指す姿は、まさにこの「猫のような私」になること。そのポイントは以下4つにまとめられているが、どれも深く大きく頷き共感できるものばかりだった。
- 研ぎ澄まされた五感
- しなやかな体と心
- あるがままを受けとめる力
- 今に集中して生きる姿勢
猫は過去の失敗や未来への不安に囚われることなく、「今」だけに集中して精一杯生きている。他の猫と比べて自分を嘆いたりすることなくいつもその「あるがままの自分」で満たされている。そんな猫の姿に、”いつかそうなれたら”と心のどこかで憧れている自分がいたのだと思う。
休んだって、完璧じゃなくたっていい
冒頭でも書いたように、ねこ瞑想は猫と一緒に行う瞑想ではない。猫のイラストや写真があれば”猫を飼っていなくても”誰でもできるものだ。
というわけで、早速本書を参考に瞑想にチャレンジしてみた。といっても、今まで40数年生きてきて瞑想は初体験の筆者。というか、むしろ”瞑想って誰でもできるものなの?”というのが正直なところだった。
本書では私のような「瞑想初心者」でもスムーズに始められるように、丁寧なガイド説明があるのでそこは問題なし。そしてなにより可愛い可愛い猫写真に癒される。ただ、難しかったのは「7色の呼吸瞑想」。ねこ瞑想を行う前にこわばった心と身体を解きほぐすために行うものなのだが、慣れないせいかなかなか上手くいかない。
でも、最初は上手くイメージできなくても大丈夫と書いてあったので、とにかく深く呼吸することだけに意識を集中させた。眠る前の5分間。正直なところ物凄く何かが大きく変わったわけではないけれど、今までに経験のない深い呼吸のせいかなんだかすごく心地いい。
私のなかで”瞑想”にはどこか修行のような、特殊能力を持っている人だけができるイメージがあった。「邪念だらけな私には不安しかない」なんて勝手に思ってしまっていたが、そんな「私は〇〇だから上手くできないんだ」という自分ジャッジも本末転倒なことだと書いてあり、またハッとさせられた。
「完璧を目指さない」「自分に厳しくしすぎない」本書の前田さんの言葉のひとつひとつが、筆者の心をほぐしてくれた。うまくいかないときは、身体を舐めたりあくびをしたりしてリフレッシュしてる猫の性質を思い出して・・・。そんな猫の姿を思い浮かべれば自然とまた心が軽くなった。
先の見えない不安に押しつぶされそうなとき、なんで何もかも上手くいかないんだろうって自分に歯がゆくなるとき、愛想笑いばかりしてる自分に疲れてしまったとき、、、
心が疲れ切ってしまったときこそ、是非本作を手に取ってみてほしい。猫から学ぶことがきっとあなたの明日を変えてくれるはず。
この記事で紹介した書籍|ねこ瞑想
- 猫に教わるニャンとも幸せリラックス瞑想
- ペットの内なる声を聞くアニマルコミュニケーター前田理子著
- 猫写真を眺めながら毎日5分のリフレッシュ
価格 | 1,540円 |
単行本 | 128ページ |
出版社 | 辰巳出版 |
発売日 | 2020/9/11 |
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。