©相澤いくえ/双葉社
- 今回は猫カフェを舞台にした漫画「珈琲と猫の隠れ家」を描いている相澤いくえ先生にインタビュー。実家の猫たちのお話から作品に込めた想いまでお話をたっぷり伺ってきましたよぉ。
現在、月刊まんがタウンで「珈琲と猫の隠れ家」を連載中の漫画家・相澤いくえ先生。
実家では4匹の猫ちゃんと暮らしていたという大の愛猫家としても知られています。
今回はそんな相澤いくえ先生に直撃インタビュー。
作品に込めた想いや、猫の魅力についてたっぷりとお話を伺ってきました!
1993年生まれ。宮城県出身。
大学在学中に小学館主催のコンテスト「新人コミック大賞」に応募し入賞。2014年「モディリアーニにお願い」でデビュー。大学卒業とともに上京。
現在ビッグコミック増刊号で同作連載中。
月刊まんがタウンで「珈琲と猫の隠れ家」連載中。pixivコミックからもご覧になれます。→pixivコミック
2020年5月12日「珈琲と猫の隠れ家」コミックス1巻発売決定!!
◆イベント予定
「行け!よしもと漫画研究部!」
2019年11月10日(日)19:00~21:00
@渋谷 ヨシモト∞ドーム ステージ
前売\2,000/当日\2,500
+1ドリンク
ライブ終演後にサイン会あり
【応募条件】
・上記イベントのチケットをご購入済みの方
・当日、『モディリアーニにお願い』最新4巻をご持参の方
出演:吉川きっちょむ/サンシャイン坂田/入間国際宣言西田/高橋えのぐ/ドッチモドッチ栗原/田舎はるみ
ゲスト:マヂカルラブリー
漫画家:相澤いくえ
手が麻痺するかもしれない。。。その前に
現在、ビッグコミック増刊号(小学館)と月刊まんがタウン(双葉社)で連載をもつ人気漫画家の相澤いくえさん。
子どもの頃からずっと絵を描くことが好きだったという彼女にとって、「漫画家」は憧れの職業だった。「好きな漫画の真似をして描いてみたり、、、」そんな時間がとても楽しかったそう。
▲今回の取材場所は相澤先生の大好きな猫カフェミーシス。取材日当日に編集さんが持ってきてくれたベッドに群がる三猫衆^^
そんな彼女に思わぬアクシデントが訪れる。大学3年生の時、右手の指に腫瘍ができてしまい手術しなければならなくなった。その時病院の先生から言われた言葉とは。。。「何万分の一かの確率で手が麻痺することがあるかもしれない。」
確率は低いといえ、もしかしたら今までのように自由に手を動かせなくなるかもしれないなんて言われてどんな気持ちだっただろう。。。でも彼女は決して下を向かなかった。
「今までにやったことないことをやってみたいなと思ったんです。じゃあやっぱり漫画だなと思ってコンテストに応募しようと。。。」
その時初めて応募した作品「ひろしの話」が、新人漫画家の登竜門である小学館主催の新人コミック大賞で入賞作品に選ばれる。彼女の強さ、前向きさが夢を現実のものへと変えていったのだ。
バカの書いた年表って感じになったから消すかもしれない
— 相澤いくえ🐠11月10日イベント (@aizawa_ikue) September 24, 2019
#10年間を振り返る pic.twitter.com/5WVmlYgR7y
受賞後はトントン拍子で話が進み、大学在学中だった同じ年の冬には「モディリアーニにお願い」で漫画家としてデビュー。作品の舞台となっている東北の美大は、まさに相澤先生の通っていた美大がモデルになっているんだとか。
それぞれに悩みを抱えもがく3人の男子大学生が主人公。妬み、劣等感、焦燥感、、、でも、同じ”創作”という道を目指して、ときには傷つけあい、ときには支えあいながら、成長していく姿が描かれている。
「一生懸命自分の信じていることを描いていけば大丈夫。」この作品にはそんな想いが込められているという。
推しのカニちゃん@ミーシス
そんな相澤先生の二つ目の連載作品が「珈琲と猫の隠れ家」。とある猫カフェを舞台にした物語だ。
実は大の猫好きという相澤先生。上京するまでは、実家で猫4匹に囲まれて暮らしていたとか。
上京後、相澤先生はある猫カフェに足繁く通うように。それが今回の物語のモデルにもなった横浜・関内にある「猫カフェミーシス」だ。
「おでこだけ黒い白猫のかにちゃんって子がいるんですけど、その子が実家の猫にそっくりなんです。それで通い始めた感じですね。」
そんな相澤先生の推しの子かにちゃんをご紹介したかったのだけど、残念ながら暗がりで爆睡中・・・><というわけで、、、いつでも撮ってと言わんばかりのスタンバイをしてたごんちゃんを急遽連写(笑)
▲前からでも横からでもご自由にどうぞ^^
▲私、絶対ブレさせませんので。
完璧なモデルっぷり^^
本物のかにちゃんはこちらでございます▼
そんなかにちゃんのことを描いたコミックエッセイは「月刊まんがタウン」12月号(発売中)に掲載されています△△
猫のエッセイを書きます、2ページ(やっとネーム書けた)
— 相澤いくえ🐠11月10日イベント (@aizawa_ikue) October 5, 2019
いろいろ頑張ります pic.twitter.com/xTCuBrcZy8
月刊まんがタウン12月号
価格 | 380円 |
発売日 | 2019年11月5日 |
出版社 | 双葉社 |
猫カフェを舞台にした「珈琲と猫の隠れ家」
ミーシスの店長さんから色々な話を聞くうちに、猫カフェの魅力にどんどんひきこまれていった相澤先生。
「猫カフェがお休みの日ここの猫たちは何してるんだろうとか、そういえば夜って猫しかいないんだよなぁとか、、そもそも考えたことすらなくて。。。お店がお休みの日でもご飯あげにきたりお掃除しに来たりしてるっていうことすら考えもつかなかったし。面白いなって思うこともあれば、その反面大変なこともいっぱいあるんだなって。」
珈琲と猫の隠れ家ではそんな猫カフェの何気ない日常が描かれている。
物語の舞台となっている猫カフェ「えびしっぽ」は、ちょっと癖強めな店長と、穏やかで頑張り屋のアルバイト後木(うしろぎ)ちゃんが切り盛りするお店。
一見話しかけづらっ!オーラ満載の店長だけど、その一言一言には猫への深い愛が感じられて、読んだ後に何だかすごく気持ちがスッキリする。
ー年なんて関係ないっすよ
わたしだってこの子だって表を歩く子どもだって明日生きてる保証はありませんから
そんな事よりあなた達の家に行ったねこは絶対幸せになります
そっちの方が大事です
ーあんたはここに居たことを忘れていいから幸せにおなり
いっぱいいっぱいみんなもね
わたしが覚えておくわ全部
珈琲と猫の隠れ家より
店長と後木ちゃんの関係性もまた素敵で。これは店長がいない日に後木ちゃん一人でお店を切り盛りしていた回。テンパりながらも猫の体調の変化にしっかり気づいた後木ちゃんに、店長がかけた言葉。
あんたよくやった!
ねこは自分で「つらい」って教えてくれないからありがとう
いいのよあんたのペースで
またよろしくね
珈琲と猫の隠れ家より
頑張りを見てくれてる。ちゃんと褒めてくれる。感謝の気持ちを素直に言葉にしてくれる。よくやった!この短い言葉にどれだけ勇気付けられるか。励まされるか。この険しすぎる顔とのギャップがもう(笑)
・・・と語り始めたら長くなりそうなので、ぜひ漫画をご覧ください^^
実家の猫たちに好かれてない^^
小学生の頃から猫と暮らし始めたという相澤先生。猫を飼い始めたきっかけはお父様だったとか。
「父親の職場に猫が居つくようになって、ある時その猫が生んだ子猫を家に連れて帰ってきたんです。最初は1匹だったのが2匹、3匹と増えて、、、。」今実家には4匹の猫たちがいるという。
「最初に迎えたモカちゃんとペーちゃんは猫嫌いの猫で。馴れ合いも好まないし、会っても会釈くらいのオトナの付き合いみたいな感じの子達^^でも、3番目に来たノラちゃんは猫好きの猫で…。4番目の猫、ごもちゃんが来た時しばらく嬉しそうにしてましたね。
でもごもちゃんは1歳になるかならないかくらいの時に病気で亡くなってしまったんです。亡くなってしばらくはずっとごもちゃんがいた場所に行って姿を探したりしていて。。。そんなノラちゃんの寂しそうな様子を見て、親がもう一匹飼い始めたんです。それが5番目のコロ。でも、ノラちゃんとコロちゃんはそんなに仲良くないw猫にも相性とか色々ありますよね。。。^^」
今は猫を飼っていないという相澤先生。帰省した時はさぞかし愛しの猫たちとのイチャイチャタイムを楽しんでいるのかと思いきや、、、
「私、実家の猫にそんなに好かれてなくて^^猫がすごい好きなんで、多分うるさいんですよ。うわー!猫!みたいに接しちゃうんで嫌がられてるんです(笑)歓迎はされないですね。『あ~帰ってきたんだ』みたいなww」
ねこの名誉のために言っておくと、ねこ、爪研ぎの写真はわたし(嫌われてる)が撮ってるからみんな真顔だけど、普段はもっとのびのび暮らしてます! pic.twitter.com/xmb75W5NMI
— 相澤いくえ🐠11月10日イベント (@aizawa_ikue) October 24, 2019
まさかの猫圧強すぎ事件・・・><
いつか、いつか、相澤先生の想いが4匹の猫たちに受け入れられることを心より祈っております^^
猫の物心ついたなって瞬間がたまらなく可愛い
▲取材中ずっと相澤先生のお膝に乗っていたひょうくん。
さて、そんな相澤先生に猫のここがたまらなく可愛い!って思うところを聞いてみると・・・
「物心ついたなって瞬間がすごく可愛くて。子猫っておっきい物音とかにもあんまりびっくりしなくてぼーっとしてたりするんですけど、大きくなるにつれて、怖いって感情が出てくるんですよね。人見知りするようになったり、音が鳴ったら逃げるようになったり。そこがすごく可愛いなって思いますね。」
本当に猫のことが大好きなのが伝わってくる。子猫時代からずっとそばで見てきた相澤先生だからこそ、そんなちょっとした変化が嬉しくて愛おしくて仕方ないのだろう。
それと相澤先生の猫好きポイントをもう一つご紹介。
「猫の後ろ足のふくらはぎみたいなところがたまらなく可愛い。」とすごく嬉しそうに教えてくれた。(先生の顔出しNGなのが残念だけれど、猫のお話をする時の先生は最高に可愛い♡)
そんな相澤先生の描く猫たちはたまらなく愛くるしい。
いろんな猫の現状に想いをはせてくれる人が少しでも増えたら
「珈琲と猫の隠れ家」では、実際に聞いたことがモチーフになっている話もあれば、相澤先生の想像で描いている話もあるという。
「ちょっと前に猫カフェに来たおじさん同士が仲良くなる話を描いたんですけど、それは想像で描きました。ここって男性の一人客がすごい多いんですよ。」
以前にミーシスの取材をさせていただいた時にも同じことを感じた。他の猫カフェではあまり見られない光景かもしれない。
こんなにも男性客に愛される理由は果たしてカフェの広さなのか、猫たちの人なつっこさなのか、猫のいるお家にお邪魔したような居心地の良さなのか、、、はたまた店長のキャラ??
いずれにしても、本当に愛されている猫カフェだと思う。相澤先生もここで何人か顔見知りができたとか。偶然知り合いに出会えたりするとすごく嬉しいという。
普通のカフェで知らない人同士が仲良くなるってまずない。むしろいきなり意気投合とか怖い(笑)でも、猫カフェならそれができる。猫がいれば自然と話が弾む。そう考えると猫の力って本当にすばらしいし、猫ありがとうってたくさんお礼を言いたくなる。
最後に「珈琲と猫の隠れ家」を通して伝えたい想いについて聞いてみた。
「少しでもいろんな猫の現状に想いをはせてくれる人がいたらいいなと思います。ペットショップの猫がどうとかそういうことは別に関係ないけれど、外で暮らす野良猫たちが日々どうしているのかとか、保護猫を家族として迎え入れることとか、そういったことを子供たちにも分かりやすく伝えられたらいいなと思います。」
今外で一匹で暮らしている野良猫だって、生まれてきた時は母猫の愛情に包まれて暮らしていたのかもしれない。兄弟猫もそばにいたのかもしれない。
外の厳しい世界で生き抜いていくために、どんなに辛い想いをしたのだろう。どれほどの暑さや寒さに耐えてきたのだろう。どんなに寂しい想いをしてきたのだろう。
保護猫たちの今まで暮らしてきた環境は本当にさまざま・・・。でもどんな猫にも大切な命がある。それは人間と何ら変わらない。
相澤先生の想いが少しでも多くの人に伝わって、どんな猫にも温かな心で向き合える人が増えたらと思う。どんな猫たちにもたくさんの幸せが訪れますように。
取材協力:猫カフェミーシス
書籍
モディリアーニにお願い1(ビッグコミックス)
全部手描きの、心揺さぶられる美大物語。
東北にある、バカでも入れる小さな美大。
山の中にあって女子がほとんどの学校である。
壁画の千葉と、日本画の本吉と、洋画の藤本は、同学年の気の合う仲間。
冬の寒さも、制作の厳しさも、学生の楽しさも、将来への不安も分かち合いながら、共に過ごしている。真剣に創作をしながら。(出版社より)
価格 | 607円 |
発売日 | 2016年10月28日 |
出版社 | 小学館 |
コミック | 198ページ |
モディリアーニにお願い2(ビッグコミックス)
新聞雑誌で絶賛の美大物語、成長の2集!!
絵で美術で大きくなりたいと、創作を続ける千葉と藤本と本吉。
本吉の才能に注目が集まり、千葉が丁寧にガラスを形づくり、藤本が自らの絵に問い続ける。
自分は、何者かになれるのだろうか。3人は一緒に答えを探し、光を見つける。(出版社より)
価格 | 607円 |
発売日 | 2017年8月30日 |
出版社 | 小学館 |
コミック | 208ページ |
モディリアーニにお願い3(ビッグコミックス)
話題の美大奮闘物語、心を打ち抜く3集!
個展を経て、改めて美術と向き合う千葉。そんな千葉を、眩しく思う藤本。
ひたむきに自分を突き詰める本吉。才能への焦り、仲間といる喜び、途方も無い熱量・・・3人は自分のすべてを創作に注ぎ込む。
そして少しずつ月日は流れ、「大人」になる時が近づいて来るーー(出版社より)
価格 | 650円 |
発売日 | 2018年9月28日 |
出版社 | 小学館 |
コミック | 208ページ |
モディリアーニにお願い4(ビッグコミックス)
心を溶かす美大物語、葛藤と向き合う4集!
「ダ・ヴィンチ」プラチナ本にも選定された話題作!人気作家・燃え殻氏によるエッセイを特別収録した第4集!!
もがきながらも、美術に目覚めていく美大生3人。学生生活も、気付けばあと1年に。
不安と一生懸命さを抱えて、千葉は教育実習へ。藤本は家族と、本吉は過去と、それぞれ真剣に向き合うことに。
「人はいつ大人になるのだろう」
答えなんて分からない。
でも今だけは、背中を押してくれる仲間がいる。(出版社より)
価格 | 650円 |
発売日 | 2019年7月30日 |
出版社 | 小学館 |
コミック | 191ページ |
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。