新型コロナウイルスが猛威をふるっており、飼い主の皆さんも不安に感じておられる日々かと思います。
この記事では、東京都獣医師会による4月24日時点での発表をまとめています。詳細や最新情報を知りたい場合は、東京都獣医師会公式ホームページをご確認ください。
※最終更新:2020年4月27日
現時点ではペットがヒトに新型コロナウイルスを感染させる可能性は限りなく低い
これまでに新型コロナウイルス感染の報告があったのは、犬2例(香港)と猫2例(ベルギー)のほか、大型ネコ科動物などです。
香港当局からは、新型コロナウイルスに感染した方が飼育していた犬からウイルスの弱い陽性反応が見られたとの報告があったものの、犬に症状はなく、その後陰性となったようです。また、3月27日に感染確認のあったベルギーの猫は、下痢、嘔吐、呼吸困難などの症状があったのち回復したと言われています。
ですが、香港当局・ベルギー当局共に、新型コロナウイルス感染症は、ヒトからヒトに感染する病気であり、ヒトから犬や猫への感染は一般的でないとの見解を示しています。
https://www.info.gov.hk/gia/general/202003/26/P2020032600756.htm
https://promedmail.org/promed-post/?id=20200327.7151215
東京都獣医師会による発表でも、新型コロナウイルス感染症は、現時点ではヒトからヒトへ感染する病気としており、仮にヒトからペットへ感染(ペットからウイルスを検出)したとしても、ペットがヒトへ感染させる可能性は限りなく低いとしています。
強調しているのは、引き続き飼い主さんが新型コロナウイルスに感染しないよう十分注意をすること。どうか冷静に対応をしてほしいと呼びかけています。
飼い主さんが感染し入院となった場合→ご家族もしくはお世話してくださる方に預けて
万が一、新型コロナウイルス感染症にかかり入院となった場合は、ご家族もしくはお世話をしてくださる方に預け、犬や猫との接触を避けるべきとしています。
いずれの場合も、犬や猫の体表に付着したウイルスを介して感染を拡大させないために、シャンプーをすることが望ましいとされています。その際には、毛に当たったお湯が自身や周囲へ飛び散らないよう、お湯の出る勢いを弱めると良いでしょう。また、シャンプー後、体を拭いたタオルは、一般的な家庭用洗剤で洗濯しましょう。
犬や猫を預ける場合は、キャリーバッグや首輪、リードなどの消毒を入念に。0.05%に薄めた家庭用塩素系漂白剤で拭き、塩素を拭き取るためにさらに水拭きをしましょう。
■消毒などの注意点
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf
犬や猫と離れ離れになってしまうのはとても心苦しいことかと思います。ですが、感染拡大防止のためにも、決して抱きしめたりしないようにとも注意が促されています。
飼い主さんが感染し自宅療養する場合→療養中の部屋に犬や猫を入れない
ご自宅での療養となる場合は、犬や猫の体にウイルスを付着させないために、感染した方が療養される部屋へ犬や猫を入れないようにと呼びかけています。
また、犬や猫が汚れたマスク・リネン類を触らないよう注意も必要です。
お世話してくださる方がおらずご自身が無症状・軽症→マスクやグローブをつけてお世話をする
もし預けられる人が近くにおらず、ご自身が無症状・軽症の場合には、ご自身でお世話をしていただくようになります。
その際ご自身が他の方に感染させてしまうことのないよう、また犬や猫の体表に付着したウイルスを介して他の方にうつしてしまわないよう、マスクやグローブをつけてお世話するようにしましょう。
新型コロナウイルスに感染した方が飼っていた犬や猫を預かる場合の注意点
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、今後、感染した飼い主さんの飼っていた犬や猫を預かってお世話をしなければならないケースも増えてくると思われます。
東京都獣医師会では、「感染した飼い主さんの飼っていた犬や猫を預かる際に知っておきたいこと」をまとめ、感染拡大が起きないよう注意を促しています。
感染した方が飼っていた犬や猫の体表には大量のウイルスが付着、感染している可能性も
新型コロナウイルスに感染した人と一緒に暮らしていた犬や猫には、体表に大量のウイルスが付着しています。また、すでに感染している可能性もあり、体内にもウイルスが存在している可能性もあります。
※ベルギーで感染報告のあった猫は、糞便中にウイルス存在の報告あり。
※AVMA(アメリカ獣医師会):飼い主のくしゃみ・咳などで唾液が飛び散り、犬や猫の被毛に付着しても、唾液などの水分が被毛に吸収されウイルスも毛の中に閉じ込められるため、感染しにくいとのこと。
AVMA : https://www.avma.org/resources-tools/animal-health-and-welfare/covid-19
飼い主さん側が犬や猫を連れてくる場合→感染した飼い主と濃厚接触していない方へ預けることを推奨
- 感染している飼い主さんやその濃厚接触者以外の方に連れてきてもらう
- 預かる場合は、グローブやマスク、エプロン、メガネなどを装着
- キャリーボックスに入れて連れてきてもらう
- 預かる側で用意したキャリーボックスに入れ替える→できない場合は預かったキャリーボックスをハイターなどの塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム(0.05%))などで消毒
飼い主さんの家へ行き犬や猫を預かる場合→防御衣類などを使って感染に十分注意
- 飼い主の玄関前での引取り時間を双方で決めておく
【飼い主側】
- 引取り時間までに、ペットをキャリーケースの中へ
- 到着の知らせがきたらペットを入れたキャリーケースを玄関前へ(※飼い主と直接顔を合わせて話をしない)
【預かる側】
- マスク、手袋、眼鏡、ガウン等、大きなビニール袋3枚を用意
- 車で移動する際は、ビニールシートを敷いた上にキャリーケースを載せる
- 飼い主の玄関へ行く前に、電話にて到着を伝える
- 飼い主宅へ着いたら、マスク、手袋、眼鏡、ガウン等を身に着ける(廃棄のための容器も準備)
- ペットの入ったキャリーケースをもって飼い主の敷地が出たら地面に置き、キャリーケースの持ち手、外回りを消毒液(次亜塩素酸ナトリウム液0.05%)を含んだ布で消毒
- キャリーケースの消毒が済んだらマスク、手袋、眼鏡、ガウン等を外し、ビニール袋を二重にして入れて指を消毒
- キャリーケースの上にビニール袋をかぶせ、その上から持ち手を持ち、車へ運ぶ(ビニールの内側やキャリーケースに触れないよう注意)
- 車内のビニールシートを敷いたスペースにキャリーケースを置く(ペットがビニール袋で窒息しないよう注意)
シャンプーをする(界面活性剤でウイルスは死ぬ)
- マスク、グローブ、エプロン、メガネを装着して行う
- 猫の場合は先に爪切りを。エリザベスカラーなどの防御も
- できれば屋外で行う→屋内の場合は余計なものを置かない、ビニールシートで覆うなど消毒しやすい環境を整えて)
- シャンプー前にまず毛をお湯でよく洗う→シャンプー剤を使う前に体を振らせないよう注意
- よくすすいだ後ドライヤーで乾かす
- 全てが終わったら防護に使ったものを外す。洗濯をすれば再利用可
- シャンプー自体難しい場合は、クロルヘキシジン水(0,05%)(ヒビテン液、ヘキザック液など)で体を拭いても効果的。エリザベスカラーを装着し、猫が舐めないよう注意を。次亜塩素酸水(0.02%)なども効果的。
シャンプー後は14日間の隔離が望ましい
- 体表のウイルスは除去もしくは不活化。
- 体内にウイルスが存在しているかもしれないため、キスをしない、お皿を共有しないなどの配慮が必要
- 14日間の隔離が望ましい
- 隔離している場所は、次亜塩素酸ナトリウム液(0.05%)などで消毒を
- 糞便処理の際にはマスクやグローブを装着
※次亜塩素酸ナトリウム水と次亜塩素酸水は別ものなので注意しましょう。次亜塩素酸水は食品添加物として認可されているため、体に使っても安全とされていますが、次亜塩素酸ナトリウムは強いアルカリ性のため体に使ってはいけません。次亜塩素酸ナトリウムは酸と混ぜると塩素ガスが発生して危険ですので、取り扱いには十分注意してください。使用する際は換気を行い、0.05%の濃度に薄めて使いましょう。
参考:東京都獣医師会
https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200328%28Q%26A-4%29.pdf
https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200406%EF%BC%88COVID-19.pdf
新型コロナウイルス関連情報
厚生労働省
新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について
経済産業省
農林水産省
文部科学省
新型コロナ感染症による学校休業対策「#学びを止めない未来の教室」
首相官邸
各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。