- ほほう、お引っ越しですかぁ。このワタクシを以ってしてもドキドキしちゃいますねぇ。ご自分の大事なもの、そして猫の宝物も忘れずにですよぉ。
人生の中のちょっした楽しいイベント、お引っ越し!
でも掃除、荷造り、手続きなどの忙しさに加え、新しい環境への変化に人だってちょっとドキドキそわそわしてしまいますよね。
でも猫はそれ以上。今まで慣れ親しんだところから急に別の場所へ「移動させられる」ので、そのストレスは大きなものです。
そこで今回は、猫にストレスをなるべくかけない引っ越しをするための準備やケアについてまとめましたよ。。
飼い主さんの準備次第、そしてケア次第で負担はぐっと軽減!猫ファーストなお引っ越しを目指しましょう!
引っ越しは猫の最大のストレス?
昔から「犬は人につき、猫は家につく」などと言われるように、猫は縄張り意識が強いことで知られています。またちょっとした環境の変化を苦手とする子も多いですよね。
荷造りなどによる環境の変化…、引っ越し当日の人の出入り…、新しい部屋への不安など…引っ越しは猫にとって人が思っている以上の負担となるでしょう。
そのためにも、引っ越しに向けて「引っ越し前」「当日」「引っ越し後」と分けて入念に準備を進めましょう。
引っ越しする前日まで
引っ越し前日までの事前準備はやることもたくさんです。ちょっと大変ですがポイントは7つ。
- 荷造りの部屋と猫が過ごす部屋を分ける
- お気に入りの猫グッズや家具は処分しないで
- トイレや猫砂は使い慣れたものを
- キャリーケースの準備
- 転居先の近くの動物病院を調べておく
- 引っ越し業者に猫がいることを伝えておく
- まずは飼い主さんが落ち着いて
荷造りの部屋と猫が過ごす部屋を分ける
敏感な子はちょっとした荷物の移動にも変化を察知したり、ストレスに感じてしまう場合もあるので、荷造り部屋を設けてしまうことをおすすめします。変化をできるだけ感じさせないようにしてあげることでストレスを軽減しましょう。
また猫は登りたがりですし、ダンボールで遊びたがりますよね。積み上げた荷物からの落下や荷物の雪崩が起きたりという危険性もあるので、やはり荷造り部屋は別に設けると安心です。
お気に入りの猫グッズや家具は処分しないで
生活環境が変わることでストレスを感じているうえに、お気に入りのグッズや親しんだ家具までなくなってしまったらとても戸惑うことでしょう。
とにかく安心してもらうことが優先。どうしても処分したい場合は引っ越し後、生活や猫の心が落ち着いてから処分することをおすすめします。
トイレや猫砂は使い慣れたものを
せっかくの新居。新しいトイレを用意してあげたくなりますが、トイレや猫砂は真新しいものより使い慣れたものを設置してあげましょう。
自分の匂いがついていることにより、自分のテリトリーなんだと認識し安心に繋がります。方法としては、今使用しているトイレの中の猫砂をひとすくい程度持って行き、新しく設置したトイレに混ぜてあげると良いでしょう。
キャリーケースの準備
キャリーケースは必ず用意するべきものの一つです。引っ越し当日や移動中はもちろん、引っ越し後の落ち着ける場所としても重宝しますよ。
災害時用にも使えるので、持っていない人は引っ越しを機に手に入れるとよいですね。
また購入する際には布製の可愛いものも良いのですが、こういった場合に落ち着ける場所として利用できるプラスチック製などの固いものがおすすめです。好きなおもちゃや愛用タオルなんかを入れておいてあげるとすんなり入ってくれるでしょう。
転居先の近くの動物病院を調べておく
人間でも引っ越しによる疲労で体調を崩すことがあります。猫も同じです。そのため引っ越し先で体調を崩した場合にもすぐ動けるように、あらかじめ動物病院をリサーチしておきましょう。
また引っ越し前のかかりつけ医から病歴や予防接種の記録を貰っておくと、引っ越し後も病院通いがスムーズに。その際、転居先の病院についても教えてくれる場合があるので相談してみるとよいですよ。
引っ越し業者に猫がいることを伝えておく
引っ越し業者さんに依頼をする際には猫がいることを伝えておきましょう。引っ越し当日には脱走防止のため「ここにいます」と居場所もしっかり伝えておくことになりますが、前もってお知らせしておくとより安心ですね。
また猫の移動手段については、「飼い主も車に同乗する際キャリーケースに入れておけば猫もOK」な場合も。有料だったり、そもそもペット移動は断られたりと業者によって対応はまちまちなので、必ず事前に確認、見積もりをしてもらいましょう。
まずは飼い主さんが落ち着いて
荷造りや手続きなど課題も多くしばらくは飼い主さんの心もそわそわするでしょう。でも飼い主さんのそわそわは猫に伝わってしまいます。
猫の日常をできるだけ変化させないよう、まずは飼い主さんが落ち着いて毎日を過ごすことが大切です。
- さあ、いよいよ引っ越しですよぉ。でもわれわれ引っ越しを手伝うことはできませんからねぇ、騒がしいの苦手ですし、なんかちょっと不安ですねぇ。
- はっ!ド、ドキドキしてきましたっ!か、隠れたいですっっ!
引っ越し当日
引っ越し当日、飼い主さんはやはりどうしてもバタバタしてしまいます。でも猫にとっても一大事。
「知らない人が(引っ越し業者さんですが)わらわら入ってきておうちのものをどんどん持ってっちゃう~!(依頼されて運ぶだけです)」と、人には思いもよらないほど大きなドキドキを抱く猫も多いはず。中にはパニックを起こす猫もいるので、この2つにはくれぐれも注意しましょう。
- 隔離などして脱走しないように注意
- 猫を落ち着かせ安全に運ぶ
隔離などして脱走しないように注意
荷物の運び出し中は基本的にドアは開けっ放しとなります。脱走の可能性がかなり高くなるので早めにキャリーケースに入ってもらいましょう。そして比較的静かに過ごせそうな部屋の隅や、押し入れなどにいてもらいましょう。
また誰も立ち入ることがない場所と言えば浴室。簡易用の水とご飯、トイレを用意しておき、こちらに隔離しておくことをお勧めします。誰かが開けて脱走!なんてことにならないように、万が一を考え「猫がいます」と貼り紙をしておきましょう。
ただ浴室にしろ押し入れにしろ、空調はしっかり気にしてくださいね。
猫を落ち着かせ安全に運ぶ
- 電車移動・船など
- 車移動
- 飛行機での移動
乗り物移動はこの3種類考えられますが、移動が猫にとって大きな負担となります。
なぜかというと猫のお出かけ=病院である場合が主かと思います。多くの猫は移動=嫌な思いをしている場合が多いのではないかと。怖くて失禁といったこともあり得ますので、キャリーケースにトイレ用のシートを敷いておき、何枚か用意しておくと良いでしょう。移動時間によっては給水器やご飯なども用意しておきましょう。
また、万が一の時のために首輪やリード、そして迷子札は必ずつけておきましょう。
電車移動
電車やバスなど他の人が多く利用する乗り物の場合は周りへの配慮が必要です。キャリーケースに入れることは絶対ですが、周りには動物が苦手な人もいるかもしれないので、キャリーケースに布をかけるなど配慮することをおすすめします。
また、猫自身も慣れていないことがほとんどなので、タイミングを見て優しく声掛けをしながら移動しましょう。中には乗り物酔いしてしまう猫もいるので、心配なら前もってかかりつけ医に相談して酔い止めなどを処方してもらうという手も。なんにせよ様子を見ながら慎重に、時間に余裕を持って移動したいですね。
車移動
自家用車やレンタカーの場合は、飼い主さん付き添いでも慣れていない子には恐怖です。パニックを起こさないよう、基本的にキャリーケースの中にいてもらうことをお勧めします。
移動時間が長い場合は、途中休憩を挟み、移動用の水やり器などで給水、フードやおやつなどを食べさせるなど体力面も気にしてあげましょう。
関連記事:猫を車に乗せる時の注意点は?
飛行機での移動
飛行機の場合、一般的には出発30分前までにカウンターへ行きキャリーケースごと預けることになります。規定によっては航空会社のキャリーケースに移し替える必要があったり、料金の支払いや同意書へのサインなども必要に。
航空会社によって条件が異なりますので、事前に航空会社に問い合わせて準備をしておきましょう。
ペットホテルなどに預ける
飼い主さんも安心して引っ越しに集中できますし何より猫の安全をしっかり守れるという点から、ペットホテルや動物病院に預けてしまうのも得策です。それも慣れている施設があれば一番よいですね。また預けられる友人親類がいる場合にはお願いしてみるのもよいでしょう。
引っ越し後
さて無事に引っ越し作業が完了!ここまできたら大きな作業は終わっているので、あとは猫ファーストでぼちぼち動いていきましょう。
片付けが終わるまでは猫部屋に
片付け中はどうしてもバタバタしてしまいますし、荷物も散乱し危険が多くなります。脱走にも注意が必要です。
猫の安全な居場所ができるまでは、猫のお部屋を作ってあげたりキャリーケースにいてもらうなどしましょう。
猫のペースにあわせてお部屋を探検させてあげる
家具の場所、匂い、部屋そのものが変わってしまい今までの自分の縄張りがなくなってしまうので、やはり新しいお家には警戒するでしょう。しかし猫のペースで焦らずゆっくり探検させてあげましょう。
安心してもらうために使い慣れた食器やごはん、寝床、トイレ、お気に入りのおもちゃをそっと置いてあげてもよいですね。少しずつ興味を示しだすでしょう。
隠れているときは無理矢理引っ張り出さないで
初めてのお家には隠れてしまう子も引きこもってしまう子もいます。でもそれはよくある行動。無理やり引っ張り出さなくても大丈夫です。
飼い主さんがいつもの優しい態度で、いつものようにお家にいる。それが伝われば安心へと繋がるでしょう。少しずつ周りに興味を持ち、匂いを嗅いだり周りを眺めたりすることで猫なりに環境を探りだし「あ~ここは安全なんだ」と分かってくれるでしょう。
なるべくスキンシップを多く
引っ越しという大イベントに人もやはり疲れが出ます。荷ほどきはもちろん、配線、手続き、挨拶など細々とした雑用がたっぷりあるのですから…。
でも少し余裕をもって「今日じゃなくてもいいや」「のんびりやろう」の精神で、猫とたくさんスキンシップをとってあげましょう。飼い主さんの焦りは猫に伝わってしまいます。スキンシップを多くとることで飼い主さんにも猫にとっても、不安や疲れを癒やすことへと繋がりますよ。
落ち着ける場所を作ってあげる
新しいお家に自分の居場所がないと感じてしまうのは仕方のないこと。でも以前から使っている毛布やおもちゃなどを置いてあげると少しずつ安心してくれます。
またあえて狭い隠れ家を作ってあげることもおすすめです。落ち着ける場所を作ってあげることで「ここは安全」と感じ、ちょっと偵察してまた戻り落ち着く…といったことを繰り返すでしょう。
家具の新調は少しずつ
せっかくの引っ越しですから、家具やカーテンなどいろいろなものを新しく揃えたくなりますよね。でもそこはちょっとだけお待ちを。
お家そのものが変わった上にあらゆるものが一新してしまっては猫のストレス軽減には繋がりません。
できるだけ安心させてあげるためにも猫グッズだけでなく、家具なども前の家のものを使いましょう。買い換えたい場合は、猫が新しいお家に慣れたころに少しずつ新調していくという方法がおすすめです。
体調管理をしっかりと
引っ越しは人間も疲れます。猫も同じく。疲労からの体調悪化にはくれぐれも気を付けましょう。食事の様子はもちろん、トイレの様子、精神面などもしっかりと気にかけてあげてください。
よくある質問
以下は猫との引っ越しに寄せられる「よくある質問」です。
- 毎晩夜鳴き…
- 水も飲まず餌も食べない…
- トイレをしない…
引っ越しによるストレスや不安から夜鳴きをしたり、夜中に行動的になってしまう猫もいます。そんな場合は就寝前に飼い主さんがいっぱい遊んであげるとよいでしょう。大好きな飼い主さんと遊ぶこと、また程よく疲労することでストレス発散につながります。
また夜鳴きがストレス以外の体のサインである場合も可能性としてはあるので、しっかり様子をみていく必要はあります。
引っ越し当初はなかなか水も飲まない、ご飯も食べないといった猫もいます。初日は無理やりとらせる必要はありませんが、大好きな食べ物を用意してあげたりふりかけをかけてあげたりすることで食べるきっかけになることも。
こういった場合はなるべく水分も一緒に取れるようなウェットフードや、おやつなどを与えてみて、少しづつ慣らしてください。
ただ2日間まるまる水も飲まずご飯も食べないようなら脱水状態、低血糖になってしまう危険性も出てくるので動物病院へ相談しましょう。
引っ越し後の新しい環境でのトイレ。スムーズにいかない子は多いものです。焦らず見守ることが大切ですが、少し注意したいのは、猫は2日間おしっこがでないと尿道が閉鎖してしまう可能性があるということ。それにより、尿道結石、尿毒症などを引き起こす場合もあるのでその時には受診を考えましょう。
まとめ
猫との引っ越しはやはり大変ですが、でも、そもそも猫は好奇心いっぱい。大好きな飼い主さんがいてくれれば安心して少しずつ新しい世界の探検をはじめます。
愛しの猫さまとの幸せな新生活をイメージしながら、楽しく引っ越し準備を進めていってくださいね。
~引っ越し前~
- 荷造りの部屋と猫が過ごす部屋を分ける
- お気に入りの猫グッズや家具は処分しないで
- トイレや猫砂は使い慣れたものを
- キャリーケースの準備
- 転居先の近くの動物病院を調べておく
- 引っ越し業者に猫がいることを伝えておく
- まずは飼い主さんが落ち着いて
~当日~
- 隔離などして脱走しないように注意
- 猫を落ち着かせ安全に運ぶ
~引越し後~
- 片付けが終わるまでは猫部屋に
- 猫のペースにあわせてお部屋を探検させてあげる
- 隠れているときは無理矢理引っ張り出さないで
- なるべくスキンシップを多く
- 落ち着ける場所を作ってあげる
- 家具の新調は少しずつ
- 体調管理をしっかりと
~引越し後の注意事項~
- 夜泣きが始まる子も
- 2日間まるまる「水も飲まず餌も食べない」「トイレしない」は要注意
- この記事を書いた人
ほりえかよこ
猫ねこ部編集室 ライター猫のお役立ち、猫との暮らすための記事など「ニャイフスタイル」記事担当。
猫と暮らすためのヒントや飼い主さんのお悩みに寄り添った記事などを楽しくお届けするほか、キャットインストラクター坂崎清歌さんや猫カフェへの取材も行う。
主婦の視点を生かし、「猫×ライフスタイル」により共感がわくアイデアづくりを目指している。
- 【監修】
一級建築士 株式会社ネコアイ代表取締役
清水満「ねこ検定」監修者 「ぺット共生マンションの適正化推進ガイドライン」監修者
愛猫との路上での運命の出会いから、猫と幸せに暮らす住宅の必要性を感じ「猫専門建築士」として従事する。
「クロワッサン」「週刊朝日」「猫びより」など雑誌掲載多数、NHK「もふもふモフモフ」TBS「サタデープラス」等に出演。
現在は猫専門の総合コンサルタントとして猫用品開発や猫イベントの企画運営など広く活動している。愛猫は4匹。