- ついに犬や猫へのマイクロチップ義務付けが決まりましたねぇ。そもそもマイクロチップってどんなもの?体に埋め込むって本当?それって安全?お値段はどれくらい??などなどさまざまなマイクロチップの疑問に答えていきますよぉ。
台風、洪水、地震。。。最近のニュースを見ているといつどんな災害が起きても不思議ではないほど、自然災害が多い日本。
もし、大災害が起きて愛猫と離れ離れになったら・・・そう思うといてもたってもいられない愛猫家さんも多いのでは??
そんな万が一に備え、ペットの身元証明として役立つのが「マイクロチップ」です。
今回はそんなマイクロチップの役割から装着方法、メリット、デメリット、費用にいたるまであらゆるマイクロチップの謎にお答えします。
大切な「我が家の家族」とずっと一緒に過ごすためにも、是非参考にしてくださいね!
※2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫へのマイクロチップの装着が義務化されました。
詳しくは「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A|環境省」をご覧ください。
マイクロチップとは?
マイクロチップとはいったいどんなものなのか、まずはその役割や特徴から見ていきましょう。
ペットの身元証明になる
人間と違ってペットは言葉を喋ることができません。もしも何らかの理由で飼い主さんとはぐれてしまったとき、自分の名前や飼い主さんの名前を伝えることができないのです。
そんなときに役立つのがマイクロチップ。万が一のとき、マイクロチップは我が子の身元証明となります。
動物の体内に埋め込む「電子標識器具」
マイクロチップは、動物の体に直接埋め込む小さな「電子標識器具」です。直径約1~2mm、長さ約8~12mmととても小さく、形は円筒状です。
動物の体に悪影響を及ぼさないよう、表面は生体適合ガラス(鉛を含まないガラス)で覆われており、なかにはICチップ、コンデンサ、電極コイルが入っています。
15桁の数字で個体識別
身元識別に使われるのが、内部のICチップに記録されている15桁の数字(ISO規格の場合)です。
この数字はそれぞれの動物に与えられる世界にたったひとつだけのもので、専用リーダーで読み取ることができます。
読み取った番号をあらかじめデータベースに登録された情報と照らし合わせることで、動物の身元が分かる仕組みになっています。”ペット版マイナンバーカード”のようなものと言えるかもしれませんね。
マイクロチップの埋め込み方法
先ほどお話したように、マイクロチップは動物の体内に埋め込んで使います。ここでは、実際にマイクロチップを飼い猫に装着する方法について見ていきましょう。
医療行為となるため必ず動物病院で
マイクロチップの埋め込みは「獣医療行為」となるため、必ず動物病院で行います。
専用の注射器を使う
埋め込みには、通常の注射器よりも少し太めの針がついた装着用注射器を使います。マイクロチップがあらかじめ内部にセットされていますので、注射を打つ時と同じ方法で埋め込むことができます。
痛みは通常の注射とあまり変わりませんので、麻酔などの処置は基本的に行いません。
埋め込む場所は首の付け根の後ろ側
動物によって埋め込む部位は異なりますが、猫の場合、首の付け根左後ろ側の皮下に装着するのが一般的と言われています。
埋め込みができるのは生後4週頃から
生後4週頃からマイクロチップの埋め込み可能と言われています。ただし、個体差もありますので、必ずかかりつけの獣医さんに相談してくださいね。
マイクロチップのデータ登録
災害時、迷子などで飼い主とはぐれてしまった時に役立つマイクロチップですが、ただ”体に埋め込んだだけ”では意味がありません。たとえマイクロチップが埋め込まれていても、データベースに情報が入ってなければ、飼い主さんのもとに届けられないのです。
マイクロチップを装着したら、そのチップの番号や飼い主情報、動物情報などをAIPO(動物ID普及推進会議)やその他登録機関のデータベースに必ず登録しましょう。
登録方法
マイクロチップを装着する動物病院にデータ登録申込用紙があります。装着の際に申込用紙と専用封筒を受け取りましょう。
AIPOの場合、払込用紙が付属していますので、金融機関で払い込むかクレジットカードで払い込みます。登録申し込み用紙に領収書を貼り付けるのを忘れないようにしてください。クレジットカードの場合は番号が発行されますので、申込書の所定の場所に記載します。
※手続きは地域によって異なる場合もあります。必ず確認してください。
登録情報
登録申込用紙には以下のように飼い主が記入する欄とマイクロチップを装着した獣医師が記入する欄があります。
- 飼い主情報(氏名・住所・電話番号・FAX・E-MAIL・緊急連絡先)
- 動物情報(動物の名前・生年月日・性別・去勢避妊済・動物種別・種類コード・毛色コード・ID番号(15桁)
- 獣医師情報(獣医師名・所属獣医師会登録番号)
- 動物病院情報(動物病院名・住所・電話番号・FAX・E-MAIL)
約2~3週間で登録完了となり、データ登録完了通知書(ハガキ)が飼い主さんの登録住所に届きます。このハガキは登録情報を変更したい場合に必要となりますので、なくさないように保管しておきましょう。
登録情報を変更したい場合
引っ越しや結婚などで登録情報を変わった場合は必ず変更手続きを忘れずに!せっかくマイクロチップを埋め込んでいても正しい情報が入ってなければ、万が一の時に役立てることができません。
データ登録完了時に届いたデータ登録完了通知書(または申込書の飼育者控)をコピーして、コピー余白に変更事項を記入したのち、郵送もしくはFAXで下記連絡先に送りましょう。
公益社団法人日本獣医師会
マイクロチップデータ登録窓口
〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル西館23階
TEL:03-3475-1695(自動音声案内)
FAX:03-3475-1697
E-mail:mc@nichiju.or.jp
一度データ登録をすれば、データ変更時に費用はかかりません。
マイクロチップの値段
続いては費用についてです。
- マイクロチップの装着費用:数千円~1万円程度
- データ登録費用:1,000円(※)
※マイクロチップ装着費用に含まれていて装着時に動物病院に支払う場合と、登録手続きの際に別途データ登録費を郵便局に振り込む場合があります。地域やマイクロチップ販売メーカーによって異なりますので、装着してもらう動物病院で確認してください。
装着費用は動物の種類や動物病院によって異なりますので、事前に確認をしておくと安心ですね。
なかには、マイクロチップの埋め込み費用の一部の助成を行っている自治体や獣医師会もありますので、一度確認してみると良いでしょう。
自治体名 | 対象者 | 補助金額 |
横浜市 | 市内在住・市内で飼養する犬・猫 | 一頭につき1,500円 |
茨城県獣医師会 | 飼い主が茨城県内在住・実施期間内に茨城県獣医師会会員の動物病院でマイクロチップ装着をした犬・猫 | 一頭につき2,000円(データ登録助成もあり:1頭につき1,000円) |
京都市 | 指定期間内に指定動物病院でマイクロチップ装着をした犬・猫 | 一頭につき1,000円 |
名古屋市・名古屋市獣医師会 | 市内在住・市内で飼養する犬・猫 | 一頭につき名古屋市より1000円、名古屋市獣医師会より1,000円 |
- 最近はマイクロチップの補助金を出してくれる自治体もあるんですねぇ。
- これは助かりますねっ。大家族のおうちなんかは装着代だけでけっこうな金額になりますもんねっ><
マイクロチップのメリット
飼い主とはぐれてしまった時にすぐに身元確認ができる
迷子や災害、事故、盗難・・・など万が一飼い主さんと離れ離れになってしまった場合でも、マイクロチップを装着していればすぐに飼い主さんに連絡することができます。保健所には専用リーダーがありますので、誤って殺処分などということも防げます。
装着すれば半永久的に使える
万が一の時に備えて首輪や迷子札などをつけている方も多いと思いますが、災害などの場合、それ自体が壊れてしまったりなくなってしまう可能性も。その点、マイクロチップは壊れたりなくなったりする心配はありません。一度装着すれば、半永久的に使うことができます。
盗難を防ぐ
血統書つきの子猫などの場合、売買目的で盗難にあうこともあります。万が一市場に出てしまった場合でも、マイクロチップをつけていれば飼い主さんに連絡することができます。
ペット保険料の割引を受けられる
一部ペット保険会社では、マイクロチップを装着していると保険料が割引になるケースも。一度、保険会社に確認してみると良いでしょう。
体温確認できるマイクロチップもある
なかには体温確認ができるマイクロチップもあります。温度を読み取るには専用リーダーが必要になりますが、検温嫌いの猫にはとてもありがたい機能ですよね。必要な場合は、事前に獣医師さんへ相談してみましょう。
マイクロチップのデメリット
費用がかかる
先ほどもお話したようにマイクロチップの埋め込みには費用がかかります。動物病院によって費用は変わってきますので、埋め込む前に確認しておきましょう。地域によっては助成が受けられる場合もありますので、一度お住まいの自治体に問い合わせしてみることをおすすめします。
ペットへの負担
小さな体に異物を入れることをためらう飼い主さんもいるかもしれません。痛みはほとんどなく、マイクロチップを装着したことによる副作用などの報告もありませんが、負担が全くないという訳ではありません。子猫の場合は生後4週から埋め込み可能ですが、心配な場合は獣医師さんに相談してみましょう。
データ管理団体が複数ある
日本での主なデータ管理団体は「AIPO(動物ID管理普及推進会議)」ですが、そのほか一般社団法人ジャパンケネルクラブ等の団体も管理を行っています。
動物病院では特定のマイクロチップの読み取りしかできないリーダーを所有している場合もあります。読み取り可能だがAIPOで確認ができない場合、読み取り自体ができない場合(マイクロチップの破損を除く)は、違うリーダーを所持している病院や役所で読み取る必要があります。対応している病院を確認しておいた方が良いでしょう。
情報の更新を怠ってしまうといざというとき役立たない
引っ越し、結婚、離婚、飼い主の変更、死亡…など登録情報に変更があった場合は、必ず登録データを更新しましょう。せっかくマイクロチップを埋め込んでいても、古い情報のままではいざというときすぐに飼い主さんに連絡することができません。
普及率と義務化
ここ数年で、マイクロチップを装着した犬・猫の数は徐々に増えてきています。
2019年6月12日にマイクロチップ装着を義務付けることなどを定めた改正動物愛護法が衆院本会議にて全会一致で可決、成立したことから、さらに増加傾向にあります。
※2022年6月1日より、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫へのマイクロチップの装着が義務化されました。
詳しくは「犬と猫のマイクロチップ情報登録に関するQ&A|環境省」をご覧ください。
- 平成22年度末時点:450,414
- 平成31年9月26日現在:2,084,953
参照:犬猫のマイクロチップの義務化について
参照:動物ID情報データベースシステム
改正動物愛護法について
改正動物愛護法の概要は以下となります。公布から1年以内に施行となりますが、マイクロチップの義務化は3年以内となります。
②登録された犬猫を購入した飼い主には、情報変更の届け出を義務付ける。
③すでに飼っている人には、装着の努力義務を課す。
④出生後56日(8週)たっていない犬や猫の販売を原則として禁止する。(現行:出生後49日(7週)
⑤動物を殺傷した場合「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」(現行:2年以下の懲役または200万円以下の罰金)
よくある質問
マイクロチップにはGPS機能はないので、飼い主さんとはぐれてしまったときに居場所まで分かるものではありません。あくまで、保護した際にリーダーで番号を読み取り、データベースと照らし合わせて飼い主情報が分かるという仕組みと理解しておきましょう。
マイクロチップは電池不要で耐久年数も約30年ととても長いので、定期的に交換する必要はありません。
全国の動物愛護センター、保健所、動物病院、警察などに置かれています。
動物の体内にマイクロチップを装着したことによる副作用やショック症状などの例はなく、現段階では安全性は高いと言えます。
マイクロチップを装着していてもレントゲン撮影やCTなどへの影響はありません。MRIの画像ではやや画像の歪みが認められるケースがありますが、動物の体への影響はありません。MRIを行った後の読み取りも問題なく行うことができます。
- マイクロチップを埋め込んでいてもちゃんと情報を登録していないと意味がないんですねぇ。
- 連絡先が変わったら必ずデータも新しいものにしないとですねっ。埋め込んでいる=絶対安心!ってわけじゃないんですね><
まとめ
今回はマイクロチップの特徴や役割、装着方法などの基本情報からメリット・デメリットにいたるまで詳しく説明しました。
「我が子の体に埋め込むなんてなんだかかわいそう…」「首輪とか迷子札があるから大丈夫」そんなふうに思っている飼い主さんもいるかもしれませんが、万が一のとき、より確実に飼い主さんに連絡できるのはマイクロチップです。ただし、装着してれば100%安心!ではないので、その点には注意を。装着したら必ずデータを登録・情報を常に最新の状態に更新しておくのを忘れないでくださいね。
- マイクロチップはペットの身元証明
- 15桁の数字で身元を識別
- 読み取りは専用リーダーで行う
- 装着は必ず動物病院で
- 埋め込みができるのは生後4週頃から
- 埋め込んだら必ずデータ登録を行う
- 登録情報に変更があったらその都度更新を
- 装着費用は動物病院により異なる
- 自治体によって助成もあり
- 一度埋め込めば半永久的に使える
- 盗難防止にもなる
- 2022年6月1日よりマイクロチップ義務化スタート(ブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫)
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。
- 【監修】獣医師・YICビジネスアート専門学校ペット科講師
平松育子京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/2006年3月-2023年3月ふくふく動物病院院長を務める/現在は勤務獣医師として自分の可能性にチャレンジ中