- 短い足がチャームポイントのマンチカンは活発で運動神経抜群。低い姿勢から繰り出すスーパージャンプは、一度見たらとりこになる可愛さですよぉ。愛嬌たっぷりの短い足ですが、そのぶん負担も大きいので関節などの病気には注意。ちょっぴり臆病なところもあるので、優しく接してあげてくださいねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
低い姿勢ですばやく駆け回る姿はまるで「猫のスーパーカー」とも言われるマンチカン。
約10cmの短い足が特徴。
短足のマンチカンは全体の2~3割。実は足長のマンチカンの方が多いんです。
足は短くてもジャンプ力は意外とすごい!全力の低空ジャンプは最高の癒しですよ。
穏やかで人懐っこいですが臆病なところもあるので、しつけは優しく言い聞かせるのがポイントですよ。
今回はそんなマンチカンのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
マンチカンのルーツは、1983年アメリカルイジアナ州で発見された足の短いメス猫です。「ブラックベリー」と名付けられたメス猫と、そのメス猫が生んだ短足の子猫「トゥールーズ」が現在のマンチカンの祖先だと言われています。
1980年代から北アメリカで繁殖が進められ、1995年「ザ・インターナショナル・キャット・アソシエーション」(TICA)によって正式な猫種として認められました。
マンチカンの名前の由来は、「オズの魔法使い」の小人=マンチキンからきていると言われています。
特徴
ではさっそく、マンチカンの主な特徴を見ていきましょう。
- 短い足(足長の猫もいる)
- 活発で運動神経が良い
- 留守番が得意
短い足(足長の猫もいる)
マンチカンの最大の特徴、それは短い足。でも、すべてのマンチカンの足が短いわけではなく、なかには足長の猫も。実は短足の猫の割合は全体の約2~3割と言われています。短い足は遺伝子的疾患であるという意見と、障害ではないという意見に分かれています。
成長しても足の長さは10cmほど…。その短い足のおかげで重心のバランスがとりやすく、後ろ足だけで上手に立つことができます。背筋を伸ばしてあたりを見渡すその姿は、まるでプレーリードッグやミーアキャットのよう、と猫好きさんの間でも人気の猫種です。
活発で運動神経が良い
短い足の見た目とは裏腹に、マンチカンはとても活発で運動神経抜群。低い姿勢で素早く駆け回るため「猫のスーパーカー」「猫のスポーツカー」と言われることも。その見た目からは想像もつかないほどのジャンプ力を持つマンチカンもいますが、短足ゆえの低空ジャンプも愛される特徴のひとつです^^。
留守番が得意
マンチカンは頭がよく聞き分けも良いため、留守番も難なくこなします。そのため、仕事で家を空ける機会の多い人でも安心して飼いやすいでしょう。
ただし、好奇心旺盛なマンチカンは留守番中にイタズラをすることも…。興味をもちそうなものはなるべく手の届かないところに隠しておきましょう。子猫期にしっかりしつけておけば、成猫になったときには安心して留守番させることができます。留守番は得意ですが甘えん坊な面もあるので、家に帰ったらしっかりコミュニケーションをとってあげましょう。
- まるでダックスフンドみたいなあの短い足がチャームポイントですよねぇ。でもあの見た目で意外とすごいジャンプをする子もいるんですよぉ。私なんか一緒に遊んでると息があがってしまいます、、、ンフフ。
ただマンチカンには足長の子もいると覚えといてくださいねぇ。
- たしかにすごく元気ですよね!ぼく、すっごく気が合います。
足長マンチカン、、、なんだか想像つきません。
大きさ
続いては、マンチカンの大きさにについて。
子猫の平均体長と体重、体高
- 体長 約30cm
- 体重 1~1.5kg
- 体高 13~18cm
※体高・・・立ったときの足から頭頂までの高さ
成猫の平均体長と体重、体高
- 体長 約50~60cm
- 体重 オス3~4.5kg メス2.5~3.5kg
- 体高 16~20cm
子猫期に比べて、体長、体重ともに約2倍に成長します。
性別による体長の違いはありませんが、体重はオスの方がやや重いです。
マンチカンの足の長さは平均10cm程度で、体高は子猫期に比べても2~7cm程度しか大きくなりません。ただ、足長のマンチカンの足の長さは一般的な猫と同じくらいで、短足の猫よりも大きく成長します。
体重は平均的な猫に比べ軽いですが、筋肉質な体つきなので抱きかかえるとずっしり重みを感じるでしょう。
性格
続いてはマンチカンの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 人懐っこい
- 好奇心旺盛
- 臆病
とても人懐っこく、初めて会う人にも人見知りすることなく上手に甘えます。スキンシップも大好きなので、たっぷりコミュニケーションをとってあげましょう。
好奇心も旺盛で家の中を元気に駆け回ります。猫用のおもちゃや他の動物にも興味を示すことが多いでしょう。
穏やかで温和な面がある一方で、臆病で用心深いところもあります。
オスはメスに比べて人懐っこい
オスはメスに比べ人懐っこく、甘えん坊な面が見られます。メスはどちらかというとしっかりしているため、飼い主にべったり甘えることは少ないようです。
- とっても人懐っこくて甘え上手。知らない人にも全然人見知りしないところは、クロベエくんそっくり、、、ンフフ。
臆病なところがあるので怒鳴ったりするのは厳禁ですよぉ。
- ぼく、知らない人にも平気でついてって怒られます。。。臆病なところがあるなんてかわいいです!
かかりやすい病気
続いてはマンチカンがかかりやすい病気についてです。
- 椎間板ヘルニア
- 毛球症
- 猫伝染性腹膜炎
- 外耳炎
- 漏斗胸
- 変形性関節症
椎間板ヘルニア
背骨の間にあるクッション的役割の椎間板がつぶれて変形してしまう病気です。
椎間板の外側にある繊維輪(せんいりん)は頑丈なコラーゲンでできていますが、以下のような原因で破れてしまうことがあります。
- 高いところからの落下
- 交通事故
- 肥満
- 老化
- 遺伝的な骨の異常
繊維輪が破れてしまうと、中にあるゼリー上の髄核(ずいかく)が外に出てしまい、神経や脊髄(せきずい)を圧迫します。髄核が完全に外に出てしまうと猫は動けなくなってしまいますが、髄核が繊維輪の中にとどまっていれば病気を発症していても普通に動きまわっていることもあります。
マンチカンは、胴が長く足が短いぶん関節に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアになることが多いと言われています。
椎間板ヘルニアの主な症状は以下の通りです。
- 足をひきずって歩く
- 運動を急に嫌がるようになる
- 足、胸、首などに痛みや麻痺が出る
軽度の場合は薬やサプリなどで痛みを和らげ、症状が悪化しないよう運動制限を行います。症状が改善してきたら体重管理を行って肥満対策をします。
重度の場合は手術をして飛び出てしまった髄核の切除を行います。最悪の場合歩行困難になることもあるため、気になる症状が見られたら早めに病院を受診しましょう。
毛球症(もうきゅうしょう)
毛づくろいの時に飲み込んだ毛を吐き出すことも排泄することもできず、腸の中にためこんでしまう病気です。マンチカンには短毛種と長毛種がいますが、長毛種は特に毛が抜けやすいため注意が必要です。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 元気がない
- 毛玉を吐こうとするが吐き出せない
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
- お腹を触られるのを嫌がる
軽度であれば毛球除去剤を使って毛の排出を促しますが、それでも改善されない場合や腸閉塞の危険があると言われた場合は、開腹手術を行って直接毛玉を取り出します。
猫伝染性腹膜炎
コロナウイルスの一種である猫伝染性腹膜炎ウイルスにより感染する病気です。
主な症状は以下の通りです。
- 腹水、胸水
- 発熱
- 黄疸
- 食欲不振
- 体重減少
- 下痢嘔吐
- 腎不全症状
- 肝不全
- 呼吸困難
一度発症すると完治する治療法はなく、症状の悪化を抑える対症療法がメインとなります。腹水や胸水がたまっている場合、注射針で水を抜きますが、数ヶ月以内に亡くなる可能性が高いです。多頭飼いの場合は感染を防ぐため隔離が必要です。
免疫力が低下した猫がかかりやすいため、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスへの感染予防のワクチン接種をしっかり受けておきましょう。
外耳炎
スコティッシュフォールドと交配させてできた折れ耳のマンチカンがかかりやすい病気です。折れ耳の場合、耳の通気性が悪く湿気がこもりやすいため、細菌に感染しやすくなります。
主な症状は以下の通りです。
- においのある耳あかがたまる
- 頭をふる
- 耳をしきりに触る
- 耳が腫れる
- 耳に傷ができ出血している
細菌や真菌に感染している場合は点耳薬、耳ダニの場合は駆虫薬を使って治療します。症状によっては内服薬も使用します。
漏斗胸(ろうときょう)
先天的に肋骨の一部が陥没している病気です。
軽度であればそのまま生活しても問題ありませんが、重度の場合は骨の柔らかい生後3ヶ月ころまでに、手術を行って陥没している肋骨を糸や針金でひっぱり出す必要があります。最悪の場合呼吸困難に陥ることもあるため、早めの対処が必要です。
変形性関節症
関節にある軟骨がすり減って摩擦が生じ炎症を起こす病気です。
マンチカンが短足である原因は、骨軟骨形成異常という遺伝的疾患があるためとも言われており、このような遺伝的疾患が原因で変形性関節症を引き起こす可能性が高いと考えられています。また、肥満や過度の運動なども原因として考えられます。
主な症状は以下の通りです。
- 動きが鈍くなる
- 触ると痛がる
- 食欲不振
- 関節が腫れる
発症すると完治は難しく、痛みを和らげる対症療法がメインとなります。また、肥満が原因の場合は体重管理も行います。
- マンチカンの短い足はとてもかわいいですがそのぶん関節に負担がかかりやすく、「椎間板ヘルニア」や「変形性関節症」になりやすいんですよぉ。折れ耳のスコティッシュフォールドと交配させてできた折れ耳マンチカンは、「外耳炎」にも注意してくださいねぇ。
- 見た目はかわいいですけど病気にもなりやすいんですね。。。ヘルニアはひどくなったら歩けなくなる怖い病気ですから、足をひきずってたり運動したくない素振りを見せてたら、早めに病院でみてもらわなきゃですね。
飼い方
マンチカンを飼うときには、以下のような点に注意しましょう。
- 大きな声で叱らない
- 運動できる環境・食事管理
- こまめにブラッシングや耳の手入れをする
大きな声で叱らない
臆病な性格でもあるので、飼い主に強く叱られたりすると怯えてしまいます。ある程度のしつけは大切ですが、あまりに恐怖心を与えてしまうと飼い主を信頼しなくなってしまいます。感情的に怒ったりせず、なるべく優しく言い聞かせるようにしましょう。
運動できる環境・食事管理
マンチカンは好奇心旺盛で活発なので、部屋の中で十分な運動ができる環境を整えてあげましょう。高いところに登ることも大好きなので、キャットタワーなどを用意してあげるのもおすすめです。
また太りやすい猫種のため、肥満対策として日頃からしっかり食事管理を行うことが大切です。食事管理で太りすぎないようにすることで、椎間板ヘルニアなどの病気の予防にもなります。
マンチカンの食事については、こちらの記事で詳しく説明しています。是非参考にしてくださいね。
こまめにブラッシングや耳の手入れをする
長毛種の場合は特に毛玉を飲み込みやすいため、普段からこまめにブラッシングを行うことが大切です。換毛期は1日2回、それ以外の時期でも最低1日1回はブラッシングをしてあげましょう。ただし、猫が嫌がる場合は無理に行わないよう注意しましょう。
また、スコティッシュフォールドと交配させたできた折れ耳のマンチカンは、耳の通気性が悪くなるため、最低でも週1回は耳のお手入れをしてあげましょう。猫用耳洗浄液またはオリーブオイルをしみこませたコットンで、耳の外側から優しく汚れをふき取ると良いでしょう。 ただし、頻繁に耳掃除をしすぎると、かえって炎症を引き起こすこともあるのでやりすぎは禁物です。初めて耳掃除をする際は、獣医に相談し指導してもらった方が安心です。
関連記事:猫のブラッシングのやり方
寿命
マンチカンの平均寿命は10~13年と言われています。日本ペットフード協会の調査によると猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、マンチカンは猫全体の平均寿命よりやや短いことが分かります。
マンチカンを少しでも長生きさせるためには、予防接種や定期健診などを積極的に受け、バランスの良い食事を与え、いざというときに頼れる動物病院を決めておくことが大切です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、マンチカンに関するよくある質問をまとめています。
マンチカンはすべての毛色が認められているため、毛色の種類がとても豊富です。
特に人気が高いのは縞模様のタビー柄。タビー柄と言っても円を描くような縞模様のクラシックタビー、斑点模様のスポテッドタビーなどさまざまです。
特に海外で希少価値が高いと言われているのがキャリコです。キャリコはブラック・オレンジ・ブラウンの三毛猫タイプの猫ですが、海外では珍しい毛色で手に入りにくいようです。
マンチカンの毛色と性格はあまり関係がないと言われています。マンチカンを迎える際は、しっかり触れ合って相性が良い猫を選ぶと良いでしょう。
足長のマンチカンが多いのは、交配が関係しています。短足同士を交配させると奇形などの障害が出る確率が高いことから、短足同士の交配はタブーとされており、足長と短足のマンチカンを交配させることが推奨されています。そのため、足長のマンチカンの猫が生まれてくるのです。短足のマンチカンに比べると、病気のリスクも低く、見た目は雑種とあまり変わりありません。
- 飼うときのポイントは「大きな声で叱らない」「運動できる環境・食事管理」「こまめなブラッシングや耳の手入れ」ですよぉ。臆病なマンチカンはきつく叱ると怯えて懐かなくなっちゃうので優しく言い聞かせるのがポイントですねぇ。
マンチカンは短足同士で交配させると奇形の子が生まれやすいので、基本は短足×足長で交配というのも覚えといてくださいねぇ。
- 優しく言い聞かせるしつけ、、、ぼくのおかあさんはなんでしょう、、、感情のまま、、、ですかねっ(笑)。
足長のマンチカンの方が多いなんて知りませんでした。奇形を防ぐためにもしっかり交配のルールが決まってるんですね。
まとめ
マンチカンのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- ルーツはアメリカで発見された短足のメス猫
- 短足の猫の割合は全体の2~3割
- 足長のマンチカンもいる
- 短足は遺伝子的疾患であるいう意見と障害ではないという意見に分かれている
- 活発で運動神経が良い
- 留守番が得意
- 成猫の体重は一般的な猫よりも軽い小型タイプ
- 足の長さは平均10cm程度
- 人懐っこく好奇心旺盛だが臆病な面もある
- 短足の猫は関節に負担がかかりやすく椎間板ヘルニアになりやすい
- 長毛種は特に毛が抜けやすいため毛球症に注意
- 猫伝染性腹膜炎予防のためワクチン接種を受けることが大切
- スコティッシュフォールドとの交配で生まれた折れ耳は外耳炎に注意
- 漏斗胸の場合は生後3ヶ月までの早めの対処が肝心
- 臆病な面があるためしつけは優しく
- 太りやすい猫種のため運動や食事管理で肥満を防ぐことが大切
- 寿命は10~13年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。