- 犬や猫の殺処分をゼロにしようと活動している「ワンニャンピースマイル」ってみなさん知っていますかぁ?代表の愛菜ちゃんはまだ中学生。そんな子どもたちの活動を紹介しますよぉ。
1166匹。全国ワースト1位というこの数字は、2018年度香川県で殺処分された犬の数だといいます。
「自分たちに何かできることはないか」地元・香川県の悲惨な殺処分の現実を知って立ち上がったのが小・中・高校生の愛護団体「ワンニャンピースマイル」。
その代表を務める鈴木愛菜(まなは)ちゃん(14)の母・葉子さんに、団体設立のきっかけや伝えたい思いについて伺いました。
犬猫殺処分数をゼロにするため、香川県の小・中・高校生で結成した学生愛護団体。
公式サイト→https://www.wannyanpeasmile.com/
公式ブログ→https://ameblo.jp/w-peasmile/
公式Facebook→@manacocokara
公式Twitter→@wannyanpeasmail
小・中・高校生で結成された犬猫の保護団体「ワンニャンピースマイル」
初版の800部を約3ヶ月で完売し、1000部の増刷が決まるなど、今異例の売れ行きを見せている絵本がある。
それがこちら。「シルバーが教えてくれた命の大切さ~殺処分ゼロを目指して~」。
この絵本の作者は、香川県高松市に住む中学2年生の女の子、鈴木愛菜ちゃん。
愛菜ちゃんは、今から3年前、小学6年生のときに「ワンニャンピースマイル」という犬猫の保護団体を結成。現在、団体の代表を務めているという。
今、各メディアで大きな話題となっているこの絵本は、いったいどんなきっかけで生まれたのだろうか?
愛犬シルバーとの別れ
「何もできなくて学校にも行けてなかったのに、犬猫のことになるとイキイキとして、、、夢中で何でも自分で調べるような子でした。」そう話すのは、愛菜ちゃんの母・葉子さん。
愛菜ちゃんは小学4年生の頃から学校に行けておらず、現在も不登校の状態だという。その理由は「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」。
ADHDとは、「勉強に集中できない」「じっと座っていられない」など学校生活に支障をきたすこともある発達障害のひとつで、小中学生の3~7%程度が該当すると言われている。めまいや震え、発作、食事が取れなくなるなどの症状が現れるようになった愛菜ちゃんは、次第に家へ引きこもるようになっていったのだとか。
そんな愛菜ちゃんを大きく変えたのが、”愛犬シルバーの死”だったという。
産まれた時からずっと一緒。愛犬・シルバーは愛菜ちゃんにとってかけがえのない家族だった。そんなシルバーが、突然急性腎不全になり、3年間の闘病生活の末、天国へ…。大切な家族を失ったショックで、心にぽっかりと大きな穴があいてしまったという愛菜ちゃん。来る日も来る日も、シルバーとの楽しかった日々を思い出しては涙が止まらなかったという。
「目の前で苦しんでいるのに何もできない、生きてほしいのに、、、愛葉にとっては想像もつかない出来事だったのだと思います。」と母・葉子さん。
そんな悲しみのなか、愛菜ちゃんはある衝撃的な事実を知る…。それは、愛菜ちゃんの住む香川県が全国で犬猫の殺処分数ワースト1位(平成27年度)だということ。年間4,000匹もの犬猫が、人間の身勝手な理由で殺されていることを知り、いてもたってもいられなくなった愛菜ちゃんは思いもよらない行動に。。。
始まりは手書きのチラシから~犬猫の命の大切さを伝えたい
その日以来、部屋にこもり突然何かを始めた愛菜ちゃん。そして数日後、突如部屋から姿を消した。心配した母・葉子さんが急いで外へ探しに行くと。。。
「犬や猫を救いたいんです!お願いします!」そこには近所の人に声をかけ、必死にチラシ配りをする愛菜ちゃんの姿が。
そう。自分の住む香川県が犬猫の殺処分ワースト1位という現状を知った愛菜ちゃんは、自分にも何かできることはないかと考え、「犬猫の命の大切さを伝えたい」と手書きのチラシを作っていたのだ。
「かわいい!だけで飼うのではなく、お世話をしてください。」「犬を捨てるのなら飼わないでください。」
そこには、愛菜ちゃんの”想い”がつまっていた。そんな愛葉ちゃんの姿に最初は驚いた母・葉子さんだったが、そのあまりにも熱心な様子に心を動かされたという。
シルバーは「命はこんなにも尊いもの」なのだと教えてくれた。その想いが、今までかたくなに人と接することを嫌がっていた愛菜ちゃんの心を大きく揺り動かしたのだ。
それ以来2年間、愛菜ちゃんは友人と一緒に、犬猫の命の大切さを訴えた手書きのチラシを配り続けたという。
団体初の活動は「動物環境・福祉協会Eva」講演会での朗読
小学6年生になった愛菜ちゃんは、学校に行けない子達が集まって共に学ぶ「チャレンジ塾」に通えるまでになっていた。そこで出会ったメンバーが、愛菜ちゃんの活動に賛同。一緒に動物愛護団体「ワンニャンピースマイル」を結成することになったという。
2017年5月。周りの社会人のサポートも得て、自治体へ活動提案書を提出した。
ちょうどその頃、ある講演会でスピーチをしてみないかという話がきたという。それは、女優・杉本彩さんが理事長を務める「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」による動物愛護講演会「命の尊厳と和~殺処分をなくすために私たちにできること~」だった。
杉本彩さんをはじめ、香川県知事、高松市長などそうそうたる出席者、そして約400人もの大聴衆を前に、愛菜ちゃんが作文の朗読をすることになったのだ。
ずっと娘の姿を見てきた母・葉子さんは不安を募らせた。でも、そんな母の心配をよそに、愛菜ちゃんは「たくさんの人に自分の思いを届けたい」一心で見事、スピーチをやり切ったという。
「かわいいという感情だけでは生き物を飼うことはできません。」
「かわいそうというだけでは命を救うことはできません。」
愛菜ちゃんは、「自分が勇気を振り絞れば救われる命があるかもしれない」と、その胸に秘めた熱い想いを堂々と多くの人たちに伝えたのだ。
「授業で発表すらできなかった子が、犬猫の命を救いたいとここまでやれたことは本当に凄いと思います。」母・葉子さんは我が子の姿に心から感動したという。
命の大切さを親子で知ってほしい
団体として初の活動となった講演会のスピーチを機に、チラシ配り、譲渡会、イベントの開催、ラジオやSNSでの発信、県内外の新聞社・放送局・雑誌社などの取材など、ワンニャンピースマイルとしての活動は本格化。
そんな愛菜ちゃんは、活動を続けるうち「子どもたちに小さい頃から命の大切さを知ってもらいたい」と思うように。こうして、親子で命の大切さを学べる「絵本」を作ろうと決意したのだという。
活動開始から約半年がたった2018年1月、クラウドファンディングで資金集めをスタート。
すると、わずか2ヶ月で支援者は100万人をこえ、目標金額を大きく上回る1,028,000円の支援金が集まったという。
そして約一年半後の2019年11月1日、ついに絵本が完成。
「かわいいだけではペットは飼えない」「飼うなら最後まで責任を持ってほしい」犬や猫の命は、人間の命と何ら変わりはないという愛菜ちゃんの強い想いが、その絵本には込められている。
愛菜ちゃんは、仲間とともに保健所へ何度も足を運び、人間の身勝手な理由で捨てられた動物たちの光景を目にしてきた。その度に、「一匹でも檻の中から出してあげたら…」と胸が張り裂けそうになったという。
そこには、目を背けたくなるような殺処分の現実があった。でも、かわいそうで終わらせず、自分にできることはないかと考え「少しでも多くの人にこの現実を知らせよう」と決めたのだ。絵本にもこうした殺処分の現実が綴られている。
発売後、反響を呼んだ絵本は、図書館や学校、動物病院などさまざまな場所に置かせてもらえることに。
ずっと通えていない中学校のクラスメイトのもとにも、読み聞かせで届けられたという。その後、クラス全員35人から絵本の感想メッセージが寄せられたそう。
「強い意志を形として表すことはなかなかできないこと。これからの活動を心から応援しています。」「絵本を出版したと聞いて驚きました!!とても感動しました。」など、そこには活動を応援するたくさんの温かいメッセージが。愛菜ちゃんはその励ましの言葉に涙したという。