本ページはプロモーションが含まれています

【新型コロナウイルス】飼い主さんが感染しない、適切な飼育環境を整えて|東京都獣医師会(2020.6.5)

猫ねこさん

【新型コロナウイルス】飼い主さんが感染しない、適切な飼育環境を整えて|東京都獣医師会(2020.6.5)

全国の緊急事態宣言は解除されましたが、ペットの感染に関するさまざまな報道に不安を感じている飼い主さんも多いかと思います。

この記事では、東京都獣医師会による6月5日時点での発表をまとめています。詳細や最新情報を知りたい場合は、東京都獣医師会公式ホームページをご確認ください。

※最終更新:2020年6月5日

適切な飼育環境下では、猫同士のクラスターが起こる可能性は極めて低い

下記の報告にもあるように、新型コロナウイルスは感染した飼い主を介して犬や猫に感染する可能性があり、また特殊な環境下では猫同士の感染も起こりうるとされています。特殊環境とは、多頭飼育崩壊などの不適切な飼育環境を示しています。

しかし言い換えると、適切な飼育環境下では猫同士のクラスターが起こる可能性は極めて低いとの考えで、飼い主の責任として飼い猫が快適な環境で過ごせるよう環境を整えてあげるよう呼びかけています。

本会が 5 月 14 日付発出した「新型コロナウイルス感染症とペットに関する情報について」でお知らせしたとおり、これまで、一般的な飼育環境では、新型コロナウイルスに感染した飼い主から犬や猫へ感染した事例が数例報告されている他、動物園では大型ネコ科の展示動物への感染も確認されています。

前報との繰り返しになりますが、2020 年 4 月 8 日には、中国での Shi J 氏らによる感染実験により、猫から猫への感染が確認され、5 月 13 日には Halfmann 氏らが 3 組、6 頭の猫間での新型コロナウイルス感染について、論文を発表しました。

これらの実験により、猫は新型コロナウイルスに感染する可能性があり、実験環境など特殊な環境下では、猫-猫感染も起こり得ることが示されています。

ペットがヒトに感染させる可能性は低い

動物の感染に関してさまざまな報告がされていますが、現時点では世界の多くの専門家は、【新型コロナウイルス感染症はヒトーヒト感染の病気であり、ヒトからペットに感染したとしてもペットがヒトに感染させる可能性は低い】としています。

東京都獣医師会では、引き続きペットを守るためにも飼い主さんが感染しないよう十分気をつけることが大事だと呼びかけています。

以下、各国の感染報告や見解のまとめです。

ペットからヒトに感染するリスクはこれまで同様低いオランダ

オランダでは、ミンク農場でのミンク同士の感染が確認され、ミンクを介したヒトへの感染も伝えられています。しかし、オランダ政府広報では、ペットからヒトに感染するリスクはこれまで同様低いとの見解を示しています。
https://www.government.nl/latest/news/2020/05/19/new-results-from-research-into-covid-19-on-mink-farms

4 月 23 日には、オランダのミンク農場でのミンクへの感染が報告されましたが、フェレットとミンクはどちらもイタチ科に所属していることから、フェレットと同様に、ミンクにも新型コロナウイルスが感染するのであろうと考えられています。

その後、5 月 19 日にはミンク農場の従業員の一人に感染者がでており、ウイルスを分析した結果、ミンクからの感染による可能性が高い、ということが報告されました。

これらのことから、ウイルスはミンクからも排出されていることや、ミンク-ミンク間の感染が成立していることが分かり、また、排出されたウイルスが、ミンク牧場という(劣悪な)特殊な環境のミンクの飼育小屋内のほこりや空気中に存在したことが確認されています。

感染源にはなりうる、適切な飼育環境を維持|ドイツ

ドイツの国立動物衛生研究所(FLI)でも、家庭で適切に飼育されている猫やフェレットは、新型コロナウイルスを人間に感染させる報告はないとしています。

ただし、感染源にはなりうることから、適切な飼育環境を整えること、そして飼い主が感染した場合はできるかぎりペットとの濃厚接触を避けるよう呼びかけています。

https://www.openagrar.de/servlets/MCRFileNodeServlet/openagrar_derivate_00029997/Empfehlung-Umgang-mit-empfaenglichen-Haustieren_15-05-2020_en.pdf

ヒトへの感染拡大に動物が関わるリスクは低い|アメリカ

オランダ、ドイツ同様、アメリカの疾病予防管理センターでも、動物が新型コロナウイルス感染症拡大に重要な役割を果たす証拠はなく、ヒトへの感染拡大に動物が関与するリスクは低いとの見解を示しています。

飼い主さんが感染し入院となった場合→ご家族もしくはお世話してくださる方に預けて

万が一、新型コロナウイルス感染症にかかり入院となった場合は、ご家族もしくはお世話をしてくださる方に預け、犬や猫との接触を避けるべきとしています。

いずれの場合も、犬や猫の体表に付着したウイルスを介して感染を拡大させないために、シャンプーをすることが望ましいとされています。その際には、毛に当たったお湯が自身や周囲へ飛び散らないよう、お湯の出る勢いを弱めると良いでしょう。また、シャンプー後、体を拭いたタオルは、一般的な家庭用洗剤で洗濯しましょう。

犬や猫を預ける場合は、キャリーバッグや首輪、リードなどの消毒を入念に。0.05%に薄めた家庭用塩素系漂白剤で拭き、塩素を拭き取るためにさらに水拭きをしましょう。

■消毒などの注意点
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf


犬や猫と離れ離れになってしまうのはとても心苦しいことかと思います。ですが、感染拡大防止のためにも、決して抱きしめたりしないようにとも注意が促されています。

飼い主さんが感染し自宅療養する場合→療養中の部屋に犬や猫を入れない

ご自宅での療養となる場合は、犬や猫の体にウイルスを付着させないために、感染した方が療養される部屋へ犬や猫を入れないようにと呼びかけています。

また、犬や猫が汚れたマスク・リネン類を触らないよう注意も必要です。

お世話してくださる方がおらずご自身が無症状・軽症→マスクやグローブをつけてお世話をする

もし預けられる人が近くにおらず、ご自身が無症状・軽症の場合には、ご自身でお世話をしていただくようになります。

その際ご自身が他の方に感染させてしまうことのないよう、また犬や猫の体表に付着したウイルスを介して他の方にうつしてしまわないよう、マスクやグローブをつけてお世話するようにしましょう。

新型コロナウイルスに感染した方が飼っている犬や猫を預かる場合の注意点【2020年6月3日】

東京都獣医師会では、「感染した飼い主さんの飼っている犬や猫を預かる際に知っておきたいこと」をまとめ、感染拡大が起きないよう注意を促しています。こちらは、2020年6月3日時点の情報をもとに更新された内容をまとめています。

感染した方が飼っていた犬や猫の体表にはウイルスが付着、感染している可能性

新型コロナウイルスに感染した人と一緒に暮らしていた犬や猫の体表には、ウイルスが付着している可能性があります。また、すでに感染している可能性もあり、体内にもウイルスが存在している可能性があります。

※AVMA(アメリカ獣医師会):飼い主のくしゃみ・咳などで唾液が飛び散り、犬や猫の被毛に付着しても、唾液などの水分が被毛に吸収されウイルスも毛の中に閉じ込められるため、感染しにくいとのこと。

AVMA : https://www.avma.org/resources-tools/animal-health-and-welfare/covid-19

飼い主さん側が犬や猫を連れてくる場合→感染した飼い主と濃厚接触していない方へ預けることを推奨

  • 感染している飼い主さんやその濃厚接触者以外の方に連れてきてもらう
  • 預かる側は、グローブやマスク、エプロン、メガネなどを装着
  • キャリーボックスに入れて連れてきてもらう
  • 預かったキャリーボックスの外側や持ち手をハイターなどの塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム(0.05%))などで消毒

飼い主さんの家へ行き犬や猫を預かる場合→防御衣類などを使って感染に十分注意

  • 飼い主の玄関前での引取り時間を双方で決めておく

【飼い主側】

  • 引取り時間までに、ペットをキャリーケースの中へ
  • 到着の知らせがきたらペットを入れたキャリーケースを玄関前へ(※飼い主と直接顔を合わせて話をしない

【預かる側】

  • マスク、手袋、眼鏡、ガウン等、大きなビニール袋3枚を用意
  • 車で移動する際は、ビニールシートを敷いた上にキャリーケースを載せる
  • 飼い主の玄関へ行く前に、電話にて到着を伝える
  • 飼い主宅へ着いたら、マスク、手袋、眼鏡、ガウン等を身に着ける
  • ペットの入ったキャリーケースをもって飼い主の敷地が出たら地面に置き、キャリーケースの持ち手、外回りを消毒液(次亜塩素酸ナトリウム液0.05%)を含んだ布で消毒
  • キャリーケースの消毒が済んだらマスク、手袋、眼鏡、ガウン等を外し、ビニール袋を二重にして入れて手指を消毒
  • キャリーケースの上にビニール袋1枚をかぶせ、その上から持ち手を持ち、車へ運ぶ(ビニールの内側やキャリーケースに触れないよう注意)
  • 車内のビニールシートを敷いたスペースにキャリーケースを置く(ペットがビニール袋で窒息しないよう注意)

シャンプーをする(界面活性剤でウイルスは死ぬ)

※AVMA(アメリカ獣医師会)では必ずしもシャンプーの必要はないとしており、現在までにペットの被毛を介した感染報告はありません。しかし感染した飼い主のくしゃみや咳、濃厚接触で、唾液や体液が体表に付着しているケースを考えて、東京都獣医師会ではシャンプーを推奨しています。

  • マスク、グローブ、エプロン、メガネを装着して行う
  • 猫の場合は先に爪切りを。エリザベスカラーなどの防御も
  • できれば屋外で行う→屋内の場合は余計なものを置かない、ビニールシートで覆うなど消毒しやすい環境を整えて)
  • シャンプー前にまず毛をお湯でよく洗う→シャンプー剤を使う前に体を振らせないよう注意
  • よくすすいだ後ドライヤーで乾かす
  • 全てが終わったら防護に使ったものを外す。洗濯をすれば再利用可
  • シャンプー自体難しい場合は、クロルヘキシジン水(0,05%)(ヒビテン液、ヘキザック液など)で体を拭いても効果的。エリザベスカラーを装着し、猫が舐めないよう注意を。次亜塩素酸水(0.02%)で体表を拭く場合はJIS規格にそった機器を用いて生成された直後の生成水を使うこと。

シャンプー後は14日間の隔離が望ましい

  • 体表のウイルスは除去もしくは不活化。
  • 体内にウイルスが存在しているかもしれないため、キスをしない、お皿を共有しないなどの配慮が必要
  • 14日間の隔離が望ましい
  • 隔離している場所は、次亜塩素酸ナトリウム液(0.05%)などで消毒を
  • 糞便処理の際にはマスクやグローブを装着

次亜塩素酸ナトリウム水と次亜塩素酸水は別ものなので注意を

次亜塩素酸ナトリウム水は体に使わないで!

ハイターなど家庭にもある塩素系漂白剤で、優れた消毒作用があると言われています。ただし強いアルカリ性のため絶対に体に使ってはいけません。また、酸と混ぜると塩素ガスが発生して危険ですので、取り扱いには十分注意してください。

使用する際は換気を行い、0.05%の濃度(※原液濃度が5~6%の次亜塩素酸ナトリウム液を使用する場合→500mlのペットボトル1本の水に5ml(ペットボトルキャップ1杯分))に薄めて使いましょう。

なお、薄めた液体は効果が薄くなっていくため、その都度調整してください。

次亜塩素酸水を消毒液として使うばあは生成直後に

次亜塩素酸水は塩酸または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで得られる液体です。消毒液と使う場合には、有効塩素濃度を確認するか、もしくはJIS規格を取得した器材で生成直後に使いましょう。

参考:東京都獣医師会
https://www.tvma.or.jp/public/items/20200523.pdf
https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200603_ver3.pdf

新型コロナウイルス関連情報

厚生労働省

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター

新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項

人との接触を8割減らす、10のポイント

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について

諸外国の行動制限等の現状について

経済産業省

経済産業省の支援策

マスクや消毒液やトイレットペーパーの状況

農林水産省

新型コロナウイルス感染症について|食料品の供給状況

文部科学省

新型コロナ感染症による学校休業対策「#学びを止めない未来の教室」

学校再開等に関するQ&A

首相官邸

各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。