- コーングルテンミールとは、とうもろこしからコーンスターチを作るときにできるもの。たんぱく質は豊富ですが、猫に必要な動物性たんぱくではなく、植物性たんぱくである点に注意ですよぉ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
キャットフードの原材料欄に「コーングルテンミール」といった表示を見かけることがあります。
名前からトウモロコシを使っていることは想像できますが、果たして猫にとって安全な原材料なのか、気になりますよね。
今回は、キャットフードのコーングルテンミールについて徹底解説!
原料や製造方法、危険性についても詳しく説明します。
コーングルテンミールとは
コーングルテンミールとは、トウモロコシからでんぷん(コーンスターチ)を精製する際に発生する副産物です。
トウモロコシには植物性たんぱく質が豊富に含まれていますが、コーングルテンミールはトウモロコシに比べたんぱく質含量が高いのが特徴です。特に、乳牛に不足しやすい必須アミノ酸「メチオニン」が豊富なことから、家畜の飼料などに多く使われています。
でんぷんを取り除いた上澄み部分を脱水・乾燥して作る
コーングルテンミールは、以下のように、原料のトウモロコシから胚芽や外皮(繊維質)を取り除き、遠心分離にかけてでんぷんを沈殿させ、上澄み部分を脱水、乾燥させたものをミール(粉末状)にして作られます。
コーングルテンミールを使用する目的
コーングルテンミールを使用する目的は、いわゆる「キャットフードのかさ増し」です。
- たんぱく質量の確保
- コスト削減
たんぱく質量の確保
コーングルテンミールは、いわばトウモロコシ由来のたんぱく質であり、こちらを使用することでたんぱく質量を補うことができます。
コーングルテンミールは「メチオニン」などのアミノ酸は多い反面、その他の必須アミノ酸の量が少なく、単独では栄養的価値が低いですが、肉類だけでは不足しがちな種類のアミノ酸を含んでいるため、これらを補うために使用される分には良いものです。
第一原料がコーングルテンミールの場合
一番重要な肉類を差し置いてコーングルテンミールなどの植物性たんぱく質が多いとなると、本来摂取すべきである動物性の原料を減らしコストを下げた「たんぱく質のかさ増し」が目的となり、多く必要な必須アミノ酸が十分に摂取できません。
このようにアミノ酸のバランスが悪いとタンパク質の利用性が低下すると言われており、健康への影響が気になりますので、第一原料は動物性の原料が好ましいです。
コスト削減
コーングルテンミールは、コーンスターチを精製する際に発生する副産物なので、非常に低コストです。
肉や魚よりもコストを抑えて製造できるため、メーカーにとっては、安く高たんぱくレシピを作れる非常に使いやすい素材と言えます。
コーングルテンミールのメリット
コーングルテンミールには安く調達できるというメリットのほか、以下のようなメリットがあります。
- 脂質が少なく低カロリー
- マグネシウムなどのミネラル分が少ない
- 安定的に製造しやすい
脂質が少なく低カロリー
肉や魚などの原材料に比べると脂質が少なく低カロリー。体重が気になる猫には嬉しい原材料です。
マグネシウムなどのミネラル分が少ない
マグネシウムなどのミネラル分が少ないというメリットも。猫がかかりやすい尿路結石は、ミネラルバランスが崩れることでできやすくなります。尿路結石になりがちな猫には嬉しいですね。
均一に混ざりやすい
ドライフードは、大型のミキサーで水分を足しながら、全ての原材料しっかり混ぜ合わせて作られます。コーングルテンミールは他の原材料に比べて均一に混ざりやすいというメリットもあります。
コーングルテンミールのデメリット
「低コストで高たんぱくレシピを作れる」と聞くと良い素材のように思えるかもしれませんが、主成分が植物性たんぱく質であるがゆえに、猫にとっては以下のようなデメリットもあります。
- 必須アミノ酸を摂取できない
- 消化吸収率が悪い
必須アミノ酸を摂取できない
コーングルテンミールの主成分は植物性たんぱく質であり、アラキドン酸、タウリンといった猫に必要な栄養素が含まれていません。これらの必須アミノ酸は肉や魚などの動物性食材のみに含まれています。
アラキドン酸が不足すると皮膚トラブル、脂肪肝、食欲低下、体重低下などの恐れがあります。また、タウリンが不足すると、網膜の萎縮や心筋症などの恐れがあり、最悪の場合、失明の可能性もあります。
関連記事:キャットフードに含まれるべきたんぱく質の種類と必要量
消化吸収率が悪い
植物性たんぱく質は、動物性たんぱく質に比べて消化吸収率が悪いため、多くとりすぎると消化不良を起こす可能性があります。
- たんぱく質は豊富なんですけど、植物性たんぱく質なんですねぇ。猫に必要なたんぱく質はあくまで動物性たんぱく質!いくらたんぱく質がしっかり入っていても植物性たんぱく質では栄養にならないんですよぉ。
- いくら高たんぱくなフードでも、動物性たんぱくじゃなきゃダメなんですね。ってことは、キャットフードを選ぶときは、成分だけじゃなくて主原料もしっかり確認しなきゃいけないってことですね!
よくある質問
ここでは、コーングルテンミールに関するよくある質問をまとめています。
コーングルテンミールと同じくでんぷんを精製する際に発生する副産物ですが、主に外皮からとれたものです。
原料のトウモロコシから胚芽を取り除いた後、外皮部分の繊維質を採り、浸漬液を加えたものがコーングルテンフィードです。
コーングルテンミールよりたんぱく質量は少ないですが、外皮が主原料のため、食物繊維が多く含まれています。
小麦グルテンとは、小麦に含まれるたんぱく質のことです。グリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質を水でこねることで作られます。
パンやうどんのもちもちの食感は、このグルテンの働きによるものです。
トウモロコシからコーングリッツ(※)を製造する際に発生する副産物で、トウモロコシの細かい粉、皮、胚芽、でんぷん等が混ざったものです。
トウモロコシに比べエネルギー価が高く、牛や豚などの飼料として多く使われています。
※コーングリッツ・・・皮と胚芽を除去し、挽き割りにしたトウモロコシ
まとめ
コーングルテンミールは低コストなわりにたんぱく質が豊富なので、安価なキャットフードにかさ増し目的で使用されることも多い成分です。猫に必要なのは動物性たんぱく質ですので、主原料に使用されている場合は注意が必要です。
- コーングルテンミールとは、トウモロコシからでんぷんを精製する際に発生する副産物
- トウモロコシに比べたんぱく質が豊富
- 低コストで高たんぱくレシピを作れるため、キャットフードのかさ増しの目的で使用される
- 主成分が植物性たんぱく質、猫に必要なのは動物性たんぱく質のため主原料に使用されている場合は注意
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。