- キャットフードで使用されるセルロースには整腸作用やスムーズな排泄を促す働きがあるんですよぉ。ただし、とりすぎると体に負担がかかったり便秘を悪化させることもあるので注意してくださいねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
キャットフードのセルロースとは食物繊維のこと。
猫はセルロースを分解して消化吸収できないのでエネルギーにはなりませんが、体内で腸の働きを整える役割があります。
今回はキャットフードのセルロースの役割、セルロースのデメリットについても詳しく説明します。
セルロースとは
セルロースは、植物の細胞壁を作る主な成分で、グルコース(ブドウ糖)が多数結合した多糖類(炭水化物)です。
多糖類のなかでも、セルロースはヒトの消化酵素で消化できないため「難消化性多糖類」に分類されます。「消化性多糖類」のデンプンやグリコーゲンは体内に吸収されエネルギー源となりますが、セルロースは食物繊維として働きます。
人間同様、猫もセルロースを分解・消化・吸収することができません。
牛・馬などの草食動物は盲腸と結腸が大きくて長く、その中をゆっくりと内容物が流れている間に、微生物の発酵によってセルロースを分解・消化・吸収します。
しかし、猫の盲腸は短くほとんど機能していないため、セルロースを分解することができません。
セルロースを多く含む食品
ほとんどの植物に含まれていますが、ごぼう・小麦ふすま・米ぬか・玄米・大豆・えんどう豆・きな粉・トウモロコシなどの野菜や穀類、豆類に多く含まれています。
セルロースの役割
消化・吸収することができないため栄養にはなりませんが、体内では以下のような役割もあります。
- 水分を吸収して膨らみ腸の活動を活発にする
- 便のかさを増やし排泄を促す
- 一時的な満腹感を与える
水分を吸収して膨らみ腸の活動を活発にする
セルロースは水に溶けない不溶性食物繊維で、水分を吸収すると膨らむ性質があります。「ふえるわかめちゃん」を想像してもらうと分かりやすいでしょう。
膨らんだセルロースは腸壁を刺激して、腸の活動を活発にし、腸内にたまった汚れを削り取って体外に排出します。
便のかさを増やし排泄を促す
水分を含んで便のかさが増えることで便自体が柔らかくなるため、スムーズな排泄を促します。
一時的な満腹感を与える
お腹の中で水分を含んで膨らんだセルロースは、一時的に満腹感を与えるため、食べ過ぎ防止に役立ちます。
セルロースのデメリット
前述のように、セルロースには便秘や食べ過ぎ防止などに役立つ特徴がありますが、多くとりすぎると猫の体に影響を与えることがあります。
- 内臓に負担がかかる
- 便秘の悪化・下痢
内臓に負担がかかる
セルロースは体内で分解されない食物繊維で、エネルギー源として吸収されることはありません。
そのため多くとりすぎると、内臓に負担がかかりやすくなります。
便秘の悪化・下痢
便秘の場合、すでに腸の動きが低下しているため、便のかさが大きくなりすぎて排泄がスムーズに進まなくなります。こうして腸内に長時間とどまった便は、腸に水分を吸収されて硬くなり、さらにひどい便秘になるケースもあります。
また、セルロースを多くとりすぎてしまうと、食べ物が体の中を早いスピードで通過し、必要なミネラル分まで排出させてしまいます。その結果下痢の症状を引き起こすことがあります。
- セルロースには整腸作用がありますけど、とりすぎると体に負担がかかってしまうんですねぇ。腸の動きは活発になりますが、すでにひどい便秘の場合、便のかさが増えてさらに排泄しづらくなることもあるので注意ですよお。
- おなかをきれいにしてくれて便秘に役立つけど、とりすぎるとかえって逆効果になっちゃうんですね。配合量には注意ですね!
よくある質問
セルロース、ビートパルプともに食物繊維ですが、腸内細菌による発酵が早いかどうかが違います。
ビートパルプはセルロースよりも発酵が速い食物繊維です。
セルロースは消化吸収されにくく、多くとりすぎると内臓に負担がかかりますが、ビートパルプは、腸内細菌で消化吸収され、かつ腸内の洗浄もしてくれます。
ビートパルプに関して詳しくは以下の記事をご覧ください。
まとめ
セルロースは腸内をきれいにしてくれる役割がありますが、体内で消化吸収されないので、多くとりすぎると内臓に負担をかけたり、便秘を悪化させる可能性があります。そのため、セルロースの配合量には注意する必要があります。
ただし、配合量まで記載されているキャットフードはほとんどないため、配合量の分からないものはなるべく避けた方が良いでしょう。
- セルロースはグルコースが多数結合した多糖類(炭水化物)で食物繊維の働き
- 猫はセルロースを分解・消化・吸収できない
- 水に溶けない不溶性食物繊維
- 野菜や穀類、豆類に多く含まれる
- 腸の活動を活発にし腸内をきれいにする働きがある
- 便のかさが増え便が柔らかくなるためスムーズな排泄を促す
- お腹のなかで膨らむため一時的に満腹感を与える
- 多くとりすぎると内臓への負担・便秘の悪化・下痢を引き起こすこともある
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。