- 私達は毛づくろいのたびに毛を飲み込んでしまうので、ときどきたまった毛を吐き出して体に溜め込まないように自分たちで調整してるんですよぉ。でも、ブラッシングやシャンプーをしても吐く回数が気になるようなら毛玉ケア用キャットフードを試してみてくださいねぇ。食物繊維がたくさん入っていて、毛玉を排泄しやすくしてくれるんですよぉ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
───
ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
猫は健康でも毛玉をよく吐き出しますが、こまめなブラッシングやシャンプーで吐く回数を減らすことができます。
それでも吐く回数が気になる時は、毛玉ケア用キャットフードを活用するのも効果的◎
基本的な年齢別の選び方を参考に、食物繊維が多めに含まれているフードを選ぶようにしましょう。
今回は毛玉ケア用キャットフード選びのポイント、毛玉対策用のフードをご紹介。
猫が毛玉を吐く原因、毛球症、今すぐにできる4つの毛玉対策についても詳しくご紹介します!
猫が毛玉を吐く原因とは
猫は毛づくろい(グルーミング)することで自分の被毛を清潔に保とうとする習性があります。毛づくろいをするたびに自分の被毛を飲み込んでしまうため、猫はたまった毛を吐き出して胃に毛をためないようにします。
猫が毛玉を吐くのは、体の中の異物を吐き出す「肉食動物の習性」が残っているためで、病気ではなくごく自然なことです。
ただし、体の中のある部分だけを頻繁に舐めている場合、皮膚炎などにかかっている可能性もあるので注意が必要です。また、毛玉を吐く回数が増えてきた場合、胃や腸など消化器官の病気の可能性もあるため、獣医に診てもらった方が良いでしょう。
毛玉をうまく吐けないと毛球症になる
胃の中にたまった毛玉をうまく吐き出すことができないと、体の中に毛玉がとどまり取り出すことができなくなります。このような症状を「毛球症」と言います。猫に以下のような様子が見られたら、なるべく早く獣医に診てもらうようにしましょう。
- 咳で毛玉を吐き出そうとするが吐き出せない
- 吐く回数・量が増えた
- 排泄物に毛玉がない
- 便秘や食欲不振になる
- お腹を触られるのを嫌がる
今すぐにできる4つの毛玉対策
猫は健康な時でも毛玉をよく吐き出しますが、以下のような方法を実践することで、毛玉を吐く回数を減らすことができます。
こまめなブラッシング
猫にとって一番の毛玉対策はこまめなブラッシングです。猫が毛を飲み込んでしまう前にこまめにブラッシングをすることで、胃の中にたまる毛玉を少なくすることができます。
特にペルシャ、メインクーンなどの長毛種は毛玉ができやすいため、毎日丁寧にブラッシングしてあげましょう。また、短毛種であっても、春と秋の毛の抜け変わる季節(換毛期)は毎日、それ以外の時期でも週に1回はブラッシングしてあげましょう。
猫草を食べさせる
猫草とはイネ科の背の低いとげとげした草のことです。猫草を食べることで胃が刺激され、毛玉を吐き出しやすくなると言われています。猫草は、猫に食べられてもしばらくするとまた育つので長く使い続けることができます。
猫草は好んで食べる猫もいれば、全く食べない猫もいます。猫草を食べすぎて吐いてしまう場合などは量を調整するようにしましょう。
定期的なシャンプーやトリミング
定期的にシャンプーやカットを行うことも毛玉対策に効果的ですが、シャンプーのしすぎは皮膚を傷める要因にもなるため、1か月に1回程度にしておきましょう。自宅でトリミングをしたい方は、バリカンで猫の毛をカットしてあげるのも飲み込む毛を少なくするためのひとつの方法です。
また、ライオンカット(丸刈り)にすることで毛玉を減らすことはできますが、慣れていない猫の場合、ストレスに感じてしまいかえってグルーミングの回数が増えてしまうことがありますので避けた方が良いでしょう。
毛玉ケア用キャットフードを与える
以上のような毛玉対策をしても、毛玉を吐き出すのが気になるようであれば、毛玉ケアキャットフードを活用しましょう。
毛玉ケア用キャットフードには、豊富な食物繊維が含まれており、飲み込んだ毛玉の排泄を促します。
- 毛玉対策で一番大事なのはこまめなブラッシングですねぇ。クロベエくんは、どのくらいの頻度でしてもらってますかぁ?
- ぼく、実はブラッシング嫌いで、、、おかあさんがブラシを持ってるのが見えたら逃げ回ってますっ。おかあさん、ごめんなさい。
毛玉ケア用キャットフードの選び方3つのポイント
毛玉ケア用のキャットフード選びのポイントは以下の3つです。
- 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているフードを選ぶ
- 炭水化物の量が少ないフードを選ぶ
- オリゴ糖などプレバイオティクス配合のフードを選ぶ
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているフードを選ぶ
毛玉対策に必要なのは「食物繊維」です。
食物繊維量を増やし、排泄により体内に入った毛を出すことを目的としているので、毛玉ケアキャットフードには、通常のキャットフードより多く食物繊維が含まれています。
この、食物繊維には水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」があります。
セルロースなどの不溶性食物繊維は消化れず、腸内細菌も利用ができないもので、猫の消化に負担がかかります。
また、水分を含むと膨らむ性質があるため、便のかさが増え大きくなってしまうことがあります。不溶性食物繊維をとりすぎると猫が便秘になることもあるため、不溶性食物繊維の量には注意しましょう。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の特徴をバランスよく併せ持つビートパルプ(※)が配合されているものがおすすめです。
※ビートパルプ:サトウダイコンの食物繊維
水溶性食物繊維
水に溶けやすく、水に溶けるとゲル状になる。
- 血中コレステロール値を下げる
- 食後の血糖値の急上昇を抑える
- 腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える
不溶性食物繊維
水に溶けにくい繊維質。
- 水分を吸収しやすく、便のかさをふやし排便を促す
- 有害物質を体外へ排出、大腸がんの予防効果がある
引用:マンナンライフ
炭水化物の量が少ないフードを選ぶ
炭水化物は猫が消化しにくいものなので、消化を促すためにも、炭水化物は少ないものを選びましょう。
ただし、炭水化物の中でも「オーツ麦」は食物繊維を多く含み、排泄を助けてくれるだけではなく、ビタミンB類・食物繊維・パントテン酸・カリウム・マグネシウムなどを含む嬉しい食材です。
「オーツ麦」から作られているオートミールも◎
そのほかにもライ麦・オートミール・大麦などが食物繊維が多い食材です。これらを適量含んだ食材だと食物繊維量も増え、毛玉の排泄を助けれくれるでしょう。
オリゴ糖などプレバイオティクス配合のフードを選ぶ
オリゴ糖などのプレバイオティクスは消化・吸収されにくいため、大腸まで到達すると、ビフィズス菌等の善玉菌の餌となり、善玉菌を増やす働きがあります。
ビフィズス菌は腸内環境のバランスを整え、腸管運動を促進させる働きがあるので、オリゴ糖を取ることでこう言った作用が期待できます。
- 食物繊維がただ多いだけじゃなくて、バランスよく含まれているのが大切なんですねぇ。
- 食物繊維の種類によっては便秘になることもあるってことですね。肉や魚の質ももちろん良くないといけませんねっ。
毛玉対策用キャットフードのご紹介
※価格は購入するショップや時期によって変動する可能性があります。
ピュリナワン インドア1歳以上 ターキー&チキン
- 1kg約870円のお手頃価格なお肉メインフード
- 天然の食物繊維セルロースとイヌリンを配合
- 主原料に動物性たんぱく質豊富なターキーを使用
価格 | 1,915円(税込)/2.2kg(1kgあたり約870円) |
原産国 | アメリカ |
第一原料 | ターキー |
主な成分 | たんぱく質:40.00% 脂質:13.00%以上 粗繊維:6.00%以下 360kcal / 100g |
ご紹介するフードのなかでは断トツの低価格!1kgあたり約870円と安価ながら新鮮なターキーやチキンミール、フィッシュミールなど動物性食材をたっぷり配合。質にも値段にもこだわりたい人におすすめです。
天然の食物繊維配合で毛玉ケアにも◎。新しいフードは食べてくれないかも…と心配な方には500円お試しキャンペーンがおすすめ。食いつきをしっかりチェックしてから買えるのは嬉しいですね。
シシア (Schesir) キャットフード ヘアボールチキン
- 100%ナチュラル原材料!高品質なタンパク質のみ使用
- 主原料に使われている全ての原材料は人の食する基準をクリア
- FOS、ビール酵母、チコリパルプなどのプレバイオティクスを配合
価格 | 581円(税込)/400g(1kgあたり約1,452円) |
原産国 | イタリア |
第一原料 | 乾燥チキン27% |
主な成分 | 粗たんぱく質:33.00% 粗脂肪:20.00% 粗繊維:6.00% 粗灰分:5.90% 水分10.00% |
世界50か国で販売されているイタリア老舗ペットフードブランドのフード。原材料には、人間が食する品質基準をクリアしたものだけ、主原料にはホルモンフリーのチキンを使うなど安全性も◎
フラクトオリゴ糖やビール酵母、チコリパルプ、ユッカシジゲラなど配合で、毛玉の排出もサポート。高タンパク、高脂質のパワフルフードは猫の食性にもぴったりあったフードと言えます。
ネイチャーズロジック ナチュラルターキーフィースト
- レバーやアニマルプラズマ(血漿成分)配合で猫本来の食事を再現した高たんぱくフード
- 炭水化物量が少なく栄養価の高いキビ・ミネラル豊富なモンモリロナイト使用
- 天然酵素・プロバイオティクス配合
価格 | 2,178円(税込)/700g(1kgあたり約3,111円) |
原産国 | アメリカ |
第一原料 | ターキーミール |
主な成分 | 粗たんぱく質:38.00%以上 粗脂肪:16.00%以上 粗繊維: 5.00%以下 水分:9.00%以下 395.0kcal/100g |
レバーやアニマルプラズマなど猫本来の食事に近づけた、高タンパク低炭水化物フード。栄養価の高いキビ・ミネラル豊富なモンモリロナイトを使っているのがポイント。
腸内環境の健康に配慮して天然酵素やプロバイオティクスを配合しているので、毛玉ケアにも◎。中国産原材料は使用していないと謳うなど、品質の高さで定評のあるフードです。
ニュートロ ナチュラルチョイス キャットフード 毛玉トータルケア アダルト チキン
- 自然由来の食物繊維をバランスよく配合
- 玄米やオートミールなどの食物繊維配合で腸内環境に配慮
- リノール酸を豊富に含む鶏脂や亜鉛をバランスよく配合
価格 | 3,170円(税込)/2kg(1kgあたり約1,585円) |
原産国 | アメリカ |
第一原料 | チキン生肉 |
主な成分 | たんぱく質:33.00%以上 脂質:16.00%以上 粗繊維:11.00%以下 水分10.00%以下 350kcal / 100g |
自然素材にこだわるアメリカブランドのキャットフード。毛玉が気になる猫のために、自然由来の食物繊維をバランスよく配合。玄米やオートミールなどのプレバイオティクスが腸内の健康をサポートしてくれます。
鶏脂やチキン肉などに含まれるリノール酸や亜鉛は、皮膚・被毛の健康にも◎。高品質なチキン生肉が主原料で動物性たんぱく質がしっかり摂れるのも嬉しいですね。
アボ・ダーム (AVODERM) キャットフード ヘアーボール&ライト
- 植物由来の食物繊維を豊富に配合
- 良質なタンパク源のチキンとニシンが主原料
- アボカド果肉・オイル配合で皮膚や被毛の健康に配慮
価格 | 2,220円(税込)/1.2kg(1kgあたり約1,850円) |
原産国 | アメリカ |
第一原料 | 乾燥チキン |
主な成分 | 粗たんぱく質:32.00%以上 粗脂肪:16.00%以上 粗繊維:6.50%以下 水分10.00%以下 356kcal / 100g |
アボガドに含まれる豊富な栄養素と厳選された高品質な原材料で、猫の健康な皮膚と被毛をサポートするキャットフード。植物由来の食物繊維をたっぷり配合している点が、毛玉の気になる猫に嬉しい工夫。
主原料には良質なタンパク源のチキンとニシンを使用。過度の動物性脂肪を使っていないため、フード特有の臭いや油浮きを抑え、さらっとした粒の仕上がりに。
よくある質問
ここでは、猫の毛玉に関するよくある質問をまとめています。
猫の換毛期は3月頃と11月頃です。猫の毛は年中生え変わりますが、年に2回体温調整のために全体的に毛が入れ替わります。
長くても3分くらいの短時間で行うことが大切です。
嫌がる場合は途中でやめるのもひとつの方法です。無理に続けるとブラシを見ただけで逃げてしまうようになるので、猫の様子を見ながらゆっくりと慣らしていきましょう。成猫になる前の子猫期にブラッシングに慣らしてあげることをおすすめします。
長毛種は毎日、短毛種は1週間に1回はブラッシングしてあげましょう。換毛期の場合は、長毛種は1日2回、短毛種は1日1回行うのが理想的です。
猫の毛玉は喉、顎の下、脇の下、胸、お腹、内股、耳の付け根など猫が自分で毛づくろいできない場所・よく動いて擦れやすい場所にできやすいです。
1日2~3回吐く程度であれば正常範囲です。毛玉を吐く頻度は一概に何回とは言えず、年に1~2回程度の猫もいますし、毎日吐く猫もいます。
猫が毛玉を吐くのはグルーミングで自分の毛を飲み込んでしまうからです。そのため、きれい好きで頻繁にグルーミングをする猫は毛玉を吐きやすくなります。
また、ペルシャ、ラグドールなどの毛の長い猫は毛を飲み込むことも多く、毛玉を吐きやすくなります。
毛玉を吐き出すほど胃の中に毛がたまっている場合、便の中にも毛が含まれることはごく普通のことです。特に毛の生え変わる換毛期には、毎日便の状態をチェックしておくと良いでしょう。
毛玉ケアフードは、毛玉の吐き出しが気になる時期だけ使うと良いでしょう。特に春から夏にかけて長毛種の猫は大量に毛が抜け落ち、毛玉を吐くことが多くなるため、毛玉ケアフードを活用して体外に毛玉を排出させてあげましょう。
飲み込んだ毛を便と一緒に排泄しているのであれば問題ありません。ただ、吐き出すことも排泄することもできなくなると、たまった毛が消化器官に詰まってしまう毛球症になってしまう危険があるため、注意が必要です。
小さい毛玉であればブラシを使って取ることができますが、大きくなった毛玉をカットする場合は動物用バリカンかハサミを使いましょう。その際、毛玉の部分を引っ張って皮膚を傷つけないよう注意が必要です。
- ①毛の根元を片手で持ち、手でほぐしていく
- ②毛流れにあわせて毛先から櫛を使ってすく(根元を必ず持つ)
- ③毛玉がとれたら全体をブラッシングする
ただし、皮膚に毛玉が張り付いてしまっている場合はバリカンやハサミを使えないので、プロのトリマーなどにお願いしたほうが良いでしょう。
毛玉がほぐしづらい場合、ペット用リンス液や毛玉取りローションなどを使うとほぐしやすくなるでしょう。決して無理に引っ張ることのないよう気をつけましょう。また、猫がじっとしてくれない場合、怪我をする危険がありますので注意が必要です。
- ①毛の根元をおさえ、皮膚に垂直にハサミをいれて毛玉を縦に引き裂くように数箇所カット
- ②切り分けた毛玉の根元を持ち、少しずつほぐしていく
- ③ほぐれたら毛先から櫛を使ってすく(根元を必ず持つ)
まとめ
毛玉ケア用のキャットフードは以下のポイントに注意して選ぶようにしましょう。猫が健やかな毎日を過ごせるよう、キャットフード選びにはしっかりこだわってあげてくださいね。
- 猫は毛づくろいをするたび自分の被毛を飲み込むため、定期的にたまった毛を吐き出す
- 皮膚炎や消化器官の病気が隠れている可能性もあるので注意が必要
- 毛玉をうまく吐けないと体の中に毛玉が詰まってしまい毛球症になる
- 猫が毛を飲み込む前にこまめなブラッシングをすることが大切
- 猫草を食べることで胃が刺激され毛玉を吐きやすくなる
- 定期的なシャンプーやトリミングも効果的だがやりすぎは禁物
- ライオンカットは猫がストレスを感じやすいため避けた方が良い
- 毛玉ケア用キャットフードは食物繊維が豊富で毛玉の排泄をサポートしてくれる
- 毛玉ケア用キャットフードは食物繊維のバランスが重要
■関連記事
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。