クリッカートレーニングってどんなもの?~キャットインストラクター坂崎さん取材

2019-07-19

猫ねこさん

クリッカートレーニングによって得られるもの

にゃんまる▲にゃんまる、キャットタワーからの腕タッチ(写真提供:坂崎さん)

クリッカートレーニングで得られる大きなもの。それはやはり、猫とのコミュニケーション

「トレーニングと言っても、まるでゲームのように猫と一緒に楽しめる。猫との距離が縮まって、何より猫と仲良くなれるんです。」

猫も楽しい。飼い主も楽しい。その幸せな時間が坂崎さんの提案する”猫とのよりよい暮らし”へと結びつく。そしてさらには”猫の苦痛を減らすこと”へも繋がるという。

投薬や爪切りといったケアや、病院へ行く時などにキャリーバッグへ入ることなどを嫌がる猫は多い。しかし健康管理には必要不可欠なもの。そして結局押さえつけて…、無理やり…、そうなってしまうことも多いのが現実。

しかし猫に苦痛を与えることなくケアできたら、猫にとっても飼い主にとってもどれだけよいだろう。
クリッカートレーニングを行うことで、猫がすすんで投薬にきてくれたり、歯磨きにきてくれたり、といった行動へ導くことが可能だという。

クリッカートレーニングには猫のストレスを減らせるヒントがつまっているのだ。

猫と飼い主win-winでいい♡

ダイキチ▲みゅうちゃんのちょうだいちょうだい♡(写真提供:坂崎さん)

「でも猫のため、ケアのためって、そこに難しくこだわる必要はないんですよ。きっかけはなんでもいいんです。」坂崎さんは言う。

何かをしたら飼い主さんが喜んでくれる、褒めてくれる、おやつがもらえる。
「それは猫にとって嬉しい時間。そして飼い主さんにとっても嬉しい時間だから。win-winでいいんじゃないですかね。^^」
そこにコミュニケーションがあり、行動する喜びが生まれるという。

ただあくまでも、猫が喜んでいるかが大切。飼い主が楽しいだけだと何回かは成功しても猫が飽きてしまい、それで終わってしまう。猫自身が、もっとやりたい!楽しい!と思えるほどになれば、なんと自分から誘いにくるようになるんだとか。

またシニアからでも始められるのは、猫好きさんにとってとても嬉しいポイント。
「年齢は関係ないんですよ。要はその子に食べる意欲があれば大丈夫。」

長生きしてもらいたい、楽しませてあげたい、それを叶えてくれるのが、クリッカートレーニングだ。

遊びのレシピ満載の坂崎さんの著書

誠文堂新光社から2017年に発行された「猫との暮らしが変わる遊びのレシピ」。坂崎さんと、動物の行動コンサルタントである青木愛弓さんとの共同著書である。
発売後の反響は大きくすぐに重版となったそう。

本の中身は…、とにかく可愛い写真がてんこ盛り!写真集かのようなクオリティーで、眺めるだけでも十分楽しめる。

そして本題である遊びのレシピは、分かりやすい写真付きでたっぷりと紹介されている。猫と仲良くなれちゃうクリッカーを使ったレシピや、猫と快適に暮らす遊びのレシピなどなど。

本のなかでは、今は天国にいる坂崎さんの3匹の猫ちゃん”にゃんまる、ちゃあ、だいきち”が大活躍。
「当時はみんな元気で、なかでもにゃんまるが本当によく頑張ってくれました。」
にゃんまるはクリッカートレーニングが特に大好きな子だったという。「もう、やろうどころかやれと。やらないと怒るぐらいしつこく(笑)」坂崎さんは笑う。

遊ぼう!としつこくきてくれるなんて…、可愛いすぎる♡

猫との暮らしが変わる遊びのレシピ:楽しく仲良く役に立つ!科学的トレーニング

猫との暮らしが変わる遊びのレシピ

価格 1,512円
出版社 誠文堂新光社
著者 坂崎 清歌・青木 愛弓

撮影秘話

そんな猫まみれの一冊だが、撮影はとても大変だったという。「それでも石原さくらさんという素晴らしいカメラマンさんに恵まれて。猫ちゃんに優しく、できるだけ負担がかからないようにと気を遣って下さりました。」

本の中の猫たちは皆リラックスし、自らすすんで人とコミュニケーションをとっているのが分かる。

ピコ▲ピコちゃん、坂崎さんの目をしっかり見つめてます!

ちなみに表紙はにゃんまるの愛らしい腕タッチショットだが、実はこの腕、坂崎さんの腕ではないそう。
「大変だったんですよ。私が腕をだしてしまうと、にゃんまるどうしても私を見上げてしまうから、目線まっすぐのショットがなかなか撮れない(笑)。」
そこで坂崎さんがカメラ横にスタンバイすることで無事に正面ショットが撮れたそう。

”猫は目を見ちゃだめ”などとはよく言われるもの。確かに野生の生き物の場合は、”目が合う=威嚇”と捉えることもあるので間違いではない。
しかし「自分ちの子であれば見つめあっていいと思いますよ。」と坂崎さんは微笑む。

「ねー、ピコちゃん。」と坂崎さんが声かけるとピコちゃんが寄ってきた。
そして「にゃあ。」
2人の信頼関係に、なんだかこちらまで心が洗われたような幸せな気分に。

坂崎さんのHappy Catについて

ピコ▲腰トントンしてー。

坂崎さんの運営するHappy Cat。提案するのは”猫とのよりよい暮らし方”だ。猫との暮らしを整える方法や、仲良くなるための情報を発信している。その中で、健康管理に役立つトレーニングなどの講座も行っている。

しかしトレーニングといっても、「しつけ」「訓練」といった一方的なものでは決してなく、あくまでも猫が健康に楽しく暮らすためのもの。その中のひとつの方法としてクリッカートレーニングがある。

「ご理解頂きたいのは、Happy Catの講座はクリッカートレーニングを教えてる教室ではないということなんです。」と坂崎さん。まず猫との暮らし方を整え、その先にクリッカートレーニングがあるということ。

講座ではごはんの話、トイレの話、室内環境の話、ストレスにどう対応していくかなど、「猫に室内で元気で楽しく快適に暮らしてもらうための基礎知識」についてを学ぶことができる。講師はペットシッターである細谷純子さんと坂崎さんが務め、Happy Cat内で月に1回開催されている。

猫ちゃんって狩りをする動物だから

ピコ▲ピコちゃん、筆者の元にもきてくれた!のショット

「もともと猫ちゃんには狩りをしたいという本能があるから。」と坂崎さん。確かに猫はその昔、自分で外に出て、自分で狩りをして暮らしていた。
しかし、室内飼いで狩りを体験させることは難しい。

「だから代わりにその本能を満たしてあげなくてはならない。もちろんおもちゃで遊ぶことは凄く大切です。でも多くの猫ちゃんはすぐに飽きてしまう。結局、おもちゃだけでは手札が足りないんです。であれば違う札を与えてあげないといけない。その手札のひとつにクリッカーがあるんです。」

猫にとっての狩りの喜びは、自分が何か行動して成功すると欲しいものが手に入ること。クリッカートレーニングを行うことで、室内であっても狩りを擬似体験させ、猫本来の欲求を満たしてあげられるのだ。

猫の本当の望みを知り、それを叶える事もHappy Catは大切にしている。

獣医師と飼い主の架け橋に、そして猫と飼い主の架け橋に

ピコ▲インタビュー中、なんども「腰トントンして~」と坂崎さんの元へ。

日本初のキャットインストラクターである坂崎さんがクリッカートレーニングに出会ったのは2007年。
その3年前から猫について勉強を始めていたそう。

「猫が病気になった時に、獣医さんとどう向き合って、どう付き合っていったらいいんだろうと。」勉強のきっかけはそんな疑問からだったという。

そして「獣医さんと飼い主さんの架け橋になりたいなと。獣医さんと飼い主さんが協力し、ひとつのチームとなって猫の治療をしていきたい。」その一心で勉強をした。その中で、獣医師にかかっていない元気な時にこそ何ができるか、それも大切だと感じはじめ「もっと普通に、猫とおうちで元気に生活している、そんな普段の生活の中でできることがないかな。飼い主と猫が楽しく暮らせる何かが必要だな、と。」そう考えた時、クリッカーに出会ったという。

はじめに志した想いは”獣医師と飼い主の架け橋になりたい”だった。そして現在は”猫と飼い主の架け橋になりたい”という想いでも活動をしている。

坂崎さんからのメッセージ

にゃんまる▲お得意の腕タッチをしてブラッシングをしてもらっているにゃんまる。(写真提供:坂崎さん)

最後にクリッカートレーニングに興味を持った人へ、メッセージをもらった。

「始めるのはどんな理由でもいいと思います。そして本当にその子が好きなものを使ってあげて、その子が楽しめるトレーニングをしてあげて欲しいです。」

「あと、分かりやすく教えるってどういうことなのかを少し知ると、猫ちゃんがトレーニングをより楽しめます。猫の立場になって考えてあげることが大切です。」

”愛する猫のために飼い主ができること”を発信し続け、自らも学び続けている坂崎さんの言葉は、ひとつひとつに説得力や誠実さが溢れでている。クリッカートレーニングをきっかけに、坂崎さんの想い描く”猫とのよりよい暮らし”が広まりますように。

Happy Cat 
公式サイト:https://www.happycat222.com/index.htm

猫ねこ部編集室 ライター ほりえかよこ
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ほりえかよこ
猫ねこ部編集室 ライター