- われわれ猫は7歳を過ぎるとシニア期に突入するんですねぇ。年を重ねるごとに現れる老化現象の数々…。その中から、今回は老猫の夜鳴きについてご紹介しますよぉ。
「いつでも元気ハツラツ~!と思っていたうちの子もシニア期に。最近は夜鳴きもするように…」
そんな老猫の飼い主のみなさん、夜鳴きで家族みんなが睡眠不足になっていませんか?ご近所迷惑にならないかとヒヤヒヤしていませんか?まさか病気かと不安になっていませんか?
今回はそんな老猫ラバーのみなさんへ、夜鳴きの原因や、そこに隠れた病気の可能性、夜鳴き対策をご紹介します。
老猫の夜鳴きの原因
老猫になると夜中に突然、雄叫びレベルの夜鳴きをすることがあります。まるで発情期のような鳴き方で寝不足になる飼い主もいるほど。原因と考えられるのは主に以下の2つです。
- 精神的な不安感
- 老化による認知症
精神的な不安感
普通の夜鳴きは、ストレスやかまって欲しい気持ちからくるものがほとんどですが、老猫の夜鳴きは不安感からくることが多くなります。
目が見え辛くなり、耳が聞こえ辛くなり…そうなってくると人間だって同じく不安になりますよね。誰かがそばに居ても「あれ?誰も居なくなっちゃった?ひとりぼっち?」という感覚にもとらわれる場合もあるでしょう。
「ここにいるよ」と触ってあげたり声をかけるなど、精神的な不安をできるだけ取り除いてあげることが大切です。
老化による認知症
猫の認知症は現在まだ研究段階ではありますが、夜鳴きは老化による認知症が大きく関係しているとみられています。
人間と同じく加齢による脳や神経の衰えが原因で、夜鳴きをはじめ、徘徊や頻繁なトイレの失敗などがみられます。またついさっきご飯を食べたのに更に食べようとしたり、今まで好きだったご飯やおやつを急に食べなくなったり、狭い隙間に入り込んだまま出られなくなるなどの行動が。
病気
飼い主の頭を悩ませる夜鳴きですが、そこには病気が潜んでいる可能性も。以下の病気にご注意ください。
- 甲状腺機能亢進症
- 副腎皮質機能亢進症
- 腎不全
- 尿結石
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能に異常があらわれ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。症状としては、体の代謝がアップしすぎて老猫とは思えぬほど活発になったり、攻撃的になるなど。また今まで以上によく食べ、よく水も飲む、それなのに痩せていく…といった症状もみられます。
副腎皮質機能亢進症
クッシング症候群とも呼ばれ、グルココルチコイドというホルモンが過剰分泌してしまう病気です。上記の甲状腺機能亢進症の症状に加え、筋肉の萎縮、脱毛や毛艶が悪くなるなどの症状があらわれます。
腎不全
必要な成分・水分の再吸収や、老廃物のろ過、ホルモン分泌がうまくできなくなる病気です。必要以上にお水を飲むようになったり、食欲不振、嘔吐などがあらわれます。老猫の発症が多い病気。
関連記事:【獣医師監修】猫の腎臓病について
尿結石
猫がかかりやすい尿結石。尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。トイレの後に鳴いている様子が見られたら尿結石の可能性が。以下の記事でも詳しくご説明しています。
関連記事:猫の下部尿路疾患・尿路結石について
老猫の夜鳴き対策
我が子の夜鳴きがはじまったらとるべき対策は以下の3つです。
- 優しく話しかけコミュニケーションをとる
- 不安を感じさせない環境を整える
- 獣医の診察を受ける
優しく話しかけコミュニケーションをとる
夜鳴き症状があらわれた際にすぐにしてあげられる対策といえば、猫に話しかけるなどしてコミュニケーションをとること。
夜鳴きが始まったら優しく触れてあげ、側にいてあげましょう。老猫とスキンシップをしながらたくさんコミュニケーションとることは、脳にもよい刺激を与え、認知症対策になりますよ。
不安を感じさせない環境を整える
老猫は「不安=ひとりぼっち」と捉えがちです。
家でお留守番をさせる時もテレビなどを付けたままにして、人の気配を感じさせてあげましょう。また柔らかいタオルやクッションを側に置くと安心してくれる子も。夜、電気を暗くすると鳴くようなら電気をつけたままにしてみるのもいいでしょう。
獣医の診察を受ける
夜鳴きがみられるようになったら、一度獣医の診察を受けてみるといいでしょう。
原因が病気であれば、早期発見することがとても重要。また原因が認知症の場合には、認知症ケアについて相談に乗ってもらえたり精神安定剤や睡眠薬などを処方してもらえることも。
診察の際は、医師にどんなふうにどれぐらい鳴き続けるかを伝えられるよう、メモなり動画なりを用意しておくといいでしょう。
- 老猫さんのお世話はやはり大変だと思いますが、飼い主さんが老猫さんの心に寄り添って過ごしてくれたら…、猫仲間としてそんな嬉しいことはないですねぇ。
- そうですねっ。老猫を支える飼い主さんたち素晴らしいですっ!
まとめ
のんびりした動き…白髪が増えてきた顔…よく寝る姿…そんな一つ一つにも愛しさが増しちゃう老猫さん。年を重ねることや、それに伴う老化現象に抗うことはできません。でも我が子のシニアライフを優しく支えてあげることや、充実させてあげられることはできるはず。
今回ご紹介した夜鳴きの理由や対策を参考に、老猫にも飼い主にもできるだけストレスのかからないシニアライフを送ってくださいね。
- 老猫の夜鳴きの主な原因①精神的な不安感
- 老猫の夜鳴きの主な原因②老化による認知症
- 病気の可能性もあり(甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、腎不全、尿結石など)
- 夜鳴き対策①コミュニケーションをしっかりとる
- 夜鳴き対策②不安を感じさせない環境を整える
- 夜鳴き対策③獣医の診察を受ける
- この記事を書いた人
ほりえかよこ
猫ねこ部編集室 ライター猫のお役立ち、猫との暮らすための記事など「ニャイフスタイル」記事担当。
猫と暮らすためのヒントや飼い主さんのお悩みに寄り添った記事などを楽しくお届けするほか、キャットインストラクター坂崎清歌さんや猫カフェへの取材も行う。
主婦の視点を生かし、「猫×ライフスタイル」により共感がわくアイデアづくりを目指している。
- 【監修】
一級建築士 株式会社ネコアイ代表取締役
清水満「ねこ検定」監修者 「ぺット共生マンションの適正化推進ガイドライン」監修者
愛猫との路上での運命の出会いから、猫と幸せに暮らす住宅の必要性を感じ「猫専門建築士」として従事する。
「クロワッサン」「週刊朝日」「猫びより」など雑誌掲載多数、NHK「もふもふモフモフ」TBS「サタデープラス」等に出演。
現在は猫専門の総合コンサルタントとして猫用品開発や猫イベントの企画運営など広く活動している。愛猫は4匹。