- 飼い猫との幸せエピソードをお届けする”なないろ猫物語”。今回ご紹介するのは、1歳の美男子「温(ぬくみ)」。出会ったきっかけやお互いに幸せと感じる瞬間について、飼い主さんにお話しいただきましたよぉ。
多頭崩壊の家から・・・
くっきりアイラインに少しつりあがったクリクリのお目目。これぞ正統派美形男子。彼の名前は「温(ぬくみ)」くん。
クールな外見とは裏腹に性格はとってもおしゃべりで甘えん坊だという。
今ではそのかわいいお顔をカメラに近づけてくるほど心を開いている温くんだが、実は半年ほど前までとても警戒心の強い子だった。
「多頭崩壊の家で育ったからか、ごはんを食べるのはいつも必死でした。手に噛み付いたり、周りを警戒しながらすごく急いで食べたり…。」そう話すのは飼い主のOさん。
もともと2匹の猫を飼っていたOさん。3匹目を迎えようと保護猫サイトを見ていて、ふと目にとまったのが温くんだったという。
保護猫サイトでは”人馴れしておらず、まだ里親会に出せない”と紹介されていた。
すでにその時1歳近くだった温くん。「もしかしたら里親のなり手が見つからないかもしれない…」そう思ったOさんは思い切ってトライアルを申し込んだそう。
温くんが来て4日目。ようやくごはんを食べ、トイレもしてくれるようになったけれど、触ろうとすると唸るの繰り返し・・・。残念ながら1週間のトライアル期間中に大きな変化は見られなかったとか。
でも、Oさんは諦めなかった。「この子に幸せを感じてほしかったんです。」そんな想いで彼を引き取る決意をしたという。
甘えてくれる姿を見ると涙が出そうに
家にやってきてからも、はじめは毎日のようにビクビクしていた温くん。。。
けれど、半年以上たった今では、おやつをにゃーんとおねだりするまでに。
コンロが危ないこと、水道から水が出ること、鏡に自分の姿が映ること。日々発見!日々成長!の毎日だ。
人にお世話をされたことがなく、人との距離をとるのが苦手な彼は、ときどき甘えて来る時に突進して頭をぶつけてくることもあるとか。
「うちに来て1ヶ月間はうなり威嚇をしていたので、今甘えてくれる姿を見ると涙が出そうになります。」迎えたときのことがあるからこそ、Oさんにとって今の彼の姿は感慨深いのだ。
人間や他の動物たちの温もりを知ってほしくて
「彼は彼なりに努力をして頑張っているんだと思います。」
他の2匹の真似をして甘えてくれるようになった温くんの成長を、Oさんはとても愛おしそうに話す。
「今は私を見るとゴロンとお腹を出してきたり。そんな時、安心してくれているんだな、心を許して信頼してくれているんだなと感じるんです。それが私にとっても彼にとっても一番の幸せな時間だと思います。」
人間や他の動物家族の温もりを知ってほしくて「温(ぬくみ)」と名付けた。
Oさんのその気持ちは、温くんにしっかり通じている。
今日も明日も、そしてきっとこれからもずっと、Oさん家族の温もりに包まれて”幸せ”を重ねていくだろう。
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。