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保護猫のわ通信Vol.2|TNRについて

2019-08-19

猫ねこさん

保護猫のわVol.2

猫ねこさん
先月より始まった「猫ねこ部保護猫プロジェクト」。山梨県の富士北麓地域で猫、犬の保護活動を行っている「ねこねっと山中湖」さんにスポットをあて、毎月保護猫の現状をお届けしていきますよぉ。

”外で暮らす不幸な猫をなくすために”

山梨県の富士北麓地域で猫と犬の保護活動に取り組む、個人ボランティアの集まり「ねこねっと山中湖」

猫ねこ部では、ねこねっと山中湖の保護活動を毎月シリーズで追っていきます。
第2回となる今回は保護猫活動の要となるTNRについて詳しくお話を伺ってきました!

里帰り中の子猫たちと新しい仲間

8月初旬、夏本番。青い空に白い雲、キラキラと輝く湖面。平日の朝にも関わらず、夏を満喫しようと訪れた観光客で賑わう山中湖畔。

今回も先月に引き続き「ねこねっと山中湖」の副代表・保科さん宅へ。

到着して早々、先月のデジャヴが^^前回バロン・デューク兄弟に大人気だったIKEAのバッグに群がる茶トラズ”ナッツ”と”ミルク”。

茶トラ

この小競り合い中のふたりは、横浜のたまプラーザから里帰り中のきょうだい。今年の4月後半に生後2週間ほどで保護され、保科さん宅で育てられた子たちだ。

保護されたときは体重わずか200gだったふたりも生後4ヶ月。今やこんなにスクスク、やんちゃ盛りに成長。

「先日トニーの検診で病院に行ったんですが…併設のホテル部屋では猫の大合唱。絶叫でずーっと鳴いてるんです。猫の場合お散歩もないですし、すごいストレスだと思いますよ。動物病院の先生方もすごく苦労されてますね。」と保科さん。

ねこねっと出身の子たちは、この茶トラきょうだいのように里親さんから希望があれば預かってもらうことができる。慣れた環境でのびのびと過ごせる里帰り制度は猫にとっても里親さんにとっても安心。里親さんのおうちがご近所であれば、保科さんがキャットシッターに行くこともあるそう。

まるで”我が家”のようにリラックスしてじゃれあってるふたりの姿は本当に微笑ましくて、ストレスなんて無縁に思える。

そして前回IKEAバッグに夢中だったバロン・デューク兄弟はというと・・・先月めでたく新しい家族のお家に2匹一緒に迎えられたそう。

例年、7月は夏休みということもあって出入りが少なくなるそうだが、今年は8匹もの子たちが譲渡されたとか。アリスにヴィンス、ジェリー、、、前回いた子猫たちは続々と新しい家族に出会い、幸せに暮らしている。

そんな子たちと入れ替わりで入ってきた子たちがこちら。

まずは、里親さんの敷地内で保護された子たち、メリッサ&ローザ。

メリッサ

ローザ

すでに大人気の美人姉妹。肺炎で一時は入院していたけれど峠を超え、今ではご飯もたくさん食べてくれるようになったとか。

猫好きさんなら間違いなく絶叫レベル!美しすぎるどアップローザをしばしお楽しみください^^

ローザ

そしてそして。こちらは生後3ヶ月の半長毛アデル。最初は本棚の奥に隠れていたけれど、撫でたらスリゴロに^^

アデル▲フォトジェニック度高すぎ女子。

取材日にはすでに愛知県のお家に行くことが決まっていたアデル。ねこねっと山中湖から迎えた先住猫ちゃんのほか、ワンちゃんやオカメインコもいる動物パラダイスのお家なんだとか。

さっそく新しいお家で馴染んでいるアデルのお写真を。

アデル▲ちゅーるくださ〜いと叫ぶアデル改めオリちゃん。

こちらは生後5ヶ月の黒猫ロック。

ロック

▲人馴れ中だけど実はとっても甘えん坊なスリゴロくん^^見た目とのギャップがけしからん♡

鼻筋がスーッと通ったイケメン男子。取材日はまだ里親募集中だったのだけど、その後横浜青葉台のお家へのお婿入りがめでたく決定!猫ねこ部でも以前ご紹介した看板猫キャスパー飼い主Atelier Aiの愛さんのインスタ繋がりでお問い合わせがあったのだそう。

そしてこちらは子猫カフェ状態の猫たちの中でもひときわ小さいスタンリー。体は小さいけれどずんずん絡んでいくタイプ♡

スタンリー

猫じゃれる▲子猫レスリング部。バックを取りにいくのがやたら上手いスタンリー(笑)

前回訪問後、腸重積で入院中だったレベッカ。おうちに帰ってきてからは新入りの子猫仲間と毎日大運動会で忙し^^

レベッカ▲おかえり、レベッカ。元気になってよかったね!

こちらは取材日にはやる気ゼロ(笑)でお顔を見れなかったハチワレのフィガロ。こちらも先ほどの愛さん繋がりであっという間に新しいお家が決まったそう。保護猫の輪すばらし〜^^

フィガロ▲先住姉さんにもあっという間に懐いたフィガロ。

そして、忘れてはならない重鎮の皆様も。

前回はちぐらの上でほぼ置物化していたピッピおばさん。最近アクティブになったと噂。テーブルの上に登ってきてお腹までおっ広げてくれる大サービス(*^^*)

ピピ▲7月で13歳♡ピピ、動きます。

タンゲさまの伸びーー。子猫部屋で子猫ごはんをひっそり食べていたのは内緒wタンゲ

定期検診の経過も順調なミラクルトニー。

トニー

姿を見かけないと思ったら帰り間際にひょっこりおでましのソフィー。猫ねこ部よりねこねっと山中湖さんへお持ちしたフードと一緒にパチリ。

ソフィ▲最後にしっかり仕事を決めてくるデキル系女子(*^^*)

写真を見返してみると、、、ナラがいない・・・(´;ω;`)でも保科さんからとっておきのお写真をいただいたのでご紹介。

ナラとトニー▲ナラがでかすぎてトニーが子猫に見える件^^

冒頭の動画ではナラの躍動感あふれるからだ重ためジャンプも見れるので、大猫好きの方は是非♡

シモーネ、ありがとう

前回の記事でご紹介したシモーネ。山中で亡骸があると通報を受けて保護され、代表が都留まで夜に車を走らせた。保護から4日目の取材時にはまだ元気そうな姿を見ることができていたのだけど。。。

シモーネ

その後、実は失明していることが判明。

真っ暗な世界のなか、いったいどれだけの時間山中をさまよっていたのかと思うと、、、本当に心がえぐられる思いだ。

どこかで確実に飼われていたと思われるシモーネ。どんな理由があったにせよ、こんなに人間を愛して懸命に生きようとしている命を捨てることは許されないと思う。

保科さんの家で過ごした短い間。大きな声で鳴いて保科さんを探し、声を頼りに近くまでやってきてずっと寄り添っていたという。

おそらくかなりの高齢だったシモーネは、一時的に歩き回れるようになった後点滴生活に。。。

保護されて4週間弱。一切苦しそうな動きは見せず、静かに安らかに眠りについたという。

シモーネにもう会えないのはとても悲しいけれど、、、最期の4週間、めいっぱいの愛情を注いでもらいこのうえなく幸せだったのではないかと思う。

TNRってなぁに?

さて、今回の取材テーマは「TNR」。TNRとは・・・

  • T(Trap)=捕獲
  • N(Neuter)=不妊手術
  • R(Return)=元の場所に戻す

外で暮らす猫を捕獲し、不妊手術を行い、元の場所に戻す、この一連の活動をTNRと呼ぶ。

ねこねっと山中湖では提携病院の協力のもと、昨年度196件のTNRを行った。

外で暮らす不幸な猫をなくすためにかかせない大切な活動。現在、多くの保護団体がTNRを積極的に推し進めている。けれど、その実態を私たちが見聞きする機会は少ない。
どこかで耳にしたことはあっても、いまいちどんなものか分からないという人が多いのではないかと思う。

「捕獲って実際どうやってやるの?」
「なんで不妊手術しなきゃいけないの?」
「元の場所に戻すのはなんで?」

今回はそんなTNRについての疑問を解消すべく、詳しくお話を伺ってきた。

Trap(捕獲)

まずは猫の捕獲について。ひとくちに捕獲といっても、たくさん注意点があるので順番にご説明を。

  • 捕獲の前に必ず現場調査
  • 餌場がある敷地の方の同意が必要
  • 捕獲器を置いたらその場から離れない
  • まずは捕獲器に慣れてもらうところから
  • 警戒心が強い場合は捕獲器の入り口に餌を置き徐々に奥へずらしていく
  • 捕獲したらすぐにカバーをかけ安全な場所へ
  • 捕獲器は使うたびに完全洗浄と消毒を、サビ取りなどのメンテナンスも
  • 捕獲器は猫の安全性を重視
  • 出産時期のメス猫の保護にはリスクが伴う

捕獲の前に必ず現場調査

TNR(写真提供:ねこねっと山中湖副代表・保科さん)

TNRは現場にいる全ての猫にやらなければ意味がない。
というのも、メス猫は生後半年もすれば妊娠可能。交尾すれば9割以上の確率で妊娠する。春先から秋にかけてが出産のピークで一度に5~7匹の猫が生まれてくる。その繁殖力は人間の比ではない。猫の繁殖スピードを考えると、TNRはほぼほぼやったからOKではなくて全部やることが大切なのだ。

そこで重要になってくるのが事前の現場調査だという。
すべての猫を捕獲するには、まずどんな猫が何匹いるのか、餌やりをしている人がいるか、餌場の環境はどうかをしっかり把握する必要がある。

「いつもご飯をあげている人がたくさんいるエリアの場合、現場にいる猫たちはお腹いっぱいなので絶対に捕獲器に入ってくれないんですね。逆に餌が圧倒的に足りないようなところだと、捕獲器を持っていって美味しいご飯をいれたらその日のうちにパカパカ入るんですよ。なので、まずは現場調査が肝心です。」

餌場がある敷地の方の同意が必要

現場調査を行ったらさっそく捕獲開始!。。。というわけにはいかない。敷地内で捕獲を行う場合は、必ずその敷地内の方の同意が必要になってくる。

逆に言えば、捕獲して不妊手術を行うことに同意してもらえればすぐにでもできるわけだ。

ただ、すべての人がTNRに賛成してくれるわけではないそうで…。

「みなさん各自の敷地があるので、あそこのお家のお庭にいっぱいいるよって言われても、そこのお家の方の同意がなければ不法侵入になってしまうので。隣のおばあさんが餌をあげて困っているけれどうちにも猫がきて困ってる。じゃあ捕獲器を置かせてもらっていいですか?って聞くとそれは困るって言う方も。」

じゃあ、同意してもらえない場合はどうするか??何箇所かで餌をもらってる子であれば、同意してくれる方の敷地で捕獲をするのだそう。

捕獲器を置いたらその場から離れない

TNR(写真提供:ねこねっと山中湖副代表・保科さん)

捕獲器を置いたらその場から離れない、これが大原則。

捕獲器自体10,000~20,000円と決して安いものではない。なかには悲しいことに悪用する人だっている。
また、地域柄、真夜中になるとタヌキやハクビシンなどの野生動物が入ってしまう可能性もあるとか。

夜仕掛けて朝取りに行く、じゃあダメなのだ。必ず目が届く範囲でしっかり管理をしなければならない。

夜もちゃんと見に行けるということが条件で、ご相談者の方に捕獲器の貸し出しをしているそう。そうでない場合は、ねこねっとのメンバーが合間を縫って捕獲に動いている。

まずは捕獲器の使い方を知る、捕獲器に慣れてもらうところから

TNR(写真提供:ねこねっと山中湖副代表・保科さん)

捕獲器にはさまざまな種類があるけれど、ねこねっと山中湖で使っているのは、踏み板式のタイプ。猫が捕獲器に入ってきて踏み板を踏むと入り口の扉が下へ降りるタイプだ。

まずは捕獲器の使い方をきちんと理解することが重要。

そして捕獲のやり方としては、まずは猫が捕獲器に慣れてもらうところからスタートする。猫が捕獲器のなかに入っても入り口の扉が降りないようにあらかじめ扉を外しておいて、捕獲器のなかでご飯をあげる。

「この中で食べても安全なんだなって理解させる期間を作ります。その期間は3日だったり5日だったり1週間だったり・・・その子によって違いますね。」

いきなり仕掛けない。これが捕獲を上手く進めるポイントなのだ。

警戒心が強い場合は捕獲器の入り口に餌を置き徐々に奥へずらしていく

けれどそこは厳しい環境を生き抜いている野良猫たち、そう簡単には心を許してくれないことも多々。

警戒心がすごく強い子の場合は、たとえ仕掛けをしていなくても捕獲器のなかには入らないそう。

そんな場合は、捕獲器の奥ではなく入り口にまず餌を置く。そうすると捕獲器のなかに体を入れずに餌を食べることができるから、猫にとっても安心なのだ。そして、徐々に毎日少しずつ奥へとずらしていくのだそう。

こうして、捕獲器の奥まで入ってご飯を食べられるようになったら、いよいよ晴れて本番行きましょう!ということになるのだ。

地道にゆっくりと。なかには3ヶ月くらいかけてやっと捕獲なんてこともあるそう。。。狙った子を全て保護するには根気・忍耐も必要になってくる。

捕獲したらすぐにカバーをかけ安全な場所へ

TNR(写真提供:ねこねっと山中湖副代表・保科さん)

無事に捕獲できたらすぐにカバーをかける。見えなくなると猫も暴れないのでこれは必ず。

外の状況が見えない状態で、雨風をしのげて安全なところ(できれば室内や土間など)で、手術の搬送まで保護しその後手術を受ける病院へ搬送するという。

搬送する車にも注意。

「軽トラの後ろの荷台とかは絶対にだめ。必ず車内に乗せてください。猫にとっては捕獲されたことだけでもものすごいストレスがかかっているので、ストレスを最小限にする努力をしてくださいっていう説明をしますね。」

捕獲器は使うたびに完全洗浄と消毒を、サビ取りなどのメンテナンスも

捕獲器は使い終わったら必ず完全洗浄と消毒をしている。

術後は安静のために捕獲器の中で一泊する。その際下にシーツは敷くけれど排泄で汚れることもある。暴れて喧嘩して血がつくことだってある。また、病気を持っていたり怪我をしている子の体液が付いている可能性も。それが猫エイズや白血病だったとしたら、、、
また、ウイルスや細菌への感染は猫からだけでなく、土壌からの可能性もある。

捕獲した猫を危険にさらさないためにも、ねこねっと山中湖では捕獲器の洗浄・消毒を徹底している。必ず流水で洗剤をつけて洗い、その後にバイオウィルという除菌消臭剤とアルコールで消毒。そして清潔なところで保管をしているのだそう。

また1ヶ月などの貸し出しになってくると、ステンレス製とはいえ錆びてきてしまうため、細かな網目まできっちりサビ取りを行っている。

猫のためにはどんな面倒な作業も厭わないのがねこねっと山中湖のポリシーなのだ。