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保護猫のわ通信Vol.8|後を絶たないトラバサミによる被害

猫ねこさん

断脚せざるを得なかった猫たち

現在ねこねっと山中湖では、トリニティちゃんと同じようにトラバサミによる被害に遭い、断脚した猫を2匹保護しているという。

一匹目はバンリくん。2018年10月29日、血だらけの状態で保護された。


現場にトラバサミの現物はなかったが、同じ現場でバンリくんと同じように足を失った猫が目撃されていたという。

トラバサミの被害にあった猫

保護しようと何度か試みたものの、その後姿を現すことはなかった。。。恐らく息絶えてしまったのではないかと保科さんは言う。

バンリくんは保護された時、すでに右前足と右後ろ足がなかった。もし保護できていなければ、亡くなっていたと思われるような酷い状態だったという。

「もし右前足後ろ足両方を切断することになった場合、日常生活はできなくなる…。なんとかして前足だけでも残したい。」と医療にかけ、結果最小限の切断で済んだそう。

ばんり

▲最初の頃は、骨が当たって皮膚が破れないようにと、椅子脚キャップで保護していたそう。

ばんり

ばんり

生粋の野良だったバンリくんだが、今ではこんなに穏やかな顔に。(おまけにちょっとふくよかに^^)

バンリ

「外のアスファルトの上で暮らすのと、家の中のフローリングやクッションの上で暮らすのとでは、皮膚の侵襲が格段に違うんですよね。治りもいいですし、一度皮膚がきちんとくっつくと破れにくくなるんです。」と保科さん。

後ろ足を失ってしまったけれど、今ではこんなに猫らしいストレッチ姿も見せてくれる。

ばんり

そして二匹目は、2019年5月13日に保護されたサニーくん。一緒に活動をしている個人ボランティアの方が会社の近くで発見。「遠目でしか分からないのだけど、何か巻いてあるように見える」と連絡がきたのだとか。

サニー

「何か巻かれてあるのであればとってあげないと壊死してしまうし、他の原因であっても医療にかけてあげる必要があるので、やりましょう」と、保科さんが背中を押したところ、ボランティアさんは3日間ほど捕獲器を置いて粘ってくれたという。そして捕まえた猫を見てみると、、、すでに足は白骨化していた。


診察をした亀田先生は、サニーくんの状態を見て沈痛な面持ちでこう言ったという。

「この子は本当に長いこと辛くて痛い思いをしたと思います。これはもう切らないと無理です。」

完全に壊死してしまった足は根元から切断に。この時も現場にトラバサミはなかったが、おそらくトラバサミだろうと亀田先生は言っていたそう。

サニー

そんな辛い思いをしたサニーくんだが、今では「サニーおじさん^^」とガールフレンドに慕われる穏やかな日々を送っているのだとか。

サニー

「捕獲しなければ気づけなかったことです。人間が関わって保護をしてあげれば、こうやってまた幸せな暮らしができるんだよ、ということをもっと知って頂けたらと思いますね。」

サニー

「もちろん、被害に遭う猫がいなくなることがベストです。でも、ただ”かわいそう””許せない”で終わらせるのではなく、その後しっかり医療にかけ管理をしてあげれば、被害に遭った猫たちはその後何年も元気に生きていくことができるんです。」と保科さんは言う。

動物に罪はない

トリニティちゃんの一件に話を戻そう。今回の件で問題なのは、毎日のようにお婆さんが餌場に通っていることを知っていた近所の男性が、「分かっていて」そこに罠をしかけたということ。

行政から許可を受け罠を設置する場合には、氏名、住所等法令で定められた標識をつけることが義務付けられているが、もちろん見当たらなかった。これは明らかに犯罪であって非常に悪質だと言える。

餌やりのお婆さんは犯人が誰なのか分かっている。(男性本人が仕掛けたと話していたそう)にも関わらず、近所付き合いがあるため、訴えることも証言することもしなかったのだとか。

トリニティ

「そこに住んでいる人にとっては自分の生活を守ることが最優先なんです。何かあった時に助けてもらえるご近所さんに強く言えない…ご近所さん同士かばい合うんです。土地柄もありますが、そういった話がざらにあって、泣き寝入りするしかない人がたくさんいるんですよね。でも、一番の被害者は動物たちなわけで。。。」

動物には何の罪もない。餌やりさんのお世話のもとで一代限りの生を全うできるようにと、何日もかけてTNRをした結果、こんな悲惨な目に遭うなんて。。。「どうして見守ることすらできないのか?」と保科さんは嘆く。

もちろん、なかにはTNRがきっかけでその後幸せになった猫たちもたくさんいる。日々餌やりをしながら、ひとりひとりの健康状態を気にかけ、何か心配なことがある場合は随時連絡をくれる餌やりさんもいるそう。そして、「もっとこの子たちが心地よく過ごせるようにしてあげたい」と、”お家の子”として迎えてくれたケースもあるのだとか。こうして迎えられる猫が一匹でも増えればと願うばかりだ。

一生懸命生きていく子たちを見守って応援するのみ

トリニティちゃん、バンリくん、サニーくんは、現在ねこねっと山中湖ボランティアメンバーの家3箇所で、それぞれ保護されている。三本足で外で生きていくということがどんなに大変か…それを思えばリリースなど考えられなかったという。

でも、三本足でも普通の猫と同じように生活はできるし、他の猫たちとも仲良くできる。

動物たちはその日その日を一生懸命生きていくことに集中していく生き物です。『なんで自分は3本足になっちゃったんだろう?』なんて考えることはない。その姿勢はとても潔くて私たちが学ぶべきところです。」

トリニティ

▲三本足でも普通の猫と同じように生活できる。しっかり管理しながら、時期を見て里親さんを募集する予定だという。

断脚となるのは何もトラバサミだけじゃない。骨肉腫などの病気や交通事故で断脚せざるを得ないケースもある。3本足だから2本足だから…と特別扱いするのではなく、私たちはただ一生懸命生きている猫たちを見守り応援するだけなのだ。

トラバサミは違法!動物虐待は犯罪です

今回、初めて「トラバサミ」という言葉を知ったという方も多いかもしれない。都心部に住んでいればまず見かけることはないかもしれないが、地方ではいまだにトラバサミが道端や畑の中に置いてあるところもあるのが現状だ。

では、もし「トラバサミ」を見かけたら、私たちはいったい何をすべきなのだろうか?

違法なトラバサミを見つけたらただちに110番!

  • 標識があるか確認
  • 標識がなければただちに通報

万が一、道端や畑でトラバサミを見つけたら、まず標識(氏名・住所・その他)が見やすいところについているかを確認すること。標識がついていない場合は、ただちに警察や役場に通報し、撤去してもらいましょう。

トラバサミも動物遺棄と同じく法律で禁じられていること。迷わず110番してください。

販売されているのを見つけたらお店の人に尋ねる

  • 原則使用が禁じられているトラバサミを販売している理由
  • 販売の際、捕獲許可証または狩猟者登録証を確認しているか
  • 捕獲許可証または狩猟者登録証を持たない客に販売していないか
  • 衝撃緩衝器具を装着していないトラバサミ(いかなる場合でも違法)を販売していないか
  • 上記を満たす場合でも、罠を設置する際には、氏名・住所等法令で定められた標識をつける義務があることを伝えているか

もし、町の金物屋やホームセンターなどでトラバサミが販売されているのを見つけたら、お店の人に上記のことを尋ねよう。「店長以下スタッフ全員に周知されているかどうか。もしかしたらうるさい客と思われるかもしれないけれど、そういったところまで聞けるぐらいの強さが必要なのではないか。」と保科さんは言う。

トリニティ

自分の周りに被害にあった動物がいなければ、「トラバサミ」の存在すら知ることもないかもしれない。でも、現にこうしてトラバサミの被害に遭う動物は後を絶たないのだ。

トリニティちゃんの姿を見て「なんてかわいそう…」「こんな罠をしかけるなんてヒドイ!」と心が締め付けられた人も多いと思う。でも、そこで決して終わらせず、少しでも多くの人に知らせてほしい。違法であるにも関わらずいまだに販売されている現状を。そして、何の罪もない動物たちが犠牲になっていることを。

動物遺棄にしてもトラバサミにしても、どちらも法律で禁止されていること。どうか迷わず通報する勇気を持ってほしい。

トラバサミの被害に遭う動物が一匹でも減るように。私たちは決して見て見ぬふりをしてはいけないと思う。

ねこねっと山中湖
公式サイト:https://www.nekonetyamanakako.org/
支援物資ご購入のお願い:ねこねっと山中湖 ご支援お願い物資リスト
里親さまのご希望の方:里親さま希望のお問い合わせ

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。