- スコティッシュフォールドの折れ耳はとってもかわいいですが、実は遺伝性の骨の奇形によるもの。奇形を防ぐために折れ耳同士の交配は禁止されているので、実際は立ち耳の子もたくさんいるんですねぇ。人懐っこくて穏やかな性格ですが、長時間のお留守番はストレスになるので注意してくださいねぇ。
キュートな折れ耳がチャームポイントのスコティッシュフォールド。
前方に折れ曲がった短い耳が特徴ですが、実は遺伝性の骨の奇形によるもの。
折れ耳同士を交配させると奇形率が高くなるので、立ち耳と交配させるのが暗黙のルール。
だから実際は8割が立ち耳の子です。愛くるしいスコ座りも痛みを和らげるためと聞くと複雑な気持ちになりますね・・・。
甘えん坊でかまってほしい性格なので、なるべくいつも一緒に寄り添って遊んでくださいね。
今回はそんなスコティッシュフォールドのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
ルーツ
スコティッシュフォールドのルーツは、 1961年イギリス・スコットランドの農村で発見された「スージ―」という名のメス猫。
一般的な猫の耳はピンと立っていますが、「スージー」の耳は前方に折れ曲がっており、見た目の違いは明らかだったとか。
「スージー」が出産した際、同じ特徴を持つ折れ耳の子猫がいたことから、羊飼いのウィリアムロス夫妻が折れ耳の遺伝性に気づき、その後計画的な繁殖を進めていくことに。
折れ耳の子猫とブリティッシュショートヘアを交配させて生まれてきた折れ耳の猫は、やがて地元のキャットショーで注目を集めるようになります。夫妻はイギリスの猫血統登録団体GCCFに登録をして、正式な品種として認めてもらうよう働きかけていきます。こうした動きに賛同した遺伝学者の協力もあり、アメリカンショートヘアとの交配も進められ、現在のスコティッシュフォールドの原型ができあがっていったのです。
当初GCCFは繁殖に協力的でしたが、折れ耳の猫に骨格や耳の障害が出ることが分かり、1971年に正式な登録を取りやめに。
イギリスでの繁殖を断念することになった夫妻は、スコティッシュフォールドをアメリカの遺伝学者に譲り、その後はアメリカで遺伝的な疾患を減らす改良が重ねられていきます。その結果、1977年にアメリカの猫愛好家協会CFAによって、正式に登録が認められました。
「スコティッシュフォールド」と正式に名付けられたのは1994年。それまではたれ耳ウサギ(lop-eared rabbit)のような見た目から「ラップ」と呼ばれていました。出身地と特徴的な耳が名前の由来となっています。
スコティッシュ(Scottish)・・・スコットランドの
フォールド(fold)・・・折りたたまれた
特徴
ではさっそく、スコティッシュフォールドの主な特徴を見ていきましょう。
- 前方に折れ曲がった短い耳(立ち耳の猫もいる)
- スコ座り
- 運動量が少ない
- 大きく丸い目
- 短毛種と長毛種がいる
前方に折れ曲がった短い耳(立ち耳の猫もいる)
スコティッシュフォールドの最大の特徴は前方に折れ曲がった短い耳。
耳が折れ曲がるのは遺伝によるものですが、すべてのスコティッシュフォールドの耳が折れ曲がっているわけではなく、なかには立ち耳の猫もいます。折れ耳になる確率は約30%。折れた耳が再び立ったり、また折れたりすることもあります。
折れ耳といっても生まれたときから耳が折れているわけではなく、生後3週間くらいから徐々に耳が折れてきます。また、折れ曲がり具合も猫によって違います。
- シングルフォールド・・・ゆるく1回折れている程度
- ダブルフォールド・・・頭につくくらいしっかり折れている
- トリプルフォールド・・・最も折り目がきつい
折れ耳のなかでもよりくっきり折れ曲がっている方が、キャットショーなどでは高く評価されるようです。
スコ座り
前足を投げ出し両手を前足の間に入れ、お尻を床にぴったりつけて座る座り方を「スコ座り」と呼びます。その姿はまるでおじさんがソファでくつろいでいるように見えることから、「おやじ座り」とも呼ばれています^^。
このような座り方をする猫はスコティッシュフォールドだけではありませんが、特にスコティッシュフォールドに多いことからスコ座りと呼ばれています。
見た目はとても愛くるしいポーズですが、スコティッシュフォールドがスコ座りをするのは、遺伝による骨の障害が関係していると言われています。スコティッシュフォールドはもともと骨に障害を持って生まれてくることが多いため、普通の座り方では関節が痛み、スコ座りの方が楽な姿勢なのではないかと考えられています。
運動量が少ない
スコティッシュフォールドは他の猫種に比べて運動量が少なめです。激しく走り回ったりすることはないため、マンションなどでも階下への騒音を気にせず飼いやすいと言われています。
大きく丸い目
大きくまんまるの目も特徴のひとつ。目の色はさまざまでグリーンがかった目の猫もいれば、銅色がかった目の猫も。子猫のときはキトンブルーと呼ばれる青い目をしていますが、大きくなるにつれ本来の目の色に変化していきます。
短毛種と長毛種がいる
スコティッシュフォールドは短毛種が一般的ですが、なかには「ハイランドフォールド」や「ロングヘアフォールド」と呼ばれる長毛種もいます。これは、前述のスコティッシュフォールドのルーツである「スージ―」が長毛種だったことや、長毛の遺伝子をもつ ブリティッシュショートヘアと交配させていたことが関係しています。
- 折れ耳がとってもキュートですけど、実はあの折れ耳は骨の奇形が関係していたんですねぇ。よく見かけるスコ座りも関節の痛みを和らげるためと言われているんですよぉ。
- えぇっ!そうなんですか?スコ座り、僕も試してみたんですけど、体が硬いのか後ろにひっくり返ってしまいました、、、
大きさ
続いては、スコティッシュフォールドの大きさについて。
子猫の平均体長と体重
- 体長 約30cm
- 体重 1~1.2kg
生まれたときは耳がたっていますが、生後3週間ほどたつと耳が折れ曲がってきます。
成猫の平均体長と体重
- 体長 約60cm
- 体重 オス3~6kg メス2.5~5kg
子猫期に比べて、体長、体重ともに約2倍に成長します。
性別による体長の違いはありませんが、体重はオスの方がやや重いという特徴があります。体重の重い猫種ではありませんが、生まれつき筋肉質なので、抱きかかえるとずっしりと重みを感じるでしょう。
スコティッシュフォールドの大きさは平均的な猫と同じくらいで、折れ耳と立ち耳の猫で大きさに違いはありません。手足や首は短めで全体的に丸みを帯びた体つきをしています。
性格
続いてはスコティッシュフォールドの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 人見知りせず人懐っこい
- おっとりとしていて穏やか
- 甘えん坊
温厚で鳴き声も小さく喧嘩もほとんどしないため、多頭飼いでもなじみやすいでしょう。
オスはメスに比べて喜怒哀楽がはっきりしている
オスはメスに比べ感情をはっきり表すことが多く、甘えん坊な面が見られます。メスはどちらかというと落ち着いていてしっかりしているように見えますが、そのぶんストレスをためていることもあります。
- 人見知りなし、人懐っこい、甘えん坊、、、まるでクロベエくん、、、ンフフ。
- ケンカもしないなんて、なんて穏やかなんでしょう、、、ぼくはちょくちょく猫パンチしますから、そこはちょっと違うトコですね。
かかりやすい病気
続いてはスコティッシュフォールドがかかりやすい病気についてです。
- 遺伝性骨形成異常症
- 内臓の奇形
- 外耳炎
遺伝性骨形成異常症
生後3ケ月~2年の成長期に発症する遺伝性の病気です。スコティッシュフォールドの特徴である「折れ耳」も、この病気の典型的な症状のひとつです。つまり、折れ耳である時点ですでにこの疾患を持っていると言えます。
主な症状は以下の通りです。
- 骨瘤(こつりゅう)と呼ばれるコブができる
- しっぽが硬くなってうまく動かせない
- 痛みで鳴く
- 骨瘤ができた部分を触られると痛がる
- 歩き方に違和感がある
- ジャンプをしない
- ゆっくりとした動きになる
- 上り下りをしない
手足の関節やしっぽから異常が出始め、病気が進行すると脊椎にも異常が出ます。成長期が終われば骨の異常も止まりますが、一度変形してしまった骨は元には戻りません。
病気を完治させる方法はなく、症状を和らげるための対症療法が主な治療となります。
折れ耳同士の交配は発症リスクが高い
折れ耳同士の交配は高確率で骨に障害が出ると言われています。そのため、アメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアなどの立ち耳の猫との交配が推奨されており、スコティッシュフォールド同士の交配を認めていない血統登録団体が多いようです。
内臓の奇形
内臓に奇形がある場合も多いと言われています。外見から内臓の奇形を見抜くことは難しく、成長段階で下痢や嘔吐、そのほか体調不良の症状が出て初めて気づくことが多いようです。
外耳炎
折れ耳の場合、耳の通気性が悪く湿気がこもりやすいため、細菌に感染しやすくなります。
主な症状は以下の通りです。
- においのある耳あかがたまる
- 頭をふる
- 耳をしきりに触る
- 耳が腫れる
- 耳に傷ができ出血している
細菌や真菌に感染している場合は点耳薬、耳ダニの場合は駆虫薬を使って治療します。症状によっては内服薬も使用します。
- スコティッシュフォールドのうち、折れ耳の子は3割くらいで、実は立ち耳の子も多いんですよぉ。折れ耳は「遺伝性骨形成異常症」という病気なんですねぇ。折れ耳同士を交配させると骨に障害が出ることが多いので、立ち耳の子と交配させるよう言われているんですよぉ。
- なるほどー。だから立ち耳のスコティッシュフォールドもいるんですね。耳が折れてるなんてかわいいって思ってましたけど、遺伝病だったなんて、ちょっぴりかわいそうです。。。交配ルールはしっかり守ってあげたいですね。
飼い方
スコティッシュフォールドを飼うときには、以下のような点に注意しましょう。
- 一匹で長時間留守番させない
- 日々の健康チェックと食事管理
- こまめに耳の手入れをする
一匹で長時間留守番させない
猫には珍しく甘えん坊でかまってほしい性格のため、一匹での留守番の時間が長くなるとストレスを感じてしまいます。長時間一匹にすることのないよう配慮して、家にいるときはしっかり遊んであげるようにしましょう。
日々の健康チェックと食事管理
前述したとおり、スコティッシュフォールドは遺伝的に骨や関節に異常が出やすいため、普段から猫の歩き方や動きをしっかりチェックすることが大切です。定期的な健診を受けることも早期発見につながります。
また、スコティッシュフォールドのような血統猫は雑種に比べて病気になりやすいため、バランスよく栄養がとれるよう日々の食事管理にも気を配る必要があります。
スコティッシュフォールドの食事については、こちらの記事で詳しく説明しています。是非参考にしてくださいね。
こまめに耳の手入れをする
ダブルフォールドやトリプルフォールドなど耳の折れ具合が大きい猫ほど、耳の通気性が悪くなるため、最低でも週1回は耳のお手入れをしてあげましょう。猫用耳洗浄液またはオリーブオイルをしみこませたコットンで、耳の外側から優しく汚れをふき取ると良いでしょう。
ただし頻繁に耳掃除をしすぎると、かえって炎症を引き起こすこともあるのでやりすぎは禁物。初めて耳掃除をする際は、獣医に相談し指導してもらった方が安心です。
寿命
スコティッシュフォールドの平均寿命は10~13年と言われています。日本ペットフード協会の調査によると猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、スコティッシュフォールドは猫全体の平均寿命よりやや短いことが分かります。
これは、他の猫に比べて遺伝的な疾患にかかりやすいことが関係していますが、少しでも長生きさせるためには、日頃から健康管理に気を配り、バランスの良い食事を与え、いざというときに頼れる動物病院を決めておくことが大切です。また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、スコティッシュフォールドに関するよくある質問をまとめています。
スコティッシュフォールドにはさまざまな毛色の猫がいますが、特に人気の毛色がこちら。
- レッドタビー&ホワイト(茶白)・・・茶色ベースでお腹、手足が白い
- キャリコ(三毛)・・・オレンジ、ブラック、ホワイト
- ダイリュートキャリコ(薄色三毛)・・・グレー、クリーム、ホワイト
- シルバータビー(サバトラ)・・・シルバーの縞模様
- クリームタビー&ホワイト(薄色茶白)・・・クリーム色の縞模様ベースでお腹や手足、顔などが白い
- トーティ(ブチ柄)・・・まだら模様
特に珍しい毛色と言われているのがオスのキャリコです。通常、キャリコのブラックとオレンジの毛色の遺伝子を同時にもって生まれるのはメスだけで、オスが生まれる確率はなんと1/30000!非常に希少価値が高いと言われています。
個体差はありますが、毛色ごとに性格の違いがあると言われています。
- レッドタビー&ホワイト(茶白)・・・甘えん坊で穏やか
- キャリコ(三毛)・・・神経質ですましている
- シルバータビー(サバトラ)・・・神経質だがなれると人懐っこい
- クリームタビー&ホワイト(薄色茶白)・・・穏やかで人懐っこい
- トーティ(ブチ柄)・・・人懐っこい
スコティッシュフォールドの被毛はやわらかく密度が高いため、毛づくろいをするたびに猫が大量に毛を飲み込んでしまいます。毛玉が吐き出せないほど体にたまってしまうと毛球症と呼ばれる病気を引き起こす可能性があるため、普段からこまめなブラッシングを行う必要があります。
長毛種は毛玉ができやすいため、毎日丁寧にブラッシングしてあげましょう。また、短毛種であっても、春と秋の毛の抜け変わる時期(換毛期)は毎日、それ以外の時期でも週に1回はブラッシングしてあげましょう。
比較的穏やかな性格なのでブラッシングはしやすいですが、猫が嫌がる場合は無理に行わないよう注意しましょう。
マンチカンは「短足」、スコティッシュフォールドは「折れ耳」が最大の特徴と言われていますが、必ずしもすべての猫が短足、折れ耳というわけではありません。そのため、それぞれの猫特有の特徴がない場合は、ぱっと見で区別するのは難しいかもしれません。
性格的にはどちらも甘えん坊で人懐っこいと言われていますが、スコティッシュフォールドの方が一匹での留守番が苦手なようです。
なかには、マンチカンとスコティッシュフォールドを交配させてできた「スコマンチ」と呼ばれるミックス猫もいます。それぞれの特徴が組み合わさっていて見た目も愛らしいのですが、実は猫の交配ルールを無視して生まれてきた猫だという点は知っておく必要があります。マンチカンやスコティッシュフォールドの特徴である短足や折れ耳はそもそも奇形です。短足同士、折れ耳同士の交配を行うと奇形が遺伝する確率が非常に高いことから、純血種同士の交配はタブーとされているのです。スコマンチを飼う際には、そういったリスクがある点をしっかり理解しておくことが大切です。
- 飼うときのポイントは「長時間の留守番をさせない」「食事管理」「こまめな耳のお手入れ」ですよぉ。特に耳の折れ方がきついほど、耳の通気性が悪くなるので、週1回はお手入れしてあげてくださいねぇ。
- 長時間の留守番も苦手なんですね。。。日中もずっと家でかまってあげられる飼い主さんが理想ですねっ。
まとめ
スコティッシュフォールドのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- ルーツはスコットランドの折れ耳メス猫「スージー」
- 折れ耳、スコ座りなどの特徴は遺伝による骨の障害が関係している
- 折れ耳だけでなく立ち耳の猫もいる
- 生後3週間くらいから徐々に耳が折れてくる
- 運動量は少なめ
- 丸い顔と大きく丸い目
- 短毛種が一般的だが長毛種の猫もいる
- 成猫の大きさは平均的な猫と同じくらい
- 人懐っこく甘えん坊、おっとりとしているため多頭飼いにもぴったり
- メスよりオスの方が甘えん坊
- 遺伝性骨形成異常症、内臓の奇形、外耳炎などの病気に注意
- 折れ耳同士の交配は高確率で骨に障害が出るためタブー
- 長時間の留守番が苦手なのでなるべくストレスを感じさせないよう配慮が必要
- 折れ耳は特に耳に湿気がこもりやすいためこまめな耳の手入れが必要
- 寿命は10~13年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。