- 今回ご紹介するのは横須賀にある保護猫カフェ「和猫かふぇ」。豊かな自然に囲まれた古民家で暮らす6匹のスタッフ猫と4匹の保護猫たちはみんなとてものびのび。。。オーナー柳沢さんにたっぷりとお話を伺ってきましたよぉ。
横須賀にある築90年の古民家。
普通の猫カフェとはちょっと様子が違う。
暖かな日差しが差し込む縁側で、日向ぼっこしながらうとうとする猫。かと思えば16畳の広々とした和室内を風のごとく疾走する猫。そしてあちこちで繰り広げられる全日本子猫プロレス^^
そんな”思い思いに”過ごす猫たちを見ながら、思わず大の字になって寝転びたくなるような癒しの保護猫カフェ。それが今回ご紹介する「和猫かふぇ」だ。
和猫かふぇ自慢の猫たちや、オーナー柳沢さんの保護猫への熱い想い、お店のこだわりをご紹介します!
個性溢れるスタッフ猫たち
和猫かふぇには6匹の常駐猫スタッフ(オーナー柳沢さんの飼い猫)がいる。ではさっそくスタッフ猫のご紹介を。
会えたあなたはラッキー!まさかの猫嫌い店長だいふく
まずは店長。キジ白の「だいふく」。
が、、、、!いきなりの不在w
「店長なんですけど、猫が苦手でここに入れなくて。たまに玄関や廊下で会える幻の猫。会えたらいいことあるよ!っていうレア猫になってます^^」そう話すのはオーナーの柳沢さん。
ここにいる猫たちのなかで最年長、10歳のお爺ちゃん。
鶴見川の河川敷で乳飲み子の時に捨てられてるのを発見。「元々野良猫が多いところだったんですが、そのままにしておくとカラスに狙われてとても危険な場所で。見つけたのは私ではないんですが、発見した方が猫拾っちゃった!どうしよどうしよ!って困っていらして、、、それでもらってきた子なんです。ミルクから育ててもうあれから10年です。。。」
すでに高齢期に突入しただいふく。でもいまだに夜の運動会は絶好調という肉体派。
「病院で腎臓悪いよ!コレステロール値高いよ!って言われてるのに朝3時からおねだりですw」
そんなレアキャラだいふくにいつかいつか、お目にかかりたい^^
浮気心は無縁!一途男子すあま
続いては、キジトラの「すあま」くん5歳。埼玉の某駐車場で保護された子。
「まだ子猫だったんですが、ちょうど台風が二つ続けてくる時でそのままにしておくと危ないからと、ほぼ追い込み漁的な感じで捕獲機で捕まえました・・・。元々人馴れしていないのと、その時のトラウマが残っているらしく人見知りが治りません。私には慣れましたけど、私が不在の時に主人がお世話すると、主人のことは忘れていてあんただれ?って感じになっちゃうw」
営業時間外は下に降りて堂々としていることもあるけれど、時間になるとす~っとキャットタワーの上に上がってくつろいじゃう派。
最近はキャットタワーで眠れる余裕も出てきたけれど、最初の頃はまるでフクロウのごとく体全体を使ってお客様の動きをカクカクと追っていたとか^^
「猫は大丈夫なんですけど、知らない人が怖い。外で生き残るために人を見分けてた習性が残っているのかもしれないですけどね。」
飼い主さんには懐くけれど、飼い主さん以外が来ると避難する”生粋の家猫タイプ”。
「私にしか懐かないんですって飼い主としてはある意味幸せなんですけどね~。」
自分だけを想ってくれて、まっすぐで、ずっと寄り添ってくれる。そんな上から見下ろし系硬派男子にもご注目を。
▲にゃんと言われても下界はムリですって~
麗しのビッグボディ♡でもチワワに震え止まらず~ボス的存在にゃんまる
そしてこちらは和猫かふぇのボス的存在「にゃんまる」8歳。
昼間はほぼ寝ていて、珍しく起きてるとお客様から歓声が上がるとの噂あり^^
そんなほぼ不動のにゃんまるが唯一夢中になるのがエノコロ草。
「裏庭で育ててるんです。これだけは大好きで。この時しか逆に動かないw 夏だけ活発なにゃんまるです^^」
▲エノコロ命!
横浜の動物愛護センター出身の元飼い猫さん。子猫がとにかく大好きで、特に甘えん坊の子猫だとまるでお母さんのように頭からお尻まで舐め回して可愛がるんだとか。
大猫好きの方にはたまらない7kgの巨漢。ここに来た時からすでにこのサイズ、ごろ~んとお腹も触らせてくれるのでモフモフしたいお客さんには特に大人気だそう。
でも、にゃんまるには意外な弱点が。
「こんなずうたいして実は犬嫌いなんです。動物病院で初めてのワクチン受けにきました~みたいな小さなチワワに会った瞬間、もうキャリーがガタガタ揺れるくらい震えて。目はまんまる。瞳孔も開きまくって、、、犬だけはだめ。ワンと鳴くのがだめ。」
下克上でボスの座を狙う!大人猫担当よもぎ
そんなにゃんまるに代わって次期ボスの座を狙っているのが、同じく横浜動物愛護センター出身の「よもぎ」3歳。ちっちゃい頃はにゃんまるに可愛がられていたけれど、最近は下克上の真っ最中^^
▲おじさんなんだからそろそろ引退しなさい。
山の中でアライグマに襲われているところを、ちょうど通りかかったお散歩中ワンちゃんの飼い主さんが発見。動物病院に運ばれ、その後愛護センターに来たのだとか。
「病院育ちなんで病院ではすごい優等生。本当に診察しやすい!って先生にはすっごい褒められます。ストレス性の特発性膀胱炎を持っているんですけど、尿道にカテーテルを入れる時でも声を出さずに良い子に我慢してくれます。」
にゃんまると同じく面倒見のいいタイプだけど、にゃんまるが子猫係ならばよもぎは大人猫係。里親募集の子猫がたくさん入ってきて大人猫がちょっと浮いてると「仲良くなろうよ!」って声をかける空気読めるくんな一面も。
イケメンなのにお笑い系はく
和猫かふぇ一番の美男子「はく」3歳。こちらも横浜動物愛護センター出身。
「この子はちっちゃい頃何度も脱走しそうになって。。。今はおとなしいですけど当時は結構シャーシャーして噛み付いたり、豹変して手に追えなくなることも。。。だから譲渡対象から外したんです。」
イケメンなのに性格はお笑い系。壁を登ったり、鴨居にぶら下がって懸垂を始めたり、とときどき突拍子もない行動に出てお客さんを驚かせる^^
▲イケメンで通してるんだから、本性出させないでー
好きなことにはまっしぐら。今は子猫に譲ってる部分もあるけど、上手くじゃらすとパニックになった?って心配になるくらい夢中になって遊ぶそう。
最年少のツンデレ女王様いまり
そんなはくの自称?妻(笑)が三毛の「いまり」2歳。和猫かふぇの女王様。
自分が一番偉いと思ってて、通りすがりで他の子を叩くというなかなかな理不尽女子。でも、はくにだけは優しいそうw
おやつ命。他の子を可愛がるとヤキモチを焼く典型的なツンデレさん^^
まるで兄弟?気づくと絡み合う子猫たち
さて、そんな個性豊かなスタッフメンツに加えて、お次は保護猫ちゃんたちのご紹介。
現在、和猫かふぇには4匹の保護猫ちゃんがいる。(正確には1階のお部屋に3匹。2階のお部屋で訳あってひとり暮らししている「たま」の紹介はのちほど。。。)
おっとりだけど気は強めなひなた
まずは茶白の「ひなた」、もうすぐ4ヵ月。
マイペースでおっとりながら、意外と気は強め。横浜動物愛護センターでは”怖がり”レッテルを貼られていたとか。
絡み合い大好き。だいたい喧嘩の中心にいるのは彼だそう^^
▲3分に1回はデジャブなこの光景。。。^^
いたずら大好き!陽気な突進男子やまと
お次は茶トラ男子の「やまと」。みんなと同じく横浜動物愛護センター出身。愛護センターでは「いたずら注意」と言われていた猪突猛進系。
▲女子にも容赦なし。笑
人見知りなし。物怖じ無縁。茶トラらしい明るく楽しい子。
▲ぼく、なんにもしてにゃい。
ビビリだけど甘えん坊なかぐや
そしてこちらは黒猫の女の子「かぐや」。ちょっとビビりさんだけど慣れるとスリゴロに。
「女の子ってだいたいお客様から姫って呼ばれるんですよ。どうせ姫と言われるんだったら姫ってつけていい名前にしようということで”かぐや姫”。私たちを泣かせながら嫁いでしまうのね、いつか月からのお迎えが来るのねっていう姫ですねww」
▲わりとたくましいかぐや姫。笑
写真でも見ての通り、3匹の子猫たちはとにかくやんちゃ三昧。
「一匹ずつにするとこんなに激しくないんですけどね。子猫たちはもともと一緒にいた子たちじゃなくて、ここで初めて会った子たちなんですけど、もう兄弟みたいにじゃれあって追いかけっこ。この子たちだけじゃなくて代々どの子もこうなっちゃうんです、なぜか^^」
でも、子猫たちはこうして喧嘩をすることで噛む力の加減を学んでいく。激しすぎて大丈夫?と思うかもしれないけれど心配は御無用。同世代の仲間とのじゃれあい時間は子猫にとってとても大事なことなのだ。
里親募集は子供の頃から
この個性豊かな10匹と暮らしているのがオーナーの柳沢さん。一匹一匹の猫との出会いをまるで昨日のことのように語ってくれるその姿からは、心底猫のことを大切に想う気持ちが伝わってきた。猫たちに向ける眼差しはとてもあたたかい。
小さなころから柳沢さんのそばにはいつも猫がいた。
「祖母の家が農家だったので猫がいるのが当たり前っていう環境で。今みたいに猫をうちで飼うというよりも、ご近所同士で飼ってて家に来たらごはんをあげて。。。いろんなところでいろんな名前で呼ばれてるっていう飼い方ですよね。おばあちゃんちに行くといつもその子と遊んでました。」
柳沢さんのお母様も犬や猫を拾ってくるタイプだったそうで、気づくと猫がうちになんてことも多々あったとか。
「私も動物が大好きで、リスにうさぎに金魚、、、っていろんな動物を飼ってたんで、近所の友達からミニ動物園?って言われるくらいでした^^」
そんな柳沢さんは子どもの頃からすでに里親募集をやっていたそうで・・・。
猫を拾ってきては、「うちではこれ以上飼えないから里親さん探しなさい」と母に言われお友達に押し付けるっていう。。。子どもならではの里親募集ですね^^でも成長とともに、「これって迷惑だよね?って思って(笑)」
今でこそ保護猫活動は盛んだが、当時はまだそこまで知られておらず、悶々とすることも多かったそう。
「普通に猫もらってくださいってポスターを貼ってもなかなかね・・・。でもたしかに自分がもらいに行く側で考えると個人のおうちには行きづらい。行ったら絶対貰わなければみたいなプレッシャーがありますし。」
猫のいる喫茶店構想を経て
もともと喫茶店をやりたいと思っていた柳沢さん。そして、いつかその喫茶店で拾ってきた猫の里親募集ができたら、、、なんて夢もいつしか抱くように。
「お店にきたお客さんが喫茶店にいる猫を見て、この子かわいいね、もらえるの?みたいな感じでできたらいいなって。」
そんななか気づけば世間は空前の猫ブーム、猫カフェブームに突入。
保護猫カフェの存在を知った瞬間、柳沢さんは「あ、これじゃん!これ私やりたかったのよ!」と思ったそう。
それから少しずつ準備を進め、10年の月日が流れた。こうして今から4年前、ようやく念願のオープンにこぎつけたという。
▲思わず「ただいま」と言いたくなるエントランス。
猫の住みやすさを第一に
以前は横浜のマンションに住んでいたという柳沢さん。当初は自宅近くの店舗を借りてお店を開こうかとも思っていたそうだが・・・。
「営業時間外に猫を置いてくるのも心配だったし、ビルで外を見たときにただ車が走ってるだけだったりするのは猫も暇だろうなぁ、、と思ってしまって。幸せな猫を見てる方が人間も癒やされますので、まずは猫が住みやすそうなところでと、5年前にここへ越してきたんです。」
「洋風のサンルームがある部屋でもよかったんですけど、縁側で日向ぼっこしながらまどろんでるのって幸せなんだろうなって。鳥が来たり虫が来たりしてみんなでわーって盛り上がったりして。あとは思い切り走れる広さがあること。猫って意外と走ります。」
お庭には大きな池。近くの菖蒲園からはアオサギがやってくる。ときどきリスやタヌキも顔を出す。
「ここ横須賀だよね?って言いたくなるくらいいい意味で自然が残ってる。猫を飼っている家の猫を見に来る感覚で、ここの猫たちを見てもらえたらなぁと。」
なによりも猫にとっての一番を考えて。そんな柳沢さんの想いが詰まった場所で暮らす猫たちは、どの子も自分らしくのびのびと過ごしている。