- スレンダー美人のアビシニアンは見た目に反してやんちゃ、室内でも猛スピードで駆け回る活発な猫ですよぉ。一見クールに見えますがかなりの甘えん坊、飼い主さんに甘い鳴き声で話しかけてついて回る姿がとってもかわいらしいですねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
すらりとした抜群のスタイルながら、やんちゃでイタズラ好きなアビシニアン。
大きな耳、大きなアーモンド型の目が特徴。意外と筋肉質なので太りやすい面も・・・。
運動大好きなので、飼うときはキャットタワーなど運動できる環境を整えてあげるのがポイント。
甘えん坊なところもあるので、家に帰ったらたっぷり遊んであげると喜んでくれますよ。
今回はそんなアビシニアンのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
アビシニアンの起源には諸説あり、原産国もエジプト、エチオピア、イギリス、インド、日本などさまざまな国が挙げられます。近年の遺伝子解析の結果から、インド洋ベンガル湾周辺の土着猫がルーツとされる説が有力視されています。
現在のアビシニアンは、1868年のアビシニア戦争の際、イギリス兵がアビシニア(現エチオピア)から持ち帰った「ズーラ(zula)」と呼ばれる猫が品種改良されたものと言われています。「アビシニアン」という名前もここからきているのだとか。
1871年、イギリスで開かれた世界初のキャットショーに「ズーラ」は登場し、多くの愛猫家を魅了。1896年にはイギリスの猫血統登録団体GCGFに登録され、1910年にはアメリカに渡ります。20世紀の始め頃、イギリスでは一時絶滅の危機となりましたが、アメリカやフランスの協力もあり、1930年代に復活を果たします。
1938年アメリカのキャットショーに初登場してからは、さらに人気が高まり、その後デンマーク、スウェーデン、オランダ、オーストラリア、日本など世界各国へと広まったのだそう。
日本国内に初めて輸入されたのは1964年のこと。故・森春子さんが飼われていた猫が日本初のアビシニアンと言われています。
特徴
ではさっそく、アビシニアンの主な特徴を見ていきましょう。
- 大きな耳、大きなアーモンド型の目
- フォーリンタイプのすらりと筋肉質な中型種
- 毛色はブルー、ルディ、レッド、フォーンの4色
大きな耳、大きなアーモンド型の目
大きな耳と大きなアーモンド型の目が特徴。
先端がとがっている耳の先には長い毛束がふさふさと生えています。アーモンド型の目の色はグリーン・琥珀・ゴールドの3色。アイラインを入れたように美しい目元が印象的です。
フォーリンタイプのすらりと筋肉質な中型種
「フォーリンタイプ」と呼ばれるスタイル抜群のスリムな体つきをしています。細身ですが筋肉質で引き締まっており、体重は一般的な猫よりもやや軽めの約3~4kg。
体に比べてやや長めで先端に向かって細くなるしっぽも特徴の一つです。
細い足でまるでバレリーナのようにつま先立ちする姿から「バレエキャット」と呼ばれることも。
毛色はブルー、ルディ、レッド、フォーンの4色
代表的な毛色は4色です。
- ブルー・・・グレーベージュ
- ルディー・・・暗めの茶色
- レッド・・・赤みがかった茶色
- フォーン・・・ピンクがかったココア色
猫血統登録団体によっては、チョコレート、ライラック、シルバーなどを認めているところも。
1本が3~6色から成る特徴的なグラデーションカラーは「アグーティーダビー」と呼ばれています。深みのある美しい被毛は、光の加減や身のこなしによりさまざまな輝きを魅せます。
子猫期には「ティックドタビー」と呼ばれる細かい縞模様が足や首、しっぽに見られますが、大きくなるにつれ模様は薄くなります。
- アビシニアンというと、他の猫にはなかなか真似できないつま先立ちが特徴ですよねぇ。スリムでスタイルも抜群!あのアーモンド型の目には吸い込まれそうですよぉ。
- ぼく、つま先立ち真似してみたんですが、足がつりそうに、、、「バレエキャット」なんてステキなネーミング!ぼくにもそんなかっこいい名前ほしいなぁ~
大きさ
続いては、アビシニアンの大きさについてです。
子猫の平均体長と体重(生後3ケ月)
- 体長 約20cm
- 体重 約1kg
個体差はありますが、体長・体重ともに子猫期の2.5倍~3倍に成長します。
成猫の平均体長と体重
- 体長 オス約40~60cm メス約40~60cm
- 体重 オス3~5kg メス3~4kg
一般的な猫に比べると体長・体重ともにやや小さめ。短毛種のみなので見た目も小ぶりな印象です。
「フォーリンタイプ」と呼ばれる筋肉質なスレンダー体型が特徴的。やや丸みのある逆三角形のフェイスライン、細く引き締まった足がとても優雅な印象です。
体長はオスとメスでほとんど変わりませんが、体重はオスの方がやや重いようです。
性格
続いてはアビシニアンの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 好奇心旺盛でイタズラ好き
- 甘えん坊で飼い主とのコミュニケーション好き
- 賢くしつけやすい
好奇心旺盛でイタズラ好きな性格から、部屋を猛スピードで駆け回ったり、高いところから物を落としたり、かなりやんちゃな印象。運動神経も良く、家の中を縦横無尽にジャンプして飛び回るため、時折室内でも行方不明になることがあるのでご注意を^^。
また、優雅な見た目とは裏腹にとても甘えん坊な性格です。猫は一般的にクールな印象が強いですが、アビシニアンに限っては猫らしい気取ったところがあまり見られません。飼い主さんとのコミュニケーションが大好きで、常に飼い主さんの後ろをついて回ったり、繊細な鳴き声で話しかけてきたりする可愛い一面も。
非常に賢く、人の言葉を理解できるとも言われています。名前を呼ぶとすぐに返事をして駆け寄ってきたり、ボールを投げれば取ってきたりすることから「犬のような猫」と呼ばれることも。しつけやすい猫としても知られています。
オスはメスに比べて甘えん坊
オスはメスに比べてさらに甘えん坊タイプの猫が多いと言われています。メスも甘えん坊ではありますが、オスほど愛情表現が強くはないようです。
- 見た目はとっても優雅ですが、やんちゃ度は猫界のなかでも1.2を争いますよねぇ。とにかく好奇心旺盛でよく走り回りますし、高いところから物は落としますし、室内でも行方不明になることが多々、、、
- ぼくもまぁまぁ活発な方だと思うんですけど、はるか上な気がします。でも人間の言葉が分かるなんて賢いところもあるんですねっ。ここはぼくと違う~(T_T)
かかりやすい病気
続いては、アビシニアンがかかりやすい病気についてです。
- 網膜変性疾患
- 重症筋無力症
- アミロイドーシス
網膜変性疾患(もうまくへんせいしっかん)
眼球の奥にある網膜が変形し、さまざまな視覚障害を引き起こす病気です。
原因の多くは遺伝ですが、なかには以下のような後天的な原因も考えられます。
- 栄養不足(タウリン欠乏性網膜変性症)
- 他の目の疾患
- 薬剤中毒
- 全身性の疾患の合併症
主な症状は以下の通りです。
- 動くものを目でうまく追えない
- 夜間にものが見えにくい
- 涙が増える
- 明るい場所でも瞳孔が開いた状態
- 目が光って見える
- 充血
症状が進行すると失明に至ることもあるため、日頃から気になる症状がないかしっかり観察しておくことが大切です。有効な治療法はありませんが、原因によっては進行を抑えることもできます。
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)
神経から筋肉に対する指令が上手く伝わらなくなり、四肢に異常をきたす遺伝病です。
特に3歳以上の猫がかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 筋力低下
- 歩行困難
- 足に力が入らない・もつれる
- 食べ物が上手く飲み込めない
- 起き上がれない
- 食道アカラシア(食道の機能障害)
筋肉の機能を一時的に回復させる薬剤(塩化エドホロニウム)を投与して症状がよくなるかどうかで診断を下します。主な治療法は投薬と食事療法です。
アミロイドーシス
アミロイドと呼ばれるタンパク質が細胞間に沈着することで、内臓機能の障害を引き起こす病気です。腎臓に付着した場合は「腎アミロイドーシス」、肝臓に付着した場合は「肝アミロイドーシス」と呼ばれます。脾臓に付着した場合は糖尿病を引き起こすこともあります。
主な原因は以下の通りです。
- 遺伝
- 免疫介在性疾患(めんえきかいざいせいしっかん)
- 慢性的な感染症・腫瘍
主な症状は以下の通りです。
- 食欲低下
- 体重減少
- 元気がない
- たんぱく尿
- 多飲多尿
- 慢性腎不全
- 肝不全
- ネフローゼ症候群
主な治療法は投薬と対症療法、安静です。腎臓は一度悪くなると回復することはない臓器と言われており、長期に渡る点滴治療や食事療法で病気の進行を防ぐのがメインとなります。
アミロイド-シスが原因で慢性腎不全になった場合、残念ながら1年以内に猫が亡くなってしまうことが多いようです。
- 気をつけたい病気は、「網膜変性疾患」「重症筋無力症」「アミドイローシス」ですねぇ。
- 失明したり、歩けなくなったり、、、アミドイローシスなんかは進行すると命にかかわる怖い病気。。。少しでも気になる症状があったらすぐに病院ですね。
飼い方
アビシニアンを飼うときには以下のような点に注意しましょう。
- 運動ができる環境
- 積極的なコミュニケーション
- 肥満にならないよう体重管理
- 定期的なブラッシングとシャンプー・爪のお手入れ
運動ができる環境
運動能力が高く好奇心旺盛なので、十分に運動ができる環境を作ることが大切です。高さのあるキャットタワーやおもちゃなどがあると喜んで遊んでくれるでしょう。
ただし、イタズラ好きな性格でもあるので、落とすと壊れてしまうようなもの、毒性のある観葉植物などは置かないよう注意を。また、興奮して脱走し行方不明になってしまうのを防ぐため、ドアや窓の開けっ放しにも注意が必要です。
ジャンプ力があることから怪我もしやすいため、家具に保護材をつけるなど安全に走り回れるような工夫も大切です。
鳴き声は小さいものの、こうした運動量の多さからマンションなどの集合住宅で飼う場合は階下への騒音にも注意が必要です。
積極的なコミュニケーション
飼い主さんとのコミュニケーションが大好きで甘えん坊なので、時間がある限り積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
飼い主さんが留守がちな場合は、キャットタワーや多頭飼育などでストレスを紛らわせる工夫をし、留守番の後はたっぷり遊んであげましょう。
また、非常に賢くしつけやすい猫ですが、イタズラに対して大声で怒鳴ったり叩いたりすると大きなストレスを与えてしまうことに。しつける時は優しく諭すようにしましょう。
肥満にならないよう体重管理
運動量が多いぶん食欲も旺盛なので、肥満になりやすい体質でもあります。
肥満になるとさまざまな病気を引き起こす可能性があるため、体重を見ながら食事量を調整して与えることが大切です。甘え上手な猫ですが、欲しがるままにおやつをあげないよう注意しましょう。
猫にとって大切なエネルギー源はたんぱく質です。
キャットフードを選ぶ際は、良質な原材料、高たんぱく、低炭水化物のものを選ぶと良いでしょう。
アビシニアンの食事について詳しくは、こちらの記事でご紹介しています。是非参考にしてくださいね。
定期的なブラッシングとシャンプー・爪のお手入れ
短毛種なので被毛のお手入れは簡単です。コミュニケーションを兼ねて1日1回丁寧にブラッシングをしてあげると、被毛のグラデーションの輝きがさらに増します。
また、水が好きな猫としても知られているので、月1回程度シャンプーをしてあげるとさらに清潔を保つことができるでしょう。
好奇心旺盛でカーテンをよじ登ることも頻繁にあるため、爪のお手入れは2週間に1度行いましょう。上手くできない場合は、動物病院やトリミングサロンを利用するのもひとつの方法です。
ブラッシング、シャンプー、爪のお手入れともに、子猫のうちから慣らしておくと成猫になってもお手入れしやすいでしょう。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫のシャンプーのコツ、猫の爪切りのコツ
寿命
アビシニアンの平均寿命は10~13年と言われています。 猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命よりやや短いようです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。肥満になりやすいため特に体重管理には注意しましょう。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決まめておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、アビシニアンに関するよくある質問をまとめています。
ペットショップでの値段の相場は約10~20万円ですが、大きさや性別、毛並み、顔つきなどによって相場より高くなる場合もあります。ブリーダーから直接購入する場合の相場は約5~10万円です。一般的に成猫より子猫の方が高い傾向があります。また、人気の毛色である「ブルー」の値段は他の毛色より高く設定されています。
短毛種のアビシニアンのなかで、ごく稀に生まれる長毛種だけを交配させて生まれたのがソマリです。ソマリとの違いは毛の長さだけで、その他の体の特徴や性格はほとんど同じです。
そのため、被毛の長さ以外の特徴で違いを見分けるのはほぼ不可能に近いでしょう。
好奇心旺盛でイタズラ好きな反面、神経質な性格から、「シャーッ」と威嚇する、突然襲いかかってくるなど、時折やんちゃ度が増してしまうことがあるようです。
凶暴化する主な原因はこちら。
- 環境の変化によるストレス
- スキンシップによるストレス(スキンシップ不足、過度なスキンシップ)
- 嫌がる行動をした(大声で怒鳴る、叩く、大きな音、柑橘系のニオイなど)
- 病気(肝性脳症、知覚過敏症)
凶暴化したときには以下のような方法で対処すると良いでしょう。
- 別室・ケージに隔離
- 冷静に対応(一緒にパニックにならない)
興奮して飼い主さんに襲いかかることもあるため、しばらく落ち着くまで隔離して様子を見ることが大切です。突然豹変したからといって、撫でたり声をかけたりするのはかえって危険です。大事なのは冷静に対処すること。猫と一緒になってパニックを起こしてしまうと、さらに刺激を与えてしまうので注意してくださいね。
- 飼うときのポイントとしては、「運動できる環境」「コミュニケーション」「肥満対策」「ブラッシングや爪のお手入れ」などですねぇ。
イタズラ好きで有名な猫なので、壊れて困るようなものは置かないことが大事ですよぉ。
- しかも平気で脱走しちゃいますしね、、、ドアや窓は絶対あけっぱなしにしちゃダメですっ。威嚇してきたらパニックになっちゃいそうですけど、そこはどーんと構えて冷静になることが大事なんですね。
まとめ
アビシニアンのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- インド洋ベンガル湾周辺の土着猫がルーツとされる説が有力
- 大きな耳、大きなアーモンドアイ
- フォーリンタイプと呼ばれるスリムで筋肉質な体つき
- 毛色はブルー、ルディ、レッド、フォーン、1本が3~6色から成る
- 体長・体重ともに一般的な猫に比べてやや小さめ
- 好奇心旺盛でイタズラ好き
- 甘えん坊で飼い主とのコミュニケーション好き
- 賢くしつけやすい
- 網膜変性疾患、重症筋無力症、アミロイドーシスに注意
- 運動量が多いためキャットタワーなど運動できる環境を
- 危険なものを置かない、ドア・窓を開けっ放しにしないなどの注意が必要
- 甘えん坊なのでできるだけ積極的にコミュニケーションをとる
- 食欲旺盛で太りやすい体質のため食事量に注意
- 適度なブラッシングとシャンプーで被毛ケア、こまめな爪のお手入れも
- 寿命は10~13年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。