猫はキャットフードの炭水化物を消化できる?とりすぎによる健康への影響

2018-11-30

猫ねこさん

猫はキャットフードの炭水化物を消化できる?とりすぎによる健康への影響

猫ねこさん
キャットフードの炭水化物は製造過程で消化されやすくなっているんですよぉ。私たちは炭水化物なしでも生きていけますが、本来の「丸ごと動物を食べる」栄養バランスを補うためにも少量の炭水化物はとったほうが良いんですよぉ。
猫ねこ部編集室 ディレクター 木原優子
【監修】ペットフード販売士
猫ねこ部編集室 ディレクター

木原優子

猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。

市販のキャットフードには、米や小麦などの穀物やイモ類などの炭水化物が多く使われているものがあります。

「人間は炭水化物なしに生きていけないけれど、猫も同じ?」
「そもそも猫って炭水化物を消化できる?キャットフードの炭水化物ってどれくらいが適量?」
など、キャットフードに含まれる炭水化物について知りたいという人も多いと思います。

そこで今回は、キャットフードの炭水化物の役割やとりすぎによる猫への影響について詳しく説明します!

炭水化物とは

炭水化物とは、体内で消化吸収されエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されない「食物繊維」をあわせた総称です。

単糖類と二糖類を「糖類」、炭水化物から食物繊維を除いたものを「糖質」と呼びます。

糖種類

引用:シュガーカットレシピ倶楽部

糖質

糖質には、以下のようにさまざまな種類があります。

炭水化物糖質単糖類グルコース(ブドウ糖)
フルクトース(果糖)
ガラクトース
二糖類マルトース(麦芽糖)
スクロース(ショ糖)
ラクトース(乳糖)
多糖類デンプン
グリコーゲン
デキストリン
少糖類オリゴ糖
糖アルコール類キシリトール、マルチトール
高甘味度甘味料アセスルファムカリウム、スクラロース
食物繊維水溶性食物繊維ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど
不溶性食物繊維セルロース

以下、それぞれについて説明します。

単糖類

糖の最小単位。甘味があり、水によく溶けます。

猫は、果物に含まれるフルクトース(果糖)を消化する酵素「フルクトキナーゼ」を持ってないため、果物を大量に与えると下痢を起こしてしまう場合があります。

  • グルコース(ブドウ糖)・・・脳や体を動かすエネルギー源。穀類や果物に根菜類に多い。摂取した脂質やたんぱく質などから体内でも合成される。
  • フルクトース(果糖)・・・糖類のなかで最も甘く消化吸収が早い。果物やはちみつに多く含まれる。
  • ガラクトース・・・乳汁に多く含まれる。

二糖類

単糖が2つつながったもの。甘味があり、水によく溶けます。

猫は、牛乳に含まれるラクトース(乳糖)を消化する酵素「ラクターゼ」活性が低いため、牛乳を飲むと下痢を起こしてしまう場合があります。

  • マルトース(麦芽糖)・・・グルコース+グルコース/麦芽や水あめに多く含まれる
  • スクロース(ショ糖)・・・グルコース+フルクトース/砂糖に多く含まれる
  • ラクトース(乳糖)・・・グルコース+ガラクトース/母乳や牛乳に多く含まれる

多糖類

単糖が多数つながったもの。甘味はなく、水には溶けません。

キャットフードに含まれる炭水化物(主に穀類、イモ類、豆類など)はこちらになります。

  • デンプン・・・穀類、イモ類、豆類に多く含まれる。
  • グリコーゲン・・・動物の肝臓や筋肉に、肝グリコーゲン、筋グリコーゲンとして貯蔵される。
  • デキストリン・・・デンプン分解時に生成される。

少糖類(オリゴ糖)

単糖が2~10個程度つながったもの。砂糖に比べカロリーは控えめで、腸内ビフィズス菌の栄養源となります。

糖アルコール

糖類を還元(水素を添加)して作られる甘味料。糖類よりもカロリーが低め。口内細菌の栄養源にならず、虫歯になりにくい性質があります。

高甘味度甘味料

砂糖に比べ、数百~数千倍の甘味がある甘味料。

食物繊維

多糖類のなかで、消化酵素によって消化できない成分は「食物繊維」に分類されます。米ぬか、大豆繊維、柑橘類の果肉などに多く含まれています。

水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」があり、腸内環境を整える役割があります。

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猫ねこさん
糖質と食物繊維をひっくるめて炭水化物と呼んでいるんですねぇ。そのなかでも体内で消化吸収されるものが糖質なんですよぉ。
食物繊維も炭水化物の仲間なんですねっ。消化できるかどうかの違いで分類されてるんですね。
クロベエ

炭水化物の消化の仕組み

キャットフードに含まれる炭水化物は、主にデンプン(多糖類)です。

ここでは、デンプンで消化される仕組みについて説明します。

  • デンプンはそのままでは消化できない、加熱し糊化することで消化しやすくなる
  • グルコース(ブドウ糖)は消化吸収されやすく、エネルギー源となる

デンプンはそのままでは消化できない、加熱し糊化することで消化しやすくなる

猫の唾液中には、デンプンを分解する「アミラーゼ」という酵素が含まれていません。

膵臓から出される膵液にも「アミラーゼ」は含まれていますが、犬のわずか5%しかなく、猫はデンプンの消化が苦手です。

また過去の獣医学の文献でも、猫は多量の炭水化物を効率的に利用する能力には限界があると報告されています。例えば、猫の小腸ではスクラーゼ、ラクターゼなどの二糖類の分解酵素の活性が低い(Kienzle1993)、猫の唾液中にはアミラーゼがありません、また膵臓のアミラーゼも、猫の場合は、犬のわずか5%しか産生しません(Kienzle1987,1993)。

引用:三鷹獣医科グループ/猫のための最適な食餌

ですが、デンプンは糊化され消化しやすくなります。

キャットフード(ドライフード)は、エクストルーダー法(※)によって作られており、この方法によって、キャットフードに含まれるデンプン類は糊化されています。

※エクストルーダー法・・・原材料を混ぜ合わせ、エクストルーダーという押し出し成形機を使って120~160℃まで加熱・加圧する製造する方法

グルコース(ブドウ糖)は消化吸収されやすく、エネルギー源となる

糊化されたデンプンは体内で分解され、グルコース(ブドウ糖)になります。グルコース(ブドウ糖)は体内に吸収されると、体を動かすエネルギーとして使われます。

グルコースの消化吸収の流れは以下の通りです。

①小腸:膵液に含まれるアミラーゼ、マルターゼ、ラクターゼによってグルコースに分解される
②分解されたグルコースは血液中に入り、全身の細胞へ取り込まれる
③細胞ではヘキソキナーゼという酵素によりエネルギーに変えられる
④余ったグルコースは脂肪細胞に蓄えられる

猫ねこさん
糖質のなかでもブドウ糖はそのまま消化吸収されるんですが、デンプンはそのままじゃ消化できないんですよぉ。水を加えて加熱することで消化しやすくなるんですねぇ。
同じ糖質でも種類が違うと、消化できるかどうか違ってくるんですね。たしかに、生のお米は食べられないけれど、炊いたお米なら食べられますもんねっ。
クロベエ

猫はキャットフードの炭水化物を消化できる

前述のように、猫はデンプンを消化するのが苦手ですが、市販のキャットフードに含まれるデンプンはすぐに消化することができます。

なぜなら、ドライフードの製造過程において加熱・加圧され、デンプンが消化されやすい状態に糊化されているからです。

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猫に炭水化物は必要?

猫は、生きていくために必ず動物性たんぱく質を必要とする「肉食動物」です。

猫は、たんぱく質や脂肪からグルコースを作りエネルギー源にすることができるので、本来炭水化物は必要としないのです。

ただし、だからといって「炭水化物が全く不要」というわけではありません。

野生の猫は、ネズミや小鳥などの小動物を「丸ごと」食べます。つまり、動物を丸ごと食べることで、たんぱく質だけでなく、炭水化物やビタミン、カルシウム、ミネラルなどさまざまな栄養素を体に取り込んでいるのです。

こうしたことから、猫の理想的な食事は、「肉類が中心で、丸ごと動物で摂っていたビタミンやミネラルなど、様々な栄養バランスを補うために、少量の野菜類や炭水化物もとったほうが良い」と言えます。

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炭水化物の与えすぎには注意

炭水化物は、あくまで適量であることが重要です。

40%以上の炭水化物は、消化機能の低下(下痢、嘔吐、鼓腸(※)など)や高血糖を引き起こすとの報告があることから、キャットフードに含まれる炭水化物量には注意した方が良いでしょう。

40%以上の炭水化物は、消化機能の低下(下痢、嘔吐、鼓腸等)や高血糖を引き起こすと報告(Meyer&Kienzle1991)されています。

引用:猫のための最適な食餌/三鷹獣医科グループ

※ 鼓腸(こちょう)・・・腸内にガスが充満して、腹部のふくれる症状

よくある質問

炭水化物の多いフードは肥満や糖尿病の原因になる?

現時点では、高炭水化物フードと肥満や糖尿病の関係性を示す科学的なデータはないようです。

しかし、炭水化物を40%以上含む場合は、猫の消化機能に影響を及ぼす危険性がありますので、炭水化物量の多すぎるフードは避けた方が良いでしょう。

まとめ

猫は肉食動物ですので、動物性たんぱく質は必ずとる必要がありますが、炭水化物は必ずしも必要ではありません。しかし、本来動物を丸ごと食べることで、たんぱく質以外の必要な栄養素もとっていたことから、少量の炭水化物はとった方が良いと言えます。

キャットフードの炭水化物は、製造段階で加熱・加圧されることで消化されやすくなっていますが、多くとりすぎると体に悪影響を及ぼす可能性があります。キャットフードの炭水化物量が40%以上を超えるものは避けた方が良いでしょう。

  • 炭水化物とは体内で消化吸収できる糖質と、消化吸収できない食物繊維の総称
  • 果物に含まれるフルクトースを消化する酵素を持たない
  • 牛乳に含まれるラクトースを消化する酵素活性が低い
  • 食物繊維には腸内環境を整える役割がある
  • グルコースは消化吸収されやすくエネルギー源となる
  • デンプンはそのままでは消化吸収できないが、加熱し糊化することで消化しやすくなる
  • 猫の唾液にはデンプンを分解する酵素がなく、膵液の酵素活性も低い
  • 市販のキャットフードは製造段階でデンプンが消化されやすい状態に糊化されている
  • 猫は本来動物を「丸ごと」食べる動物なので、肉類だけでなく炭水化物やビタミン、ミネラルなども摂取した方が良い
  • 40%以上の炭水化物は消化機能の低下、高血糖を引き起こす可能性あり
猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。