- 猫も熱中症になるって皆さん知っていましたかぁ?でも飼い主さんがしっかり対策すれば防げるもの。しっかりそのポイントを押さえて、夏バテしないようにしましょう~
暑くなってくると心配なのが、猫の「熱中症」。
「室内飼いだから大丈夫でしょ」と思うかもしれませんが、実は人間と同じように部屋の中にいても熱中症のリスクが。
そこで、今回は獣医師の平松育子先生監修のもと、猫の熱中症の6つの対策についてご紹介。
熱中症の症状や熱中症になったときの応急処置についても詳しく説明していますので、是非参考にしてくださいね。
猫も熱中症になる?
猫は健康であれば自力で体温調節して、体温を一定に保つことができる動物です。
しかし、高温多湿の環境に長時間いると、体温調節がうまくできなくなってしまいます。というのも、猫の汗腺はからだのごく一部(足の裏側や鼻の頭あたり)にしかないため、人間のように全身から汗を出して体温を下げることができないのです。また、犬のように舌を出して熱を逃がすこともできません。
すると体温の上昇が抑えられなくなってしまい、熱中症を引き起こす可能性があります。
どんなときに熱中症になりやすい?
でも、猫は基本室内で過ごすことがほとんど。「室内にいるのに熱中症にかかるの?」と思いますよね。
もちろん、お散歩に出かけるワンちゃんと比べれば熱中症のリスクは低いのですが、室内飼いでも熱中症のリスクは潜んでいます。
全国の犬猫飼育者を対象としたアンケート調査によると、「家の中でお留守番中」や「家の中で一緒にいるとき」に熱中症になってしまった猫が大多数でした。
引用:ペットの熱中症と対策 平成31年度熱中症対策シンポジウム
具体的には、次のようなシチュエーションで熱中症にかかりやすいと言われています。
- 高温多湿(エアコンなし)の部屋で体を冷やす場所がない
- 閉め切った車内(キャリーケース内)に閉じ込められる
- 高温で風通しの悪いケージなどに閉じ込められる
- ガレージや物置などに入り込んで閉じ込められる
- 長時間、水分をとることができない
- 前日との気温差が大きい
- 気温は高くないが湿度が高い
- 屋外で暑さの厳しい時間帯に長時間直射日光を浴びる
猫の熱中症の症状
では、猫が熱中症になったら、いったいどんな症状が見られるのでしょうか。重症度で分けて説明します。
猫は自分の体調が悪くても隠す習性がある動物です。重症になると命にも関わりますので、早い段階で気づいてあげられるよう、普段から猫の様子をしっかり観察するようにしましょう。
<軽度>食欲・元気がない、呼吸が早い
- 食欲がない
- 元気がない
- いつもと比べて呼吸がやや早い
猫の平常時の呼吸数は1分間に20~40回(寝ている時は15~25回)と言われています。安静時のお腹の上下動を見て呼吸数を確認し、いつもよりも早くなっている場合は要注意です。
猫の場合、毎分20~40回程度、また寝ているときは15~25回程度と少なくなるのが通常です。
愛猫が安静時(寝ている時など)に、1分間、胸の上下運動の回数を測ります。胸が上下して一回の呼吸とカウントします。
10秒間測定して6倍、または15秒間測定して4倍することで、1分間の呼吸数とすることもできます。引用:日本動物医療センター
<中度>口を開けて呼吸する、40℃近くの高熱、嘔吐・下痢、脱水
- 口を開けて呼吸する
- 40℃近くの高熱が出る
- 嘔吐・下痢
- 脱水
口を大きく開けてハァハァと呼吸し始めたらさらに状態は深刻です。猫は鼻呼吸をする動物なので、基本的に口で呼吸することはありません。荒い口呼吸をしているときはすぐに動物病院で診てもらう必要があります。
また、耳や肉球を触るととても熱く感じるでしょう。猫の平熱は38~39℃(子猫はそれよりやや高く、シニア猫はやや低い)ですが、その時点ですでに40℃近い高熱が出ている可能性があります。
<重度>大量のヨダレ、足元のふらつき、チアノーゼ、けいれん
- 大量のヨダレが出ている
- 足元がふらついている
- 目や口の粘膜の充血
- チアノーゼ(舌や粘膜が真っ青になる)
- けいれん
- 意識が混濁する
- 血圧低下などのショック症状
重度になると、足元がふらついたり大量のヨダレが出てぐったりとします。また、目や口の粘膜が充血することも。さらに症状が進行すると、血圧低下などのショック症状を起こし、最悪の場合命を落とす可能性もあります。
- 私たちって人間みたいに全身で汗をかいて体温を下げるってことができないんですねぇ。熱中症にかかって重症化すると命にも関わりますから油断は禁物ですよぉ。
- 汗びっしょりとかないですもんね。全身ぺろぺろ舐めるくらいですし^^最近の夏はめちゃくちゃ暑いから気をつけないとです!
猫の熱中症を防ぐ方法
では、猫の熱中症を防ぐためには日頃からどんなことを心がければよいのでしょうか。5つのポイントをご紹介します。
エアコンを使って室温・湿度管理をする
飼い主さんが家にいるときはもちろん、外出中や寝ているときも、エアコンを使って室温・湿度管理をしましょう。
室温が26~28℃以上になったら、本格的な真夏になる前でも迷わずエアコンをつけるように。高湿度に弱い猫のために梅雨時には除湿モードを活用してください。
設定温度は、一般的に猫が心地よく感じると言われている以下に設定しましょう。除湿機能を使って湿度設定もできればなお良いですね。
- 温度:26~28℃
- 湿度:40~60%
ただし、エアコン嫌いの子や体が冷えすぎてしまった時のために、いつでも他の部屋へ逃げられるようにしておきましょう。エアコンの風が直接当たらないよう、風向きを調節したり毛布などを用意しておく気遣いも大切です。
また、夏場は落雷による停電の可能性も。長時間留守にする場合は、エアコン以外の暑さ対策を考えておくことも大切です。
エアコンを使うときの注意点については、こちらの記事も参考にしてくださいね。
関連記事:猫の適温ってどれくらい?エアコンの設定温度と注意点
いつでも好きなときに新鮮な水を飲めるようにしておく
脱水を防ぐためにも、いつでも好きなときに新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。器が倒れないように配慮し、空になっていないかこまめにチェックを。
多頭飼いの場合は、頭数より器の数を多く用意するようにしてください。留守中でも新鮮な水が飲めるよう、自動給水器を使うのもおすすめです。
普段からあまり水を飲まない子であれば、水を飲ませる工夫を色々と試してみてくださいね。
- 水飲みの器の材質を変える
- ひげが当たらない浅く広い器に変える
- 器を置く台の高さを変える
- 器を置く場所を変える
- 水飲み場を増やす
- ウェットフードを与える
- ドライフードをふやかして与える
- 食事の回数を増やす
- こまめに取り替える
- 好みの水を与える
- 流水を与える・循環式流水器を使う
逃げ場になる涼しい場所を用意しておく
「夏場はフローリングや大理石、ガラスのキャットウォークの上が定位置」なんて子もいますよね。猫は暑いと感じたら部屋のなかで涼しい場所を勝手に見つけるので、自然に涼める逃げ場をいくつか用意しておくと良いでしょう。
- 直射日光の当たらないフローリングの部屋を開放
- トイレやお風呂場を開放(浴槽の水は必ず抜く、トイレのフタは閉じる)
- アルミプレートやクールマットなどのひんやりグッズを設置
- 凍らせたペットボトルをタオルに包んで置いておく
- すだれをかける、遮光カーテンをする
- 風通しを良くする(脱走防止のため網戸用ロックなどを取り付ける)
市販の保冷剤には注意を!
市販の保冷剤のなかにはエチレングリコールやプロピレングリコールを使用しているものがあります。
猫はエチレングリコールを舐めると腎不全で死亡する恐れがあります。また、猫がプロピレングリコールを舐めると赤血球にハインツ正体の増加や赤血球数の変化が見られると言われており、キャットフードへの添加も認められていません。成分の分からない保冷剤は絶対に使わないよう注意してください。
ケージに入れておくときには設置場所に注意、予備の水を用意して
ケージに入れて留守番させる場合には、次のようなことに気をつけましょう。停電になったときのことを考え、いざというときに体を冷やせる対策をしておくと安心です。
- 風通しの良いところにケージを置く
- 直射日光の当たらない場所にケージを置く
- アルミプレートやクールマットなどのひんやりグッズを用意しておく
- 予備の水を用意しておく
猫が入り込みそうな狭い場所を塞いでおく
普段から、猫が入り込みそうな狭い場所を塞いでおくことも大切です。家のなかに、猫が好きそうな隠れ場所かつ直射日光が当たる場所はありませんか?今一度、部屋の中を見渡して対策をしておきましょう。
また、ガレージや物置、倉庫なども注意を。外猫さんが入り込んでしまうことも考えられます。
キャリーケース内が熱くならないよう工夫を、車内には絶対に残さないで
猫と一緒にお出かけするときにも注意が必要です。
キャリーケースに入れて移動する際は、直射日光が当たらないよう気をつけて、中にタオルでくるんだ保冷剤を入れたり、アイスジェルマットを敷いてあげると良いでしょう。
また、車内でも直射日光が当たらないようケースの置き場所に注意を。人間の場合もそうですが、ほんのわずかな時間であっても、エアコンをかけていたとしても、猫を車内に置いて離れることは絶対にしないでください。
- 動物病院とか行くときのキャリーケースも気をつけないとですねぇ。ほんのちょっとの時間であっても、車内には絶対に残さないようにしてくださいねぇ。
- 普段お家にいても熱中症になる危険っていっぱいあるんですねっ。夏場は台風とかで停電しちゃうこともあるし、いろいろ対策しとかないとっ。
熱中症になったときの応急処置と治療
熱中症になったら、一刻も早く体を冷やす必要があります。次のような応急処置をしつつ、動物病院へ連絡を入れ獣医師の指示に従ってください。
すぐに回復したとしても、脳や内臓に障害が起こることもあるので、必ず動物病院で診てもらいましょう。
病院では、これらの処置とあわせ、猫の状態に応じて脱水改善のための点滴治療や、ショック症状を防ぐためのステロイド剤投与などを行います。
保冷剤などで体を冷やす
まずは猫を涼しい場所へ連れていき、保冷剤や濡らしたタオルで首、脇、後ろ足の付け根などを冷やしてあげてください。水で濡らしたタオルで全身をくるんだりしても良いでしょう。
ただし、体温が下がりすぎてしまうと低体温症になってしまう恐れがあるので、氷水などは使わないように。
冷やしている間にも体温を測り、熱が39℃くらいまで下がり、ハァハァという口呼吸がおさまるまで冷やし続けましょう。
自力で水を飲める場合は少しずつ水を飲ませる
自力で水を飲める場合は、少しずつ水を飲ませてあげてください。
ただし、ぐったりしていて飲めない場合は無理せず動物病院に連れていきましょう。無理に飲ませようとすると気管を通して肺に水が入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こす恐れがあります。
- とにかく大事なのは体を冷やすこと。どんなに軽い症状でも動物病院に連れていって診てもらってくださいねぇ。
- 大丈夫かもと思っても体にダメージが残ってるかもしれないんですね。。。とにかく獣医さんの指示に従う、ですね!
参考にしたい!飼い主さん実践の猫の暑さ対策
ここでは、実際にどんな暑さ対策を行っているのか、飼い主さんの声をお届けしたいと思います。
フィット感抜群のねこ鍋&エアコンフル稼働&水分補給
まずご紹介するのは、ねこ鍋の中で気持ちよさそうにフィットしている猫さま。はぴ@足長マンチカン(@hapi_724)さんちのはぴくんです。
「暑さ対策はねこ鍋に限りますにゃ~」とでも聞こえてきそうなこのウネウネ感^^たまらない表情ですね。
今年5月に購入したばかりというこちらのねこ鍋ですが、「基本何に対しても興味深々なタイプ」というはぴくんは、初日からごろんと入っていってくつろいでいたそうです。
飼い主さんが心がけていらっしゃる暑さ対策について伺ってみると・・・。
「昼間は人間不在でお留守番してもらっているので、エアコンは27~28℃設定にして今の時期は24時間フル稼働してます。
水飲みも2か所設置して、不在時でも水分を切らさないよう気をつけています。」とのこと。
ねこ鍋&エアコン&水分補給で夏準備ばっちりのはぴくんなのでした^^
梅雨が明ければ本格的なねこ鍋の季節。かわいくてしっかり冷たい、なんとも頼もしい暑さ対策グッズですね。
自然な冷たさで快適!珪藻土マット&外出時はエアコン除湿機能を活用
お次の猫さまはモナ(@MONA_0606_)さんちのモナちゃん、1歳の女の子です。
窓辺でお昼寝するのが大好きなモナちゃんが、気持ちよさそう~にごろりんしているのは「珪藻土マット」。夏の暑さ対策グッズにと、ねこ鍋か珪藻土マットを考えていたという飼い主さんですが、検討した結果、冷えすぎずかさばらない珪藻土マットをチョイス。
最初は新品のニオイが気になったのか様子を伺う感じでマットの隣で寝ていたそう。でも、今ではこのおくつろぎ感です^^
「珪藻土マットは自然の冷たさで、さらに冷やしたい時はマットを濡らすといいみたいなので、真夏になったら試してみようと思います!」暑さにあわせて調整できるのはとっても便利ですね。
そのほかにも暑さ対策として、遮光のレースカーテンを使ったり、水分補給にも気を遣っているとか。
マットの隣に置いてあるのが自動給水器「フラワーファウンテン」。水飲みに入ったお水よりも流れるお水に興味深々!という猫さまには、こういった水を飲ませる工夫も良いですね。
このフラワーファウンテン含め3か所に水飲み場を設置しているそうです。
また、お仕事で長時間留守にする際にはエアコンを除湿運転にするなどの気遣いも。
「私が1日家にいるときは、エアコンをつけたり消したりですが、だいたい26~27℃くらいの温度設定にしています。今の時期はできるだけ自然の風が入るように気をつけています。」
梅雨時期は室温が高くなくても湿度が上がって熱中症のリスクも高まってしまうので、除湿を上手く使っている点は是非見習いたいですね。
Nクール=猫来~る!?ニトリのひんやりベッド&エアコン部屋は冷気対策を
そして、こちらのふかふかひんやりベッドでくつろぎ中な猫さまは、肉球せんせい@皮膚科専門医/漫画イラスト描き/美容医療(@29Qsensei)さんちのお嬢ちゃん。
このベッド、猫飼いSNSユーザーさんの間でも大人気のニトリのNクール。2018年7月に店頭で見かけ購入したそうです。
ペット用ベッドもですが、夏が近づくにつれ人間用のNクールアイテムを独占する猫さまがあちこちに出没。「Nクール=猫来~る」なんて言葉も聞かれるほど^^なかには飼い主さんが用意したひんやりグッズには目もくれず、Nクールシーツの上でほぼ1日の大半を過ごす猫さんも^^
お嬢ちゃんもとっても気持ちよさそうですが、飼い主さん曰く「なにぶん飽きっぽいもので、今は気が向いたときに寝ているような感じですね。」とのこと。
ただ、暑くても日向ぼっこ大好きというお嬢ちゃん。「日の当たるところに置くとあったかいけどちょっとひんやり、みたいな感じで嬉しそうではあります(笑)さらに暑くなると床で伸びてますが^^」
そんな飼い主さんの暑さ対策はというと・・・
「メインの部屋のエアコンはかけておいて、他の部屋は窓を開けて換気しつつ、メインの部屋のドアは猫が通れるギリギリ程度に開けて冷気をキープするようにしています。
それと、新鮮なお水を落ち着いて飲めるところに置いています。暑すぎても困りますが、エアコンの直接の冷気はやっぱり嫌みたいなので・・・」
換気もして冷気から逃げられる場所を作っている点は素晴らしいですね!Nクールは我が家も愛用していますが、まさにお〇段以上。ノーマルタイプのベッドからレモン型、カヌー型などデザインも豊富なので、是非覗いてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
- 鼻ぺちゃの短頭種(ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど)・・・気道が短く、呼吸による蒸発で体温調節をするのが苦手
- 肥満気味の猫・・・皮下脂肪が断熱層の役割となって、体に熱を蓄えやすい
- 幼齢猫や老猫・・・幼齢の猫は体温調節が未熟、老猫は脱水になりやすい、呼吸がゆっくり
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まとめ
猫の熱中症は飼い主さんのちょっとの工夫や配慮で防ぐことができます。「室内飼いだし大丈夫!」と油断せず、万全の対策をして暑い夏を乗り切っていきましょう。
- 室内飼いであっても猫は熱中症になる可能性がある
- 熱中症は重度になると命にも関わるため、猫の様子をしっかり観察するように
- 留守番時以外でもエアコンを使って室温・湿度管理をする
- いつでも新鮮な水を飲める工夫をする
- 逃げ場になる涼しい場所を用意しておく
- ケージに入れておくときは設置場所に注意
- 猫が入り込みそうな狭い場所を塞いでおく
- 移動時にもキャリーケースの置き場所などに配慮を
- 熱中症になったら体を冷やすなどの応急処置をしつつ獣医師に連絡を
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。
- 【監修】獣医師・YICビジネスアート専門学校ペット科講師
平松育子京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/2006年3月-2023年3月ふくふく動物病院院長を務める/現在は勤務獣医師として自分の可能性にチャレンジ中