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老猫ホームってどんなところ?~東京ペットホーム取材

2019-06-24

猫ねこさん

スキンシップはなるべくたくさん

東京ペットホームのスタッフは渡部さん夫妻を含め10人。1日20時間、交代制で昼夜犬猫たちのお世話をしている。

「朝来たらまずはみんなのごはん。食べ方もその子によって違うので、一食一食ガッツリ食べちゃう子なんかは1日2回、朝と夕方にあげてます。あとは、トイレのお掃除、お部屋のお掃除、ブラッシングや爪切り。1匹だとたいしたことではない日常のケアでも、21匹いますのでやっぱり時間はかかりますよね。」そう話すのは奥様のまいこさん。

「ブラッシングとかグルーミングは毎日してあげたいなって思っていて…。スキンシップをなるべく多くとるようにしてますね。」

東京ペットホーム

東京ペットホーム▲ブラッシングが始まるとワラワラと寄ってくる皆様(笑)順番待ちー^^

東京ペットホーム▲こちらはブラッシングの苦手なクラスタちゃん。耐えてます(笑)

「ここに来たばかりの時はみんなすごいんですよね、シャーシャー言って。引っかかれるし噛まれるし。猫ちゃんからすると怖いんですよね。おうちと違って1対1じゃなく、限られた時間しかその子に触れ合ってあげることができないので、絶対1匹1匹毎日触れ合うようにしてます。スタッフのなかでも私が一番長い時間触れ合えるので、少しでも安心してもらえるようにと。」

東京ペットホームでは介護の必要な犬猫も預かってもらえる。(※飼養費とは別料金)

「点滴をしてあげたりおむつを替えてあげたり、ごはんを食べさせてあげたりとか。自分で食べれない子には、シリンジを使って強制給餌をしてあげたりだとか。水分をとりづらい子には点滴で水分を入れてあげたりもしますね。」

東京ペットホーム▲腎不全のくーちゃん。1日1回の点滴中。

「12.3歳以上のほとんどの猫ちゃんは腎臓が悪いです。なかには毎日皮下点滴とお薬をあげている子も…。でも高齢になったら、7.8割の猫ちゃんが腎臓や甲状腺が悪くなるので、そこは仕方ないかなと。うまく付き合っていって、これ以上悪化させないための工夫はしています。医療費は飼い主さんの負担になりますので、あくまでも飼い主さんと相談した上で医療は進めていっていますね。」

徒歩5分ほどのドッグホーム向かいに動物病院があり、お昼の時間帯などに3匹まとめてワクチンを打ちにきてくれたりもするのだとか。深夜でもLINEなどで猫の様子を送って状況を説明すると、先生が対応してくれるのだそう。

「猫は長生きなので、うちのホームで24歳まで生きた子も。今現在も20歳の子が3.4匹。1匹寝たきりの子はいるんですけど、20歳でも自分で食べられて、トイレもしっかり間違えずにやってくれる元気な子もいます。ただ、以前はできていたことが少しずつできなくなったり…。だからトイレの前にシートをたくさん敷いておいて漏れてもいいようにとか、そういった工夫をしながら介護をしていくことが多いですね。」

東京ペットホーム▲こちらはぶーちゃん20歳。寝たきりだけれど流動食もりもり。食欲はバッチリ☆

東京ペットホーム▲食べ疲れたらコロン~。

東京ペットホーム▲食事から少し時間をおいて、水分をとるためにペット用ミルクを。

東京ペットホーム▲同じくぶーちゃん。白内障の目薬。

ずっとお部屋に入れっぱなしというのはしたくないので、なるべく自由に遊べるように。ただ相性などは考えて出してますね。おうちにいたときほど自由ではなくても、もうここがおうちで”ここはこういうルールなんだ”ってことがわかってますよ、みんなおりこうなので。」

ポイントは”見学”と”面会”

この4.5年で老犬老猫ホームは急増した。けれど、現状ではこれといった法規制がない。スタッフ1人あたりの飼育頭数の上限もなければ、1頭あたりの飼育スペースの基準すらなく、すべて自由裁量。

今年の動物愛護法の改正で、ようやく犬猫の飼育スペースについて具体的な数値が盛り込まれる予定だとか…。

東京ペットホーム

例えば、生き物がただただ好きな老夫婦が、自宅のだだっぴろい一室で何十匹もの猫を良かれと思ってどんどん入れていく。もちろん個別管理なんてものはまるでなし。そんな状態でも、その夫婦が老猫ホームだと言えば認められてしまう…。

もしも老夫婦のうちどちらかが倒れたら、今度は自分の伴侶の介護にまわらなければならなくなり、100%多頭崩壊に。救おうとした何十匹もの命が今度はいっぺんに危険にさらされることになってしまうのだ…。

東京ペットホーム

もっと悪質なのは、見学も面会もさせないところ。いわゆる「引き取り屋」。犬猫好きの方なら、一度は聞いたことがある人もいるのでは?

彼らにとって老犬老猫ホームというのは”譲渡”。「お金で解決してあげるから100万円と犬置いていきなさい。事前に見学来て冷やかしならごめんだよ。いったん預けたらもう所有権はうちにあるんだから、会わせることもできませんよ。」なんてことを平気で言うんだそう。

そんなところでも「老犬老猫ホーム」と名乗れるなんて…。

こんな現状だからこそ、信頼できる老犬老猫ホームを選ぶには「見学」と「面会」が大きなポイントなのだと渡部さんは言う。

東京ペットホーム

「料金や部屋の広さなどのスペックだけじゃないオーナーやスタッフの人柄や考え方、持っている空気感は、実際に見学に行かないとなかなか分からない。なるべくいろんなホームを見て慎重に選ぶことが大切ですね。」

「面会についても、基本的にいつでも可能かどうか。そのうえでちゃんと飼い主さんのリクエストも聞いてくれるホームかどうかをチェックする。そして、そのあとはなるべくホーム任せにしないで、面会という形でペットの飼育自体に参加し続ける。そうしないと、あとあと後悔が残ると思うんです。」

東京ペットホームは、事前に連絡をすればいつでも面会OK。ホーム近辺の駅や羽田空港までの無料送迎もしてもらえるなど、アクセスしやすいのも嬉しい。

家族を失ったんじゃなくて家族が増えた

「この子は飼い主を失うんだ、家を失うんだ」預けるときの飼い主さんはみんなネガティブな気持ちになりがち。

「私のところ以上に他で幸せになれるわけがないと、飼い主さんはどこかでお思いになっているでしょうね…。」と渡部さんは話す。

けれど、いざ面会に訪れると、穏やかに他の子達とも仲良く過ごしている我が子の姿を見て、なんだか寂しい気持ちと同時にどこかホッとしたり…。

東京ペットホーム

「最終的にうちに預けて良かったって言ってくださるときが一番嬉しいです。特にホームで亡くなったとき、私たちスタッフも葬儀に参列するんですが、自分の家族を失う感覚なので、もうほんとに悲しいんですね…。そうすると飼い主さんが泣きながら良かったと言ってくださって。『この子は家にいるときよりもここにきてもっと幸せになった。家族を失ったんじゃなくて家族が増えたのね。』と言っていただけるのは、本当にやっててよかったと思える瞬間です。」

選ぶ人にとって選択肢が広がるように

渡部さんは、現在老犬ホーム協会(老犬老猫ホーム協会に改称予定)の副会長でもある。

経営上の安定感、飼育頭数の上限、1人あたりの飼育頭数の基準、猫ちゃん本人にとってのプライバシー…。老犬老猫ホームと名乗るからには最低限これらが必要というのが渡部さんの考え。同じ思いを持つ全国のホームが協会のメンバーになっているのだとか。(2019.5現在 7施設)

「動物目線というのはいいことだけれど、動物目線になりすぎていないか。飼えなくなった人の寂しさややるせなさに寄り添う気持ちがないなら、老犬老猫ホームとうたわないでほしい。」とも話す。

「引き取り屋が老犬老猫ホームと名乗れる状況では、業界自体は暗いものになる。もしそれが認められるんだったら、もう一般的な認識を変えていくしかないと思っています。『そういうところは老犬老猫ホームじゃないよね』って。そういう感覚をオーソライズしたら、法規制が追い付いてくるかもしれません。」

東京ペットホーム

ただ、業界にとっての健全な成長は「選ぶ人にとって選択肢が広がる」ことだとも渡部さんは話す。

東京ペットホームの代表でもありながら、かつ「THEケネルズ東京」という老犬ホームの運営責任者でもある渡部さん。

ケネルズ東京

https://the-kennels.tokyo/

東京ペットホームとはまた全く違うタイプの、ラグジュアリー感あふれる高級老犬ホーム。渡部さんはレイアウトの段階から関わったのだとか。「東京ペットホームでお金がなくて諦めてるとこは全部ここでやらせてもらってます。」と笑って話す渡部さん。

必要なものは何でもそろっている超豪華施設。そのぶん値段も最高級で、ペットホテルの利用も部屋によっては1泊12,000円…!

「誰にどのホームがあうのか私は分からないけれど、いい意味でそのホームならではの個性を出して多様化していくべきだと思っています。」

我が子にあわせて、飼い主さんにあわせて、もっとたくさんの選択肢から選べるようになれば、今よりもっと老犬老猫ホームの認知度も上がっていくのかもしれない。

いろいろなセーフティーネットがあることを知っておく

「自分に何かあったらこの子も死んじゃう、どうしよう…」そんなふうに日々心配になってしまうのはつまらないと思うんですよ。やっぱり安心の中で暮らしてこそ猫ちゃんとの生活も楽しいので。

特に、高齢者の方で多いのが、本当は猫が大好きだけれど、猫より先に自分が死んじゃったらどうしようと思うと飼えない…と。でも飼えば絶対に毎日の活力になる。生きがいになると思うんですよ。だから、僕は高齢者の方ほどペットを飼うべきだと思ってます。

ただ、飼う以上は自分の安心のためにもいろんなセーフティーネットがあることを知っておく。老猫ホームのこと、ペットと一緒に入れる老人ホームのこと。看護、介護をしてもらえるペットシッターのこと。

そうすれば、お金はそれなりにかかってしまうけれど、今は手段がたくさんあるんですよと。最初から諦めちゃうことはないんですね。」

犬のことも猫のことも好き。でもそれ以上に人の気持ちに寄り添ってくれる、そんな渡部さんのあたたかい言葉に力づけられる方は多いんじゃないかと思う。

東京ペットホーム
電話:03-3743-5620
お電話でのご相談:0120-22-4205(年中無休9:00~19:00)
住所:東京都大田区大森南1-23-5
最寄り駅:京急蒲田駅から徒歩15分、羽田空港から車で10分
公式サイト:http://www.tokyo-cathome.com/

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。