- マンチカンとペルシャの血を引き継いだミヌエットは好奇心旺盛で甘えん坊。その反面、しつこくされるのは苦手でいかにも「猫」らしい性格なんですよぉ。小柄ですが筋肉質なので、肥満にならないようしっかり食事管理をすることが大切ですねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
マンチカンとペルシャ系の猫があわさってできたミヌエット。
丸い目・少しつぶれた鼻が特徴。
短毛・長毛、短足・長足どちらもいるので、マンチカンと見分けるのは至難の業。
探検やおもちゃ大好き、好奇心旺盛でとても活発。人懐っこいので多頭飼いにもオススメ◎
気分が乗らないとクールにふるまう「猫」らしい性格が愛くるしいですね。
今回はそんなミヌエットのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
ミヌエットは、マンチカンとペルシャ系猫(ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど)を交配させてつくられた猫種です。
その歴史は浅く、1995年、バセットハウンドのブリーダーであるジョセフ・スミスが、バセットハウンドと同じような短足の猫「マンチカン」の存在を新聞で知ったことが始まりだったとか。マンチカンには短足・長足両方のタイプが生まれますが、長足のマンチカンの多くが捨てられ動物保護センター行きになっていることを知ったジョセフは、マンチカンの短足の特徴を固定化させて猫の命を救いたいと考え自らの手で繁殖をスタート。
まず初めにマンチカンとペルシャを交配させ、さらにその子猫をヒマラヤンやエキゾチックショートヘアなどのペルシャ系猫と交配させていきました。こうして「マンチカンのように短足でペルシャのように柔らかい被毛をもつ猫」が誕生し、当初は「ナポレオン」と名付けられたとか。
2001年、TICA(猫の血統登録団体)で予備登録され、その後もジョセフは研究と育種を続けましたが、なかなか理想の猫種に近づけることができず繁殖から手をひくことに。しかし、熱心なブリーダーたちの尽力により繁殖・育種が続けられ現在に至っています。
2015年5月にナポレオンからミヌエットに名称が変更されています。
現在はTICAおよびTDCAで公認されていますが、毛の長さや毛色がバラバラなので、猫種として認めていない団体もありキャットショーに出展されることは少ないようです。日本国内での認知度も低く、レアな猫種として知られています。
特徴
ではさっそく、ミヌエットの主な特徴を見ていきましょう。
- 目が丸く鼻が少しつぶれているが、ペルシャよりは鼻が高い
- 短毛種と長毛種がいる
- 短足と長足がいる
- 小柄だが筋肉質、首が太く丸顔
目が丸く鼻が少しつぶれているが、ペルシャよりは鼻が高い
ペルシャ系猫の特徴である「目が丸く鼻が少しつぶれた」顔立ちに近いですが、鼻はペルシャよりも高いのが特徴。
これは育種を進めるなかで、鼻ペチャの猫に多い呼吸器疾患を防ぎたいという考えがあったためです。
短毛種と長毛種がいる
短毛種と長毛種がいて、毛の色もバラエティー豊か。
ダブルコートの被毛で抜け毛が多いため、こまめなブラッシングは必須です。
短足と長足がいる
前述のルーツで触れたジョセフの望みに反して、短足だけでなく長足の猫もいますが、どちらも非常に愛くるしく魅力的です。
小柄だが筋肉質、首が太く丸顔
体重2~4kgの小柄なタイプですが、マンチカンのように筋肉質でがっちりとした体つきです。
首が太く丸顔、耳の先端まで丸くなっていることから、全体的に丸みを帯びた感じの印象です。
- マンチカンとペルシャ系の猫があわさってできた猫なので、短い足とつぶれ気味のお鼻、フワフワの被毛など、、、まさにいいとこどりの猫ですよぉ。小柄だけど筋肉質、、、でもそれを感じさせない首の太さと顔の丸さが何とも愛くるしいですねぇ。
- 日本ではなかなか見かけない珍しい猫ですよね!短足もいれば長足の子も、短毛もいれば長毛の子も、、、見分けるのはなかなか難しそうですっ。
大きさ
続いては、ミヌエットの大きさについて。
- 体重 オス3~4kg メス2.3~3.4kg
やや小さめなセミコビータイプと言われる猫種です。
体重は軽いですががっちりとした骨格なので、抱きかかえると体重のわりに重みを感じるかもしれません。
性格
続いてはミヌエットの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 甘えん坊だがマイペース
- 好奇心が強く遊び好き
- 人懐っこく友好的
- 飼い主に従順でしつけやすい
穏やかで甘えん坊な性格はペルシャの性格から引き継いでいます。自分から甘えたがるくせに、気分が乗らない時にしつこくされるのは嫌がるマイペースなところは、いかにも猫らしい性格と言えるでしょう。
また、好奇心が強いところはマンチカンの性格にも似ています。
家の中を探検するのが大好きで、おもちゃなどさまざまなものに興味深々。特に子猫の頃は活発で、元気に家中を走り回ることも多いようです。
人懐っこく、人や他の動物ともすぐに仲良くなれるので多頭飼いにもおすすめ。
飼い主にも従順なので、言われたことをよく守りお留守番も問題なし!しつけやすいので初めて猫を飼う人でも飼いやすいでしょう。
- マンチカン似の見た目ですが、性格もマンチカン似。好奇心旺盛で活発なところはまさに血を引き継いでますねぇ。甘えん坊なんですけど、気まぐれなところはいかにも猫!って感じの性格ですよぉ。
- ぼく、マンチカン大好きなんですけど、性格的にあいそうな気がします。一度でいいからお目にかかりたいっ。
かかりやすい病気
続いては、ミヌエットがかかりやすい病気についてです。
- 多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
- 肥大型心筋症
- 角膜炎
- 流涙症(りゅうるいしょう)
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
腎臓に嚢胞(のうほう)(嚢胞液が詰まっている袋)がたくさんできる遺伝病です。嚢胞が増えることで腎臓に大きな負担がかかり、腎不全を引き起こします。
7歳以上の高齢期に発症しやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 多飲多尿
- 嘔吐
初期症状がほとんどなく、症状に気づいた頃にはすでに病気が進行している場合が多いです。
主な治療は療法食による食事管理です。完治は見込めない病気ですが、早めに食事療法を行うことが効果的と言われています。
遺伝病なので予防することはできませんが、定期的な検査を受け早期発見・早期治療を行うことが大切です。
肥大型心筋症
心臓の筋肉がどんどん厚く硬くなり、血管の中に血栓ができてしまう心臓病で、遺伝的にかかりやすいと言われています。
特に中年期から高齢期のオス猫がかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- じっとして動かない
- 体重減少
- 起き上がることができない
- 呼吸困難
- 突然後ろ足を痛がる
発症してもすぐにはこのような症状は見られず、「後ろ足を痛がる」「起き上がれなくなる」などの症状が見られる頃には病気がすでに進行していることが多いようです。
猫は具合が悪くても飼い主にその姿を見られないよう隠す傾向があるため、早期発見には定期的な検査を受けることが大切です。また、肥大型心筋症を引き起こす遺伝子異常は検査によって見つけることもできます。
症状が悪化してしまうと検査自体難しくなり、外科手術を行っても再発する可能性が高くなります。
角膜炎
目の表面にある角膜がウイルス感染や外傷などによって炎症する病気です。
活発でよく動き回るため、何らかにぶつかって角膜炎を引き起こすことが多いようです。また、猫が目をこすることで刺激になって炎症してしまうこともあるようです。
主な症状は以下の通りです。
- まぶたのけいれん
- 目ヤニ
- 目の痒み・痛み
- 瞳が濁る
治療は点眼薬や内服薬を使って行いますが、症状が悪化し角膜に潰瘍ができた場合には外科手術を行う必要があります。最悪の場合角膜に穴があいて失明することもある病気なので、少しでも気になる症状が見られたら、すぐに病院を受診しましょう。
予防法としては、家具の角にぶつけて傷つくことのないよう保護をしたり、自分の爪で目を傷つけないようこまめに爪を切ったりしてあげると良いでしょう。
流涙症(りゅうるいしょう)
鼻涙管(びるいかん)が詰まり、目の周りに涙がたまってあふれてしまう病気です。ペルシャほど鼻は低くありませんが、個体差もあり、顔の骨格上鼻涙管が詰まりやすいため発症することもあるようです
また他にも、以下のような原因が考えられます。
- 角膜炎や結膜炎などの目の病気
- 煙などの刺激物
- 目の中のゴミ
- 加齢による瞬きの減少
主な症状は以下の通りです。
- 涙目
- 茶褐色の涙
- 涙やけ(目頭から鼻筋にかけて茶色く変色)
- 目やにが増える
- 涙で毛がぬれている
- 鼻のまわりに湿疹ができる
鼻涙管に細い管を通し洗浄、拡張するなどの治療を行いますが、再発する場合もありますので、こまめに涙をふきとって予防に努めましょう。目のまわりが常に湿っていると雑菌が繁殖しやすく、炎症や皮膚病を引き起こすことがあります。
常に涙目などの症状が見られたら、なるべく早く病院を受診することが大切です。
- 遺伝的にかかりやすいのは「多発性嚢胞腎」や「肥大型心筋症」ですよぉ。活発でよく動きまわるので、目をぶつけて「角膜炎」になる子も多いので気をつけてくださいねぇ。
- 家具の角にぶつけて、、、とかよくありますもんね。ぶつけて怪我をしないように保護材をつけておくといいですね。爪で目を傷つけたりすることもあるので、こまめに爪も切らなきゃですね。
飼い方
ミヌエットを飼うときには、以下のような点に注意しましょう。
- 適度なスキンシップ
- こまめなブラッシングとシャンプー
- 運動できる環境・食事管理
適度なスキンシップ
甘えん坊な性格で、飼い主とのスキンシップが大好きなので、こまめに遊んであげることが大切です。
ただ、気が乗らないときは嫌がる猫らしさがあるので、様子を見ながらかまってあげましょう。
こまめなブラッシングとシャンプー
ふわふわのダブルコートの被毛は絡まりやすいので、こまめなブラッシングは欠かせません。短毛と長毛の猫がいますが、特に長毛の猫は毛球症を予防するためにも念入りにケアを行いましょう。
1日2回はブラッシングをして抜け毛を取り除き、被毛にこもった熱を逃がしてあげるようにしましょう。
また、被毛は皮脂でコーティングされているため、汚れがたまってしまうと雑菌が繁殖し皮膚炎になりやすくなります。そのため、月1回程度シャンプーをして清潔を保つようにしましょう。特にオーバーコートと呼ばれる外側の被毛は水を通しにくいため、毛をよくかき分けて行うのがポイントです。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫のシャンプーのコツ
運動できる環境、食事管理
好奇心旺盛で活発なので、部屋の中で十分な運動ができる環境を整えてあげましょう。特に子猫のうちは家中を走り回ることも多いので、キャットタワーなどを用意してあげるのもおすすめです。
また太りやすい猫種のため、肥満対策として日頃からしっかり食事管理を行うことが大切です。食事管理で太りすぎないようにすることで、さまざまな病気の予防にもなります。
ミヌエットの食事については、こちらの記事で詳しく説明しています。是非参考にしてくださいね。
寿命
ミヌエットの平均寿命は12~14年と言われています。
猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命よりやや短いようです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。特に甘えん坊な性格のためスキンシップはかかせないでしょう。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決まめておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、ミヌエットに関するよくある質問をまとめています。
価格の相場は20万円前後ですが、なかには50万円近くで販売されることもあるようです。国内では大変少ない希少種で、ペットショップで見かけることは少ないですが、国内にもブリーダーさんがいますので、気になる猫を見つけたら早めに連絡をとると良いでしょう。
マンチカンとペルシャ系猫を交配させて生まれた猫がマンチカンです。
ミヌエットはマンチカンに似て短い足ですが、ペルシャ系の特徴である柔らかな長毛をもっているのが特徴です。
ただし、長足や短毛のミヌエットもいますので、はっきり見分けるのは難しいかもしれません。
- 飼うときのポイントは「適度なスキンシップ」「こまめなブラッシング」「運動できる環境・食事管理」ですよぉ。甘えん坊なのでストレスをためないようしっかり遊んであげてくださいねぇ。
マンチカンとの区別、、、私にはなかなか難しい問題ですねぇ、、、ンフフ。
- 長足や短毛のミヌエットもいますもんね。。。ぼく間違えちゃう自信100%ですっ。
まとめ
ミヌエットのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- マンチカンとペルシャ系猫を交配させてできた猫
- 当初はナポレオンと呼ばれていた
- 目は丸く鼻ペチャだがペルシャよりも鼻は高い
- 短毛種、長毛種がいる
- 短足、長足がいる
- 小柄だが筋肉質で首が太く丸顔
- 甘えん坊だがマイペース
- 好奇心が強く活発で遊び好き
- 人懐っこく穏やかなので多頭飼いにもおすすめ
- 飼い主に従順でしつけやすい
- 多発性嚢胞腎、肥大型心筋症などの遺伝性疾患に注意
- ペルシャよりも鼻は高いが顔の骨格構造上、角膜炎、流涙症などにも注意
- 甘えん坊だがしつこくすると嫌がるので適度なスキンシップが大切
- ダブルコートの被毛はこまめなブラッシングとシャンプーが必須
- 好奇心旺盛で活発なので十分に運動できる環境を整える
- 寿命は12~14年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。