- おとなになると体長100cmにもなる大型種メインクーン。見た目は威厳たっぷりですが、心優しく飼い主さんに忠実なのでとてもしつけやすい猫ですよぉ。人懐っこいので多頭飼いにもオススメですねぇ。ゴージャスな被毛のケアはお忘れなく!
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
「穏やかな巨人」とも呼ばれる大型種メインクーン。
分厚く耐水性のある被毛・ロングアンドサブスタンシャルの体型が特徴。
柔らかな顔立ちと耳のてっぺんの飾り毛がノルウェージャンフォレストキャットと見分けるポイント。
体は巨大ですが心優しく、飼い主にも忠実でしつけのしやすさNO.1。
大きな体格にあった広々とした運動スペースを設けてたくさん遊んであげてくださいね。
今回はそんなメインクーンのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
メインクーンのルーツに関しては諸説ありますが、11世紀頃ヴァイキングの船に乗っていた猫がアメリカ大陸に渡り、土着の猫と交雑して生まれたという説が支持されています。見た目が非常に似ているノルウェージャンフォレストキャットも、同じくヴァイキングによってもたらされたことから、この説が最も有力だとか。
19世紀後半にはボストンとニューヨークのキャットショーに登場し人気を集めましたが、1950年代に入るとペルシャなどの長毛種に人気を奪われ、一時は絶滅の危機に陥ったことも。
しかし、1968年熱心な繁殖家たちがメインクーンの専門クラブ「MCBFA」を設立し、1980年代には人気が復活。現在では200人の専門ブリーダーと1200人以上のファンシャーが参加し、復活をとげています。
また、1980年までにTICA、CFAなどすべての血統登録団体に猫種として公認されています。
メインクーンの「メイン」は「メイン州」から、「クーン」はアライグマ(ふさふさの長いしっぽがアライグマに似ている)の「Racoon」からつけられています。別名「アメリカンロングヘアー」とも呼ばれています。
特徴
ではさっそく、メインクーンの主な特徴を見ていきましょう。
- 分厚く耐水性のあるシングルコートの被毛
- ロング・アンド・サブスタンシャルと呼ばれる体型
- ジェントルカーブの横顔
- 四角い顔立ち、耳にはリンクスティップ
分厚く耐水性のあるシングルコートの被毛
寒さの厳しい北アメリカで育ったことから、分厚く耐水性のある被毛を持っているのが特徴。ボリュームたっぷりの被毛ですが、シングルコートのため抜け毛は少ないようです。雪の中でも滑らないよう、肉球のあいだにも毛が生えています。
首周りから胸元、腹部にかけては、たてがみのように長くてゴージャスな毛が。しっぽも長くフサフサとしており、「世界一しっぽが長い猫」としてギネスブックに登録されたこともあるようです。
ロング・アンド・サブスタンシャルと呼ばれる体型
「ロング・アンド・サブスタンシャル」と呼ばれる体型で、ボディが長く胸元が広いのが特徴。別名「穏やかな巨人」とも呼ばれるほど、成猫になると非常に大きく成長。なかには体長100cmほどになる猫もいます。
全体的にがっちりと骨太で、筋肉質な体つきをしています。
ジェントルカーブの横顔
ノルウェージャンフォレストキャットと似ていると言われるメインクーン。
その見分け方は横顔。ノルウェージャンフォレストキャットの横顔が直線的なのに対し、メインクーンの横顔はジェントルカーブと呼ばれるやわらかい曲線を描いています。
四角い顔立ち、耳にはリンクスティップ
口元からあごは四角く、耳のてっぺんにはリンクスティップと呼ばれる耳毛が生えています。
リンクスティップは野生のヤマネコによく見られる特徴のひとつ。これがあればほんの少しの風の動きやごくわずかな音にも反応し、小さな獲物でも逃さず捕まえることができるようです。
- メインクーンはおとなになるまで3~5年かかるんですけど、とっても大きく成長する猫なんですよぉ。体長100cmくらいになる子もいますし、クロベエくんの倍はしますかねぇ、、、ンフフ。
- 100cm!人間の子どもくらいおっきいですね。おなじ猫とは思えないーーー。
大きさ
続いては、メインクーンの大きさについて。
子猫の平均体長と体重(生後3ケ月)
- 体長 約30cm
- 体重 約2~3kg
メインクーンは一般的な猫に比べ成長が遅く、約3年~5年かけて成猫になります。一般的な子猫の平均体重(生後3ヶ月)は約1~1.5kgと言われていますので、子猫のときからすでに大きいことが分かりますね。
成猫の平均体長と体重
- 体長 オス約100cm メス約100cm
- 体重 オス6~10kg メス4~8kg
メインクーンは大型種で、成猫の体長は約100cmほどになるとも言われています。一般的な猫の体長は約60cm前後なので、メインクーンがいかに大きいかが分かります。
「世界最長の猫」としてギネス記録になっているメインクーンの体長は驚きの123cmです!
体重も一般的な猫よりも重く、なかには10kgくらいまで成長する猫も。オスよりもメスの方がやや軽いです。
性格
続いてはメインクーンの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 穏やかで懐きやすい
- 飼い主に忠実でしつけやすい
- 温厚で協調性がある
人に懐きやすく穏やかな性格。人と遊ぶのが好きでいつも飼い主のそばにいようとしますが、必要以上にベタベタすることはありません。
とても賢く、飼い主に忠実でしつけやすい一面も。飼い主が他のことをしていれば、飼い主のやりたいことを優先させてくれる柔軟さもあります。手先も器用なので、戸棚を開ける、水道の蛇口をひねる、ドアを開ける、くらいであれば簡単にマスターしてしまうようです。
他の猫や動物との協調性もあるため、多頭飼いにも向いています。
オスはメスに比べて飼い主に忠実で甘えん坊
オスはメスに比べて飼い主に忠実で甘えん坊タイプの猫が多いと言われています。どちらかというと「犬に近い猫」なのがオスのメインクーンです。
一方、メスは極めて猫らしい性格。飼い主に忠実ではありますが、気まぐれで自立心が強いタイプが多いと言われています。
- 見た目は巨大ですけど、とっても優しくて人懐っこいですから、クロベエくんも好きなタイプだと思いますよぉ。飼い主さんにすごく忠実な賢い猫とも言われてますねぇ。
- 忠実、、、ですかぁ。ぼくなんておかあさんにまとわりついてしょっちゅう怒られてます。うーん。。。すべてが違うーーー(T_T)
かかりやすい病気
続いてはメインクーンがかかりやすい病気についてです。
- 肥大型心筋症
- 脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)
- 股関節異形成症(こかんせついけいせいしょう)
- 多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
- 毛球症
- 熱中症
肥大型心筋症
心臓の筋肉がどんどん厚く硬くなり、血管の中に血栓ができてしまう心臓病で、遺伝的にかかりやすいと言われています。
特に中年期から高齢期のオス猫がかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- じっとして動かない
- 体重減少
- 起き上がることができない
- 呼吸困難
- 突然後ろ足を痛がる
発症してもすぐにはこのような症状は見られず、「後ろ足を痛がる」「起き上がれなくなる」などの症状が見られる頃には病気がすでに進行していることが多いようです。
猫は具合が悪くても飼い主にその姿を見られないよう隠す傾向があるため、早期発見には定期的な検査を受けることが大切です。1~7歳のメインクーンであれば、心臓超音波検査を受けることで病気を発見できます。また、肥大型心筋症を引き起こす遺伝子異常は検査によって見つけることもできます。
症状が悪化してしまうと検査自体難しくなり、外科手術を行っても再発する可能性が高くなります。
脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)
胴や手足を動かす脊髄の神経が消失することで起きる遺伝病です。
生後3~4ヶ月で発症することが多いようです。
主な症状は以下の通りです。
- 後ろ足の力が弱まり震えが見られる
- ジャンプできない
- 後ろ足の揺れを伴うような歩き方
発症した場合、生後5ヶ月になってもジャンプできないなどの筋力の低下が見られます。
脊髄性筋萎縮症を引き起こす遺伝子異常は検査によって見つけることもできます。有効な治療法は見つかっていないため、完治は難しいですが、少しでも気になる症状が見られたら、なるべく早く病院を受診することが大切です。
股関節異形成症(こかんせついけいせいしょう)
腰の関節の奇形による痛みで歩きづらくなる遺伝病です。
主な症状は以下の通りです。
- 高いところから飛び降りない
- 歩くときに体をよじる
- 後ろ足を床にくっつけるのをためらう
- 痛みで歩けない
猫は痛みを隠す傾向があるため、病気に気づくのが遅れる場合もあります。
日頃から猫の様子をよく観察し、少しでも気になる症状が見られたらなるべく早く病院を受診しましょう。
遺伝子異常でかかる病気ですが、去勢や避妊後の体重増加、成長期の栄養不足なども病気の原因になりますので、体重管理には十分注意しましょう。
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
腎臓に嚢胞(のうほう)(嚢胞液が詰まっている袋)がたくさんできる遺伝病です。嚢胞が増えることで腎臓に大きな負担がかかり、腎不全を引き起こします。
7歳以上の高齢期に発症しやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 多飲多尿
- 嘔吐
初期症状がほとんどなく、症状に気づいた頃にはすでに病気が進行している場合が多いです。
主な治療は療法食による食事管理です。完治は見込めない病気ですが、早めに食事療法を行うことが効果的と言われています。
遺伝病なので予防することはできませんが、定期的な検査を受け早期発見・早期治療を行うことが大切です。
毛球症(もうきゅうしょう)
毛づくろいの時に飲み込んだ毛を吐き出すことも排泄することもできず、腸の中にためこんでしまう病気です。長毛種のため特にかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 元気がない
- 毛玉を吐こうとするが吐き出せない
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
- お腹を触られるのを嫌がる
軽度であれば毛球除去剤を使って毛の排出を促しますが、それでも改善されない場合や腸閉塞の危険があると言われた場合は、開腹手術を行って直接毛玉を取り出します。
熱中症
フサフサとゴージャスな被毛ゆえ、寒さには強いですが暑さには弱く、体内にこもった熱をうまく外に逃がすことができなくなる場合があります。
熱中症の主な症状は以下の通りです。
- 口を開けて苦しそうにする
- ヨダレが出る
- 嘔吐や下痢
- ふらつきや震え
- 元気がない
最悪の場合は命に関わることもあるため、このような症状が見られたらまず涼しい場所に移動させ水をかけるなどして体温を下げ、すぐに病院を受診しましょう。
熱中症を防ぐため、暑くなる夏場は特に部屋の温度に注意しましょう。エアコンは28℃くらいの除湿運転がベストです。また、脱水にならないよう水飲み場を複数用意しましょう。夏場だけサマーカット(毛を短く切ること)にしてあげるのもひとつの方法です。
関連記事:
- 遺伝的にかかりやすいのは心臓や腎臓の病気、脊髄神経や股関節の奇形などですねぇ。長毛種なので「毛球症」や「熱中症」にも注意ですよぉ。
- たしかにあのゴージャスな毛は熱がこもりそう、、夏場は特に部屋の温度に気をつけなきゃですね。
飼い方
メインクーンを飼うときには、以下のような点に注意しましょう。
- 体格にあった十分な運動スペースを確保
- 体格を保つための食事管理
- こまめにブラッシングとシャンプー
体格にあった十分な運動スペースを確保
大型の猫なので、窮屈に感じないよう体格にあった十分な運動スペースを確保することが大切です。飼い主と過ごすことが大好きなので、家族の集まるリビングなどにキャットタワーなどを設置することをおすすめします。
寝床やトイレなどのパーソナルスペースを作ってあげると来客の際に便利。ただし、1日中ケージで過ごさせるような飼い方は運動不足でストレスになりますので避けましょう。
体格を保つための食事管理
メインクーンは3~5年かけてゆっくりと成長する大型猫です。
筋肉質で骨太のたくましい体を作るためには良質な高たんぱくフードを与えることが大切です。ただし、高齢期になると運動量が減ってくるため、食事量には気をつけましょう。
メインクーンの食事については、こちらの記事で詳しく説明しています。是非参考にしてくださいね。
こまめなブラッシングとシャンプー
長毛種なので、毛球症を予防するためにも普段からこまめなブラッシングは欠かせません。1日2回はブラッシングをして抜け毛を取り除き、被毛にこもった熱を逃がしてあげるようにしましょう。
また、被毛は皮脂でコーティングされているため、汚れがたまってしまうと雑菌が繁殖し皮膚炎になりやすくなります。そのため、月1回程度シャンプーをして清潔を保つようにしましょう。特にオーバーコートと呼ばれる外側の被毛は水を通しにくいため、毛をよくかき分けて行うのがポイントです。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫のシャンプーのコツ
寿命
メインクーンの平均寿命は12~15年と言われています。 猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命とほぼ同じようです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決まめておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、メインクーンに関するよくある質問をまとめています。
似ていると言われるノルウェージャンフォレストキャットとの違いを見分けるときは、鼻筋と耳を見てみましょう。メインクーンは、鼻筋がカーブしており耳の先にリンクスティップと呼ばれる飾り毛がついています。
ペットショップでの相場は約15~20万円程度ですが、ブリーダーの方から直接購入する場合は約20~30万円と高めになります。血統書付きの子猫は特に値段が高いですが、繁殖を専門とするブリーダーの方から購入すれば一般価格よりも少し安く購入できます。
長毛種のため、毛を引っ張って皮膚を傷めないよう注意しましょう。特に換毛期(3月と11月頃)は抜け毛が多くなるため、ブラッシングの回数を増やしましょう。
また、ブラシにはスリッカーやコームなどがありますが、スリッカーを使った場合アンダーコートが抜けすぎるという意見もあります。猫の好みもありますので、まずはどちらも試してみて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
長い毛をとかすのにブラッシングスプレーを使うのもおすすめです。
散歩をさせただけで寿命が延びることはありません。子猫のときからずっと室内飼いの猫や散歩に行きたがらない猫を、無理やり引っ張って連れていく必要はありません。
ただ、猫によっては散歩がストレス発散になることもあるので、猫の様子をしっかり見極めて連れていくか判断すると良いでしょう。
- 飼うときのポイントは「十分な運動スペース」「食事管理」「こまめなブラッシングとシャンプー」ですねぇ。とにかく体が大きいので、狭いマンションなどでは十分に運動できずストレスをためてしまうかもしれませんねぇ。
- たしかにあれだけでっかいとあんまり狭い部屋は窮屈に感じちゃいそうですよね、、、飼い主さんのいるリビングで自由に走り回れたらきっと喜んでくれますね。
まとめ
メインクーンのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- ヴァイキングの船に乗っていた猫がアメリカに渡り土着の猫と交雑してできたという説が有力
- 分厚く耐水性のあるシングルコートの被毛
- ロングアンドサブスタンシャルと呼ばれる胴長の体型
- 横顔はジェントルカーブと呼ばれる曲線を描く
- 四角い顔立ち、耳のてっぺんにはリップスティックが生えている
- 約3~5年かけて成猫になる
- 成猫の体長は100cmほどにもなる大型種
- 穏やかで懐きやすいがベタベタすることはない
- 飼い主に忠実でしつけやすい
- 温厚で協調性があるため多頭飼いにもおすすめ
- オスはメスに比べると飼い主に忠実で甘えん坊
- 遺伝性疾患の肥大型心筋症、脊髄性筋萎縮症、股関節異形成症、多発性嚢胞腎に注意
- 長毛種ゆえの毛球症、熱中症に注意
- 体格にあった十分な飼育スペースを確保することが大切
- 体格を保つために子猫時代から高たんぱくフードを与える
- こまめなブラッシングとシャンプーで被毛ケア
- 寿命は12~15年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。