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保護猫のわ通信Vol.1|ねこねっと山中湖の保護活動

2019-07-08

猫ねこさん

医療に関しては惜しまない~信頼できる協力病院とのつながり

こちらは、死の淵から生還したレベッカ。6匹の兄弟のうち生き残ったのはレベッカだけだったけれど、適切な医療と懸命なケアのおかげで今ではこんなに元気に。あまりに小さすぎてときどき部屋のなかで安否不明^^

レベッカ

「医療に関しては惜しまない」
取材中、保科さんからは何度もこの言葉が出てきた。

TNRで捕獲した猫や保護した猫に適切な医療を受けさせることも、保護活動に置いて大切なこと。

子猫▲あーそーぼ♡

相模原にある「ふー動物病院」、東京・日野にある「きもと動物病院」、そして御殿場にある「ふじさん動物の病院」。
ねこねっと山中湖では、この3つの病院と連携をとり、猫たちの治療を行ってもらっているそう。

毎月第4木曜日にふー動物病院の亀田先生が山中湖にきてくださって、まとめて何十匹もの不妊手術を行ってくれているとか。不妊手術時には、その子の健康状態に合わせてできるだけの治療を行う。例えば、シラミがいればシラミを落とし、お尻から虫が出ていたら駆除もやる。診察時にある程度病気が予測できる場合は、状況に応じてあえて手術を行わないことも。

「これ以上猫が増えないってことは人間にとってのベネフィットになるんですけど、猫にとってベネフィットがなかったら、手術をやる意味もなくなるので、1回のチャンスでできることは全部やります。プラスでお金がかかっても、躊躇なく私たちはお願いしてます。」

レベッカ▲ミルクたくさん飲んでおっきくなってね!

TNRで捕獲した猫たちには次にこうした医療を受けられるチャンスはない。だからこそ必要な治療は全て行ってからリリースする。

「保護猫、野良猫に対する理解が深いスタッフや先生方ばかり。命を守る上で私たちは素人なので、そこは信頼できる先生にきちんと医療を行ってもらうということを徹底してます。」
もともと命に関わる現場で長年働いていた保科さんだからこそ、命を守るために医療を惜しんではいけないという想いも人一倍強い。

置物猫の命を救うため、山中湖から相模原や日野までの道のりを週に何度も往復する。その労力は計り知れないほど。
「不妊手術を受ければ性格も穏やかになるし、喧嘩の声も聞かれなくなるし、おしっこの臭いも3分の1になる。いいことしかないので基本的には。もっと早くにやればよかったっておっしゃる方もたくさんいて。猫たちが1匹でも助かれば嬉しいんです。」

生き続けていけるのがその子の運にならないよう、できることは全部やる。なかなか誰にでもできることじゃない。これも猫を想う強い気持ちがあるからこそ。

猫を飼おうという人間の気持ちにも寄り添いたい

綺麗なハチワレの男の子。この子の名前はフィガロくん。つい先日、村の職員さんから連絡をもらって保護したという。検査が終わるまでは預かりお父さんの家にいた彼もめでたく里親募集を開始した。

フィガロ

こちらは、預かりボランティアさん宅にいる三毛ちゃんたち。保母うさぎさんの見守り中^^この子たちもすでにお問い合わせがきているとか。

保母うさぎ

「猫を飼おうという人間の気持ちにも寄り添いたいんです、私たちは。」と保科さん。

猫の幸せを第一に考えるがゆえに、厳しい譲渡条件を提示している保護団体も少なくない。けれど、ねこねっと山中湖では、年齢や家族構成などだけでお断りなどということはない。
あくまでもケースバイケース。しっかり人となりを見て対応をしていく。

トニー▲トニーが玄関で鳴くときは散歩行きたいアピール。お外好きのトニーはハーネスをつけてのお散歩が大好き。

「60歳以上はお断りというような団体さんも多いですけど、じゃあ例えば61歳じゃダメなのかっていったらそういうわけじゃないですよねw ハツラツとしている80代の方もいらっしゃるわけじゃないですか。アニマルセラピー的にペットが生きがいになって活力となる方も実際いらっしゃいますし。シングルの男性でも本当に素晴らしい方はいらっしゃるわけですよ。」

もちろん、譲渡して終わりではなく、きちんとやり取りをした上で、アフターフォローもしっかりしていく。

猫たちの行き場のチャンスを狭めてしまわないように。飼い主さんの気持ちにできるだけ寄り添って。。。

ヴィンス▲フォトジェニックが過ぎますヴィンスくん。

里親さんからは、1年前はこうだったとか2年記念だとか、日々嬉しい成長の報告があるという。それだけでなく、猫を保護してくれた人までもが、その子の成長を見守り続けてくれていて、2年記念、3年記念などと寄付をしてくださるのだとか。

「すごくありがたいですし、そういうご縁を繋げてるってことも嬉しいことですよね。」

お話していても本当に優しくて温かい、その人柄が伝わってくる。なんだか失礼ながら、ついつい頼りたくなって話したくなってしまうというか^^
でも、そんな保科さんの力があるからこそ、猫を通した大きな輪が広がっていくのだと思う。

猫のペースにあわせて

ナラ2歳。大猫好きにはたまらないフォルム^^でも、鳴き声はまるで子猫のように小さく甲高い。

ナラ

実は2回トライアルにいって2回とも失敗して戻ってきた出戻りボーイ。

「私がいるときはいいんだけど、帰った途端に戦闘体制になっちゃうんでw」
ミャーミャーと甘える姿からはその戦闘モードが全く想像できない^^保科さんの前では、何しても怒ることはないそう。

ナラだけじゃない。ここで暮らしている猫たちは本当にみんな保科さんのことを信頼しているのがすごく伝わってくる。どうしたらこんな猫に育つのか。。。

ナラ
「猫のペースですね。嫌がることはしないとか、人間には害がないんだなってことを知ってもらう風にしてます。」

猫のペース。簡単なようでなかなか難しい。あのナラも保科さんが触れるようになるまで実は4ヶ月かかったんだとか。

早く一緒に寝たい!触りたい!猫を迎えたらついついそんな気持ちになってしまうかもしれないけれど、、、根気よく見守ることで、徐々に心を開いてくれるはず。

どんな猫にもチャンスはある

内観

「ここの窓からうちに入ってきて、飼い猫になれた子って何匹もいるんです、実は。」

最初は窓を開けた瞬間に逃げるけれど、ごはんを置いて窓を閉めると食べにくるそう。
「そのうち、窓を見ると首がピョーンって出てて、ごは~んって鳴くようになるんですね(笑)そしたら、食べてる時に様子見ながらちょっと触ったりとか撫でてみたりして。鼻ツンできるようになったり。そこで止まっちゃう子もいますけどそれでもいいよって。」

ソフィ▲INしているのはソフィ7歳。テラスで気持ちよさそう~

そうこうしながらだんだんお外の猫との距離を縮めていって、いけるかなと思ったら部屋の中へ入れるのだとか。
最初はもちろん隔離して検査。問題なければ里親募集をかけて新しい家族が決まる子もいるそう。

「どんな子にもチャンスがあると思ってます、私たちは。」

人間でも人生何があるかわからないことだらけだけど、猫にとってもしかり^^
こんなふうに家に迎え入れてもらって、新しい家族を見つけた猫はなんて幸せなんだろうと思う。

行政に根気強くアプローチを

公益社団法人どうぶつ基金では行政・団体・ボランティアや獣医師と連携し、さくらねこの不妊手術を推し進めている。

行政側でどうぶつ基金に申請をすると手術チケットを発行してもらえ、そのチケットを使って協力病院で手術を行えば手術費用が無料になるという仕組み。
富士北麓地域でも特にTNR件数の多い都留市に続き、今年になって山中湖村でも行政チケットをとったそう。

ピッピ「役場の方からの依頼にはできるだけお答えしていきたいと思っていて。そのためにはまず知ってもらうこと。病院搬送であったり、捕獲のやり方であったりを現場で見ていただいているんです。少しづつではありますけど、体制が整ってきているように思いますね。かわいそうだからなんとかして、とかではなくて、きちんとした実績と数字を持って理由を示した上で、ご協力をお願いするようなアプローチを進めています。諦めたらそこで終わりなので。」

保護に関してはまだまだ適切な対応が行われていないのが現状。猫の飼い方についても正しい知識が周知されておらず、それが結果として不幸な結末となることも…。
TNRに関しても同じく。ただかわいそうという気持ちだけで餌をやることが、どれだけ多くの猫の命を奪うことになるかをもっと地域住民に理解してもらう必要があるという。

こちらはシモーネ。山中に「猫の死骸がある」との住民からの連絡で回収業者が現場に行ったところ、まだ息をしていて救われた。役場の職員さんからの連絡で、代表が都留まで急遽車を走らせたとか。

シモーネ

ガリガリに痩せ細ってはいるけれど、保護から4日目の取材時には元気に鳴いている姿を見ることができた。

シモーネ

「肉球がこんなにピンクで柔らかいの。」触ってみると本当にふわふわ。お外の猫だったらもっとガサガサしているという。シモーネはきっとどこかお家で飼われてた猫なんじゃないか、そう保科さんは話す。

猫は決してモノじゃない。シモーネが保科さんに甘える姿を見て、飼えなくなったからといって簡単に捨てるようなことは絶対にあってはならないと思った。

「まずは私たちの地元である山中湖村から。役場の職員の方にも意識を高く持ってもらい、ローカルエリアでできることをやっていくという体制を。どうアプローチしていくかがこれからの課題なのかなと思いますね。」

猫は私たちに色んなことを与えてくれている。
優しさ、生きる希望、知恵、そして絆。
同じ命、私たちができることを返したい。少しでも救える命を増やすため。

ねこねっと山中湖
公式サイト:https://www.nekonetyamanakako.org/
支援物資ご購入のお願い:ねこねっと山中湖 ご支援お願い物資リスト
里親さまのご希望の方:里親さま希望のお問い合わせ

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。