- チキンミールは鶏肉を粉末状にしたもので、生肉よりも傷みにくくたんぱく質が多いことからキャットフードの原材料に使われているんですねぇ。フードを選ぶ際は公式サイトをよく確認して、安全性が高いフードか確認することをオススメしますよぉ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
キャットフードの原材料欄でよく見かける「チキンミール」。
「鶏肉とは何が違うの?栄養面は大丈夫?」
「安全性に問題はない?」
など、チキンミールについて知りたいという飼い主さんも多いと思います。
そこで今回は、キャットフードに含まれるチキンミールについて徹底解説!
キャットフードにチキンミールを使用する理由や安全性、良質なフードの見分け方を紹介します。
チキンミールとは
チキンミールとは、鶏肉から脂肪分を取り除いた乾燥粉末のことです。
猫が生きていくために必要な動物性たんぱく質が豊富に含まれており、特に必須アミノ酸「リジン、メチオニン、シスチン」が多く含まれています。
関連記事:猫は肉食?雑食?猫の食性と理想的な食事
キャットフードにチキンミールを使用する理由
キャットフードにチキンミールを使用する理由は以下の3つです。
- 傷みにくく輸送しやすい
- 重量あたりのたんぱく質の割合が高い
- 他の原材料と均一に混ぜたり加工しやすい
傷みにくく輸送しやすい
生肉の半分以上が水分であるのに対し、チキンミールは水分を含まないため傷みにくく、輸送面に優れています。
重量あたりのたんぱく質の割合が高い
チキンミールは、鶏肉の脂肪とたんぱく質が含まれる部位から脂肪分だけを搾り取っているため、重量あたりのたんぱく質の割合が高いです。
肉食動物の猫にとって、動物性たんぱく質はエネルギー源になる大切な栄養素です。
他の原材料と均一に混ぜたり加工しやすい
チキンミールは脂肪分が分離されているため、たんぱく質として扱われます。材料を混合する際に脂肪分などと混合できるため、成分の割合を均一に調整しやすいのです。
また、粉末状のため他の原材料と均一に混ぜたり加工しやすくするという点から、キャットフード製造に便利な原材料です。
関連記事:キャットフードはどのように作られる?フード種類別の製造方法
チキンミールの安全性
ここでは、チキンミールの安全性について説明します。
日本では有害物質や細菌等を含む原材料の使用は禁止されている
日本では、ペットフード安全法により、以下のようにキャットフードの製造基準が定められています。
- 有害な物質や病原菌等を含んだ原材料を使用してはならない
- 加熱、乾燥をする製品では、病原菌等が繁殖しないよう製造する
製造基準から、国内で生産されるキャットフードは有害物質に対して安全と言えます。
また、日本では、輸入されたキャットフードも、有害物質に対して基準や規格にそぐわないキャットフードがあった場合、その事業者に対してフードの廃棄、回収などを命じることができます。
そういったことから、日本で販売されているキャットフードは、国産フードも輸入フードも有害物質や病原菌等に対してきちんと管理されているため、原材料の安全性は高いと言えます。
チキンミールに使用される鶏肉についての明確な基準はない
日本のペットフード安全法では、チキンミールに使用する原材料の明確な基準は設けられていません。
以下は、AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めたチキンミールの定義です。
- 鶏の清潔な肉と皮から油脂分を搾り取って乾燥させたもの
- 羽毛、頭、足、内臓は含まない
- 骨は含む場合もある
国産のフードはチキンミールの定義がしっかり定められていないため、病原菌や有害物質などに対しては安全ですが、「どのような状態の鶏肉を使うか」「鶏肉のどの部位を使うか」については決まりがなく、状態やどういったものなのかが曖昧です。
つまり、羽毛や頭、足などが混ざっている場合もあれば、清潔でない肉を使っている可能性もゼロではないということです。
また、こうしたAAFCOの基準を取り入れていない国で製造されたフードは、さらに安全性が低いと言えるでしょう。
一方、ペット先進国のイギリス(※)やアメリカでは、AAFCOの基準を取り入れておりペットの法整備が整っているため、チキンミールなどを含むキャットフードを探す場合はイギリスやドイツ、アメリカなどのものを選ぶと良いと言えるでしょう。
※イギリスではFEDIAF(ヨーロッパペットフード工業会連合)による製造、栄養等に関する自主基準を定めている。FEDIAFはAAFCOの基準を取り入れている。
- チキンミールの問題点は、その原材料の鶏肉について具体的な基準がないことなんですねぇ。
- 極端に言うと、有害物質と細菌等にさえ気をつければ、どんな部位が入っててもアリってことになりますよね。厳しく制限されているようで、抜け道があるんですね。。。
良質なチキンミールの見分け方
前述のように、チキンミールは100%安心できる原材料とは言えない部分があります。
しかし、なかには乾燥鶏肉を使っているという意味で「チキンミール」と表示している良質なフードもあります。
「良質なチキンミールかどうか」を見分けるには以下のような方法があります。
- 公式サイト上で「副産物不使用」の記載がある
- 公式サイト上で「人間の食用基準を満たしている」と記載がある
- 乾燥チキン、乾燥鶏肉の記載がある
- 自社工場で生産している
公式サイト上で「副産物不使用」の記載がある
AAFCOで定義する肉副産物とは以下の通りです。
- 哺乳動物の毛・角・歯・蹄・肉を除いた部位
- 内臓や骨を含む
- 油脂分を搾り取る前の清潔な部位
AAFCOの定義上では決して危険性はありませんが、製造国が必ずしも定義を守って作っているとは限らないため、入ってはいけない部位が含まれていたり、粗悪な肉が含まれていたりする可能性もゼロでありません。
公式サイト上で「副産物不使用」の記載があれば、安全性が高いと言えるでしょう。
公式サイト上で「人間の食用基準を満たしている」と記載がある
ペットフード安全法は、人間の食品基準である「食品衛生法」に比べると基準が緩く、人間には禁止されている添加物が使用されていたり、添加物含有量の上限が高く設定されていたりします。
しかし、なかには「人間の食用基準を満たした」高品質なキャットフードもあります。
公式サイト上でこうした記載があれば、安全なキャットフードと言えるでしょう。
乾燥チキン、乾燥鶏肉の記載がある
チキンミールではなく「乾燥鶏肉」「乾燥鶏肉」と記載されている場合は、乾燥した肉部分だけを使用していると言え、安全性が高いと言えます。
自社工場で生産している
キャットフードメーカーのなかには、自社工場をもたず原材料の管理や製造なども外部に委託しているケースもあります。
中国産フードを食べた犬や猫が大量死した「アメリカ・ペットフード大量リコール事件」では、こうした原材料の管理の問題点が浮き彫りになりました。
原材料の管理から製造、販売まで一貫して自社で責任を持って行うメーカーかどうかは、安全性をはかる基準と言えるでしょう。
- なかには乾燥鶏肉という意味でチキンミールと表記している良質なフードもあるので、公式サイトやパッケージなどをしっかりチェックしてみてくださいねぇ。
- チキンミールという表記だけだと判断が難しいですけど、公式サイトで安全性についてしっかり触れているかが良質なフードかどうか見極めるポイントなんですねっ。
まとめ
チキンミールは、生肉に比べたんぱく質の割合が高く、猫にとっては栄養価の高い原材料です。しかし、使用する鶏肉の定義がはっきり決まっていないぶん、絶対に安全とは言い切れないところがあります。公式サイトや表記方法を見て、より安全性の高いフードを選ぶと良いでしょう。
- チキンミールは鶏肉から脂肪分を取り除いた乾燥粉末
- 輸送性、栄養価に優れ、粉末状のため製造加工に便利
- 日本では、有害物質や細菌等を含まないよう法規制されているが、使用する鶏肉の状態や部位についての明確な定義はない
- イギリスやアメリカが取り入れているAAFCOの定義では安全性に問題はないが、すべてのメーカーが定義通りに作っているとは限らない
- AAFCOの基準を取り入れていない国もある
- なかには乾燥鶏肉の意味でチキンミールと表記する良質なフードもある
- 公式サイトの記載や表記方法を確認して、より安全性の高いフードを選ぶことが大切
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。