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ペット産業の陰で犠牲となる命のレスキュー〜保護犬猫情報発信センターラフスペース

猫ねこさん

ペットショップにいる犬や猫たちはいったいどこから来ているの?

”ペット産業の陰で犠牲になる犬や猫たち”ー動物好きの方なら、この言葉にピンとくる方も多いかもしれない。

ペットショップで生体販売が行われている日本では、お金を払えばショーケースに並んだ犬や猫を自由に買うことができる。犬や猫を迎えようというときに、まず最初に考えるのがペットショップという方もまだまだ多いのが現実だ。

でも、ペットショップにいる犬や猫が、いったいどこから来ているのかを知っている方は、意外と少ないのではないかと思う。いや、正確にはネット上で「うっすら」悪徳ブリーダーなどの噂を聞くことはあれど、どこか現実味がなく「嘘ではないだろうけど本当に?」という感じの方が多いのかもしれない。もしくは、「なんとなく」怖い予感がするから知りたくない・・・そんな方もきっといるだろう。

けれど、今までたくさんの現場を見て来た根本さんはこう言う。「ペットショップで売られている子の多くは、”繁殖屋”と呼ばれる人たちのところから来ている」のだと。

決して噂ではなく、その陰には過酷な現実があるのだと。

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優良なブリーダーは、母猫の健康状態を気遣いつつ、出産時期や生涯に生む子猫の数もしっかり調整し、愛情をもって育てる。一方の繁殖屋は、命のある猫をお金儲けの商品としか見ておらず、ただただ自分の利益のためだけに大量の子猫を産ませるのだという。

コストを少しでも抑えるため、親猫(繁殖猫)を狭いケージに閉じ込め、最低限の餌しか与えない。劣悪な環境のなかで健康状態が悪化したとしても、医療は二の次。。。発情期が来る度、母猫は妊娠出産を強いられ、心身ともにボロボロに傷つけられる・・・。

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こうして産まれてきた子猫たちは、一番可愛い時期にペットショップに並ぶようにと、早くから母猫と引き離されるのだという。全国各地から集められた子猫たちは、オークションで値段をつけられ、ペットショップの店頭へと流れ着く。

「お母さんや兄弟とまだ団子になっているべき月齢の子が、ひとりぼっちで小さな空気穴の空いたダンボールに入れられ、長時間揺られて運ばれてくるんですね。みんな移動のストレスで下痢になってしまったり、怖くて引っ掻いて傷だらけになってしまったり、乗り物酔いで吐いてしまったり。。。」

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▲お母さん猫として繁殖屋で働かされてきたリオンちゃん。慢性の鼻炎を抱えているけれど、いつでもゴロゴロな甘えん坊さん♡

ショーケースに並んでいる猫たちは、「たまたま」売り物として合格と判断された猫たち。でも、その陰には膨大な数の”死”があるのだという。

こちらのローレンスちゃんも、チンチラとマンチカンをかけ合わせて作られたミヌエットという猫種なのだが、”足長”でミヌエット=短足の定義から外れているという理由から、「売り物にならない」と判断されてしまったのだそう。。。

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こちらは繁殖お父さん猫として働かれてきたマニくん。その体の大きさから一目置かれる存在で、ときどき他の猫と揉めてしまうことも。そのため、普段はケージに入っていることが多いという。でも、実はとっても人には甘々なベタベタさんなんだとか♡

マニ

@hogoinunekocafe.tsunagu

「最初は私も知らなかった事が本当に多くて。。。以前、無知だったばかりに命をお金で購入したこともあるんですが、無意識のうちに、自分もこうしたペット産業に加担してしまったショックが大きかったですね。」

こうした金儲け主義の繁殖システムは、動物たちに”寂しさ”を感じさせ、寂しさによるストレスから、大きな声で鳴き続けたりトイレ以外の場所で粗相するなどの問題行動へと繋がっていくのだという。そして、この繁殖システムこそが生き物を殺しているのだと根本さんは言う。何の罪もない動物たちが、人間の身勝手で振り回され、命を落とす…。信じがたいけれど、決して目をそむけてはいけない問題、、、決して蓋をしてしまってはいけない問題だ。

生まれた瞬間から愛されるべき存在なのに・・・

助けを待つ犬や猫たちの数は、驚くほど膨大だという。ボランティア活動を通じて、こうした現実を目にした根本さんは、自分でもなんとか力になりたいと、2016年7月、東京・調布にラフスペースを設立。ペット産業の犠牲になった猫たちのレスキューに窓口を絞って活動している。

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取材当日、ここで暮らしていた猫たちは全部で16匹。特に上限を決めているわけではなく、今までで一番多かった時には27匹の猫たちがいたこともあるそう。

「助けを待っている子がゼロになることはないんです。その時の状況に応じて、迎え入れるギリギリの時間までお届けに走ったり協力できる団体さんを探したりしながら、できる限りのケージのキャパを開けて調整するんですね。でも、全ての子は救えていないのが現状ですね。。。」

こちらはスコティッシュフォールドのリモちゃん。

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スコティッシュと言えばその折れ耳の可愛さでファンも多いが、実はこの折れ耳は軟骨が突然変異によって硬くなった遺伝的疾患。軟骨の異常は耳だけでなく四肢にも及ぶ。。。痛みによってジャンプできない、歩きたがらない、触ると嫌がる、などの症状は生後数ヶ月で出てくるという。リモちゃんの後ろ足はウサギのように可動域が少なく、売り物にならないと飼育放棄されたのだとか。

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「見た目が可愛い」「人懐っこい」そんな人間の需要に合わせて作られる猫たち。でも、人懐っこさを意図して生ませているにも関わらず、生まれてきた子猫たちは、その感情を満たされないまま「生かされる」。甘えることもできず、愛情を注がれることもなく。。。

「私は懐っこさと脆さってイコールだと思っているんですよ。この子たちはひとりでは絶対生きていけないし、自立していけない。本来、生まれた瞬間から愛されるべき存在なのに。。。本当に残酷なことだと思いますね。」

ブリーダーさんの知識、人柄、環境を見てお迎えする

ただ、人間本来の純粋な欲望をなくすことはできない、と根本さんは言う。純血種や人懐っこい猫、健康な猫、小さい子猫、、、こうした猫を迎えたいという気持ちを抑えることはできない。

じゃあどうしたらいいのか。。。特定の猫種を飼いたいのであれば、ブリーダーさんの知識、人柄、環境をしっかり見て、信頼できる人のもとから迎え入れることが大事だという。ブリーダーさんのなかには、愛情・理念を持って猫を育てている方もたくさんいる。親猫はどんな子か、どんな場所で育ったのか、ブリーダーさんはどんな人か、、、大切なのはいかにブリーダーさんとコミュニケーションを取るか、だ。

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▲保護時は10cmくらい腸が飛び出ていて、歩くこともできなかったというコッコちゃん。それでも甘えたくて懸命に喉を鳴らしていたそう。

ただ、ここにもひとつ問題が。。。というのも、ペットショップの数よりもブリーダーさんの数は圧倒的に少ない。そして、ブリーダーさんの多くは、自然豊かな郊外や地方などの鳴き声や臭いが気にならない場所で繁殖活動を行っている。「動物を迎え入れるのに、わざわざそこまで足を運ぶ人がどれほどいるか」ということがネックなのだと根本さんは言う。

手軽さ、便利さを考えたら、間違いなくペットショップに軍配が上がってしまう。でも、果たしてそれだけで選んでいいのか、、、私たちはもっと慎重に考えなければならないだろう。

大切なのは私たち一人一人の心の中を変えていくこと

ここ最近、増えているのは繁殖屋の廃業現場へのレスキュー。

繁殖屋の廃業が多い理由。それは軽い気持ちで簡単に始められてしまうことだという。「繁殖屋の多くは70代~80代のリタイヤされた世代の方。届出制なので半日の講習を受ければ、誰でも簡単に始められるんです。たとえ動物の知識が全くなくても、動物のお世話ができる体力がなくても。。。ゲートボールや麻雀のような感覚で、みなさん”お小遣い稼ぎ”のためにやっているんですよ。」

高齢になって始めることもあり、病気になったり亡くなったりすることで廃業する繁殖屋は非常に多い。そのたびに、たくさんの犬や猫たちが行き場を失ってしまうのだ。

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@hogoinunekocafe.tsunagu 

でも、こうしてレスキューを重ねても重ねても、助けを待つ動物の数はいっこうに減っていかないという。廃業する繁殖屋の数以上に、安易に繁殖ビジネスに手を出す人が後を絶たないからだ。

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▲お母さん猫として働かせられてきたロッタちゃん。多発性嚢胞腎という腎臓の病気を抱えており、片方の目は白内障だそう。

届出制ではなく資格制にしようという動きは、10年前からあるというが、いっこうに変わっていないのが現状だとか。

「法律の改正を待っている間にも、たくさんの命が犠牲になっていくんですね。ならば、私たちひとりひとりの心のなかを変えていくしかないと思うんです。」と根本さんは言う。

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▲ビアンちゃん。生まれつき腎臓が片方しか機能していないけれど、日常生活には何の問題もないそう。

「動物の犠牲を生む方法と生まない方法、いずれかの選択肢を選べるのであれば、犠牲を生まない方を選びますよね。正しい知識をもって選択できるくらいの世の中になればと思います。無意識に動物の犠牲を生む社会に加担してしまっているのは、すごく悲しいことなので。。。」