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ペット産業の陰で犠牲となる命のレスキュー〜保護犬猫情報発信センターラフスペース

猫ねこさん

それぞれの個性や保護された背景を知ることで、見え方は変わる

ラフスペースでは譲渡会のような形は設けておらず、保護猫たちにいつでも会いにきてもらえるようなオープンスペースを用意している。調布駅前にある保護猫スペースには、里親になりたい方はもちろん、飼えないけれど保護活動に参加したい…と足を運ぶ方も多いという。

商業的な猫カフェのようにドリンクやスイーツが出てくるわけでもなく、接客があるわけでもない。スタッフたちの視線は常に猫へ向かっている。「もしかしたらそういう雰囲気が嫌な方もいるかもしれない。。。でも、それはそれで一つのメッセージになると思うんですね。」と根本さん。

ラフスペース

ラフスペースへ実際に足を運び、ここで新しい飼い主を待つ猫たちがどんな環境で過ごしてきたのか、そのせいで今どんな問題を抱えているのかを知ってもらうことで、ずいぶん見え方は違ってくるのではないかという。

ラフスペース

また、何度も足を運んでもらい、一匹一匹の個性や背景を十分に理解したうえで、里親になることができるのもラフスペースの魅力だという。

「以前、”一番遊んでくれたから”という理由で最初申し込みをされた方がいたんですが、その後何回か通ううちに考え方が変わって、最終的に違う子をお迎えしたいとなったんです。でも、それは決して残念なことではなくて、、、より深い思いで迎えてもらえるのはとても嬉しいことですね。」

誰かと戦いたいわけじゃない、伝えたいのは「愛おしさ」

ラフスペース

▲膀胱炎による飼育放棄で保護されたパディちゃん。治療すらしてもらえない過酷な環境では、命の尊厳は果てしなくゼロに近い。

現在、ラフスペースにいるボランティアさんの数は全部で19人。最初からボランティアを募ったわけではなく、活動を通して出会った人たちが手伝いたいと声をかけてくれ、自然に集まっていったのだという。

ラフスペースのInstagramを更新している前田さんもその一人。ペット里親会のボランティアを通して根本さんと知り合い、昨年からボランティアスタッフに加わったそう。

「少しでも保護活動や保護猫に興味を持ってもらえるようなキッカケになれば」と前田さん。保護猫たちの可愛いショットを中心に、でも可愛いだけで終わらせず、思いの部分も上手く伝えられたらと工夫しているそう。

行政を変えたい、繁殖屋をなくしたい、外で暮らしている不幸な猫達を救いたい、、、。保護活動をしている方達の核になる思いはそれぞれ違う。

そのなかで根本さんが一番強く伝えたいのはただひとつ。「保護猫たちの愛らしさ」だという。

「誰かを責めたり戦う気持ちはありません。ただ、大切な命を救い、その愛おしさを伝えていきたいんです。その思いがみんなに連鎖していって、より愛情深く尽くしていける人が増えていけば、社会が変わっていくと思うんですね。」

ラフスペース

こんなにも可愛らしい猫たちが、なぜ今保護猫として生活しているのかを知ってもらうことで、変わる未来。思いを熱弁して説得するのではなく、自然に何かを感じてもらえたらー。それが根本さんの切なる願いだ。

1匹1匹の幸せを確実に繋いでいきたい

▲拳大くらいのヘルニアで手術経験のあるまびちゃん。遊ぶの大好きなアメショ女子。@hogoneko.tokyo

レスキューしてもいっこうに減ることのない助けを待つ犬や猫たち。残念だが、それが今のペット産業の実態であり、苦しみの部分でもあると根本さんは言う。

「その部分だけ考えるとものすごく途方に暮れてきてしまうこともあります。救える子は全て救いたいという気持ちはもちろんありますけど、それを目標にしてしまうと、あまりにも(叶えることができなくて)苦しくなってしまう。だから、私たちは1匹1匹の幸せを確実に繋ぐことに視点を当てて活動するようにしています。」

ラフスペース

▲唯一お外で保護された全盲あっくん。一度だけてんかん発作を起こしたことがあり、安全面を考えてパネルルームを作ったそう。

「心の中には壮大な思いがあり森を見ているけれど、一本一本の木々を見る努力をしています。」

傷ついたボロボロの犬や猫たちとたくさん向き合ってきた根本さんが語るからこそ、その言葉のひとつひとつには重みがある。

ラフスペース

心ない繁殖屋の言葉を耳にすることもある。なぜ動物にそこまで、、、と不思議がる人もいる。それでも心折れることなく、根本さんは助けを待つ猫や犬を救い続ける。
そこにあるのは深い「愛情」と現実を知る「勇気」だ。

猫たちはどこにいるのか。人間たちのそばに住み、私たちと寄り添って生き続けている。
猫たちは私たちなしでは生きられないことを忘れないでほしい。猫たちをそうしてしまったのは人間であることも。
それでもなお、猫たちが私たちに向ける眼差しは優しく愛おしい。
こういった現実に向き合い、その子たちの幸せな第二の猫生への橋渡しをしている人たちがいることを、私たちは決して忘れてはいけない。

大切なのは「知る」こと。そして「伝える」こと。
猫たちの未来は間違いなく私たちの手に委ねられている。
「生き物の生体販売」が抱える大きな悲しみ、苦しみを一人一人が知り、意識を変えることで猫たちの未来は大きく変わることができると私たちは信じている。

取材協力:保護犬猫情報発信センター ラフスペース

■保護犬猫情報発信センター ラフスペース
住所:182-0024 東京都調布市布田1丁目35-3 ダイモンビル3F
電話番号:042-455-6945
営業時間:12:00~20:00(定休日なし)
※1時間1,000円程度の寄付をお願いしています。
※犬の譲渡会は毎週日曜日板橋にて開催。

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。