- まるでぬいぐるみのようなずんぐり体型のブリティッシュショートヘアですが、実は意外と運動神経抜群。元ネズミハンターということもあり、とても賢く褒められるとやる気を出す「犬」に近い性格ですよぉ。しつこくされるのが苦手ですが寂しがり屋な面もあるので、適度な距離感でかまってあげてくださいねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
ずんぐり体型ながら運動能力抜群のブリティッシュショートヘア。
ブリティッシュブルーの被毛・丸みのある顔が特徴。
元々ネズミハンターとして飼われていたこともあり、見た目によらず動きは俊敏。
丸みのある体つきですが実は意外と骨太のがっちり体型なので肥満には注意!
物静かでほとんど鳴くこともないので、マンションなどでも安心して飼うことができますよ。
今回はそんなブリティッシュショートヘアのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
ブリティッシュショートヘアのルーツは非常に古く、2世紀ごろまでさかのぼります。なんでも、古代ローマ軍がイギリスを侵略した際にネズミハンターとして連れてきた猫と言われているのだとか。
19世紀に入り、イギリスでは自国産の猫の品種改良に乗り出します。ネズミ捕りとして優秀な血筋を残していたブリティッシュショートヘアもそのひとつだったそう。
1870年代に入り国内のキャットショーで数々の賞を獲得。1900年代に品種として確立されました。
この頃から長毛種との異種交配が行われており、第一次世界大戦前は長毛タイプに人気が集まっていました。しかし、イギリスのBCCF(猫血統登録団体)がペルシャとの交雑に反対。第一次世界大戦後はペルシャとの交配種は孫以降のみ認められることとなり、個体数が激減します。
さらに第二次世界大戦の頃は、食糧不足などから絶滅の危機に瀕したため、繁殖家たちがロシアンブルー、ペルシャ、土着の短毛種などと積極的に交配させるように。
こうして絶滅の危機を脱したブリティッシュショートヘアは、戦後になると人気を取り戻し再びキャットショーの参加資格を得ます。
現在ではペルシャとの異種交配は行われていないため、その名前の通り短毛種がメインに。時々生まれてくる長毛種は「ブリティッシュシロングヘア」という別の品種として2009年からキャットショーに参加しています。
特徴
ではさっそく、ブリティッシュショートヘアの主な特徴を見ていきましょう。
- ずんぐりと厚みのある体
- ブリティッシュブルーと呼ばれる被毛
- 運動能力が高い
ずんぐりと厚みのある体
胸板が厚く、手足はがっしりしていてやや短め。
子猫のときはどちらかというと逆三角形の顔ですが、年齢を重ねるうちに「まんじゅう顔」と呼ばれる丸みのある顔に。
目もしっぽの先も額もすべて丸く、おとなしくしているとまるでぬいぐるみのような愛らしい体が人気のヒミツです。
ブリティッシュブルーと呼ばれる被毛
ブリティッシュショートヘアは別名ブリティッシュブルーと呼ばれることも。青みがかったグレーの被毛がとても魅力的です。
運動能力が高い
もともとハンターとしての役割を担うほどネズミ捕りが得意なこともあり、ずんぐりとした見た目によらず運動能力は高いです。
- あのどこから見てもまんまるな体、、、とっても親近感を感じますねぇ、、、ンフフ。でも実はとっても運動能力が高くて、昔はネズミハンターとも言われていたそうですよぉ。
- えぇっ!ネズミハンター、、、あのまんまるな体のどこにそんな力が、、、ぬいぐるみみたいでかわいいって思ってましたけどなんか見直しちゃいました。
大きさ
続いては、ブリティッシュショートヘアの大きさについて。
子猫の平均体長と体重(生後3ケ月)
- 体長 約20cm
- 体重 約1~1.5kg/li>
ブリティッシュショートヘアは一般的な猫に比べ成長が遅く、約3年~5年かけて成猫になります。
成猫の平均体長と体重
- 体長 オス約40~50cm メス約40~50cm
- 体重 オス4~7kg メス3~6kg
体長、体重ともに一般的な猫と大差はありませんが、骨太で筋肉質な体型です。
しっかりとした筋肉がついているため、運動量の減る高齢期になってくると肥満になりやすく注意が必要です。
体長は性別によって大差はありませんが、体重はややオスの方が重いです。
性格
続いてはブリティッシュショートヘアの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 物静かで穏やか
- 賢く褒められるのが好き
- 自立心が高いが寂しがりな面も
おとなしく穏やかな性格。静かな場所を好むので、家に友達を呼んでワイワイ騒ぐのが好き、家族の人数が多く常に騒がしいという場合はストレスを感じてしまうかも…。ほとんど鳴くこともないため、マンションなどの集合住宅でも飼いやすいでしょう。
また、もともとネズミ捕りのハンターという任務を任されていたことからも、非常に賢い猫だと言われています。猫は犬のように褒めて達成感を感じることが少ない動物ですが、ブリティッシュショートヘアは褒めれば喜んでくれるのでしつけもしやすいでしょう。
自立心が高い面もあり、抱っこされたり、頭をなでられたりというスキンシップが苦手な猫が多いようです。一見クールに見えますが、実は寂しがりやな一面も。猫の様子を見ながら程よい距離感で接してあげると良いでしょう。
オスはメスに比べて活発で甘えん坊
オスはメスに比べ人活発な猫が多く、喜怒哀楽もわりとストレートに出します。メスは自立心が高く、必要以上に構われるのが苦手のようです。
- とっても穏やかでおとなしい性格なので、マンションなどで飼うのにもオススメですよぉ。元ネズミハンターだったこともあって、賢い猫とも言われてますねぇ。褒められるとやる気を出すタイプ、、、クロベエくんに似てますかねぇ、、、ンフフ。
- 褒められるのは大好きですけど、かしこ、、、くはないですね。。。ぼく、典型的な猫タイプで気まぐれですからねっ。
かかりやすい病気
ブリティッシュショートヘアの半数以上は血液型B型と言われています。
猫の8割はA型なので、病気の治療で輸血が必要になった場合や、妊娠・出産の場合には注意が必要です。万が一違う血液型の輸血を受けた場合、ショック症状を起こし命を落とす危険もあります。
ただし、すべてのブリティッシュショートヘアがB型というわけではないため、必ず動物病院で血液型を調べてもらうようにしましょう。
ここではブリティッシュショートヘアがかかりやすい病気について説明します。
- 肥大型心筋症
- 糖尿病
- 皮膚疾患
- 尿路結石症
肥大型心筋症
心臓の筋肉がどんどん厚くなってしまう心臓病で、遺伝的にかかりやすいと言われています。
子猫から高齢猫までどんな年齢でも発症リスクがあり、メスよりオスの方がかかりやすいようです。
主な症状は以下の通りです。
- 元気がない
- 呼吸が荒い、息苦しい感じ
- 麻痺や痛み
- 食欲不振
- 麻痺した足の肉球が白く冷たくなる
- 歩き方に違和感がある、立てない
- 後ろ足を気にして歩く
初期段階ではほぼ無症状で、症状に気づいた頃にはすでに病気が進行している可能性が高いです。
定期的に超音波検査、血液検査を受け、早期発見することが第一です。
治療は病気の進行を防ぐため投薬を行います。すでに血栓ができているときは外科手術を行いますが、再発率が高いと言われています。
糖尿病
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリン不足や、インスリンへの体の反応力の低下などによって血糖値が上がる病気です。
主な症状は以下の通りです。
- 多飲多尿
- 食欲不振または食欲増進
- 毛艶が悪い
- 寝る時間が長い
- 体重減少
- 皮膚の乾燥、脱水
糖尿病は完治することがなく、インスリン注射や食事療法で対処していくことになります。
肥満が原因でかかりやすい病気なので、運動量を増やし体重管理をしっかり行っていくことが大切です。また、高齢になると運動量が減るため、食事量を調整することも肥満対策のひとつです。
糖尿病になると腎不全や肝硬変、急性すい炎などの合併症を引き起こすリスクもあるため注意が必要です。
皮膚疾患
アレルギーなどの内部刺激、感染症などの外部刺激が原因で起こる病気です。
主な症状は以下の通りです。
- 体の痒み・痛み
- 発疹・脱毛
- 体をかく・体を擦りつける
痛みがひどくなってくると触られるのを嫌がるようになり、元気がなくなります。
治療は塗り薬や内服薬を使って行います。普段から毛づくろいの回数や猫の仕草を気にかけ、気になる症状が見られたら早めに治療を始めることが大切です。
またブラッシングをする際に、ときどき手で直接皮膚を触ってあげるのも早期発見につながります。
尿路結石症
尿路結石症は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。
主な原因は以下の通りです。
- 食生活
- 水分不足
- 環境
- ストレス
発症すると以下のような症状が見られます。
- トイレに行く回数が増える(一般的な猫の排尿回数は約2回/日)
- 頻繁にトイレに行くが少量の尿しか出ない
- 排尿時に痛みで鳴く
- トイレにいる時間が長い(うずくまる)
- トイレ以外の場所で排尿する
- 尿の色が赤、オレンジ、茶色
- お腹や足を触ると痛がる
- 陰部や腹部を頻繁に舐める
- 尿と一緒に砂状の結晶や結石が出る(猫砂がキラキラ光って見える)
- 尿が出ない
治療方法は結石の種類や大きさ、猫の状態によって違いますが、主に食事療法や結石をとかす薬、外科手術などで対処します。
再発しやすいため、常に新鮮な水を用意し、ストレスをためないよう環境を整えることが大切です。また、食事内容を見直すことも予防法のひとつです。
尿路結石について、詳しくはこちらの記事(猫の下部尿路疾患・尿路結石について)で詳しく説明しています。
- ブリティッシュショートヘアはB型の猫が多いので、病気の治療で輸血が必要になったときは注意してくださいねぇ。猫のほとんどはA型なんですよぉ。
- 猫のほとんどがA型だったなんて知らなかったです!ぼくもA型なのかなぁ。。。
でもすべてのブリティッシュショートヘアがB型ってわけじゃないので、ちゃんと調べてもらったほうがいいですね。
飼い方
ブリティッシュショートヘアを飼うときには、以下のような点に注意しましょう。
- 運動できる環境を整える
- 体格を保つための食事管理
- 静かな環境・適度なスキンシップ
運動できる環境を整える
見た目と違って意外にも運動能力の高い猫です。運動不足でストレスをためないように、なるべく自由に走り回れるようなスペースを確保してあげましょう。
キャットタワーなど上下運動ができるものがあれば、ひとりでも飽きることなく遊んでくれるでしょう。
体格を保つための食事管理
ブリティッシュショートヘアは3~5年かけてゆっくりと成長する大型猫です。
筋肉質で骨太のたくましい体を作るためには良質な高たんぱくフードを与えることが大切です。ただし、糖尿病にかかりやすいため、肥満には気をつけましょう。
ブリティッシュショートヘアの食事について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
静かな環境・適度なスキンシップ
騒がしい環境が苦手なので、なるべく静かな環境を整えてあげることが大切です。
また、自立心が高くベタベタ触られたり、抱っこされたりするのも苦手です。
特に小さいお子さんや赤ちゃんがいる家庭ではストレスに感じる場合もあるため、注意が必要です。
寿命
ブリティッシュショートヘアの平均寿命は14~17年と言われています。 猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命と比べるとやや長めのようです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決まめておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、ブリティッシュショートヘアに関するよくある質問をまとめています。
自立心が高くベタベタされるのが苦手なので、抱っこを嫌がる猫が多いと言われています。ただ、実は寂しがりやな面も持っているので、猫の様子を見ながらしつこくならない程度にスキンシップをとってあげましょう。長時間の抱っこは嫌でも、少しの時間なら逃げないでじっとしている猫もいます。
最も多いブリティッシュブルー以外にも、数は少ないながらたくさんの毛色があります。
主な毛色は以下の通りです。
- ブルー
- ブラック
- ホワイト
- レッド
- クリーム
- チョコレート
- シナモン
- ライラック
毛柄の種類も非常に豊富です。
- トーティー・・・2色の毛色が不規則に混ざっている
- ハチワレ・・・顔の模様が八の字のように割れている
- キャリコ・・・3色の毛色が生えている
- スモーク・・・毛の根元部分が白く、毛先部分に色が入っている
- シェーデット・・・毛の根元部分が白く、毛先から1/2~1/3に色が入っている
- クラシックタビー・・・渦巻状の縞模様
- マッカレルタビー・・・魚の鯖(サバ)のような縦の縞模様が体の両側に入っている
- スポテッドタビー・・・ヒョウのような斑点模様
- ポイント・・・体の大部分は白い毛色、耳や鼻先などに色が付いている
穏やかでおとなしい性格なので、他の猫とも仲良くやっていける猫が多いでしょう。ただし、先住の猫との相性もありますので、少しずつ様子を見ながら慣れさせていくことが大切です。
- 飼うときのポイントは「運動できる環境」「食事管理」「静かな環境・適度なスキンシップ」ですよぉ。抱っこ嫌いなのでしつこくしない程度にかまってあげてくださいねぇ。
- こう見えてぼくも抱っこ嫌いなんですー。気分がのらない時にベタベタされるの苦手なんで、ほどよくかまってほしいですっ。
まとめ
ブリティッシュショートヘアのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- 古代ローマ軍がイギリスに侵略した際ネズミハンターの役割を担っていた猫と言われている
- ずんぐりと厚みのある体のわりに運動能力は高い
- ブリティッシュブルーと呼ばれる毛色がメインだが他にも他種類の毛色・毛柄がある
- 成猫になるまで約3年~5年かかる
- 体長・体重は一般的な猫とほぼ同じだが骨太で筋肉質な体型
- 高齢期は太りやすいので注意
- 物静かで穏やかな性格なので静かな環境を整えることが大切
- 非常に賢く褒められると喜ぶタイプ
- 自立心が高くスキンシップが苦手だが寂しがりやな面も
- 半数以上が血液型B型なので輸血が必要な場合は注意
- 遺伝的に肥大型心筋症にかかりやすいため定期的な検査で予防する
- 肥満になりやすいため糖尿病には注意
- 一般的な猫でも見られる皮膚疾患、尿路結石などにもかかりやすい
- 骨太で筋肉質な体型を保つため良質な高たんぱくフードを与える
- 小さなお子さんのいる家庭では過度な抱っこなどに注意
- 自由に走り回れる運動スペースを確保することが大切
- 寿命は14~17年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。