- キャットフードを温めると香りがたつので食欲がそそられるんですよぉ。温めるときは人肌程度、フードの種類にあわせて電子レンジや湯煎、直接お湯をかけるなどの方法をとりましょう~。
- 【監修】ペットフード販売士
猫ねこ部編集室 ディレクター
木原優子
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
食べムラのある猫の食いつきを高めるために、さまざまな工夫をしている飼い主さんも多いと思います。
そのひとつが「キャットフードを温める」こと。
でも
「キャットフードを温めるとどんな効果があるの?」
「どんなふうに温めればいい?適温はどれくらい?」
など、いろいろと分からない点もありますよね。
そこで今回は、キャットフードを温める理由、温め方について徹底解説します!
猫の味覚と嗅覚
人間の場合、「甘味」「酸味」「苦味」「塩味」「うま味」の5つの味覚で美味しいか判断しますが、猫の味覚は人間とは異なります。
ここでは、猫の味覚と嗅覚について説明します。
味覚をキャッチする味蕾(みらい)の数が少ない
食べ物の味は、舌の表面にある味蕾(みらい)でキャッチしますが、猫は人間に比べて味蕾の数がかなり少ないです。
猫と人間の味蕾の数は以下の通りです。
- 猫・・・約500個
- 人間・・・約6,000個
猫は人間ほど繊細な味覚を持っていません。
食べても健康に害がないか判断できるよう、酸味(毒性)には敏感ですが、甘味や塩味は感じとることができません。
嗅覚をキャッチする嗅覚受容体の数が多い
一方、食べ物のにおいは、鼻粘膜にある嗅覚受容体でキャッチしますが、猫は人間に比べて非常に多くの嗅覚受容体を持っています。
猫と人間の嗅覚受容体の数は以下の通りです。
- 猫・・・約6,500万個
- 人間・・・約1,000万個
このように、猫は味覚よりも嗅覚が発達しており、食べ物かどうかはにおいで判断しています。
そのため、においの強いものを好む傾向があります。
猫の嗅覚が発達したのは、野生時代、自分で仕留めた獲物が腐っていないか、毒がないかなどをにおいで判断していたことが関係しています。
猫が生きていくために備わった防衛本能と言えるでしょう。
関連記事:実は同じ祖先?運動能力や食性に関する犬と猫の13の違い
キャットフードを温める理由
キャットフードを温めるのは、においを強く出して猫の食いつきを高めるためです。
食いつきが悪いのはさまざまな理由が考えられますが、食いつきをよくする方法のひとつとしてフードを温めるのです。
ドライフードを食べられない子猫や老猫も食べやすくなる
離乳食からドライフードに切り替える時期の子猫は、まだ歯が生え揃っておらず、消化器官も未熟です。
また、高齢になると噛む力が弱くなり、消化器官も衰えてきます。
このように固いドライフードを上手く食べることができない子猫や老猫には、お湯をかけてフードを柔らかくすることで香りも出て食べやすくなります。
- 私たち猫はにおいを嗅いで食べ物と認識するので、においのあるフードを好む傾向があるんですねぇ。温めてにおいを強く出すことで、食いつきを高められるんですよぉ。
- ごはんを食べるときはまずにおいを嗅ぎますもんねっ。食べられるかどうかって確認するんです!においが強いものにはどうしても惹かれちゃいますっ。
キャットフードの温め方
では、キャットフードの温め方について説明します。
ウェットフード
ウェットフードの温め方は以下の通りです。
- 電子レンジで温める
- 湯煎で温める
- 食器を温める
電子レンジで温める
袋や缶からウェットフードを耐熱容器に出し、必ずラップをかけて、レンジで数十秒ほど人肌程度に温めましょう。
フードに他の食品のにおいがつかないよう、必ず密閉することが大切です。
レンジの掃除もこまめに行った方が良いですね。
温め終わったら、温めムラが出ないようによくほぐしてから与えましょう。
湯煎で温める
パウチタイプのウェットフードは、人肌程度のお湯を入れた鍋などで湯煎して温めると良いでしょう。
温めすぎには注意が必要です。
食器を温める
フードそのものではなく、あらかじめフードを入れる食器をお湯で温めておく方法です。
ドライフード
ドライフードの温め方は以下の通りです。
- お湯を加えてふやかす
- 温めたウェットフードをドライフードにのせて温める
お湯を加えてふやかす
ドライフードを器に入れ、人肌程度のぬるま湯を半分くらい注ぎ約10分程度浸して温める方法です。
猫の好みや歯の状態にあわせ、浸す時間を調整すると良いでしょう。
関連記事:キャットフードの正しいふやかし方
温めたウェットフードをドライフードにのせて温める
ドライフードの上に、人肌程度に温めたウェットフードをのせて混ぜることで、ドライフードを温める方法です。
ドライフードに飽きてしまって食いつきが悪いときに試してみると良いでしょう。
- フードの種類にあわせて温め方を変えてあげると良いですよぉ。大事なのは温めすぎないこと!人肌程度に温めて与えてくださいねぇ。
- いくらにおいを強く出したいからって、アツアツなのは勘弁ですっ。
まとめ
- 猫は味覚より嗅覚が優れており、においで食べ物かどうか判断するため、においのあるフードを好む
- キャットフードを温めることでにおいを強く出すことができ、猫の食いつきを高められる
- ドライフードを上手く食べられない子猫や老猫には、お湯をかけてフードを柔らかくし香りを出してあげると食べやすくなる
- ウェットフードは電子レンジ、または湯煎で温める
- 温め温度は人肌程度、温めすぎには注意
- 温めムラが出ないようよくほぐす
- レンジを使う場合は必ずラップをかけ、他の食品のにおいがつかないようにする
- あらかじめ食器を温めておく方法もある
- ドライフードはお湯に浸してふやかして温める
- 温めたウェットフードをドライフードにのせて混ぜドライフードを温める方法もある
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。