- 保護猫カフェ駒猫は、猫を飼いたい人も、猫と暮らせないけど癒されたい人もみんなが楽しめるお店。ぜひ、のびのびと暮らす保護猫たちに会いに足を運んでみてくださいねぇ。
東京・駒沢にある「保護猫カフェ駒猫」。
一面ガラス張りの窓から見えるのは、四季の移ろいを感じられる自然豊かな駒沢公園。
ここでは、新しい家族との出会いを待つたくさんの保護猫たちが、みんな思い思いに暮らしています。
今回は、そんな保護猫カフェ駒猫を詳しくリポート!保護猫カフェを開くきっかけや保護猫への想いについて、店長の吉田さんにたっぷりとお話を伺ってきました!
”猫と人のお見合いカフェをやりたい”という夢
東京・駒沢大学駅から歩くこと10分。
駒沢公園の目の前に一軒の保護猫カフェがある。その名も「保護猫カフェ駒猫」。
さっそくビルの階段を4階まで上がり、店内へ。
全面ガラス張りの窓から日差しが差し込み、とても明るい店内。コンクリート打ちっ放しの壁がとてもオシャレな雰囲気だ。
店内にある螺旋階段をのぼると猫たちのお昼寝スペースが。猫たちは階段を自由に上り下りしてのんびりと過ごしている。
▲おひさまポカポカで気持ちイイニャー。
1周年を記念したバルーン。飾られている写真はどれもお客さん撮影のものだとか。プロカメラマン並に上手い!!
さて、そんな駒猫のオープンの経緯について早速店長の吉田さんに伺った。
吉田さんは元ペットシッター。もともとはOLだったというが、小さい頃から動物が大好きで”いつか動物に関わる仕事をしたい!”と思っていたことから、2008年にペットシッターの仕事を始めたのだとか。
代表含め従業員は全部で3人の小さなお店。新人スタッフとして入った吉田さんは、代表についてお客さんの家に行き、そこで猫や犬のお世話の経験を積んだという。
▲茶白のスリごろ茶太くん。姿が見えない~と思ったらキッチンでいいカゴ見つけてらっしゃった^^
そんなある日、代表からこんな質問を投げかけられたとか。「枝次(旧姓)さんの夢は何?」と。
その時吉田さんからとっさに出た言葉は「猫と人のお見合いカフェをやりたい!」
「当時は今ほど保護猫カフェはなかったと思うんですが、、、保護猫がいるお店にお客さんがコーヒーを飲みに来たり遊びに来たりして猫と触れ合って、もし出会いがあれば里親になれる、そんなカフェをやりたいなっていう想いは10年以上前からあったんです。でも、本当に自分がお店をやるかというと、当時そこまでの実行力はなくて…。」
でも、代表はそんな吉田さんの描く夢にとても興味を示し、賛同してくれたんだとか。
その後、吉田さんは代表が立ち上げたドッグホテルのスタッフに。ドッグホテルが閉店するまで5年ほどそこで働いていたそう。
こうした経緯を経て、今から5年以上前、吉田さんはペットシッターとして独立したという。
保護猫カフェでのボランティアを経て湧き上がってきた想い
▲サビキジ・甘えん坊なエコーちゃん。卒業したデルタちゃんと手前のブルーちゃんと三姉妹。
ペットシッターをしながらも、ずっと保護猫に関わる何かをしたいという気持ちを持ち続けていた吉田さん。
そんな時、友人Mさんからある保護猫風カフェでボランティアをすることになったという話を聞いた。その猫カフェとは、山梨の動物保護団体「NPO法人リトルキャッツ」が運営する「Cats安暖邸(あんだんてい)」。そこは、リトルキャッツで保護した猫たちを預かり里親を募集するというシステムの猫カフェだったという。
吉田さんの家には当時先住猫がいたそうですが、その安暖邸から二匹目の猫を譲り受けたのだとか。
▲なかよしブルー&エコー姉妹。
2016年2月、惜しまれつつも安暖邸は閉店。その後、安暖邸でボランティアをしていたスタッフと里親の方が、戸越銀座に「保護猫カフェMeooow!(ミャーーーオ!)」をオープン。保護猫カフェMeooow!はリトルキャッツで保護された猫を預かり新しい家族へと繋ぐ里親募集型カフェだった。
安暖邸で働いていた友人Mさんも、ボランティアスタッフとして保護猫カフェMeooow!の一員になることに。そして吉田さんもボランティアに誘われ。。。
「ずっと仕事が忙しかったんですけど、ちょうどその頃少し落ち着いてきていたというのもあって、やりたい!と伝えて。」
こうして吉田さんはペットシッターの仕事を続ける傍ら、保護猫カフェのボランティアスタッフとして働くようになったのだとか。
▲キジトラ・ブルーちゃんは取材後トライアルへ出発。
「本業をしながらなので、入れて週に1回くらいではあったんですけど、1年半近くスタッフとして働きました。その間、たくさんの猫たちが新しい家族を見つけて幸せになっていく姿を見ていて、本当にすごくいいシステムだなって思ったんです。」
もちろん、保護猫を譲渡する方法は他にもいろいろある。例えば、各地で開かれている譲渡会。
吉田さんは譲渡会にも何度か行ったことがあるという。でも譲渡会で見る猫たちはみんなすごく緊張していているようで、少しかわいそうな感じがしてしまったとか。保護主さんに「抱っこしてあげてください~」と言われて無理やり抱っこさせられたりするのも、猫にとってはストレスなんじゃないかという思いもあったそう。
「もちろん否定するわけじゃないんです…。でも猫たちが自由にのびのびと暮らしているところに人間がお邪魔する感じで自然に触れ合って、本当に縁を感じた子を家族に迎えるっていうのがやっぱりすごくいいシステムだなと。それで、自分でもそんなお店をやりたいなって思う気持ちが大きくなって、駒猫をオープンしたんです。」
人生の後半戦は猫のために~自分にできること
▲2階でぬくぬく中だった茶トラのヴィオラくん。人懐っこい甘えん坊男子。
吉田さんは現在50歳。保護猫カフェをオープンしたのは、”人生の後半戦をどう生きるかと考えた時、今まで猫に救われてきたので猫に恩返しをしたい”という想いもあったという。
「愛護団体のように現場で猫を保護して人馴れさせたり、具合の悪い子の治療をしたり、、、そこまでは自分はできない。でも、そういう方々の受け皿になって、新しい家族に繋げていきたいって思ったんですね。それだったら自分にもできるんじゃないかなって思って。」
もともと猫を譲り受けたのもリトルキャッツ。そしてボランティアをしていたのもリトルキャッツの猫を預かっていた保護猫カフェ。こうした繋がりもあって、リトルキャッツの受け皿となる保護猫カフェになることを決めたという。
飼い犬を保健所に…トラウマを克服するために
▲ブリティッシュショートヘアのジャックくん。片目にハンデはあるけれどずんぐりフォルムで遊ぶ姿はとっても愛らしい。
小さい頃から動物が大好きだったという吉田さん。哺乳類だけでなく鳥もインコも亀も金魚も、、、とにかく何でも!でも、猫だけは飼ったことがなかったんだとか。
というのも、お母様が実はあまり動物が好きではなく…。”お家の中で飼う”猫はどうしても受け入れられなかったそう。
そんな事情もあって猫だけは飼えなかったものの、猫のことは基本的に大好きだったそうで。小学校の帰り道、車に惹かれて亡くなってしまった猫を見ては悲しい気持ちで手を合わせていたとか。
初めて念願の猫を飼ったのは30歳を過ぎてからだったそう。
▲2階ベッドの人気っぷり^^
吉田さんが保護動物に関心を持ったのは、小学校3年生の時のある”事件”がきっかけだったという。
「小学校3年生の時に、親が飼っていた犬を保健所に連れて行ってしまったんですね。それで殺されてしまったというのが今でもトラウマで。秋田犬の入った雑種の女の子で、私もすごく可愛がっていたんです。でも、ある時血便が出るようになって。。。親が言うには、この子は病気だからもう飼えないと。」
▲ひとくん。少し怖がりで繊細なところがあるけれど、遊ぶの大好き♥
まだ小さかった吉田さんは、親の決めたことをいくら泣いても覆すことはできなかったという。でもよくよく考えると、「あれは病気ではなく生理だったんじゃないかと思う・・・」と吉田さん。
今から40年以上も前のこと。今でこそ避妊去勢の大切さが叫ばれているが、当時はそういった習慣も知識も広まっていなかった。飼い犬に生理がきたことで、親は子供が生まれることを心配し手放したのでは…と吉田さんは言う。
「その時のトラウマがずっとあった…。だから、ちっちゃい時から自分は保健所から動物を救いたいと思っていたんです。でも自分にできることってなかなかなくて。。。社会人になってからも、信用できそうな保護団体さんにときどき寄付するぐらいしかできませんでした。でも、やっといろんな経験を経て、”保護猫カフェ”なら自分の願いを叶えることができると思ったんです。」