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保護猫のわ通信Vol.5|TNR不妊手術を行う獣医師へインタビュー「ふー動物病院 亀田博之先生」

2019-12-24

猫ねこさん

飼い主のいない猫と人とのトラブル

捕獲器

「敷地内に猫がおしっこやウンチをして異臭が・・・」
「発情期の鳴き声やスプレー行為に困っている」
「車に引っかき傷をつけられた」、、、など野良猫が増えすぎた結果、地域住民の苦情に繋がるケースも多々あるという。

「最初は可愛いからとみなさん餌をあげるんですけど、その数が増えすぎると今度は持ってってくれと言いだすんですね。生まれてきたらダムに捨てるだとか、海や川に捨てるだとか、生きたまま土の中に埋めるだとか、、、特に高齢の方に多い。虐待なんですよ。けど残念ながらそういう地域もあるんです。」

あまりにも身勝手で無責任な言葉にただただ心が締め付けられる。これが現実なのだと思うと悲しくて悔しい。

根本的な解決のためには不妊手術がとても大切

手術▲木工ボランティアさんが設計して組み立てたねこねっと山中湖お手製の手術台。亀田先生の腕と肩の負担が減るよう身長に合わせて高さを調整したそう。

殺処分されるために、捨てられるために生まれてくるなんて、、、子猫たちの命には何の罪もないのに。

こうした問題を根本的に解決し不幸な命をこれ以上増やさないためには、蛇口を閉じることが大切なのだという。

「高崎での経験でさまざまなことを考えさせられました。自分に何ができるかを考えた時、我々は獣医師なので、手術という形であれば猫を救えるのではと思って。」

こうして亀田先生は新たな一歩を踏み出したのだ。

傷口は出来るだけ小さくかつ麻酔のリスクを少なく

手術

獣医大学の授業では、TNRや耳カットのことを熱心に教える先生はほとんどいない。亀田先生自身も愛護センターでの仕事に携わって初めて知ったそう。

そこで開業前、TNRの実績を持つ獣医のもとで修行を積んだという。

「この子たちは基本的に今日の夜もしくは明日の朝にはリリースするんですね。なので、できるだけ傷口は小さくかつ麻酔のリスクを少なく丁寧に。その後も幸せにお外で生きられるように。。。そのための手術法を習得しないといけないんですね。」

一回の捕獲のチャンスで出来ることは全てやる

一番多い時で一日に75件の手術を行ったこともあるという亀田先生。去勢手術であれば1分で終わるというが、もちろん猫の状態によってはそうはいかないことも。

こちらはひどい疥癬(かいせん)で掻き壊してしまっていた猫ちゃん。疥癬とはヒゼンダニというとても小さなダニが皮膚に寄生して起こる皮膚病のこと。

疥癬

「皮膚病のなかでも一番痒みが強いといわれる類のもの。痒くて食欲がなくなり亡くなってしまうこともあるほどなんです。」

でも、レボリューションというお薬を垂らすことで確実に治すことができる病気なのだとか。すぐに適切な処置を行い、ボランティアスタッフの方にも手洗いなどの注意を促す。

こちらは停留睾丸(ていりゅうこうがん)だった猫ちゃん。

手術

胎児時代のオス猫の睾丸(精巣)はお腹の中にある。これが少しずつ足の付け根の方まで移動し、生まれる頃にはお腹の外の陰嚢の中におさまるというのが通常だ。けれど、なかには遺伝的な理由でお腹の中もしくは鼠径(そけい)部(内股のあたり)にとどまったままになるケースも。これを停留睾丸(潜在精巣)と呼ぶ。

鼠径部に片側の睾丸が出ている場合は、その部分を切って摘出するので、それほど負担はかからないが、目視で分からない場合もあるという。その場合は避妊手術のようにお腹を切って睾丸を探し、摘出しなければならないのだそう。

今回の猫ちゃんはお腹を切らないといけないケースだった。

「ここまで(睾丸が)降りてきていないケースは(山中湖では)初めてですね。」亀田先生はそう言って慎重に丁寧に手術を行う。こういったケースの場合は手術時間も1時間弱と長くなる。

”一回の捕獲のチャンスでできることは全てやる”これがねこねっと山中湖のポリシー。

この先も苦しまずにお外で生きていけるように、できる限りの処置をしてリリースをしている。