本ページはプロモーションが含まれています

保護猫のわ通信Vol.6|動物遺棄を減らすために私たちにできること

猫ねこさん

動物遺棄の考え方とは

先ほどご説明したように、動物遺棄は犯罪であり警察への通報が基本だ。

では「明らかな動物遺棄」とはどういったことを指すのだろうか?

こちらは環境省によって各自治体に通達されている「愛護動物の遺棄の考え方」。

【基本的な考え方】
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和 48 年法律第 105 号。以下「法」という。)第 44 条第3項に規定される「遺棄」とは、同条第4項各号に掲げる愛護動物を移転又は置き去りにして場所的に離隔することにより、当該愛護動物の生命・身体を危険にさらす行為のことと考えられる。

個々の案件について愛護動物の「遺棄」に該当するか否かを判断する際には、離隔された場所の状況、動物の状態、目的等の諸要素を総合的に勘案する必要がある。

愛護動物の遺棄の考え方に係る通知について

基本的な考え方としては、”愛護動物を命の危険にさらす行為”を動物遺棄と呼ぶ。ただし、それが遺棄かどうかを判断するには、動物の状態や置かれた場所の状況、目的などもあわせて考える必要があるとされている。

こちらがその具体的な判断要素だ。


【具体的な判断要素】
第1.離隔された場所の状況
1.飼養されている愛護動物は、一般的には生存のために人間の保護を必要としていることから、移転又は置き去りにされて場所的に離隔された時点では健康な状態にある愛護動物であっても、離隔された場所の状況に関わらず、その後、飢え、疲労、交通事故等により生命・身体に対する危険に直面するおそれがあると考えられる。

2.人間の保護を受けずに生存できる愛護動物(野良犬、野良猫、飼養されている野生生物種等)であっても、離隔された場所の状況によっては、生命・身体に対する危険に直面するおそれがあると考えられる。これに該当する場所の状況の例としては、
・ 生存に必要な餌や水を得ることが難しい場合
・ 厳しい気象(寒暖、風雨等)にさらされるおそれがある場合
・ 事故(交通事故、転落事故等)に遭うおそれがある場合
・ 野生生物に捕食されるおそれがある場合
等が考えられる。
なお、仮に第三者による保護が期待される場所に離隔された場合であっても、必ずしも第三者に保護されるとは限らないことから、離隔された場所が上記の例のような状況の場合、生命・身体に対する危険に直面するおそれがあると考えられる。


第2.動物の状態
生命・身体に対する危険を回避できない又は回避する能力が低いと考えられる状態の愛護動物(自由に行動できない状態にある愛護動物、老齢や幼齢の愛護動物、障害や疾病がある愛護動物等)が移転又は置き去りにされて場所的に離隔された場合は、離隔された場所の状況に関わらず、生命・身体に対する危険に直面するおそれがあると考えられる。


第3.目的
法令に基づいた業務又は正当な業務として、以下のような目的で愛護動物を生息適地に放つ行為は、遺棄に該当しないものと考えられる。
例:法第 36 条第 2 項の規定に基づいて収容した負傷動物等を治療後に放つこと
治療した傷病鳥獣を野生復帰のために放つこと
養殖したキジ・ヤマドリ等を放鳥すること
保護増殖のために希少野生生物を放つこと

愛護動物の遺棄の考え方に係る通知について

少し長いので、猫にあてはめて簡潔にまとめると、、、。

  • 飼い猫の場合:猫の健康状態や置き去りにされた場所に関わらず、人間が飼っている猫を手放した→”遺棄”に該当
  • 野良猫の場合:命の危険にさらされることが予想される場所に置き去りにした→”遺棄”に該当
    ※誰かが保護してくれそうな人の目につきやすい場所に置き去りにしたとしても、必ず誰かが保護してくれる訳ではないため、その場合も遺棄に該当する。
  • 自由に動けない状態の猫、高齢猫・子猫、障害や疾病のある猫を置き去りにした→”遺棄”に該当

例えば、こちら。11月中旬、ハイカーの方が下山中に捨て猫を発見し、どうか助けてあげてほしいとの相談が。ダンボールには白いビニール袋…中には3匹の子猫が。

ハイカー発見現場

これは明らかな”遺棄”に該当する。こんなに小さな子猫がダンボールに自分たちで入り、ビニール袋を上からかけるだろうか。。。そんなはずはない。これは明らかに「人間が」関わっている現場だ。

保科さんは迷わず110番通報をするよう指示。別のボランティアスタッフに状況説明し現地へ行ってもらったそう。110番通報をすることで、山梨県警司令室から所轄の警察に連絡が入り所轄の2名の署員が現場に急行。現場調査・証拠物押収を行ったという。

「どんどん寒くなって暗いなか、どんなに心細い気持ちでこの子たちがいたかと思うと涙が出ます。」と保科さんは言う。

ハイカー発見現場

いったいどんな気持ちでこんな山中に猫を捨てようと思うのか。。。子猫たちの辛さを思うと憤りを覚える。

ハイカー発見現場

ただ問題なのは「この猫は飼い猫なのかどうか」を判断する基準が今の段階でははっきりと決められていないこと。

「例えば首輪をしてたら飼い猫で、首輪をしていないから飼い猫じゃないっていう話もありますが、そこですか、と。うちにも飼い猫がいますけど、首輪なんてしていないわけですよ。」と保科さん。

現状では、もし飼い猫が捨てられていたのだとしても、その猫が本当に人間に飼われていたのかどうかを判断できる規定がない…つまり野良猫だと判断されれば捨てられた場所によっては”遺棄”に該当しない可能性もあるということで。。。

「本当に難しい…。自分で脱走したかもしれないし、捨てられたのかもしれない。大人の猫の場合は自分で移動ができるので、そこがわからないわけですよね。リードでどこかの柱につながれていれば、明らかに人間がやったって分かるわけですけど…。」

たしかにとても難しい問題ではある。ただ、人間であれ猫であれ”尊い命を奪うこと”は、どんな理由があっても決して許されるべきではないはずだ。

なぜ猫を捨てる人がいるの?

そもそもなぜ猫を捨てる人がいるのだろうか??

遺棄する理由は本当にさまざま。。。その理由をいくつか見てみよう。

  • 餌をあげてるこの子は可愛いけど、その子が産んだ子はいらない
  • 懐いてくれない
  • もしも飼えなくなったら家族にお願いするように言っていたけれど、誰も引き取ってくれない
  • 鳴き声がうるさい
  • マーキングがひどい
  • 医療費が高くて飼い続けられない

「要は本当に人間の身勝手。それに尽きるんです。自分たちの癒やしのために楽しみのために生きがいのために、搾取するだけして、面倒が見れなくなったらもういらないと捨てる…。本当に身勝手な意見ですよね。」

猫

「猫は死に場所を探して外へ出ていく」という話を聞いたことがあるかもしれないが、それも勝手な解釈だと保科さんは言う。「何らかの理由で帰ってこれないだけですよ。お迎えがきたら、お家のなかで静かに旅立っていくものなので…。あなたが外に出しているからお家に帰れなくなって…という話はときどきするんですけど。」

自分が罪悪感を感じないように、自分に都合のいいように解釈する。でも、そんな人間の身勝手な理由のせいで、命を奪われてしまう猫たちがたくさんいるわけだ。

「今まで可愛がってたんだからいいじゃない、とかおっしゃる方も。身勝手以外の何者でもない考え方だと思うんですよ。たとえペットショップで買った子であれ、保護猫団体から引き取った猫であれ、自分で拾って育てた猫であれ、そういった命の考え方はおかしいですよ、と私ははっきり言いたいですね。」