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保護猫のわ通信Vol.6|動物遺棄を減らすために私たちにできること

猫ねこさん

遺棄を減らすためにできること~まずはTNRを

では、猫の遺棄を減らすために、私たちはいったい何をすべきなのだろうか?

最も重要なのは、捨てる側の人間の考え方を変えるということだという。結局は捨てる人が減らないかぎり、この問題が解決されることはない。ならば、捨てる人にフォーカスを当て、「なぜ捨てなければいけないのか」を考える必要があるのだ。

具体的にできることとしては、何よりもまずTNRだという。

「猫に関しては、TNRがひとつの大きな抑止効果になるのかなと思います。お庭で餌だけあげて可愛がってた子が子猫を産んでしまった…餌をあげてたこの子は可愛いけど産まれた子猫はいらない…こうして猫を捨ててしまう方があとをたたないので。。。」

ウィンストンとフランクリン

▲神社に捨てられていたウィンストンとフランクリン。預かりボランティアさんの懸命なケアのもとその命を繋ぎ止めた。

「マーキングや鳴き声がうるさいという理由で捨てる方はいまだ多いんですね、地方の場合特に。それも繁殖制限手術をすれば防げる話なんです。でも、イヤ自然のままにとか可愛そう、なんておっしゃる方が若い方でもいまだにいらっしゃいます。自然のままに外にも出した結果、ご近所さんの車で爪を研いだりだとか、ご近所さんの畑で糞尿をしたりだとかするわけです。こうしたトラブルが起きると、もうこんなトラブルメーカーいらないって。。。

まずは、捨てたいと思うその原因に目を向けて、猫の行動改善をしていく努力をする。それが飼い主の責任だと思います。」

ジャッキー

▲神社近くの駐車場で保護されたジャッキーちゃん。パルボウイルス、真菌症への感染などのいくつもの困難を見事乗り越えた。

「年を取ってきたときの医療費は高いという理由で捨てる人も多いんですね。こんなに高いんだったらもういらないって。でも、医療費がかかることは飼う前から分かっているわけじゃないですか。女の子の乳がん、男の子の肛門周囲腺腫は、半年以内に避妊去勢をしておけばリスクを格段に減らせる病気です。そういったことをせずに何年も放っておいて病気になってしまい、すごいお金がかかったとか。。。知識不足という点も大きいですね。」

猫

そして、捨てる以外の選択肢を探す努力も必要になってくる。

「今、老猫ホームや猫と一緒に暮らせる老人ホームがすごく増えてきているんですよね。猫は人間にとって生きがいにもなるし癒やしにもなる素晴らしいパートナーなんです。そういった別の選択肢を探す努力もしないで、いきなり保健所という安易な選択はいかがなものだろう、と。相談できる窓口のようなものがもっとあってもいいのかなという気はしますよね。」

今や何でもインターネットで検索すれば情報にたどり着ける時代。若い世代であればこうした情報を得るのも簡単かもしれない。でも、そういった考え方に結びつかず、”飼えなくなって困った=保健所”と安易に考えてしまう世代がいるのも事実なのだ。

本当に猫を飼う準備はできていますか?

猫

▲子猫人気の高いサイモンさん。気づけばベッドの下でサイモンさんを囲む子猫パーティー状態になっていることもあるとか^^

ねこねっと山中湖のような保護団体から猫を引き取る場合であれば、譲渡前に必ず家族構成などを確認し、飼い方についてのアドバイスも行われる。また、動物愛護センターなどから猫を引き取る場合には、飼う前の心構えや準備・適正な飼い方を学ぶため、譲渡事前講習会などへの参加が必須となる。

しかし、ペットショップにはこうしたプロセスが一切ない。

「生体販売があまりに容易であるということですよね。本当に飼う準備ができていますか?と。結局はモノとして売っているので、お金を出して買うのだからあとは自分の自由という考え方もできるわけで…。でも飼った後の健康管理は、あくまで飼い主さんの責任です。」

飼い猫の平均寿命は15.32歳と言われている(平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査結果)が、なかには20年以上長生きする子も。そうなった時に今の自分の年齢、家族のライフスタイルなどを考えて本当に飼い続けられるのかどうか?飼う前にしっかり考える必要があるのだ。

正しい知識を知らせていくこと

山中に捨てられていた3匹の子猫たちは、今こんなにも元気で人間大好きなスリゴロさんに。

レオ

▲黒猫レオくんはこんなにつやつやな毛並みでスクスク成長中。

スノーフレーク

▲白猫のスノーフレークちゃんはエリックくんと一緒にお迎えされることが決定。

猫

▲キジトラのプリシラちゃんは取材後に無事お嫁入り♪

でも、猫たちはある日突然成長したわけじゃない。ここに至るまでに、ボランティアスタッフの方々の血のにじむような努力があったことを、私たちは決して忘れちゃいけない。

子猫のときから人間に育てられた猫は、ある日突然外に放り出されても、自分の力で狩りをして生きていくことなんてできない。人間に見捨てられた瞬間、飢えに苦しみ悲しい末路をたどることになるのだ。
この子たちはたまたま運よく救われ命を繋ぐことができた。でも、悲しいことに誰にも気づかれずひっそりと息絶えてしまう猫たちの数の方が多い。これ以上、猫を捨てる人を増やさないことがなにより大切だ。

まずは正しい知識を知らせていくこと。これがとても重要だと保科さんは言う。

こちらは、ねこねっと山中湖で作成したポスター。東部保健所管内や各行政市役所などに配り、地域の掲示板に貼ってもらっているそう。こうしたポスターがあるだけで抑止効果になるのだとか。

ポスター

「一般の方に正しい知識を持っていただくための啓蒙活動がとても大切だと思っています。正しい情報を発信していくことで、それを読んだ方が周りの方に知らせて、その方がまた周りの方に知らせて、と広がっていけばと思いますね。」

動物遺棄の問題はそう簡単に解決できるものではないかもしれない。でも、今この記事を読んでくださった方が、動物遺棄に関する「正しい知識」をご家族やご友人にお話すること、それだけでも十分動物遺棄を減らす手助けとなるのだ。

猫を捨てることはれっきとした犯罪。決してモノじゃない。小さな命をどうか大切にしてほしいと願うばかりだ。

ねこねっと山中湖
公式サイト:https://www.nekonetyamanakako.org/
支援物資ご購入のお願い:ねこねっと山中湖 ご支援お願い物資リスト
里親さまのご希望の方:里親さま希望のお問い合わせ

猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター

保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。

猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。