- ラガマフィンはラグドールの血統から生まれた新たな猫種。性格はラグドールに似て温和で物静かですが、ラグドールには認められていない毛色や目の色が認められていて、とってもバリエーション豊富なんですよぉ。
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ラグドールの血統から派生した新たな猫種「ラガマフィン」。
ラグドールに似て穏やかで優しい反面、好奇心旺盛でいたずらっ子な面も・・・!
とても賢くて環境への適応能力が高いので、他の猫や動物とも仲良くできる猫として知られています。
ラグドールには認められていない毛色や瞳の色も認められているので、実に多彩ですよ。
今回はそんなラガマフィンのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
ラガマフィンとは、ぬいぐるみのように愛くるしい「ラグドール」の血統から新たに作られた猫種です。
ラグドールは、1960年頃、アメリカ・カリフォルニア州のブリーダー「アン・ベイカー」によって生み出された猫。彼女は、IRCAという団体を自ら設立し、「IRCA登録のブリーダーしかラグドールという名称は使えない」という厳しい血統管理を行うように。そして繁殖を希望する人とはフランチャイズ契約を結ぶなど繁殖ビジネスもスタート。
彼女のこうしたやり方に反感を持ったブリーダーたちは、新たにRFCIというラグドールの愛好家団体組織を設立し、自分たちの猫に新しい名前をつけ、品種登録を行います。
こうして「ラガマフィン」が生まれたのです。
ちなみに「ラガマフィン」という名前には「いたずらっ子」「ボロ服をまとった人」という意味が。
当初、ブリーダーの一人が冗談半分で仮登録したそうですが、登録後の名前の変更申請が通らず、結局この名前のままになったと言われています。
当初は近親交配による健康上の問題が懸念されていましたが、「ペルシャ」や「ヒマラヤン」などと交配を繰り返していくうちに、健康上の問題もなくなりました。
21世紀初めには一部猫種登録団体で公認されましたが、現在もTICAではラグドールとのはっきりした違いが認められないことから、公認されていません。
現在は、ほとんどの登録団体がほかの猫種との交配を禁じています。
特徴
ではさっそくラガマフィンの主な特徴を見ていきましょう。
- シルクのように柔らかいミディアムロングの被毛、毛色が多彩
- 卵型で大きく、ややつり上がった目
- ロング&サブスタンシャルタイプ、成猫になるまで約4年かかる
シルクのように柔らかいミディアムロングの被毛、毛色が多彩
ラグドールと同じく、シルクのように柔らかいミディアムロングの被毛を持つ猫です。
上毛と下毛のダブルコートで、首あたりから長くなっているのが特徴。
ラグドールは毛色が限定されるのに対し、ラガマフィンは遺伝学的に発生可能な毛色はすべて認められています。
全身同じカラーの単色タイプ(ブルー、チョコレート、フォーン、ライラック、レッド、クリーム)の猫もいれば、バイカラー(二色)(ホワイト×ブラック、ブラック×シナモン)の猫も。
タビー(縞模様)がある場合や、ポイントとなる毛色が顔や手足に斑に入る場合もあるなど、実にバリエーション豊富です。
卵型で大きく、ややつり上がった目
頭は大きめで、卵型の大きな目はややつり上がり気味。とても凛々しい顔立ちをしています。
目の色は毛色同様多彩で、ブルーやオレンジ、グリーン、左右の瞳の色が違う猫もいます。
ロング&サブスタンシャルタイプ、成猫になるまで約4年かかる
体つきは、筋肉質でがっちりとした体型のロング&サブスタンシャルタイプ。
脚は骨太で肉付きが良く、前脚は後脚よりも少し短くなっています。
尻尾は長く、体とほぼ同じ長さです。
一般的な猫は1年で成猫になりますが、ラガマフィンの成長は遅く、約4年かけて成猫になります。
- ラガマフィンはラグドールの血統から新たに作られた猫種。ラグドールと同じくふわふわの長毛種ですけど、毛色や瞳の色がバリエーション豊かななんですよぉ。
- ふわっふわの毛、、、ただただうらやましいですっ。
見た目ほとんど同じように見えますけど、ラガマフィンの方が認められてる毛色や瞳の色が多いんですねっ。
大きさ
続いてはラガマフィンの大きさについてです。
子猫の平均体長と体重(生後2ケ月)
- 体長 約20cm
- 体重 約1~1.5kg
生まれたときは一般的な子猫とほぼ同じ大きさですが、生後2ヶ月以降食べる量が増えぐんぐん成長していきます。
1歳になる頃には体重が4~7kgくらいになりますが、個体差もあり3kg以下の小さめの猫もいます。
一般的な猫は約1年で成猫になりますが、ラガマフィンの成長はやや遅く、成猫になるまで約4年かかると言われています。
成猫の平均体長と体重
- 体長 オス約50cm メス約50cm
- 体重 オス6.5~9kg メス4.5~7kg
ふさふさの被毛やしっぽ、筋肉質な体つきでとても大きなイメージがありますが、体長は一般的な猫とほぼ同じ中型種。
体重はメスに比べてオスの方がやや重く、大きいオス猫では体重が10kgを超える猫もいるようです。
性格
続いてはラガマフィンの性格について。個体差はありますが以下のような性格の猫が多いと言われています。
- 穏やかで優しい
- 好奇心旺盛でいたずら好き
- 賢く、環境に適応する能力が高い
とても穏やかで優しい性格のため、初めて猫を飼う人、マンションなどの集合住宅や小さいお子さんがいる家庭でも飼いやすい猫と言われています。
温和な面がある一方、好奇心旺盛でいたずら好きという一面も。
家具や壁で爪を研いでみたり、入ってはいけない場所に入り込んだりと、飼い主さんを困らせるいたずらもしょっちゅう・・・。でも、あの大きな瞳で見つめられると許してしまう飼い主さんも多いのでしょう。
ひとり遊びが上手ですが、かまってあげないとストレスを溜めてしまうので、なるべくたくさん遊んであげてくださいね。
また、飼い主さんにはとても従順で賢いところもあり、環境への適応能力が高いです。
猫には珍しく甘えん坊ではありますが、ほかのペットとも仲良く過ごしてくれるので、多頭飼いに向いている猫とも言えます。
オスはメスに比べて喜怒哀楽がはっきりしていて甘えん坊
オスはメスに比べ甘えん坊で喜怒哀楽がはっきりしています。メスはどちらかというとツンデレで気まぐれ、自立心も高くオスよりも手がかかりにくいと言われています。
- 性格もラグドールに似ておとなしくて穏やかですねぇ。でも意外といたずらっ子なところもあったりして遊ぶのも大好きなんですよぉ。
- ああ見えていたずら好きっ!ぼく、気が合うかもっ。
かかりやすい病気
続いてラガマフィンがかかりやすい病気についてです。
- 多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
- 肥大型心筋症
- 毛球症(もうきゅうしょう)
- 熱中症
- 尿路結石症
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
腎臓に嚢胞(のうほう)(嚢胞液が詰まっている袋)がたくさんできる遺伝病です。嚢胞が増えることで腎臓に大きな負担がかかり、腎不全を引き起こします。
7歳以上の高齢期に発症しやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 多飲多尿
- 嘔吐
初期症状がほとんどなく、症状に気づいた頃にはすでに病気が進行している場合が多いです。
主な治療は療法食による食事管理です。完治は見込めない病気ですが、早めに食事療法を行うことが効果的と言われています。
遺伝病なので予防することはできませんが、定期的な検査を受け早期発見・早期治療を行うことが大切です。
肥大型心筋症
心臓の筋肉がどんどん厚く硬くなり血管の中に血栓ができてしまう心臓病で、遺伝的にかかりやすいと言われています。
特に中年期から高齢期のオス猫がかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- じっとして動かない
- 体重減少
- 起き上がることができない
- 呼吸困難
- 突然後ろ足を痛がる
発症してもすぐにはこのような症状は見られず、「後ろ足を痛がる」「起き上がれなくなる」などの症状が見られる頃には病気がすでに進行していることが多いようです。
猫は具合が悪くても飼い主にその姿を見られないよう隠す傾向があるため、早期発見には定期的な検査を受けることが大切です。1~7歳のときに心臓超音波検査を受けることで病気を発見できます。また、肥大型心筋症を引き起こす遺伝子異常は検査によって見つけることもできます。
症状が悪化してしまうと検査自体難しくなり、外科手術を行っても再発する可能性が高くなります。
毛球症(もうきゅうしょう)
毛づくろいの時に飲み込んだ毛を吐き出すことも排泄することもできず、腸の中にためこんでしまう病気です。長毛種のため特にかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 元気がない
- 毛玉を吐こうとするが吐き出せない
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
- お腹を触られるのを嫌がる
軽度であれば毛球除去剤を使って毛の排出を促しますが、それでも改善されない場合や腸閉塞の危険があると言われた場合は、開腹手術を行って直接毛玉を取り出します。
熱中症
フサフサとゴージャスな被毛ゆえ、寒さには強いですが暑さには弱く、体内にこもった熱をうまく外に逃がすことができなくなる場合があります。
熱中症の主な症状は以下の通りです。
- 口を開けて苦しそうにする
- ヨダレが出る
- 嘔吐や下痢
- ふらつきや震え
- 元気がない
最悪の場合は命に関わることもあるため、このような症状が見られたらまず涼しい場所に移動させ水をかけるなどして体温を下げ、すぐに病院を受診しましょう。
熱中症を防ぐため、暑くなる夏場は特に部屋の温度に注意しましょう。エアコンは28℃くらいの除湿運転がベストです。また、脱水にならないよう水飲み場を複数用意しましょう。夏場だけサマーカット(毛を短く切ること)にしてあげるのもひとつの方法です。
関連記事:
尿路結石症
尿路結石症は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。
主な原因は以下の通りです。
- 食生活
- 水分不足
- 環境
- ストレス
発症すると以下のような症状が見られます。
- トイレに行く回数が増える(一般的な猫の排尿回数は約2回/日)
- 頻繁にトイレに行くが少量の尿しか出ない
- 排尿時に痛みで鳴く
- トイレにいる時間が長い(うずくまる)
- トイレ以外の場所で排尿する
- 尿の色が赤、オレンジ、茶色
- お腹や足を触ると痛がる
- 陰部や腹部を頻繁に舐める
- 尿と一緒に砂状の結晶や結石が出る(猫砂がキラキラ光って見える)
- 尿が出ない
治療方法は結石の種類や大きさ、猫の状態によって違いますが、主に食事療法や結石をとかす薬、外科手術などで対処します。
再発しやすいため、常に新鮮な水を用意し、ストレスをためないよう環境を整えることが大切です。また、食事内容を見直すことも予防法のひとつです。
尿路結石についてはこちらの記事(猫の尿路結石)で解説していますので参考にしてくださいね。
- 遺伝的に腎臓や心臓の病気にかかりやすいので定期検診はとっても大切ですよぉ。それと長毛種なので、こまめにブラッシングをして毛球症にかからないようにしてあげてくださいねぇ。
- 毛がゴージャスなぶん、熱もこもりやすいんですね。。。特に夏場なんかは室温に注意ですね!
飼い方
ラガマフィンを飼うときには以下のような点に注意しましょう。
- 適度な運動・こまめなスキンシップ
- 体格を保つための食事管理・肥満にならないよう体重管理
- こまめなブラッシングとシャンプー
適度な運動・こまめなスキンシップ
運動にあまり興味がない猫ですが、たくさん食べるぶん肥満になりやすいことも…。適度な運動が大切です。
体重が重く高いところはあまり好きではないため、キャットタワーを設置する場合は安定した土台の低めのものが良いでしょう。
また、甘えん坊で遊ぶのが大好きな猫なので、こまめにスキンシップをとってあげると◎。おもちゃを使って積極的に遊んであげましょう。
体格を保つための食事管理・肥満にならないよう体重管理
ラガマフィンは約4年かけてゆっくりと成長する猫です。
筋肉質で骨太のたくましい体を作るためには良質な高たんぱくフードを与えることが大切です。ただし、たくさん食べるぶんあげすぎてしまうとすぐに太ってしまうので、食事量には気をつけましょう。
ラガマフィンの食事について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
こまめなブラッシングとシャンプー
ラガマフィンは、長毛種でダブルコートのため抜け毛が多い猫種です。
毛球症を予防するためにも普段からこまめなブラッシングは欠かせません。
1日2回はブラッシングをして抜け毛を取り除き、被毛にこもった熱を逃がしてあげるようにしましょう。
また、被毛は皮脂でコーティングされているため、汚れがたまってしまうと雑菌が繁殖し皮膚炎になりやすくなります。
そのため、月1回程度シャンプーをして清潔を保つようにしましょう。
特にオーバーコートと呼ばれる外側の被毛は水を通しにくいため、毛をよくかき分けて行うのがポイントです。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫のシャンプーのコツ
寿命
ラガマフィンの平均寿命は10~13年と言われています。
猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命より短いようです。
少しでも長く健康で過ごせるように、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決めておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、ラガマフィンに関するよくある質問をまとめています。
販売価格の相場は10~35万円程度と言われています。猫種としてはまだ新しいため、取り扱っているペットショップやブリーダーは少なめです。
ラグドールとの違いは、毛色と瞳の色が限定されていないことです。
ラグドールは毛色が限定されるのに対し、ラガマフィンは遺伝学的に発生可能な毛色はすべて認められています。
ラグドールは、白をベースにした被毛にシール(焦げ茶)、クリーム、レッド、ブルー、チョコレート、ライラックなどのポイントカラーが入るのが特徴で、それ以外の毛色は認められていません。
また、ラグドールの瞳の色はサファイヤブルーしか認められていませんが、ラガマフィンの瞳の色は、グリーンやゴールド、オッドアイなどの色も認められています。
関連記事:ラグドールの特徴
- 飼うときのポイントとしては「適度な運動とスキンシップ」「食事管理」「こまめなブラッシングとシャンプー」ですよぉ。甘えん坊なところもあるので、なるべくたくさん遊んであげてくださいねぇ。
- ぼくなんてもうすぐ生後1年たつからおとなの仲間入りですけど、ラガマフィンはおとなになるまで4年もかかるんですねっ。あれだけ立派な体格だからしっかり栄養をとらなくちゃですね!
まとめ
ラガマフィンのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- ラガマフィンはラグドールの血統から派生した新たな猫種
- ラグドールを生み出したブリーダーの繁殖ビジネスに反感を持ったブリーダーたちが新たな組織を作り、品種登録をしたのがルーツ。
- シルクのように柔らかいミディアムロングの被毛、毛色が多彩
- 卵型で大きく、ややつり上がった目
- ロング&サブスタンシャルタイプ、成猫になるまで約4年かかる
- 穏やかで優しい
- 好奇心旺盛でいたずら好き
- 賢く、環境に適応する能力が高い
- 多発性嚢胞腎、肥大型心筋症などの遺伝性疾患に注意
- 長毛種のため、毛球症や熱中症に注意
- 適度な運動・こまめなスキンシップ
- 体格を保つための食事管理・肥満にならないよう体重管理
- こまめなブラッシングとシャンプー
- 寿命は10~13年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。