- シャム猫のような顔つきとモフモフな被毛が人気のラグドールは、とってもおとなしい性格。鳴き声も小さいのでマンションなどでも騒音を気にせず飼うことができますよぉ。クールな猫には珍しく抱っこ大好きで甘えん坊なので、たくさん抱っこしてあげてくださいねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
見た目はシャム猫にも似ていて、モフモフな被毛を持つラグドール。
青い目と丸い頬が特徴。意外と筋肉質で、体の長さと同じくらい長いしっぽがポイント。
物静かで室内でも飼いやすく、飼い主のそばにそっと寄り添う姿はとっても愛らしいですね。
猫には珍しく抱っこされるのが大好きなので、小さいお子さんのいる家でも安心◎
今回はそんなラグドールのルーツ、特徴、大きさ、性格、かかりやすい病気、飼い方、寿命について詳しくご紹介します!
ルーツ
ラグドールは1960年代、アメリカ・カリフォルニアに住むペルシャ猫のブリーダー、アン・ベイカーによって生み出された猫のこと。ベイカーは、「ジョセフィーヌ」という名の白いペルシャ猫にバーマンを交配させて新たな長毛種を生み出します。そこで生まれた猫に、さらにバーミーズを交配させて誕生した猫がラグドールのルーツと言われています。
ベイカーは既存の猫血統登録団体には登録せず、IRCAと呼ばれる団体を自ら設立し、ラグドールの血統管理をフランチャイズビジネス化。しかし、1975年になると「フランチャイズ契約を交わしたブリーダーにしか猫を譲らない」という仕組みに異を唱えたある夫婦が、新たな繁殖活動を進めていくことに。この夫婦をはじめとしたグループがラグドールの知名度をあげ、CFA、GCCF、FIFeなどの猫血統登録団体でも公認されることになります。
1994年にはベイカーが設立したIRCAは分裂し、新たなグループがラグドールをもとに新しい猫種「ラガマフィン」を作り出しています。
ラグドールは英語でぬいぐるみという意味ですが、抱き上げるとまるでぬいぐるみのようにおとなしいことから来ています。←個体差はあります。
特徴
ではさっそくラグドールの主な特徴を見ていきましょう。
- 丸い頬、青い目
- ポイント、ミテッド、バイカラー、トーティーと呼ばれる4つの毛柄
- ロング&サブスタンシャルタイプの筋肉質な中型種
丸い頬、青い目
吸い込まれそうに綺麗な青い目と丸い頬が特徴。
耳と耳の間は平らで、両耳はやや離れ気味、大きめの頭をしています。
ポイント、ミテッド、バイカラー、トーティーと呼ばれる4つの毛柄
ふさふさのミディアムロングの被毛をもち、胸周りはまるで赤ちゃんのよだれかけのようにモフモフの長い毛で覆われています。
白をベースにした被毛にシール(焦げ茶)、クリーム、レッド、ブルー、チョコレート、ライラックなどのポイントカラーが入るのが特徴。タヌキやアライグマをイメージさせる見た目はとても愛嬌があって可愛らしいですね。
主な毛柄は以下の4種類です。
- ポイント・・・顔や手足、しっぽ、耳などに濃いめの毛色
- ミテッド・・・ポイントの特徴と似ているが濃いめの毛色はおなか周りにも見られる、両手足は白く靴下を履いているように見える
- バイカラー・・・顔の中心で八の字に色が分かれる、足やおなかはホワイト
- トーティー・・・2色が混ざり合っている
生まれたばかりの子猫の毛色は白く、約2年かけて色や模様が変わっていきます。
ロング&サブスタンシャルタイプの筋肉質な中型種
ロング&サブスタンシャルタイプと呼ばれる筋肉質な体つきをしています。
骨太の足、体長と同じくらいの長いしっぽなど、全体的にどっしりと構えたイメージです。
- どっしりしたシャム猫といえばラグドールですねぇ。シャムは短毛ですけど、ラグドールはモフモフな長毛種でとっても触り心地がいいんですよぉ。しっぽが体の大きさと同じくらい長くて、猫というよりたぬきに近い感じですかねぇ。
- たぬき!そう言われるとたぬきに見えてきました、、、でも、あの青くて澄んだ目、とってもステキですよね!
大きさ
続いて、ラグドールの大きさについてです。
子猫の平均体長と体重(生後2ケ月)
- 体長 約20cm
- 体重 約1~1.5kg
生まれたときは一般的な子猫とほぼ同じ大きさですが、生後2ヶ月以降食べる量が増えぐんぐん成長していきます。
1歳になる頃には体重が4~7kgくらいになりますが、個体差もあり3kg以下の小さめの猫もいます。
一般的な猫は約1年で成猫になりますが、ラグドールの成長はやや遅く、成猫になるまで約4年かかると言われています。
成猫の平均体長と体重
- 体長 オス約50cm メス約50cm
- 体重 オス5~7kg メス4~5kg
ふさふさの被毛やしっぽ、筋肉質な体つきでとても大きなイメージがありますが、体長は一般的な猫とほぼ同じ中型種。
体重はメスに比べてオスの方がやや重く、大きいオス猫では体重が10kgを超える猫もいるようです。
ラグドールの性格
続いてはラグドールの性格について。個体差はありますが、以下のような性格の猫が多いようです。
- おとなしく人と過ごすのが好き
- 穏やかで抱っこされるのが好き
- 飼い主に従順
とてもおとなしい性格で、鳴き声も小さめ。どちらかというと活発に走り回るタイプではなく、ゆったりまったり過ごすことが多いです。また、他の猫や動物よりも人と一緒にいることが好きで、いつも飼い主のそばにそっと寄り添っているような猫です。
猫には珍しく抱っこされるのが大好き。ラグドールはぬいぐるみという意味ですが、まさにその名前どおり、抱っこされると本物のぬいぐるみのようにリラックスして体を預けてくれます。←ただし個体差はあるので、必ずしも抱っこ好きな猫ばかりではありません。
飼い主に従順でしつけやすいため、猫を初めて飼う人でも飼いやすいでしょう。
オスはメスに比べて活発で甘えん坊
オスはメスに比べて活発で甘えん坊タイプの猫が多いと言われています。一方、メスは神経質で気まぐれなタイプが多いと言われています。
- とっても物静かな性格で、クロベエくんとは正反対かもしれませんねぇ、、、ンフフ。抱っこされるのが大好きで、抱っこされるとまるでぬいぐるみみたいにだらーんと手足の力を抜くんですよぉ。抱っこ好きの小さいお子さんがいるおうちにはぴったりかもしれませんねぇ。
- えぇっ!抱っこされるの嫌がる子って多いと思うんですけど珍しいですね。ぼく、こう見えて抱っこ苦手ですっ。ラグドールってすべてがぼくと違うーーー。。。
かかりやすい病気
続いて、ラグドールがかかりやすい病気についてです。
- 肥大型心筋症
- 毛球症
- 熱中症
- 尿路結石
肥大型心筋症
心臓の筋肉がどんどん厚く硬くなり、血管の中に血栓ができてしまう心臓病で、遺伝的にかかりやすいと言われています。
特に中年期から高齢期のオス猫がかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- じっとして動かない
- 体重減少
- 起き上がることができない
- 呼吸困難
- 突然後ろ足を痛がる
発症してもすぐにはこのような症状は見られず、「後ろ足を痛がる」「起き上がれなくなる」などの症状が見られる頃には病気がすでに進行していることが多いようです。
猫は具合が悪くても飼い主にその姿を見られないよう隠す傾向があるため、早期発見には定期的な検査を受けることが大切です。1~7歳のときに心臓超音波検査を受けることで病気を発見できます。また、肥大型心筋症を引き起こす遺伝子異常は検査によって見つけることもできます。
症状が悪化してしまうと検査自体難しくなり、外科手術を行っても再発する可能性が高くなります。
毛球症(もうきゅうしょう)
毛づくろいの時に飲み込んだ毛を吐き出すことも排泄することもできず、腸の中にためこんでしまう病気です。長毛種のため特にかかりやすいと言われています。
主な症状は以下の通りです。
- 食欲不振
- 元気がない
- 毛玉を吐こうとするが吐き出せない
- 便秘
- 下痢
- 嘔吐
- お腹を触られるのを嫌がる
軽度であれば毛球除去剤を使って毛の排出を促しますが、それでも改善されない場合や腸閉塞の危険があると言われた場合は、開腹手術を行って直接毛玉を取り出します。
熱中症
フサフサとゴージャスな被毛ゆえ、寒さには強いですが暑さには弱く、体内にこもった熱をうまく外に逃がすことができなくなる場合があります。
熱中症の主な症状は以下の通りです。
- 口を開けて苦しそうにする
- ヨダレが出る
- 嘔吐や下痢
- ふらつきや震え
- 元気がない
最悪の場合は命に関わることもあるため、このような症状が見られたらまず涼しい場所に移動させ水をかけるなどして体温を下げ、すぐに病院を受診しましょう。
熱中症を防ぐため、暑くなる夏場は特に部屋の温度に注意しましょう。エアコンは28℃くらいの除湿運転がベストです。また、脱水にならないよう水飲み場を複数用意しましょう。夏場だけサマーカット(毛を短く切ること)にしてあげるのもひとつの方法です。
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尿路結石
尿路結石は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気です。
主な原因は以下の通りです。
- 食生活
- 水分不足
- 環境
- ストレス
発症すると以下のような症状が見られます。
- トイレに行く回数が増える(一般的な猫の排尿回数は約2回/日)
- 頻繁にトイレに行くが少量の尿しか出ない
- 排尿時に痛みで鳴く
- トイレにいる時間が長い(うずくまる)
- トイレ以外の場所で排尿する
- 尿の色が赤、オレンジ、茶色
- お腹や足を触ると痛がる
- 陰部や腹部を頻繁に舐める
- 尿と一緒に砂状の結晶や結石が出る(猫砂がキラキラ光って見える)
- 尿が出ない
治療方法は結石の種類や大きさ、猫の状態によって違いますが、主に食事療法や結石をとかす薬、外科手術などで対処します。
再発しやすいため、常に新鮮な水を用意し、ストレスをためないよう環境を整えることが大切です。また、食事内容を見直すことも予防法のひとつです。
関連記事:猫の尿路結石について
- 長毛種ですから「毛球症」や「熱中症」には要注意ですねぇ。それと「肥大型心筋症」という心臓の病気も遺伝的にかかりやすいですよぉ。
- 特に暑い時期は熱中症には気をつけたほうがいいですね。最悪命の危険もありますし、夏場はエアコン必須ですね。
飼い方
ラグドールを飼うときには以下のような点に注意しましょう。
- 適度な運動・こまめなスキンシップ
- 体格を保つための食事管理・肥満にならないよう体重管理
- こまめなブラッシングとシャンプー
- 急に環境を変えない
適度な運動・こまめなスキンシップ
運動にあまり興味がない猫ですが、たくさん食べるぶん肥満になりやすいことも…。適度な運動が大切です。
体重が重く高いところはあまり好きではないため、キャットタワーを設置する場合は安定した土台の低めのものが良いでしょう。
また、人と一緒に過ごすのが大好きな猫なので、こまめにスキンシップをとってあげると◎。おもちゃを使ったり、ラグドールの大好きな抱っこをしたりして、積極的に遊んであげましょう。
体格を保つための食事管理・肥満にならないよう体重管理
ラグドールは約4年かけてゆっくりと成長する猫です。
筋肉質で骨太のたくましい体を作るためには良質な高たんぱくフードを与えることが大切です。ただし、たくさん食べるぶんあげすぎてしまうとすぐに太ってしまうので、食事量には気をつけましょう。
ラグドールの食事について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
こまめなブラッシングとシャンプー
長毛種でダブルコートのラグドールは抜け毛が多い猫です。毛球症を予防するためにも普段からこまめなブラッシングは欠かせません。1日2回はブラッシングをして抜け毛を取り除き、被毛にこもった熱を逃がしてあげるようにしましょう。
また、被毛は皮脂でコーティングされているため、汚れがたまってしまうと雑菌が繁殖し皮膚炎になりやすくなります。そのため、月1回程度シャンプーをして清潔を保つようにしてください。特にオーバーコートと呼ばれる外側の被毛は水を通しにくいため、毛をよくかき分けて行うのがポイントです。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫のシャンプーのコツ
急に環境を変えない
ラグドールは帰巣本能が強く、新しく家に迎え入れたときや引っ越しなどで環境が変わると、ストレスを強く感じやすいと言われています。
そのような時は安心できる場所をつくり、慣れるまで様子を見守るようにしましょう。
トイレや食器の変化などもストレスの要因になるため、猫の様子を見ながら少しずつ変えていくことが大切です。
寿命
ラグドールの平均寿命は14~16年と言われています。 猫全体の平均寿命は15.33歳と言われており、猫全体の平均寿命とほぼ同じようです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。予防接種や定期健診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決まめておくことも長寿の秘訣です。
また、室内で飼育された猫の方が外に出る猫より寿命が長いことから、室内で飼育することをおすすめします。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
よくある質問
ここでは、ラグドールに関するよくある質問をまとめています。
値段の相場は約10~25万円程度ですが、毛色や血統によっては70万円以上もする高価な猫もいます。人気の猫種ですがブリーダーの数は少ないため、マンチカン、スコティッシュフォールドなどの人気種に比べると値段はやや高めです。
長毛種のため、毛を引っ張って皮膚を傷めないよう注意しましょう。特に換毛期(3月と11月頃)は抜け毛が多くなるため、ブラッシングの回数を増やしましょう。
また、ブラシにはスリッカーやコームなどがありますが、スリッカーを使った場合アンダーコートが抜けすぎるという意見もあります。猫の好みもありますので、まずはどちらも試してみて使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
長い毛をとかすのにブラッシングスプレーを使うのもおすすめです。
ラグドール×ペルシャ×ヒマラヤンをミックスして誕生したのがラガマフィンです。見た目は非常に似ているため見分けるのは難しいですが、毛色、目の色で区別すると良いでしょう。
■毛色
- ラグドール・・・毛色はさまざま
- ラガマフィン・・・白っぽい
■目の色
- ラグドール・・・ブルー
- ラガマフィン・・・目の色はさまざま
- 飼うときのポイントとしては「適度な運動とスキンシップ」「食事管理」「ブラッシングとシャンプー」「急に環境を変えない」ことですねぇ。
特にストレスを感じやすい猫なので、新しい仲間を迎えるときは引っ越しなどには注意ですよぉ。
- どっしり構えてるように見えて意外と繊細なところもあるんですね。トイレや食器が変わるだけでストレスとか、、、やっとぼくとおんなじとこ見つけたっ。
まとめ
ラグドールのルーツ、特徴、大きさ、性格、病気、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- ペルシャ猫×パーマンをかけあわせさらにバーミーズと交配させて生まれた猫がルーツ
- 青い目と丸い頬
- ふさふさのミディアムロングの被毛、白をベースにさまざまなポイントカラーが入る
- 生まれたばかりの子猫は白く約2年かけて色や模様が変わっていく
- ロング&サブスタンシャルの筋肉質な体つき
- 約4年かけて成猫になる
- 体長は一般的な猫と同じ中型種
- おとなしく人と過ごすのが好きなのでこまめなスキンシップを
- 穏やかで抱っこされるのが好き
- 飼い主に従順なのでしつけやすい
- オスはメスに比べると飼い主に活発で甘えん坊
- 遺伝性疾患の肥大型心筋症に注意
- 長毛種ゆえの毛球症・熱中症、猫がかかりやすい尿路結石に注意
- 運動をあまりしないため肥満にならないよう適度な運動を
- 筋肉質な体型維持のため高たんぱく・高カロリーの食事を
- 肥満にならないよう食事量に注意
- こまめなブラッシングとシャンプーで被毛ケア
- 環境の変化でストレスを感じやすいため猫の様子をしっかり見守る
- 寿命は14~16年
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。