- 茹でたカニを少し食べさせるくらいなら大丈夫ですが、生のカニを与えるのは厳禁!火を通したものでもあげすぎないように注意してくださいねぇ。味付けはせず、硬いところはしっかり取り除いてあげることが大切ですよぉ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
お正月など家族が揃った時は、カニを食べる機会も多いと思います。
そんな時に、そばで猫が目をキラキラさせて欲しがっていると、ついあげたくなってしまいますよね。
でも、猫にカニを与えても大丈夫なのか気になりますよね。。。
そこで今回は、猫にカニをあげていいのかについて徹底解説!
カニの成分、生のカニが猫に与える影響やカニを与える時の注意点について詳しく説明します。
知らぬ間に食べてしまったときの対処法についても紹介しますので、是非参考にしてくださいね。
猫はカニを食べても大丈夫?
結論から言いますと、しっかり火を通したカニであれば、猫に少し食べさせても問題はありません。
ですが、実は生のカニが危険なのです。
カニの刺身などを人が食べているときは注意が必要です。
それでは生のカニがなぜダメなのか見ていきましょう。
カニにはビタミンB1(チアミン)を分解する「チアミナーゼ」が含まれている
生のカニには、ビタミンB1(チアミン)を分解する酵素「チアミナーゼ」が多く含まれています。
ビタミンB1は猫にとって重要な栄養素であり、人よりも多く必要とする成分です。
ビタミンB1の働き
- 糖質の代謝を促す
- 神経系の正常な働きを助ける
- 疲労回復効果
- 筋肉や心臓の機能を正常に保つ
糖質をエネルギーに変えるときに重要な役割を果たすのがビタミンB1です。
猫は本来肉食ですので、肉や魚などに含まれるたんぱく質をエネルギーに変えるのは得意ですが、糖質(炭水化物)をエネルギー源とするのはあまり得意ではありません。
しかし、市販のキャットフードのなかには、小麦やとうもろこしなどの炭水化物が主原料のものもたくさんあります。
こうしたフードの場合、糖質(炭水化物)を効率よくエネルギーに変えるために、ビタミンB1をあわせてしっかりとる必要があります。
ビタミンB1が不足すると後ろ足のふらつきや麻痺が起こる
ビタミンB1が不足すると「ビタミンB欠乏症」を引き起こし、猫の体にさまざまな症状が表れます。
- 食欲不振
- 嘔吐
- 体重の減少
【重症化すると】
- けいれん
- まっすぐ歩けなくなる
- 視力障害が出る
症状が進行してくると、けいれんやふらつきなどの神経症状が出てきます。
加熱処理したカニにはチアミナーゼは含まれていない
チアミナーゼは熱に弱く、加熱すればその効力を失います。
言い換えると、しっかり火を通したカニであれば、ビタミンB1が失われる心配はありません。
- 生のカニにもビタミンB1を破壊してしまう成分が入っているんですねぇ。でもしっかり火を通せば大丈夫ですよぉ。
- おかあさんがゆでてくれたカニなら食べても平気なんですねっ!がまんできなくて生でたべちゃうところでした。。(*´ω`*)
カニの成分
ここでは、カニの栄養成分について見ていきましょう。
成分名 | 値(1杯(100g)あたり) |
水分 | 84.0g |
たんぱく質 | 13.9g |
脂質 | 0.4g |
炭水化物 | 0.1g |
灰分 | 1.6g |
ナトリウム | 310mg |
カリウム | 310mg |
カルシウム | 90mg |
マグネシウム | 42mg |
リン | 170mg |
鉄 | 0.5mg |
亜鉛 | 2.6mg |
銅 | 0.35mg |
マンガン | 0.02mg |
ヨウ素 | 58µg |
セレン | 97µg |
クロム | 1µg |
モリブデン | 2µg |
ビタミンB1 | 0.24mg |
ビタミンB2 | 0.60mg |
ナイアシン | 8.0mg |
ビタミンB6 | 0.13mg |
ビタミンB12 | 4.3µg |
葉酸 | 15µg |
パントテン酸 | 0.48mg |
ビオチン | 3.0µg |
カニは種類が非常に多く、食用として代表的なのは皆さんご存知、下の3つですね。
- ズワイガニ:柔らかな食感で甘みが強い。刺身やカニしゃぶに。
- タラバガニ:ぷりぷりの食感で食べごたえあり。淡泊な味わいで焼き物やボイルに。
- 毛ガニ:濃厚でクリーミーなカニ味噌
カニには良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は猫の体を作る基本成分で、エネルギー源にもなる大切な栄養です。
カニに含まれる動物性たんぱく質には、猫が体内で作り出せない必須アミノ酸「タウリン」も豊富に含まれています。
また、殻に含まれるアスタキサンチンは抗酸化作用が強く、猫の肌や目、細胞を健康に導いてくれます。
さらに高タンパク低脂肪。高級食材なのでたくさん与えることは難しいことと、栄養バランスなどの点から、少量与えることが好ましいです。
ちょっとした時のご褒美やトッピングなどにすると猫ちゃんも喜ぶかもしれませんし、栄養もバックアップできてとても良い食材ですよ^^
ではどうやって与えれば良いか、次で説明をしていきますね。
猫にカニを与える時の注意点
カニは、しっかり火が通ったものであればビタミンB1が失われることもなく、猫に嬉しい栄養が詰まっている食べ物です。
しかし、与え方によっては猫の体に負担をかけてしまうため、このような点に注意して与えるようにしましょう。
- 味付けをしない
- 欲しがるままに与えない
- 甲羅や脚、腱など硬い部分は取り除く
- 甲殻類アレルギーの猫もいる
味付けをしない
猫は人間の1/5~1/10ほどの塩分しか必要としません。
そのため、塩分の多い調味料を使って味付けをすると内臓に負担がかかってしまいます。
また、いくら薄味にしても、下痢や嘔吐、好き嫌い、肥満につながる可能性があります。
猫にカニを与えるときは味付けを一切せずに与えるようにしましょう。
欲しがるままに与えない
カニにはカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル成分が豊富に含まれていますが、なかでもリンの含有量が非常に多いことが分かります。
- カルシウム 90mg
- リン 170mg
- マグネシウム 42mg
カルシウム、リン、マグネシウムのバランスが悪かったり、過剰摂取すると尿路結石ができやすくなります。
理想的なバランスは カルシウム:リン:マグネシウム= 1.2:1:0.08と言われていますが、カニのミネラルバランスは、カルシウム:リン:マグネシウム=0.52:1:0.24と大きく崩れています。
そのため、欲しがるままに与えすぎないことが大切です。
特に腎臓病の猫にはあまり与えないようにしましょう。
甲羅や脚、腱など硬い部分は取り除く
猫が、甲羅や脚、腱などの硬い部分を食べようとすると口内を傷つけてしまう危険性があります。
また、胃腸内で消化不良を起こし、下痢や嘔吐の原因にもなります。
かわいい愛猫を守るためにも、甲羅などの硬い部分は必ず取り除いて与えましょう。
甲殻類アレルギーの猫もいる
人間と同じように、甲殻類によってアレルギー症状を起こす猫もいます。
次のような症状が見られたらすぐに与えるのをやめて病院を受診しましょう。
- 目の充血
- 皮膚のかゆみ
- 元気がなくなる
- 下痢や嘔吐
- 火を通しているからといって欲しがるままに与えるのは厳禁!人間が食べるときみたいに調味料をアレコレ使わないでくださいねぇ。
- 塩ゆでなら大丈夫かと思ってたんですけど、猫にとっては塩分が多すぎてしまうんですね ・・・((+_+))
生のカニを食べてしまったときの対処法
「知らぬ間に猫が生のカニを食べてしまったかも!」
そんな時の対処法について説明していきます。
少量であれば、嘔吐や食欲低下などがないか様子を見る
まずは、どのくらい食べたかを把握します。
少量であれば、嘔吐や食欲の低下がないかしばらく様子を見てみましょう。
異変があった場合はすぐに病院へ連れていくことが大切です。
大量もしくは食べた量が分からない場合は獣医に相談
「生のカニを大量に食べていた」もしくは「食べた量がまったくわからない」場合は、すぐに獣医さんに相談しましょう。
重症化するとふらつきやけいれんなどの神経症状も出てくるので、早めの対処が肝心です。
自己判断で吐かせるのは禁物
猫の体には自己防衛本能があって、体に毒なものは体外に排出されるようにできています。
自己判断で無理やり吐かせてしまうと、本来吐くことができたものが余計に詰まってしまう可能性もあります。
そのため、必ず獣医さんの指示に従うことが大切です。
よくある質問
カニカマには猫の体に影響を及ぼす成分がたくさん含まれています。
そのため、猫にカニカマは極力与えないようにしてください。
- 食品添加物:発がん、消化器官障害、猫独特の毒性
- 塩分:腎臓病、心臓病、尿結石
- 糖分:糖尿病、内臓脂肪、心臓病
少量であればすぐに命にかかわるような危険性はありませんが、与えすぎるのは禁物です。
まとめ
しっかり火を通したカニであれば、猫に少し食べさせても問題はありません。
しかし、生のカニは猫にとって危険!
与え方によっては猫の体に負担がかかるため量を与えすぎず、たまのご褒美としてあげるなど工夫し、カニ好きの猫ちゃんとの食事を楽しみましょう。
- 火を通したカニなら与えても大丈夫
- 生のカニにはビタミンB1を壊す働きがある
- ビタミンB1は猫の糖質をエネルギーに変える重要な栄養
- ビタミンB1が不足するとふらつきや麻痺が起きる
- カニには猫が体内で作り出せない必須アミノ酸のタウリンが豊富に含まれている
- カニは高たんぱく低脂肪
- 欲しがるままに与えてしまうと尿路結石の原因にもなる
- 甲殻類アレルギーの猫もいる
- 調味料は内臓に負担をかけるため使わない
- 硬い部分は必ず取り除いてからあげる
- カニカマは添加物や塩分、糖分が多いため極力与えt\ない
- 異変を感じたらすぐに獣医さんに相談をする
- 決して自己判断で吐かせてはならない
- この記事を書いた人
中野春菜
猫ねこ部編集室 ライター