【獣医師監修】猫の避妊・去勢手術について

2019-06-24

猫ねこさん

【獣医師監修】猫の避妊・去勢手術について

猫ねこさん
避妊・去勢手術は初めての発情を迎える前に行うのがポイント。病気や妊娠、発情期特有の行動やストレスを減らすためにも必ず手術を受けましょう~。
ふくふく動物病院 院長 平松育子
【監修】獣医師・YICビジネスアート専門学校ペット科講師
ふくふく動物病院 院長

平松育子
京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/山口県内の複数の動物病院にて勤務/2006年3月3日 阿知須にてふくふく動物病院開業

猫を飼うときに必ず知っておきたいのが「避妊・去勢手術」のこと。
メス猫を飼う場合には避妊手術、オス猫を飼う場合には去勢手術が推奨されています。

「望まない妊娠を防ぐ」というイメージが強いと思いますが、他にどんなメリットがあるのか気になりますよね。
手術時期や手術方法、費用などについても、正しい情報を知っておきたいのではないかと思います。

そこで、今回は、避妊・去勢手術を受ける前に知っておきたいことを徹底解説!
これから手術を受けさせようと思っている飼い主さんは、是非参考にしてくださいね。

避妊・去勢手術を行う理由

避妊・去勢手術を行うのは、以下のような理由からです。

メス メス特有の病気を予防するため
望まない妊娠を避けるため
発情期のストレスを減らすため
オス オス特有の病気を予防するため
オスの発情期の行動を改善するため

メス特有の病気を予防するため

乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、子宮内膜炎、卵胞嚢腫などのメス特有の病気を予防することができます。特に、猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性で、 最悪の場合死に至ることもあります。

避妊手術によって100%乳腺腫瘍にならないわけではありませんが、生後9ヶ月頃までに避妊手術を行うと乳腺腫瘍になる確率が非常に低くなると言われています。

ネコの避妊手術の時期と、乳腺腫瘍発生のリスクは、

  • 6ヶ月までに避妊・・・9%
  • 7~9ヶ月・・・14%
  • 13~24ヶ月・・・89%
  • 24ヶ月以降・・・効果なし

という結果が報告されており、9ヶ月までに避妊手術をすることで、乳腺腫瘍のリスクが、ぐんと少なくなることがわかっています。

引用:荻窪ツイン動物病院

望まない妊娠を避けるため

避妊手術を行うことで妊娠を防ぐことができます。避妊手術をせずに自由に行動させると、メス猫はたくさんの子猫を出産してしまいます。

次々と生まれてくる子猫のお世話が難しい場合は、避妊手術することをおすすめします。

発情期のストレスを減らすため

子猫を産ませたくないからと発情期に交尾をさせないのは猫にとって大きなストレスです。避妊手術をすれば、発情もなくなり性的ストレスからも解放されます。また、発情期特有の「大きな声で鳴き続ける」「外に出たがる」などの行動もなくなります。

オス特有の病気を予防するため

精巣腫瘍、前立腺肥大などの病気を予防することができます。また、去勢手術をすることで、喧嘩や交尾の回数が少なくなるため、猫白血病ウイルス感染症、猫エイズウイルス感染症などの感染リスクを抑えることができます。

オスの発情期の行動を改善するため

オス猫は縄張り意識が強く、発情期になると縄張りやメス猫をめぐってオス猫同士喧嘩をすることが多くなります。去勢手術をすることで他の猫に対する攻撃的な面が和らぐことがあります。

また、個体差はありますが、発情期特有の以下のような行動がおさまることも期待できます。

  • スプレー行為を行う
  • メス猫を求めて外に出て行き戻ってこない
  • 大きな声で鳴き続ける

※スプレー行為・・・濃い霧状のおしっこをかける行為。なわばりの誇示やメスへ向けたアピール。

猫の発情期と避妊・去勢手術に適した時期

避妊・去勢手術に適した時期はさまざまな説がありますが、初めての発情を迎える前に行った方が良いと言われています。一度発情を経験してしまうと、手術後も発情期の記憶が残っていて、発情期のような行動をしてしまうこともあるようです。

  オス メス
発情期 9~12ヶ月 6~10ヶ月
発情期の期間 決まっていない(メス猫の発情行動などによって促される) 3~20日間(数日おきに発情兆候を繰り返し1~2ヶ月継続する場合もある)
発情の周期 決まっていない 2回程度/年
発情期の行動 大きな声で鳴き続ける
外に出たがる
スプレー行為
攻撃的になる
高く大きな声で鳴き続ける
体をくねらせる
体をこすりつける
お尻を突き出すような体勢
手術に適した時期 6~10ヶ月頃 6~8ヶ月頃
手術費用の相場 約1~2万円 約1.5~3万円

※手術費用は動物病院によって異なります。エリザベスカラー、術後服代金が加算される場合もあります。血液検査を行う病院では検査費用も必要になります。

猫ねこさん
避妊・去勢手術は、妊娠を避けるだけでなく、病気を予防したり、発情期のストレスを減らす目的もあるんですよぉ。ただ、発情期を一度経験してしまうと、ワタシのように術後にまた思い出して発情してしまったり、、、手術を受ける時期が大切なんですねぇ。
スプレーしちゃうとおかあさんにすっごく怒られそう。。おうちにいる猫としては避けたい行為です><1歳前のぼくは、まさに今手術を受けるべき時期なんですね。
クロベエ

手術方法

避妊・去勢手術を受ける場合は、まずかかりつけの病院へ相談しましょう。

健康診断や血液検査などを行った上で手術日を決めていきます。検査結果によっては今すぐに手術をするのが難しい場合もあるので注意が必要です。

では、いったいどのような手術なのか、注意点や手術方法について説明していきます。

手術前の注意点

手術前は絶食が必要です。

もし胃の中に消化できてない食物が残っていると、手術中に吐いて呼吸困難になる恐れがあるので、手術前日は病院の指示にしたがって食事を与えないようにしましょう。

手術当日の注意点

手術当日は水も控えましょう。朝ごはんも必ず控えるようにしてください。

手術方法

避妊手術・去勢手術ともに全身麻酔を行います。避妊手術では、卵巣または、卵巣と子宮の両方を摘出します。去勢手術の場合は睾丸を摘出します。

手術時間

避妊手術は約30分~1時間ほどの開腹手術で、通常1泊の入院が必要です。去勢手術は約15~20分で通常日帰りとなります。

退院後の注意点

術後に傷口を舐めてしまわないよう、エリザベスカラーや腹帯をつけて退院することもあります。なかには嫌がる猫もいますので、退院時に獣医さんに相談しておくと良いでしょう。傷口が開くのを防ぐため激しい運動は控えましょう。また抗生物質などの薬が出た場合は、上手く薬を飲ませるコツなどを獣医さんに聞いておくと良いでしょう。排尿・排便などもいつもと違って気になる場合は相談しましょう。

また、手術後は食欲が増しますので、食事量には充分注意しましょう。

【獣医師監修】避妊・去勢後の猫の食事|避妊・去勢後向けキャットフード
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費用

避妊手術の費用は15,000円~30,000円、去勢手術の費用は10,000円~20,000円が相場と言われています。動物病院によっては、事前検査や術後ケアが手術費用に含まれるなど内容に違いがあるため、事前に確認した方が良いでしょう。地域や病院によって費用は違いますので、詳しくはかかりつけの病院に相談しましょう。

また、自治体によっては補助金が出る場合もありますので、お住まいの自治体に確認してみると良いでしょう。

全国の自治体の犬・猫の助成金リスト
http://joseikin4catsdogs.web.fc2.com/

よくある質問

手術をすると性格は変わる?

オス猫は去勢手術をすると、男性ホルモンが分泌されなくなるのでおっとりした性格になると言われています。縄張り・メス猫をめぐる喧嘩や性的ストレスがなくなるため、穏やかな性格になると言われています。また、元々メス猫より甘えん坊のオス猫は、術後はより一層甘えたがるようです。

メス猫はオス猫に比べて性格に大きな変化はないようですが、なかには穏やかになったり、甘えるようになったりする猫もいるようです。

手術をしたのに発情したときはどうすればいい?

避妊・去勢手術をしたのに、猫がまた発情することがあります。発情する原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • すでに何度か発情を経験している
  • パイプカットで手術を行った(去勢)
  • 卵巣や子宮の取り残し(避妊)
  • 確認しづらい位置に副卵巣があった(避妊)

対処法としては、手術方法に問題があった場合は再手術という選択肢があります。麻酔を伴う手術には当然リスクが伴うため、獣医さんとよく相談の上手術を受けるべきか決めましょう。

また、病院でホルモン剤などの薬を処方してもらうことで発情を抑えることもできます。手術に比べ猫の体への負担が少ないのでまずはこの方法を試す飼い主さんは多いようです。

また、メスの場合、黄体ホルモンの入ったカプセルを体内に埋め込むことで擬似妊娠状態を起こし、発情を抑えることもできます。ただし、効果は1年なので「いずれは子猫が欲しいけど今すぐ妊娠はさせたくない」といった場合には効果的でしょう。
カプセルは1年後には必ず取り出す必要がありますし、長期にわたって使い続けると子宮疾患や乳腺疾患が起こる確率が高くなりますので、リスクがあることも理解したうえで獣医師と最善の方法を選択してください。

まとめ

猫の避妊・去勢手術で知っておきたいポイントについては、以下のまとめを参考にしてください。
  • 避妊手術には病気予防、妊娠回避、発情期のストレス軽減などのメリットがある
  • 去勢手術には病気予防、発情期特有の行動の改善などのメリットがある
  • 避妊・去勢手術は発情期前に行った方が良い
  • 避妊・去勢手術前は絶食
  • 術後は食事量に注意、まず傷の回復を優先し栄養をしっかりとる
  • 避妊・去勢手術は自治体によって補助金が出る場合も
猫ねこ部編集室 エディター 守重美和
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ふくふく動物病院 院長 平松育子
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平松育子
京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/山口県内の複数の動物病院にて勤務/2006年3月3日 阿知須にてふくふく動物病院開業
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