猫の生態を知り尽くした清水さんこだわりのキャットウォーク
さて、いよいよ2階のリビングへ。
ichinekoを監修した清水さんの一番のこだわりは、何といってもこのリビングをぐるりと一周するキャットウォーク!
▲リラックス効果のある優しいグリーンの壁はリビングにぴったり
あえて一段目を高くして、持ち家具が置けるように、また小さいお子さんが昇らないように配慮されている。
先ほどの鈴木さん宅監修の話にもあったように、キャットウォークはただつければいいという訳ではなく、猫の生態をしっかり理解したうえで設置することが大事だとか。
こちらのキャットウォークのポイントは大きく分けて3つ。
- 行き止まりを作らない
- 適度な休憩スペースを
- 飽きないように変化をつけて
行き止まりを作らない
「猫はテリトリーを徘徊する動物で後ろに下がるのが苦手なんです。だからキャットウォークには行き止まりを作らないように。今回のお部屋では、昇り降りする場所を3つ作りました。」
特に、多頭飼いのお家では、1匹がキャットウォークに昇るともれなく他の猫たちも昇っていき後ろをふさがれてしまうことも・・・。そうなると身動きがとれなくなってストレスを感じる猫もいるのだそう。
「行き止まりになると、猫はそこから飛び降りるんですよ。猫は身体能力が優れているのでうまく体をひねって着地しますけど、受け身をとれるスペースがなかったり家具などに体をぶつけてしまうことも・・・。そうすると打撲や骨折のリスクもあるんですね。」
適度な休憩スペースを
なるべく自由に走り回れるようにと、キャットウォークの距離を長くまっすぐとっているお家も多いかもしれないが・・・実はこれもNG。
「特に猫が2.3匹いる場合、興奮して追いかけっこしてるうちに走り出して、足を踏み外して落下してしまう危険性があります。ですから、なるべく走って落ちてしまわないように、途中で休めるスペースを作っています。」
カーブ状になっているベッドは、寝返りで落ちてしまう心配もなく安心!
猫の生態に詳しい清水さんだからこそのアイデアが随所に光る。
飽きないように変化をつけて
また、キャットウォークに変化をつけているのもこだわりのひとつ。
「猫は好奇心が旺盛な動物なので、最初は昇って行くんですけど、単調なつくりだとだんだん飽きてきちゃうんですよね。外の景色が見れるような場所にキャットウォークがあれば、猫にとって刺激になりますし、自然に使ってくれるように。リズムを持たせて変化をつけるようにしています。」
こちらは、ところどころに設置された猫好きさんにはたまらない肉球眺め放題の強化ガラスウォーク。車のフロントガラスと同じで、割れても飛び散らない。
▲肉球眺め放題といいつつ、肉球が白くて分からなかったパターン(笑)ふわふわのお腹は存分に楽しめます!
「ガラスって冷たくて猫も気持ちいいんですよ。うちも4匹いるんですけど、真夏になるとここに4匹並んでる。下から眺めながらお酒何杯でも飲めます(笑)」と清水さん。
猫を裏側からまるごと楽しめるこの贅沢キャットウォークは、人間にとっても猫にとっても「いい刺激」なのだ。
リビングに猫トイレ用換気扇を
リビングのもうひとつの嬉しい工夫が、こちらの猫トイレ用換気扇。
「基本的に猫って広いところでおしっこやうんちをするんですよ。本来囲われたところでする動物ではないんですよね。」ここでも清水さんの猫の生態トークが炸裂!(清水さんの猫講座、猫好きさんならきっといつまででも聞いていたくなるはず^^)
「猫のおしっこやうんちは健康状態を知る大切な手がかりです。1日に何回おしっこをしたのか、うんちの状態はどうかなど、排泄の様子をしっかりチェックすることは、猫の健康管理で重要なポイントなので、できればリビングにトイレを置くのが理想的なんですね。だけど、やっぱり臭うじゃないですか。。。なので、トイレの設置場所の上に猫トイレ用換気扇をつけたんです。」
換気扇は壁スイッチでON/OFFも簡単!強弱も手動で調整できる。
さらに、重い猫砂のストックはトイレ上の収納庫へ。収納力たっぷりなので、フードや猫グッズなどもしまえてとっても便利!
臭いを気にして、洗面所などにトイレを置いているお家も多いかもしれないけれど、、、実は清水さんいわくあまりオススメできないのだとか。
「猫は真っ暗なところで猫はうんちやおしっこできないんですよ。ちょっとした光があれば増幅されて見えますけど、完全な暗闇だと猫も見えない。真っ暗な洗面所にトイレを置いてしまうと夜トイレに行きたくても行かなくなっちゃうんです。」トイレに行かなくなれば、泌尿器系の病気にかかりやすくなるという悪循環に。
ほかには、猫が初めてトイレに行ったときに、タイマー設定してあった洗濯機がガタンと動き出し、びっくりしてトイレに行かなくなってしまうこともあるそう。
そういうこともあって、洗面所は猫にとってベストなトイレ場所とは言えないのだとか。
トイレの置き場所も人間都合ではなく、あくまで猫目線。猫の健康が何よりも優先。内覧に来られた方もこの猫トイレ用換気扇にはとても感動されるそう。
コードのいたずらの心配なし!コンセントは高めの位置に
家のあらゆる電気コードをかじってしまう・・・そんなコード大好き猫にかじられないよう、コンセントは高めの位置に。
わざわざかがまなくて済むのは、飼い主さんの膝や腰にも優しい^^
キッチンは猫が入れないように、透明アクリル板で甘えん坊の猫も安心
キッチンは猫の事故がすごく多い、と鈴木さんは言う。
「普段はいたずらしない子でも、お留守の時に伺うと水道の蛇口を押し上げて水を出しっぱなしにしたり、キッチンの引き出しからごはんを引っ張り出してバリバリ破って食べちゃうことも・・・。パッケージまで食べてしまうと大変危険です!
一番危ないのはガス。最近はタッチスイッチなど簡単に操作できるようになっているのでとても危ないです。チャイルドロックがついていても忘れていることが多いので。。。」
こうしたキャットシッターとしての経験を踏まえ、キッチンには猫が入れない仕様に。入り口の引き戸も自動ロック機能付。思わぬ怪我や事故につながらないよう配慮されている。
▲キッチン入り口の引き戸もガラス張りなので圧迫感なし。
キッチンからバルコニーに続くドアを開けると水栓も完備。猫トイレの水洗いができ、そのままバルコニーで干すことができる。
キッチンのカウンターにはガラス戸をつけてリビングを見渡せるように。
ママの姿が見えないと鳴いちゃう甘えん坊の猫がいても、これなら大丈夫☆
▲キャットウォークで寛ぐ我が子を見ながらお料理なんて至福の時間。
猫だけではなく小さいお子さんがいるご家族にも、このキッチンの大きなガラス窓は嬉しい。
落下防止対策
まだまだ続きます^^
こちらは、手前の引き戸上部枠に猫が乗るのを防ぐアクリルガード。猫は3cmの幅があれば歩いていけるそう。落下して怪我をしないようにと、こんな細かなところまでしっかり配慮されている。
そして、こちらは3階の階段室手すり壁上部にある落下防止パネル。万が一に備えて安全対策は抜かりない。
「過保護なんですけど、、、(笑)」と鈴木さん。
いやいや、ここまで徹底しているのは、猫のことをすみずみまで理解していて、大切に想っているからこそ。
まさに至れり尽くせり。どれもこれも真の猫好きさんなら「こんな設備がほしかった!」と思う仕様ばかり。
ちなみに、この物件に入居されたら、旅行などで家を数日空けるような場合、鈴木さんがキャットシッターとして来てくれるそう!
「猫のお世話もできますし、お家の経年変化も見ていくことができます。長くフォロー、サポートをしていきたいと思っています。」
家のことも、猫のことも、、、すべてひっくるめて長く見守り続けてもらえるのは、とてもとても心強い。
一人暮らしの高齢者が猫と安心して暮らせるように
今回の第一弾に続き、すでに第二弾の家も上棟したそう。
今後の展望を鈴木さんに伺ってみた。
「猫と暮らせる賃貸物件はまだまだ少ないので、賃貸の方も増やしていきたいと思っています。
また、高齢者が猫と安心して暮らせるような見守りシステムを作れたらと今模索しているところでもあります。猫と暮らしている一人暮らしの高齢者の方が、入院になってしまって猫が置き去りにされたという話もよく聞きます。。。一人暮らしの場合、家の中で倒れてしまったら誰も気づかない。緊急時に連絡がくるような猫グッズの開発なども視野に入れています。」
何かあった時に心配だから猫と暮らせない・・・。高齢者に限らず一人暮らしで猫を飼うことに躊躇している方も多い。
「そこまで猫のことを考えてくださっている方にこそ、猫と暮らしてほしいなと思っているんです。」と鈴木さんは話す。
猫のことを大切に想っている人が、猫と安心して暮らせる住まい。
そんな猫共生型住宅がこれからもっと増えていけば、猫も人間も今よりもっともっと幸せになれると思う。
株式会社第一住宅
公式サイト:https://www.daiichijutaku.co.jp/
株式会社ネコアイ
公式サイト:http://www.necoi.jp/
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。