- 横浜・あざみ野にあるお花屋さん「アトリエアイ」の看板猫「キャスパー」。元保護猫のキャスパーは自由気ままに甘える2歳の男の子。みんなに愛されるキャスパーの魅力をたっぷりお届けしますよぉ。
いつもツーンとすまして、どこかクールなイメージの猫。
抱っこしようものなら、ヒラリと体をねじってうまくかわされ、何くわぬ顔で立ち去っていく…。そんな“失恋”経験のある人も多いと思う。
でも、実はそんな猫ばかりじゃない。
今回ご紹介するのは大の抱っこ好き看板猫「キャスパー」。たくさんの人に愛される人気猫の素顔とは…?
愛犬との別れと息子さんの想い
閉店後のとあるお店。一匹の猫がまあるい目をキラキラさせて見上げてくる。
▲いきなり反則級のかわいさ^^
▲チェックのハーネスがキュートな顔立ちにぴったり。
東急田園都市線あざみ野駅からバスで6分。美しい木々が立ち並ぶ大通り沿いに、ぱっと目をひく一軒の花屋。その名も花と雑貨のお店「Atelier Ai(アトリエアイ)」。
▲夕暮れ時はオレンジ色の灯りがともって、ますますあたたかな雰囲気が漂う。
▲知り合いのアイアン作家さんに作ってもらったという特製看板も雰囲気にマッチしている。
オーナーの愛さんが飼う「キャスパー」は2歳の元保護猫。キャスパーと愛さんとの出会いは2年前の夏。キャスパーに出会う前まではダックスフンドを飼っていたのだとか。名前は”まろ”。息子のこたろうくんが小さい時から飼っていた老犬で、店内をよくウロウロ歩き回っていたという。でも4年ほど前に亡くなってしまったのだそう…。
「自分のなかの犬=マロだから…」そう話すこたろうくんは今でも毎日写真に向かって話しかけているのだとか。愛さんはそんな息子さんの想いを大事にしていた。
▲こちらはインコのコジロウと小さい常連さん。キャスパーも近くに行くと遊びたくなっちゃうけど手を出したりはしないそう。(愛さん提供)
でも猫なら…。「実は息子はもともと猫苦手で。でも、うちに来た子ならみんなかわいいから、飼ってみようかなって。色も雄雌も選べない。選ばなかった子がかわいそうっていうような息子なので。ママが決めたらいいって言ってましたね。」と愛さんは目を細める。なんて優しい心を持つ男の子…!
こうした息子が母を、母が息子をお互いにおもいやる気持ちが、キャスパーとの出会いにつながってゆく。
始まった保護猫探しと葛藤
▲愛さんの肩にちょこんと置いた前足がなんとも愛おしい
飼うなら絶対保護猫をという想いが、愛さんにはあったそう。「もし出会いがなければ何も飼わないという選択肢しかなかったですね。」とても温和で柔らかい雰囲気の愛さんだが、保護猫への想いを話すときのまなざしはまっすぐで強い。
こうして始まった新しい家族探し。「保護猫」であちこち検索し、いくつかの保護団体にも足を運んだとか。
でも、実際に話を聞きに行くと、そこには少し違和感のようなものや不安も感じたそう。
「猫の事を考えてとの事とは分かりつつも譲渡条件や環境的なもの…色々と力不足だったらと不安にもなりました。」
▲こんなに花瓶たくさんなのに倒したりすることはないそう。でもお花はときどきむしゃむしゃ(*´ω`*)食べてはいけないものはなるべく置かず、気を付けて見張るようにしているそう。
「私もお店やりながらなのでなかなか自信が持てなくて…。」
実際、保護団体では譲渡に関して厳しいルールを定めているところが多い。「一人暮らし不可」「高齢者不可」「留守番時間の長い方はご遠慮ください。」などなど。家族構成や年齢、飼育環境などそのすべてをクリアしないとならない。
ねこねっと山中湖との出会い
▲ちっちゃい頃から抱っこが大好きな甘えん坊の男の子。抱っこ写真はまだまだ続く…^^
「何箇所か見に行ったけどなかなかご縁がなくて。で、もう諦めようと思ったときにねこねっとさん(※)を見つけて。」
山梨県の保護団体「ねこねっと山中湖」
ねこねっと山中湖:https://www.nekonetyamanakako.org/
愛さんがこれまでに見てきた保護団体では、心を閉ざしている子も多かったという。「もちろんちゃんと向き合っていくけれど、自分はプロじゃないから、この子達が心を許してくれるかまでは分からない…。手に負えないんじゃないかなってどこか自信を持てなかったり。」
でも、ここの猫たちは違った。自然に囲まれた広々としてあたたかな雰囲気のお宅で、猫たちはそれぞれがのんびり過ごしていたのだそう。
▲ぼくのこと呼んだ?(愛さん提供)
愛さんは幼少期に実家で猫を飼っていたが、当時は外飼いが主流。甘えん坊な子でもなく、ほとんど家にもいなかったそうで、あまり接した記憶はないのだとか。
「ねこねっとにいる子は、みんなおおらかで、自由で、勝手に飛び乗って来る子とかもいて。猫ってこんななんだぁと思ったらかわいいなーと。安心しきってる様子を見て、ここのコミュニティがいいんだなぁと思ったりしましたね。」
「あたたかく優しくおおらかな方。そんな方のところで育った子がなんかいいなぁと思ったんですね。」
「(場所が)遠いからLINEとかでやり取りして写真を送ってくれて、この子こういう子ですとか、すごく親切にしてくださるんですね。どういう子がいいとか希望も聞いてくれて。そんなふうに選んじゃいけないような気もしてたんですけどね…。」
しっかりと愛さんの想いに寄り添ってくれた。ちょうどそんなときに保護されていたのがキャスパーだったのだ。
保科さんのお墨付きでした!
▲猫のあくびって人間よりずっとかわいい(笑)
「キャスパーは当時3.4ヶ月くらいだったんですけど、キャスパーのあとにもっとちっちゃな子たちがいっぱい入ってきて。やっぱり、ちっちゃければちっちゃいほど貰い手も多いんですよね。なので、キャスパーはちょっと行き遅れになりかかってたんです…。」
そんなときにねこねっとの保科さんから紹介されたのがキャスパーだった。
「この子ちょっとおっきくなってるけど、性格が抜群ですって言ってくださって。私、性格が抜群な子がいいと思って。(笑)じゃあその子にしますって言ったら、もっと色々な子を見て選ばなくていいの?なんて言われたんですけどね」と笑う。
ねこねっとの子たちはみんなおおらかで人懐っこかったけれど、キャスパーはなかでもとびきり穏やかな性格だったとか。家ではおもちゃをもってきてはいっぱい並べて遊んでーって甘えるときもあれば、おもちゃを投げると犬みたいにとってきてはかわいい手でトントントンってたたいて知らせてくれる賢さもあったり…。
「送ってもらった写真を見たら、みんなとちょっと違ってとぼけてて、でも私の目にはとてもかわいく映って。」と愛おしそうにキャスパーをなでる愛さん。
▲つないだ手をがっちり離さない男子^^
山中湖は先代愛犬マロを連れてしょっちゅう家族で遊びに行っていた思い出深い場所。こたろうくんともよくサイクリングを楽しんでいたのだそう。
「もうこの子に決めて手続きしてもらおうと思って行きました。ほんとにタイミングですよね。なにかのご縁かなとも思って。」
キャスパーとの初対面&お迎えの日は偶然にもこたろうくんの誕生日だったとか。7月16日…なないろの日。そんな日にお迎えできたことにも愛さんはご縁を感じたのだそう。
その時を覚悟のうえでお迎えした
▲このへの字口がなんとも愛おしい。
「この子を迎えた時、実は猫エイズが陽性だったんですね。まだ子猫だったので、母猫の抗体を譲り受けて反応がでてしまっているだけかもしれないから、はっきりとは分からなかったのだけど、でも今は陽性がでてます、と。どうしますかと言われて。」
「でも、会ったときから私のスカートの中に入ってくるような子で、陽性だから嫌だなんてことはもう言えなくて。病気がもし発症したら、短い時間でも私はこの子と一緒にいますということでお迎えしたんですね。結局は大丈夫だったんですけど。その時を覚悟のうえでお迎えはしましたね。それでもこの子がいいなと思ったので。」
猫エイズは感染して陽性反応がでていても、必ずしも発症するとはかぎらない。エイズキャリアのまま、長生きする子もいるし、天寿を全うする子も…。
でも、やはり猫エイズというだけで引き取り手が少ないのも事実。
▲キャスパーがいちばん落ち着く場所。(愛さん提供)
「幸せですね。毎日生きていてくれてるだけで。生きててくれてありがとねといつも伝えるし。息子と『かわいいね』は1日に何十回も言うし、『大好き』も毎日何十回も言ってます。」
こんなふうに覚悟をもって家族の一員として迎えてもらえるのは、キャスパーにとっても本当に幸せな出会いだったんじゃないかと思う。