- キャットフードにはからだに良くない材料がはいっていることも。添加物や着色料、忘れがちですけど油脂にも気をつけた方が良いですねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
キャットフードを選ぶときには、原材料を必ずチェックすることが大切!
本来食べられない原材料の入っている可能性もある「肉副産物・家禽ミール・ミートミール」
体のつくり上大量に消化するのは苦手な「穀物」
発がん性などのリスクが指摘される「BHT・BHA・エトキシキン・没食子酸プロピル」
猫に不必要な「香料・着色料」
腐敗した動物から抽出されている可能性もある「動物性油脂」
今回はこれら注意の必要な6つの原材料を徹底解説します!
キャットフードの原材料を確認する方法
キャットフードに含まれている原材料は、パッケージの表示欄を見て確認することができます。 パッケージの表示欄では、添加物を含めすべての原材料を記載するよう決められています。また、内容量の多い順に記載されています。
例えば、こちらのキャットフードでは一番最初に「新鮮鶏肉」と記載があるため、すべての原材料のなかで鶏肉が最も多く含まれているキャットフードだと分かります。
注意が必要な6つの原材料
では、実際にどのような原材料に注意すべきなのでしょうか。 注意が必要な原材料について説明していきます。
- 肉副産物・家禽ミール・ミートミール
- 主原料が米・麦・トウモロコシなどの穀物
- BHT・BHA・エトキシキン・没食子酸プロピル
- 香料・着色料
- セルロース
- 低品質な動物性油脂
肉副産物・家禽ミール・ミートミールには粗悪なものが含まれている可能性がある
肉副産物・家禽ミール・ミートミールとは、キャットフードのメイン原料となる肉類に含まれる原料のひとつです。
これらには粗悪なものが含まれている可能性がゼロではないため、注意した方が良いでしょう。
では、肉副産物・家禽ミール・ミートミールそれぞれの定義について見て詳しく見ていきます。
肉副産物とは哺乳動物の毛・角・歯・蹄・肉を除いた部位(内臓や骨を含む)
AAFCO(※1)で定義する肉副産物とは「屠殺された哺乳類の肉以外のレンダリング(※2)されていない清潔な部位(髪、角、歯、蹄を除く)」のことです。
言い換えると、肉副産物は「食肉部分をとって残ったもの、髪・角・歯・蹄を除いた内臓を含むほとんどの部分」と言えます。
肉副産物のなかには人間が食べない部分も含まれますが、動物にとっては骨や内臓は大切な栄養でもあります。
AAFCOの定義上では問題のない原材料ではありますが、あくまでAAFCOの定義なので、この定義通りに製造していないケースもあると覚えておきましょう。
屠殺された哺乳類に由来する、肉以外のレンダリングされていないクリーンなパーツです。これには、肺、脾臓、腎臓、脳、肝臓、血液、骨、部分的に脱脂された低温脂肪組織、および内容物が除去された胃と腸が含まれますが、これらに限定されません。髪、角、歯、ひづめは含まれません。動物飼料での使用に適しているものとする。その種類を説明する名前が付いている場合は、それに対応している必要があります。」
言い換えれば、内臓や骨など、筋肉組織以外の動物のほとんどの部分です。これには、人が食べる部分(肝臓、腎臓、トライプなど)の一部が含まれますが、米国では通常、人間が消費しない部分も含まれます。乳房や肺のようないくつかの副産物は、人間の消費のためにUSDAによって「食用」とは見なされませんが、動物のこれらの部分の魅力のない性質に左右されたくない動物にとっては完全に安全で栄養価が高くなります。「肉」と同様に、副産物が牛、豚、羊、山羊に由来しない限り、種を特定する必要があります。
※1 AAFCO・・・ペットフードの栄養基準や表示などのガイドラインを定めるアメリカの機関
※2 レンダリング・・・脂肪を溶かして油脂を抽出する
家禽ミールとは骨の有無は問わない清潔な肉と皮を使ってレンダリングされた乾燥肉
家禽ミールの家禽とは飼育される鳥の総称のことで、種類は限定されていません。
AAFCOの定義では、「家禽ミールとは鳥類の清潔な肉と皮をレンダリングした乾燥肉」とされています。
また、「羽毛・頭・足・内蔵は含まれていませんが、骨は含まれている場合がある」としています。
ただし、この定義はあくまでAAFCOの定義です。肉副産物同様、この定義通りに製造していないケースもあるかもしれないことを頭に入れておきましょう。
家禽ミール
羽毛、頭、足、内臓を除いて、家禽の部分または全体の枝肉またはそれらの組み合わせに由来する、付随する骨を伴うまたは伴わないきれいな肉と皮膚の組み合わせからの乾式レンダリング製品です。動物向け食品での使用に適しています。その種類を説明する名前が付いている場合は、それに対応する必要があります。」
ミートミールとは肉を乾燥させて粉状にした肉粉
ミートミールとは、原材料に使われる肉を乾燥させて粉状にしたものです。
AAFCOの定義では「ミートミールとは、種類が限定されていないさまざまな哺乳動物をレンダリング(※)した乾燥肉(血液・毛・蹄・角・皮・糞尿・胃・第一胃の内容物は除く)」とあります。
ただし、動物の状態については定義されていませんので、病気で亡くなった動物や腐敗動物を原材料としている可能性もゼロではありません。繰り返しになりますが、この定義はあくまでAAFCOの定義なので、この定義通りに製造していないケースもあると覚えておきましょう。
ミートミール
哺乳類の組織からレンダリングされた製品であり、追加の血液、髪、蹄、角、皮のトリミング、肥料、胃、および第一胃の内容物を除き、適切な処理方法で不可避的に発生する可能性がある量を除きます。これには、この定義で規定されていない無関係の材料は含まれません。…。“レンダリングプロセスは、病気の原因となる細菌を破壊するように設計されており、タンパク質を多く含む成分を残しますが、人には食欲をそそりませんが、肉食動物の口蓋には魅力的です。「肉」や「肉副産物」とは異なり、この成分は、牛、豚、羊、山羊以外の哺乳類に由来する可能性があります。ただし、製造元は、必要に応じて種を指定することができます(牛のみの場合は「牛肉ミール」など)。
また、ミートミールに骨を加えたものを「ミートボーンミール」といいます。日本では狂牛病の特定部位として「脳、脊髄、背根神経節を含む脊柱、回腸遠位部、眼球、扁桃」が指定されていますが、ミートボーンミールは骨を含むとされているため、脊柱などが含まれる可能性もあり得ます。つまり、特定危険部位が含まれていれば、ミートミールも狂牛病の原因になり得ると言えます。
安全性を考えるなら〇〇ミール表記のものを
AAFCOでは、乾燥鶏肉を使っている場合は「チキンミール」、乾燥牛肉を使っている場合は「ビーフミール」など、より適切な表記をすると定めています。中には乾燥鶏肉と言う意味で「チキンミール」と表示しているフードなどもあり、新鮮なものを使用しているものもあります。
そういった意味で、「ミートミール」よりも「○○ミール」という表記のものを選んだ方が安全性は高いと言えるでしょう。
ミートミールの中に4Dミートが含まれる可能性はゼロではない
また、肉のなかには「4Dミート」と呼ばれる絶対口にできないなようなものがあります。4Dミートは以下のような肉のことです。
- 1.「D」EAD=死んでしまった動物の肉
- 2.「D」ISEASED=病気だった動物の肉
- 3.「D」YING=しにかけだった動物の肉
- 4.「D」ISABLED=障害のあった動物の肉
「ミートミール」=「4Dミート」という認識がされがちなのですが、こちらは誤解でありミートミールと4Dミートはまったく別のものです。
ですが、AAFCOの基準を順守しない国やメーカーもありますので、使われている可能性がゼロではない点は理解しておきましょう。
- ミールとは乾燥肉のことなので、単に表記の問題ではあるんですねぇ。
ただ残念ながら物によっては品質の悪いものも。。。健康を考えるなら、肉副産物、家禽ミール、ミートミールあたりは避けた方が安心ですねぇ。
- ミートミールって4Dミートと同じことかと思ってました。ただ、その可能性はあるってことなんですね。。。普通じゃ絶対口にしないようなものが入っているなんて怖すぎますっ。
米・麦・トウモロコシなどの穀物が多すぎるのはNG
猫の食事の栄養バランスの理想は「肉・魚」:「穀物類」:「野菜」=7:2:1であって、穀物はバランスよく含まれているぶんには問題はありません。穀物には多くの食物繊維が含まれるため、腸内環境を整える役割もあります。
しかし、完全肉食動物の猫は穀物の消化が得意ではありません。キャットフードに含まれる穀物(デンプン)は猫が消化できるよう製造過程で糊化されているので問題ありませんが、40%以上の炭水化物はは猫の消化機能の低下や高血糖を引き起こすとの報告があります。
キャットフードを選ぶときには、なるべく主原料に肉や魚を使っているものを選び、穀物の量が多すぎないものを選びましょう。
40%以上の炭水化物は、消化機能の低下(下痢、嘔吐、鼓腸等)や高血糖を引き起こすと報告(Meyer&Kienzle1991)されています。
関連記事:
- 我々猫はもともと肉食なので、メインはあくまで肉や魚。穀物はほんのちょっとでいいんですよぉ。ただ、穀物が全く消化できないわけじゃないので、そこは覚えておいてくださいねぇ。
- 穀物たっぷりのキャットフードって多いですけど、ぼくたちにとっては肉・魚が多い方が嬉しいんですよねっ。多すぎるのはダメってことですね。
BHT・BHA・エトキシキン・没食子酸プロピルは摂取量によっては発がん性などの危険性が指摘される
キャットフードは酸化すると有害物質が発生したり、栄養価が下がったりするため、それを防ぐために酸化防止剤が使われています。
酸化防止剤には「天然」のものと「人工」のものがありますが、特に注意が必要なのは発がん性やDNAなどの突然変異などのリスクがあるとされる「人工」酸化防止剤です。
酸化防止剤 | リスク |
BHA | 発がん性、女性ホルモン作用 |
BHT | 変異原性(※1)、催奇性(※2)の疑い |
エトキシキン | 人間の食品に使うことは認められていないペットフードへの添加許容量は飼料への残留基準値の約150倍 |
没食子酸プロビル | 急性毒性、変異原性、染色体異常 |
酸化防止剤の基準値は、毎日食べ続けても健康に影響のない量で設定されていますので、これらが入っているからといって危険というわけではありませんが、安全性で考えるなら天然由来の酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物など)を使っているキャットフードの方が安心です。
※1 変異原性:遺伝子に異常を起こさせる毒性、発がん性と関係している
※2 催奇性:ある物質が生物の発生段階において奇形を生じさせる性質や作用のこと
関連記事:キャットフードに酸化防止剤が使われる理由と猫に与える危険性
香料・着色料は猫にとって不必要な添加物
キャットフードに匂いや香りづけをするのが「人工香料」「着色料」です。これらは見た目を良くするために使われる添加物ですが、猫は「見た目」ではなく「匂い」で食べ物を選びます。つまり、「人工香料」「着色料」は猫にとっては不必要なものであって、あくまで飼い主さんの「食いつき」を良くするための添加物なのです。
現在キャットフードに使われている着色料のなかには、海外で使用自体を禁じているものもあるので、十分注意しましょう。
着色料 | 海外での使用状況(リスク) |
赤色40号 | イギリス:注意欠陥・多動性障害と関連するとして自主規制 |
赤色120号 | イギリス:注意欠陥・多動性障害と関連するとして自主規制 カナダ・ベルギー・アメリカ:食品への使用を禁止 |
赤色3号 | ドイツ・ポーランド・アメリカ:食品への使用禁止 |
青色1号 | ベルギー・フランス・ドイツ・スウェーデン・オーストリア:国として禁止 |
赤色106号 | 食品添加物としては日本でのみ認可 |
セルロースは摂りすぎると便秘や腸を傷つける危険性も
セルロースはすべての植物に含まれており、キャットフードの原料となる野菜にも含まれる成分です。水に溶けない食物繊維であるセルロースは、主に毛玉ケアのキャットフードに多く含まれています。
しかし、水を含むと膨張するセルロースは、摂取しすぎると便秘を悪化させたり、腸を傷つけたりする原因になるので注意が必要です。
低品質な動物性油脂には腐敗した動物から抽出されるものも含まれる可能性あり
動物性油脂とは、動物から抽出した油のことです。キャットフードを成型するには必ず必要なもので、エゴマや亜麻仁、キャノーラなどに代表される植物性油脂よりも動物性油脂の方が猫に好まれると言われています。
しかし、低品質な動物性油脂の場合、腐敗している動物を原材料に使っていたり、骨や肉、内臓、糞便などを全て煮込んで抽出することも。病気で亡くなった動物を使っている可能性もゼロとは言い切れません。
鶏脂、牛脂など表記が明確な油脂を使っているキャットフードの方が安心です。
- 油脂はキャットフードづくりに欠かせないものですけど、低品質なものもあるので注意してくださいねぇ。
- 腐った動物から作られた油脂なんて。。。今までまったく気にしてなかったですけど、原材料欄はしっかり確認しなきゃですね!
まとめ
原材料で注意すべきなのは以下のポイントです。愛猫がいつも健康でいられるよう、キャットフードを選ぶ時には必ず原材料をチェックするようにしましょう。
- 肉副産物とは哺乳動物の骨や内臓も含んだ毛・角・歯・蹄・肉を除いた部位
- 家禽ミールとは骨の有無を問わない鳥類の清潔な肉と皮を使用してレンダリングされた乾燥肉
- ミートミールとは乾燥肉粉 ・家禽・ミートミールが必ずしも悪いものとは限らない
- より安全性が高いのは種類を特定した「チキンミール」などの表記のもの
- ミートミール=4Dミートではない
- ミートミールには狂牛病の原因となる肉骨粉が含まれている可能性もある
- 肉副産物・家禽ミール・ミートミールは定義上は安全だが、AAFCOを遵守していない国やメーカーもあるため注意が必要
- キャットフードに含まれる穀物は量に注意
- BHT・BHA・エトキシキン・没食子酸プロビルなどは摂取量によっては発がん性などの危険性が指摘される
- 香料・着色料は猫にとって不必要な添加物
- セルロースは多く摂りすぎると便秘や腸を傷つける原因になる
- 低品質な動物性油脂は腐敗した動物から抽出されるものも含まれる可能性あり
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。