- 妊娠・授乳中の猫にはどんなキャットフードをあげればいいのか、解説していきますよぉ。
妊娠期・授乳期向けのキャットフードって何をどう選べばいいの?
今回は、そんな方のために妊娠・授乳中の猫向けおすすめキャットフードをご紹介。
フードの与え方やフード選びのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてくださいね!
- イチオシはジャガー!オメガ3脂肪酸の豊富な生サーモンや生マスがたっぷり◎
妊娠・授乳期の猫について
メス猫の発情期は生後6~10ヶ月頃。早い猫だと生後半年で妊娠が可能です。
人間と違って猫は交尾後に排卵するため、妊娠する確率は90%以上と非常に高いです。
飼い主さんが妊娠の兆候に気づくのはお腹が大きくなってきてからのことが多いので、できれば兆候を見逃さずに早めに気づいてフードの量を増やしたり、切り替えたりしましょう。
妊娠・授乳期いずれも出産という大きな仕事を抱え、ホルモンバランスが変化したりストレスが溜まりやすくなっている時期です。
こちらは猫の主なストレスの原因です。
猫はストレスを感じると餌を食べなくなることがあるので、なるべくストレスを与えないよう環境を整えてあげることが大切です。
- 多頭飼い(相性・トイレ不足)
- 引っ越し
- 来客
- 騒音
- 匂いの変化
- 普段使っているものの変化(食器・トイレ)
- 運動不足
- 急激な気温の変化
妊娠・授乳期の食事の与え方
妊娠期は胎児に栄養を送るため、また授乳期は母乳を子猫に与えるため、いずれも通常より多くのエネルギー量を必要とします。
こちらは、妊娠・授乳期の食事についての違いをまとめたものです。
妊娠中 | 授乳中 | |
エネルギー要求量 | 通常の2倍 | 通常の2〜6倍 |
期間 | 妊娠期間:約2ヶ月 | 授乳期間:約1ヶ月 |
食事回数 | 通常の食事回数より1,2回増やす | 自由採食でよい |
普段の約2倍の食事量となるため、食べきれない猫も出てくるかもしれません。
効率よく食事をとるためにも高脂質で高カロリーなものにし、食事量を調整しましょう。
では、妊娠・授乳期の猫の食事を3つのポイントに分けてご紹介いたします。
- 妊娠期の食事の与え方
- 授乳期の食事の与え方
- 妊娠・授乳期の猫の食事のポイント
妊娠初期は食べすぎに注意、量を増やすのは妊娠後期から
猫の妊娠期間は約2ヶ月間。エネルギー要求量は妊娠後期に向け徐々に増加します。
妊娠40日目あたりになると、お腹の張りも増し、活動量が減ってきます。
妊娠後期は子宮に圧迫されて食事の消化に苦労する場合があります。
少量でも十分に栄養を摂れる消化吸収の良いものを与えることが大切です。
また、妊娠初期にたくさん食べさせると、母猫が肥満状態になり出産が難しくなることがあります。
量を増やすのは妊娠後期からでよいでしょう。
授乳期の体重減少に注意!体重や体格を見て量を調節して
授乳期の母猫は母乳を与えなければならないため、フードはいつでも食べやすいようにしておきましょう。
基本的に食べられるときに食べたいぶんを食べてもらうようにしてください。
特に授乳期に母猫の体重減少が目立つことがあります。
母猫の体重が減るのはカロリーが足りていない証拠ですので、体重や体格を見ながら量を調節してあげてください。
子猫は生後1ヶ月頃から離乳期に入り、母乳からキャットフードに食事を切り替えていきます。
離乳が始まったら、母乳がいらなくなるぶん、母猫が必要とするカロリー量も減ります。
そのため、今までと同じ量を与えると肥満になってしまいます。
子猫が母乳を飲まなくなってきたら、母猫の食事量を減らすことが大切です。
妊娠・授乳期の猫の食事のポイント
妊娠・授乳期の食事のポイントは、「高カロリー・高脂質・消化の良い原材料」です。
この時期は、胎児・子猫の成長と発達に不可欠な必須アミノ酸を供給するため、たんぱく質合成量が大幅に増えます。
そのため、フードのたんぱく質の量と質が重要です。
また、エネルギーをたくさん必要とするため、脂質18%以上のフードを選ぶ必要があります。
そしてフードと同じく重要なのが水分。妊娠・授乳期の水分は羊水や母乳を作るのにとても大切です。
新鮮なお水がいつでも飲めるよう、下記のような工夫をしてあげましょう。
- 水分の多いウェットフードを利用する
- フードをぬるま湯やミルクでふやかして与える
- 食事の回数を増やす
- 水道水のカルキ臭を消す(一度お湯を沸かす)
- こまめに飲み水を取り替える
- 水にまたたびを少し混ぜる
- 好みの材質の器を使う
- ひげが当たりにくい器を使う
- 水飲み場の場所を変える
- 妊娠中・授乳中ともに食べる量が2倍!母乳のためにしっかり水分を与えることも大切ですよぉ。
- 授乳中は食べ放題!う、うらやまし~。でも食べすぎで肥満にならないように注意しなきゃですね。。。
妊娠・授乳期のキャットフードの選び方5つのポイント
健康な子猫を出産し育てていくには食事管理が重要です。
妊娠・授乳期のキャットフードの選び方のポイントは以下の5つです。
- 動物性たんぱくが豊富で消化が良いものを選ぶ
- 脂質は18%以上・EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富なものを選ぶ
- L-カルニチンが豊富なものを選ぶ
- カルシウム・リンが豊富なものを選ぶ
- 人工添加物が含まれていないものを選ぶ
動物性たんぱくが豊富で消化が良いものを選ぶ
この時期は特に「動物性タンパク質」が重要です。
猫のエネルギー源となるのは動物性たんぱく質ですが、妊娠中は特にたんぱく質の量と質が重要です。
妊娠中にたんぱく質が不足すると、胎児の健康に以下のような影響を及ぼす可能性があります。
そのため、良質な動物性たんぱく質をしっかりとることが大切です。
- 出生低体重
- 出生後の子猫の死亡率上昇
- 子猫の免疫機能障害
また、妊娠後期は子宮に圧迫されて消化がしづらくなっているので、消化の良い鶏肉や白味魚などが主原料のものを選ぶと良いでしょう。
肉副産物・家禽ミール・ミートミールにはどのような種類・品質の原材料が使用されているか不明。
そのため、なるべく肉や魚がどういったものか明記されている(鶏肉、サーモン、チキンミールなど)フードを選びましょう。
脂質は18%以上、EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富なものを選ぶ
フードの量を単純に増やすより、エネルギー量が増えることが重要です。
エネルギーを十分に供給するため、脂肪は18%以上のものが好ましいです。
また、「EPA」「DHA」が豊富なものを選びましょう。
「EPA」「DHA」は青魚などに多く含まれていますが、猫は体内でオメガ3脂肪酸を合成することができないため食事から摂取する必要があります。
オメガ3脂肪酸は胎児の脳の発達に重要な役割を果たすため、妊娠中に特に積極的にとっておきたい栄養素です。
L-カルニチンが豊富なものを選ぶ
L-カルニチンとは猫の必須アミノ酸で、赤身の肉や魚、乳製品に多く含まれています。
母乳を作るためには、脂肪を効率よく使う必要があります。
そのため、授乳中はL-カルニチンを多く含むフードを選びましょう。
カルシウム・リンが豊富なものを選ぶ
カルシウムとリンには骨を形成する役割があります。
妊娠期は胎児の健康な骨格を作るために、カルシウム・リンがライフステージに見合った量が含まれるキャットフードを選ぶことが大切です。
人工添加物が含まれていないものを選ぶ
キャットフードにはさまざまな添加物が含まれており、なかには猫の体によくないものもあります。
例えば、猫の健康を害する恐れのあるBHA・BHTなどの酸化防止剤や着色料が含まれているものは、なるべく避けた方が安心です。
天然由来の添加物が使われているキャットフードを選びましょう。
- 妊娠・授乳期は特にたんぱく質をしっかりとることが大切!量はもちろん良質な動物性たんぱく質であることが大事なんですねぇ。
- たんぱく質が足りないと、お腹の子がしっかり育たなくなっちゃうんですね。。。お肉やお魚メインのフードじゃなきゃですね!
妊娠・授乳期の猫向けキャットフード
※価格は購入するショップや時期によって変動する可能性があります。
ジャガー
- 肉と魚の栄養が両方とれるハイブリッドフード!動物性食材約80%
- カルシウムが豊富
- 生サーモン・生マス使用でEPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富
価格 | 5,038円(税込)/1.5kg(1kgあたり約3,359円) |
原産国 | イギリス |
第一原料 | 肉類(チキン生肉、乾燥チキン、乾燥鴨肉、チキンレバー、鴨生肉) |
主な成分 | たんぱく質:37%以上 脂質:14.88%以上 粗繊維:5.25%以下 エネルギー:387.5kcal/100g |
肉や魚などの動物性食材を約80%使ったプレミアムフード。
ペット先進国イギリスの商品ということもあり、人間用の食品工場で加工出荷された食材だけを使うなど、その素材の安全性にもこだわりが感じられます。
オメガ3脂肪酸の豊富な生サーモンや生マスが配合されているのが、妊娠期・授乳期の猫に嬉しいところ。
素材の新鮮さからか、食レポでは美味しそうに食べてくれる様子が見れましたよ!
ファインペッツ
- アレルギーになりにくいアヒル肉とニシンが主原料
- 消化吸収率87%と非常に高く少量でも充分に栄養がとれる
- 「人間が食べられることができるレベル」の原材料のみを使用
価格 | 4,132円(税込)/1.5kg(1kgあたり約2,755円) |
原産国 | オランダ |
第一原料 | アヒル肉 |
主な成分 | たんぱく質:32.00% 脂質:20.00%以上 粗繊維: 2.30%以下 427.2kcal / 100g |
人間が食べることができる素材だけを使ったオランダ産フード。
主原料には低アレルゲンのアヒル肉とニシン肉を使用。
原材料の8割が肉類と猫に必要な動物性たんぱく質が豊富です。
消化吸収率87%と少量でもしっかり栄養がとれるのは、消化しづらくなる妊娠後期の嬉しいポイント。
食レポでは一心不乱に食べる様子も見れました^^食いつきが気になる方は是非ご参考に。
カナガンキャットフードサーモン
- 原材料の60%以上が魚の高たんぱくレシピ
- 正真正銘のグレインフリー!豆類も一切不使用
- 魚類が多くオメガ3脂肪酸が豊富
価格 | 5,038円(税込)/1.5kg(1kgあたり約3,359円) |
原産国 | イギリス |
第一原料 | 生サーモン |
主な成分 | たんぱく質:34%以上 脂質:14.80%以上 粗繊維:3.25%以下 398kcal/100g |
原材料の60%以上が魚のイギリス産プレミアムフード。
低アレルゲンで消化吸収の良いサーモンがメイン、穀物は一切使わず低炭水化物に仕上げたレシピは、猫の食性にもあっていて嬉しいですね。
キナ酸の豊富なクランベリーも配合し、尿路疾患にかかりやすい猫にも配慮。
食レポでは、普段新しいものを好まない子が珍しく食いつく様子が見れましたよ。
オリジン
- 肉原材料を85%以上配合した高たんぱくフード
- 新鮮肉のほか臓器や軟骨で栄養をバックアップ
- 地元アメリカから新鮮なまま搬送された原材料だけを使用
価格 | 8,800円(税込)/1.8kg(1kgあたり約4,889円) |
原産国 | アメリカ |
第一原料 | 新鮮鶏肉 |
主な成分 | たんぱく質:40.00% 脂質:20.00%以上 粗繊維:3.00%以下 416kcal / 100g |
肉原材料を85%以上も配合した高タンパク・高脂質のパワフルフード。
新鮮肉のほか、レバーや軟骨も使っているので、猫本来の食事に近く栄養バランスも◎。
地元アメリカから新鮮なまま冷凍せずに搬送された原材料だけを使っているので、素材の美味しさもそのまま!
食レポでは、愛猫2匹が一心不乱に食べてくれましたよ!食いつきの気になる方は是非参考にしてみてくださいね。
ピュリナワン 1歳までの子猫用/妊娠・授乳期の母猫用
- 安価なわりに主原料に肉類を使用
- カルシウムとリンのバランスが良い
- 魚油使用でオメガ3脂肪酸が豊富
価格 | 2,173円(税込)/2.2kg(1kgあたり約1,086円) |
原産国 | オーストラリア |
第一原料 | チキン |
主な成分 | たんぱく質:39.00%以上 脂質:18.00%以上 粗繊維:3.00%以下 約390kcal/100g |
ご紹介するフードのなかではNO.1のお手頃価格フード。
1kgあたり1,000円ちょっとと安価ながら新鮮なチキンが主原料。
たんぱく質40%以上と動物性たんぱく質もたっぷり。
質にも価格にもこだわりたい飼い主さんにぴったりです。
チキンは乾燥肉・生肉どちらも使っているので栄養バランスも◎。
よくある質問
ここでは、猫の妊娠・授乳期の食事に関するよくある質問をまとめています。
妊娠期:2.0×RER
授乳期:2.0〜6.0×RER(自由採食)
RER:安静時エネルギー要求量 30×体重(kg)+70
つまり、体重4kgの猫の場合、妊娠期は
2.0×RER(30×4(kg)+70)=380kcal
授乳期は
2.0〜6.0×RER(30×4(kg)+70)=380kcal〜1140kcal
となります。ちなみに「自由採食」というのは、決まった時間に与えるのではなく、いつでも食べられるようにしておくことです。
妊娠中と違い、授乳は母親と子猫のペースで行われるので、母親がご飯を食べる時間も不規則になります。
いつでも栄養が摂れるよう、自由採食ができる配慮をしてあげましょう。
妊娠期は通常時の2倍の栄養が必要となるのでフードの量も多くなります。
量が多い分、一度に食べられる量が限られるかもしれません。
そのため分けて与える場合は、一日2回ではなく3~4回など食事回数を増やしてあげましょう。
授乳期は子猫に母乳を度々与えたり、排泄のお世話などに忙しいので母猫は決まった時間に動くことができません。
ですので、いつでも自分で必要なエネルギー量を満たすことができるよう、自由採食できるようフードを用意しておきましょう。
そして妊娠・授乳期ともにお水は重要です。
常に新鮮な水を用意しておいてあげましょう。
妊娠期間中は、ホルモンバランスやストレスなどにより食べられない場合もあります。
ただし、食べない期間が長すぎたり猫の体調が悪いようであれば、早めに獣医師に相談しましょう。
また、出産前後は一時的に食事を受け付けないことがありますが、だいたい出産後24時間くらいで食欲を取り戻すと言われています。
子猫の離乳が完了したら、母猫に与える食事の量を徐々に普通の量に戻していきましょう。
あまり長い間妊娠・授乳期と同じ量や同じ種類のフードを与えすぎていると肥満の元となります。
母猫の状態を見ながら食事量やフードの種類を管理しましょう。
まとめ
妊娠・授乳中の猫用キャットフードの選び方・与える量については以下のまとめを参考にしてくださいね。
- 高カロリー、高栄養のフードを与える
- 予防接種は避け、薬やサプリメントを服用する際は必ず獣医に相談する
- 出産時のトラブルに備え、獣医との連携をとっておく
- 良質な動物性たんぱく質
- 肉や魚などの動物性食材が主原料
- カルシウム・リンが豊富でバランスが良い
- オメガ3脂肪酸が豊富
- 今までのキャットフードを与える場合は通常の約1.5~2倍の量を与える
- 妊娠猫用キャットフードに切り替える場合はパッケージの給餌量を目安に与える
- 欲しがるままに与えるのが基本だが肥満には注意
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- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。
- 【監修】獣医師・YICビジネスアート専門学校ペット科講師
平松育子京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/2006年3月-2023年3月ふくふく動物病院院長を務める/現在は勤務獣医師として自分の可能性にチャレンジ中