- ワタシたち猫の目は明るいところと暗いところでずいぶん違って見えますよねぇ。暗闇で光るのは、目の構造が少しだけ人間と違うからなんですよぉ。今日は猫の目の不思議についてたっぷり解説していきますよぉ。
透き通るように美しい猫の目ですが、明るさによって印象がずいぶん違いますよね。
暗闇で光る目を見てドキッとしたことがある人もいるでしょう。
「猫の目は人間とどう違うの?」
「暗闇でなぜ光るの?」
など、猫の目について意外と知らないことって多いですよね。。。
そこで今回は、猫の目の仕組みと8つの特徴について徹底解説!
目から分かる猫の気持ちについても紹介しますので、愛猫の目をよく見てコミュニケーションに役立ててくださいね。
▼動画とあわせて是非ご覧ください▼
猫の目の構造
猫の目は、人間の目と同じく入ってきた光の情報を脳に伝える器官です。
猫の目の構造と役割
こちらは人間の目の構造を示した図です。
猫と人間の目の構造は基本的には同じで、カメラの構造によく例えられます。
瞳孔(どうこう)・虹彩(こうさい)【絞り】
虹彩とは眼球の色がついた部分のこと。
虹彩の真ん中にある「黒目」の部分が瞳孔です。
カメラの絞りのように目に入る光の量を調節する役割があります。
水晶体【レンズ】
カメラのレンズのようにピント合わせをする役割があります。
網膜(黄斑)【フィルム】
眼球を覆う膜の一番内側にある膜が網膜です。
網膜のなかの黄斑(おうはん)と呼ばれる部分に、カメラのフィルムのように焦点を結びます。
猫がものを見る流れ
では、実際猫はどのようにしてものを見るのか、その流れについて説明します。
①光が角膜を通過
②虹彩・瞳孔が光の量を調節
③水晶体でピント合わせ
④硝子体を通過
⑤網膜の黄斑で焦点を結ぶ
⑥網膜の後ろにある「タペタム」が反射板となり光を網膜に戻す(目の中に入る光が増える)
⑦視神経を伝わり脳に伝達→ものが見える
角膜から入ってきた光の量を虹彩・瞳孔で調節、水晶体でピントを合わせ、網膜で焦点を結ぶという①~⑤までの流れは猫も人間も同じです。
人間と違うのは、網膜の後ろに光を反射する「タペタム」という膜がある点です。
引用:参天製薬
「タペタム」には入ってきた光を鏡のように反射させて網膜に戻す働きがあるので、猫は暗いところでもはっきりとものを見ることができます。
猫の目の特徴
つぶらでとても可愛らしい猫の目。
意外と知られていないその特徴について紹介していきます。
- 人と同じくらい大きな眼球
- 縦長の瞳孔で目に入る光の量を素早く微調整
- 暗闇で光る!人の1/7の量の光でもよく見える
- 昼間の視力は人の1/10
- 動体視力は人の4倍
- 対象物までの距離を正確に把握できる
- 色の判別ができるのは青と黄色だけ
- 感情によって瞳孔の大きさが変わる
人と同じくらい大きな眼球
猫は人間より体がはるかに小さいのにもかかわらず、人間とほぼ同じ大きさの眼球を持っています。
猫の目がこれほど大きいのは、元々夜行性のハンターであったことが関係しています。
暗闇のなかで狙った獲物を捕らえるには、より多くの光を集めなければなりません。
多くの光を集めるには、より大きな角膜、水晶体、瞳孔が必要となるため、猫の眼球が大きく発達したと言われています。
縦長の瞳孔で目に入る光の量を素早く微調整
瞳孔とはいわゆる「黒目」の部分です。
人間の瞳孔は丸型ですが、猫の瞳孔は細く縦長の形です。
瞳孔には目に入ってくる光の量を調節する役割がありますが、細長の瞳孔は丸型に比べ光の量を素早く微調整することができます。
瞳孔のまわりにある瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)という筋肉のおかげで、猫はわずか1mmほどにまで瞳孔を縮めることができ、明るい場所でも素早く瞳を守ることができるのです。
暗闇で光る!人の1/7の量の光でもよく見える
猫の目は暗闇で光りますが、これは前述の「タペタム」という膜が目の中に入ってきた光を反射するからです。
網膜を通過した光を「タペタム」で反射し、網膜にもう一度戻してあげることで、猫は暗闇でも鮮明にものを見ることができるのです。
人間の1/7ほどのわずかな光でもよく見えると言われるくらいですから、猫の目はまるで高性能の暗視カメラのようですね^^
昼間の視力は人の1/10
暗いところには強い猫ですが、昼間の視力は人間のたった1/10!
人間の視力でいうと0.3くらい、6m以上離れてしまうとぼやけて見えてしまうほどかなりの「近眼」なのです。
昼間の視力が悪いのはこうした理由が考えられます。
- 角膜や水晶体が大きすぎて焦点をあわせづらい
- タペタムのせいで光が散乱しぼやけて見える
暗闇でも生活できるようにと進化してきた結果、昼間の生活にはそぐわなくなってしまったのでしょう。
猫の目は大きくまんまるなので視力が良さそうなイメージがありますが、実は近づかないと飼い主さんの顔すら認識できていなかったとはビックリですね…。
動体視力は人の4倍
視力は良くありませんが、これは静止しているものを見る場合。
動くものを見る力は非常に優れていて、人間のなんと4倍です。
1秒間に4mm移動するくらいのごくわずかな動きでも敏感に反応します。
猫じゃらしなどで遊んであげると、まるで早送りかと思うようなスピードで追いかけることがありますよね^^
動かないものではたった6mの距離でも認識できませんが、素早く動くものであれば30mほどの距離があってもしっかり捉えることができるようです。
これは、元々ねずみなど素早く動く獲物を捕らえていたことで自然に養われた力と言えるでしょう。
ただし、あまりにも動きがゆっくりすぎるものは止まっているものと勘違いしてしまうため、うまく目で追えないようです。
対象物までの距離を正確に把握できる
猫は対象物までの距離を正確に把握できます。
これは、猫の目のつき方が関係しています。
猫の目は顔の前に位置しているため、両目で見ることのできる範囲が広くかつ立体的に見ることができます。
猫は元々待ち伏せして獲物を捕らえる狩猟スタイル。
確実に獲物を捕まえるには獲物までの距離を正確に捉える必要があり、こうした目のつくりになったのでしょう。
色の判別ができるのは青と黄色だけ
猫の色覚は人間と違い、基本的に青と黄色しか見分けることができません。
人間には赤、緑、青を識別できる錐体細胞(すいたいさいぼう)があり、この3色の組み合わせでさまざまな色を見分けることができます。
一方、猫の錐体細胞は緑と青の二色だけ。
特に赤色の識別が苦手で、赤い色は灰色がかって見えるとも言われています。
これは、暗闇で狩りをしていた猫にとって、色の識別がそれほど重要ではなかったことが関係しているのでしょう。
私たちにとってはカラフルでアクティブな印象のある赤色ですが、猫の目にはそう映らないので、おもちゃなどは赤系を避けた方が良いかもしれませんね。
感情によって瞳孔の大きさが変わる
猫は瞳孔を拡大・収縮させることで光の量を調節していますが、その時の気持ちによっても瞳孔の大きさは変わります。
瞳孔の大きさは自律神経(交感神経と副交感神経)の働きに関係していて、興奮状態の時には大きく、リラックスしている時には小さくなります。
今どんな気持ちなのか知りたい時には、猫の目をよく観察してみると良いですね。
目以外にしっぽや耳でも気持ちを表現しているので、あわせて確認してみてください。
- ワタシたち猫は視力がすごく良さそうに思われがちなんですが、実はド近眼なんですねぇ。離れたところにいるクロベエくんがときどきパンダに見えたり、、、ンフフ。
- えぇっ!たしかにボク白黒ですけど。。。(*´ω`*)
動いてるものはめちゃくちゃよく見えるから、猫じゃらしなんかあるとひたすら首振っちゃいますっ。
目で分かる猫の気持ち
ここでは、目から分かる猫の気持ちを見ていきましょう。
- まんまるな目でキラキラとした上目遣い
- 目を細める
- 目が合ったときに瞬きをする
- まぶたが下がって半目気味
- 目を反らす
- 黒目がちで瞳孔が開いている
- 遠い目
- 目から分かる猫の気持ちをクロベエくんがご紹介しますよぉ~。
まんまるな目でキラキラとした上目遣い
- 期待してワクワクしている
飼い主さんの足元でまんまるな目をキラキラ輝かせている時は、「おやつくれるかな?」など期待してワクワクしている時です。
つぶらな瞳で見つめられたら、ついつい何でもしてあげたくなってしまいますね♪
目を細める
- リラックスしている
- 気分が良く幸せ
- 愛情表現
- 光がまぶしい
- 体の異常を感じている
リラックスしている時や気分が良い時によく見られる仕草です。
美味しいごはんを食べている時、毛づくろいをしている時、大好きな飼い主さんに撫でてもらっている時など、、、「幸せだな~」と思っているサインです。
また、愛情を伝える時にも目を細めます。
「大好き!」という気持ちを目で伝えてくれているのです。
こんな時は同じように目を細めてお返事してあげましょう。
そのほか、まぶしい時や体の異常を感じている時にも同じような仕草をします。
結膜炎や角膜炎、角膜に傷が入ってしまったなど目の病気の可能性もあるので、目やにや涙などのチェックをして、様子がおかしい時には早めに受診してください。
目が合ったときに瞬きをする
- 敵意はなく仲良くしたい
目があった時に瞬きをする時は、「敵ではないよ!仲良くしてね!」と心を開いてくれているサインです。
猫の世界では目をあわせるのは厳禁!
相手の目をずっと見続けると「敵意」をむき出しにしていると思われてしまいます。
猫と目が合った時に瞬きをしてきたら、同じように瞬きで返してあげましょう。
まぶたが下がって半目気味
- 眠い
眠い時にはまぶたが重そうに垂れ下がり、少し半目気味になります。
猫には白目の部分はありませんが、今にも寝てしまいそうな時は、まぶたと眼球の間にある白い膜「瞬膜(しゅんまく)」が飛び出て白目をむいているかのように見えることがあります。
少し見えるくらいなら気にする必要はありませんが、ずっと出たままになっている時は動物病院で診てもらった方が良いでしょう。
目をそらす
- 敵意はないと伝えたい
敵意がないことを相手に伝えたい時は、相手から目をそらします。
「飼い主さんとは喧嘩しないからね」という気持ちを表しているのです。
イタズラをして飼い主さんに叱られている時にもよく見られる仕草です。
黒目がちで瞳孔が開いている
- 警戒している
- 興奮している
- 部屋が暗い
明るい場所で瞳孔が開いている時は、警戒・興奮のサインです。
警戒している時は耳をやや後ろに寝かせていますので、あわせて確認してみてください。
そんな時に目をじっと見つめるのは逆効果!
少し目をそらしてあげて不安な気持ちを落ち着かせてあげましょう。
また周囲が暗い時にも、目を見開いてなるべく多くの光を集めようとします。
遠い目
- 今の状況から逃れたい
知らない人や子どもなどにしつこく構われたり抱っこされた時、少し諦めたように動かないで遠い目をすることがあります。
「早くこの状況から逃れたい…」そんな思いなので、なるべくその気持ちを汲んで落ち着ける環境にしてあげましょう。
- 目を見開いたり、細めたり。。。ワタシたちは言葉が喋れないぶん、目でも気持ちを伝えているんですねぇ。クロベエくんの目はいっつもキラッキラですよぉ、、、ンフフ。
- キラッキラなのはきっと「おやつ!おやつ!」って時ですかね(笑)
しっぽや耳だけじゃなく目でも気持ちを伝えてたなんて。。。明日から先輩の目もじっくり見てみよ~っ。
まとめ
猫と人間の目の作りは基本的には同じですが、暗闇でも活動できるような目のつくりになっている点が人間とは違うところ。
網膜の後ろにある「タペタム」が入ってきた光を跳ね返すので、猫は暗闇でも鮮明にものが見えるのです。
動くものを見る力は優れているけれど、静止しているものはぼんやりとしか見えないなど意外な面も…。
その時の感情で瞳孔の大きさも変わるので、今どんな気持ちなのか知りたい時はよく観察してみてくださいね。
- 猫と人間の目の構造は基本的には同じ
- 猫の網膜の後ろには、反射板の働きをするタペタムという膜がある
- 人間と同じ大きさの眼球をもつ
- 縦長の瞳孔で目に入る光の量を素早く微調整
- 暗闇で光るのはタペタムが光を跳ね返すから、人の1/7ほどの光でもよく見える
- 昼間の視力は人の1/10
- 動体視力は人の4倍
- 対象物までの距離を正確に把握できる
- 猫が見分けられるの青と黄色だけ
- 感情によって瞳孔の大きさが変わる
- 興奮状態の時には瞳孔を見開き、リラックスしている時には瞳孔が小さくなる
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。
- 【監修】獣医師・YICビジネスアート専門学校ペット科講師
平松育子京都市生まれ
山口大学農学部獣医学科(現 山口大学共同獣医学部)卒業/2006年3月-2023年3月ふくふく動物病院院長を務める/現在は勤務獣医師として自分の可能性にチャレンジ中