- 7歳を過ぎるといよいよシニア期。毛がボサボサ、寝てばかり、最近食欲がない。。。猫も人間と同じように老化現象があるんですねぇ。今回は老猫と一緒に暮らすうえでの注意点について詳しくご紹介しますよぉ。
活発に走り回っていた猫も気づけばもう7歳。人間と違って猫はあっという間に高齢期を迎えます。
「食事とトイレ以外はほぼ寝てる」「毛艶がなくてバサバサ・・・」そんな愛猫の老化のサインに不安を感じている飼い主さんも多いのでは?
今回はそんな老猫の飼い方のポイントを詳しくご紹介していきます。
どんな猫でも老いは避けられないもの。少しでも長く一緒にいられるように、快適に過ごしてもらえるように、いろいろと工夫してみてくださいね。
猫の老化現象とは
飼い猫の平均寿命は15.32歳(参考:平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査結果)。老猫とはだいたい7歳を過ぎた猫のことを言います。
一般的に飼い主さんが猫の老化の兆候に気づき始めるのは、11歳頃。もちろん、11歳を過ぎても若々しくはつらつとした猫もいれば、8歳くらいでも老化現象が見られる猫もいますので、一概には言えませんが、ふと気づけば見た目や行動に「老い」を感じることが増えてくるでしょう。
愛猫にこんな変化が見られたら・・・・それは「老化」が進んでいるサインと言えるでしょう。
- 毛艶が悪くなった、バサバサしてきた
- 歯が黄ばんだり茶色っぽくなってきた
- 太ももが細くなった
- 被毛の色が薄くなった、白髪が増えた
- 爪が伸びやすくなった
- お腹まわりがたるんできた
- 口臭が強くなった
- 目ヤニが増えた
- 動きが鈍くなった
- グルーミングをしなくなった
- 1日の大半を寝て過ごすようになった
- 食べ物の好みが変わり、好き嫌いがはっきりしてきた
老猫の食事
高齢期も成猫期と同じく、肉や魚などの動物性たんぱく質中心の食事を与えることが大切です。塩分・脂質の過剰摂取を控え、ビタミン類、繊維質は増やしましょう。
食欲があまりない時には、なるべく食べやすいように、フードをふやかしてみたり、ウェットフードやトッピングなどで嗜好性を高めてあげる工夫も必要。
また、水や器のにおいなどの好みが出てきたり、喉の渇きに鈍感になって水をあまり飲まなくなる猫も…。健康のためにも、水分補給はしっかりと行ってくださいね。
フードの切り替えは徐々に進めていくのがポイント。7歳頃から少しずつ老猫向けの食事を意識して切り替えていきましょう。
老猫の食事について詳しく知りたい方はこちら(高齢期猫向けキャットフード)をご覧ください。
- 私も気づけば高齢期。。。気持ちだけは若いコたちに負けませんけど、このお腹まわりのたるみ。。。歳には勝てませんねぇ。
- 先輩はまだまだ若いですっ!だってこんなに毛がふわふわですもん~(*^^*)
飼い方の注意点
「少しでも長生きしてもらいたい、快適に過ごしてもらいたい」飼い主さんなら誰もが願うことですよね。ここでは、老猫の飼い方のポイントを見ていきましょう。
外に出さず完全室内飼いを
高齢期に入った猫は、若いときほど活発ではなくなり、のんびりと過ごすことが多くなります。
交通事故や他の猫との接触による感染症など、家の外には「危険」がたくさん潜んでいます。ワクチンで予防できる感染症もありますが、猫エイズなどワクチンのない感染症も…。
こうした危険から身を守り少しでも長生きさせるためには、室内飼いを徹底することが大切です。
空調管理に気を配る
高齢になると若いときに比べて抵抗力が落ちてしまうため、空調管理にもより気を配りましょう。
特に運動量が減り筋肉量が少なくなった老猫は冬の寒さに敏感。体を丸めたり、毛を逆立てて体を膨らませていたりする様子が見られたら、室温を少し上げるようにしましょう。寒さ対策グッズなどを使うのもおすすめです。
関連記事:猫は寒さに弱い?防寒グッズ8選
ストレスがかからないように
少しでも長生きしてもらうためには、できるだけストレスのかからない環境を整えてあげることが大切です。
環境の変化に弱い猫にとって、多頭飼いもストレスのひとつ。特に、今までずっと一匹で過ごしていた老猫であれば、高齢になって新しい猫を迎えるとストレスで体調を崩してしまうことも…。
それぞれの猫に落ち着ける専用の居場所を作ってあげられれば良いですが、子猫がずっとついてまわるような環境であれば避けた方が良いでしょう。
また、引っ越しも老猫にとっては大きなストレスに。どうしてもやむを得ない場合は、お気に入りの毛布やおもちゃなどを置くなどして、落ち着ける場所を用意してあげてくださいね。
猫と引っ越しをする時には、こちらの記事(猫ファーストのお引越しのコツ)も参考にしてくださいね。
老猫仕様の部屋づくりを
一日の大半を寝て過ごすことが多くなるので、ぐっすり眠れる静かな寝床を用意してあげましょう。冬は暖かく、夏は涼しく。なるべく室温変化が大きくならないよう気をつけて。エアコンの風などが直接当たらない場所に設置することも大切です。外の様子がよく見える窓辺のそばにベッドを置いてあげると、お気に入りのスペースになりますよ。
そしてベッドのそばには新鮮な水とトイレを。老猫になると、遠く離れた場所に移動するのがおっくうになったり、歩くのも困難になることもあります。なるべく移動せずに済むように、行動範囲の中に用意してあげましょう。
また、今までは難なく登れていた場所でも、高齢になるとバランスを崩して落下してしまうことも…。キャットタワーは低めのものにする、足場になりそうなものは置かないようにする、など怪我には十分注意してください。
老猫の足腰の負担を考えると、硬くて滑りやすいフローリングよりも、柔らかくて滑りにくいカーペットの方が良いですね。
ブラッシングや爪のケアを
グルーミングをしなくなる老猫に多いのが「毛割れ」。毛が束のように割れてしまった状態で、毛艶も悪くパサパサに…。
美しい毛並みを取り戻すには日々のブラッシングが欠かせません。長時間のブラッシングは嫌がる猫も多いので、一度にやるのではなく毎日少しずつ行うのがポイントです。
また、高齢になると爪とぎもおっくうになってサボりがちに…。爪トラブルを防ぐためにも、老猫になったらこまめに爪のケアを行いましょう。万が一、爪が伸びすぎて肉球に食い込んでしまった場合は、動物病院やトリマーさんにお願いしましょう。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫の爪切りのコツ
日々の健康管理は怠らず
老猫になると抵抗力や免疫力が弱まるため、日々の健康管理は欠かせません。特に、高齢になるとストルバイト結石にかかりやすくなるのでトイレチェックは入念に。おしっこの回数が多い、おしっこの時に痛がる様子が見られた時は要注意です。猫の尿路結石については、こちらの記事(猫の下部尿路疾患・尿路結石)でも詳しく説明しています。
年に1度は必ず健康診断に行き、定期的なワクチン接種も忘れずに。いつもと違う様子が少しでも見られたら、早めにかかりつけの獣医さんに相談するようにしましょう。
また、健康管理のためにも肥満にならないよう十分注意を。運動不足になりがちなので、毎日少しの時間でも体を動かせる遊びを取り入れられるといいですね。
腎臓病になった場合は腎臓に負担をかけない食生活を
10歳以上の高齢猫の約30~40%がかかると言われているのが慢性腎臓病。病気がかなり進行するまで症状は出ず、一度発症すると腎機能が元に戻ることはありません。
残念ながら慢性腎臓病を予防する方法はありませんが、腎臓病になった場合は少しでも病気の進行を遅らせるためにも、腎臓に負担をかけない食生活を心がけることが大切です。
腎臓が気になり始めたら、こちらの記事(腎臓が気になる猫向けキャットフード)を参考に猫の食事にも気を配ってあげると良いですね。
関連記事:猫の腎臓病について
- 歳をとると若い頃のように高いところにはもう登れなくて、、、バランス崩しそうになることも最近増えてきましたねぇ。
- えぇっ!全然余裕な感じがするのにそうだったんですかっ。高齢になったらそういうことも考えて、なるべく負担にならないようなお部屋にしてあげなきゃなんですね!
よくある質問
高齢になって急に夜鳴きするようになるのは、老化による不安感の現れや痴呆症状、病気の可能性が考えられます。
飼い主さんにできる対処法は、なるべくコミュニケーションをとって話しかけてあげること。そして不安を少しでも和らげるよう安心できる環境を整えてあげること。
ただし、夜鳴きの原因が痴呆症状によるものか、病気によるものかの判断は難しいので、いつもと違う様子が見られたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。
老猫の夜鳴きの対処法については、こちらの記事(老猫の夜鳴きの対処法)も参考にしてくださいね。
足腰の弱った高齢猫には、上から入るタイプのトイレは避けた方が良いでしょう。また、通常の形状のトイレであっても、足腰に負担がかからないよう、トイレ前に滑りにくい踏み台などを用意してあげると良いですね。
また、体調の変化にいち早く気づけるよう、白いタイプの猫砂を使うのがおすすめ。老猫の体の異常に気づくためには、面倒でもトイレチェックをこまめに行いましょう。老猫がおっくうになってトイレを我慢したりしないよう、行動範囲内にトイレを置くことも大切です。
老猫のトイレ問題でお困りの方はこちらの記事もご覧ください。
まとめ
老猫と少しでも長く一緒に暮らすためには、日々の健康管理が最重要。定期的に健診を受け、何かあればすぐに動物病院へ連れていくことが何よりも大切です。
猫も飼い主さんもストレスなく過ごせるように、その子にあわせた環境を整えてあげてくださいね。
- 猫の老化現象に気づくのは11歳頃
- 食事は動物性たんぱく質中心
- 外に出さずに完全室内飼いを
- 空調管理に気を配る
- ストレスがかからないように
- 老猫仕様の部屋づくりを
- ブラッシングや爪のケアを
- 日々の健康管理は怠らず
- 腎臓病になった場合は腎臓に負担をかけない食生活を
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。