- 日本で最も多い猫の種類「雑種」。雑種といっても毛色や柄などにさまざまな特徴があるんですよぉ。種類によって性格にも違いがあるので、見た目も性格も好みにあいそうな子を是非探してみてくださいねぇ。
猫ねこ部ディレクターとして猫に関する様々な情報をご提供するなか、特に猫の健康に直結する食事に関する知識を深めるため、ペットフード販売士資格を取得。様々な種類の猫や状況などに合うフードの提案、情報発信を行います。
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ペットフード販売士:一般社団法人ペットフード協会が認定している認定資格で、ペットフードに関する様々な知識及び情報を習得したペットフードの専門家です。ペットの適正な発育と健康維持・増進に寄与します。
猫のなかでも純血種ではない猫を「雑種」と呼びます。
ひとくちに雑種猫といっても、その毛色や柄はさまざま!
種類によって性格にも違いがあります。
今回は雑種猫の種類、性格、入手方法、迎える前のチェックポイント、飼い方について詳しく説明します!
雑種猫とは
雑種とは、異なる猫同士から生まれた猫のことです。言い換えると、「純血種ではない猫」を雑種と呼びます。
日本の猫の約80%は雑種
日本で飼育されている猫のうち、最も多い種類が雑種と言われており、全体の約80%にものぼります。(参考:日本ペットフード協会-平成29年-全国犬猫飼育実態調査)
これは野良猫を保護したり、保護猫を譲り受けて飼い始める人が多いことが関係しています。
ペットショップで販売されている猫のなかに雑種はほとんどおらず、雑種のブリーダーもいません。一方、野良猫、保護団体・保健所などで保護されている猫はほぼ雑種です。
ミックス猫=異なる純血種同士の組み合わせ
雑種には、以下のような組み合わせがあります。
- 雑種×雑種
- 純血種×雑種
- 純血種×純血種(例)アメリカンショートヘア×ロシアンブルー)
いずれも純血種ではないため広義では雑種となりますが、これらの組み合わせのうち、異なる純血種同士をかけあわせた猫は「ミックス猫」「混血猫」「ハーフ猫」と呼び分けることもあります。
一般的には、さまざまな血を受け継ぎ、そのルーツがはっきりしない猫のことを雑種と呼んでいます。
種類(柄)
ひとくちに雑種猫と言っても、その種類(柄)はさまざまです。雑種の柄には以下のような種類があります。
- キジトラ
- サバトラ
- 茶トラ
- 黒猫
- 白猫
- 白黒(ハチワレ)
- 三毛猫
- サビ猫
それぞれの特徴について見ていきましょう。
キジトラ
キジトラは、茶色ベースの毛色に黒い縞模様の入った猫です。英名では「ブラウンタビー(brown tabby)」と呼ばれています。
キジトラのなかで、白い毛が混ざった猫は「キジシロ」と呼ばれており、肉球や鼻、目の色などに違いがあります。
キジトラの主な特徴はこちら。
- ベースは鳥のキジと同じ茶色
- 顔や胴体、しっぽの先まで黒い縞模様があるが、口元は白い
- 額に「M」の模様
- 目の周りに黒い縁取りがある
- 頬から目尻にかけてクレオパトララインと呼ばれる直線が入っていることが多い
- 肉球は茶色か黒(キジシロはピンク、もしくは黒・ピンク混合)
- くすんだピンクの鼻(キジシロはピンク)
- グリーンやイエローの目(キジシロはブルーの場合もある)
国内で最も多い種類の猫
キジトラは、100種類以上とも言われる日本の猫のなかで、最も多いと言われる柄です。(参考:アイリスペットどっとコム-猫の国勢調査2018)
日本の雑種猫の原型
私たちの飼っている猫の祖先は「リビアヤマネコ」です。
リビアヤマネコはキジトラと似た柄と模様をしており、大昔、猫と言えばキジトラしかいなかったと言われています。キジトラ以外の柄の猫も突然変異で生まれることがあったようですが、キジトラの柄が最も敵から見つかりにくかったことから、結果としてキジトラだけが生き延びたとも言われています。
日本に猫が渡ってきたのは奈良時代のこと。中国からの仏教の伝来とともに、大切な書物をネズミから守るために一緒に輸入されたのがキジトラだったのです。こうした歴史から、キジトラは日本の雑種猫の原型と言われています。
サバトラ
サバトラは、魚の鯖(サバ)のような青みがかった灰色ベースの毛色に黒い縞模様の入った猫です。英名では、毛色の濃さによって以下のように呼ばれています。
- シルバーマッカレルタビー(薄い毛色)
- ブルーマッカレルタビー(濃い毛色)
- ブルー・シルバーマッカレルタビー(両方が混合)
サバトラの主な特徴はこちら。
- ベースは鯖(サバ)のような青みがかった灰色
- 黒い縞模様が全身に入っている
- 額に「M」の模様
- 目の周りに黒い縁取りがある
- 頬から目尻にかけてクレオパトララインと呼ばれる直線が入っていることが多い
- 肉球は黒(サバ白はピンク、もしくは黒・ピンク混合)
- 鼻は茶色か黒(サバ白はピンク)
白い模様の面積により呼び方が異なる
縞模様には個体差があり、全身が灰色の猫もいれば、鼻先や手足、お腹などが白い猫も。
灰色よりも白い部分が少ない猫は「サバトラ白」、白い部分が多い猫は「白サバ」と呼ばれます。
茶トラ
茶トラは、明るい茶色ベースの毛色に濃いオレンジ色の縞模様が入った猫です。
毛色や模様によって3種類に分けられます。
- まるどら・・・オレンジ色の毛色に濃いオレンジの縞模様。あごだけ白い。
- 茶白・・・茶色ベースで白い部分がある。顔の下半分が白いハチワレの猫や、靴下を履いているかのような足先が白い猫もいる。
- 白茶・・・茶色よりも白い部分が多い。頭やしっぽが茶色の場合が多い。
茶トラの約8割はオス
遺伝子の染色体の関係で、茶トラの約8割はオスと言われています。特にまるどらに関しては、メスが生まれる確率がなんと1/20000!
三毛猫のオスほど珍しくはありませんが、メスの茶トラに出会える確率は相当低いようです。
オスが多いことから体の大きな猫が多い
「茶トラ=でかい」というイメージを持っている人も多いようですが、これはほとんどがオスという理由からきています。オスはメスに比べて骨太でずっしり重いことから、オスの体つきが茶トラの特徴として定着したのでしょう。
また、食欲旺盛なわりに運動量が少なく太りやすいことも関係しています。
黒猫
黒猫は、体全体が黒い毛色で覆われた猫です。
黒猫の主な特徴はこちら。
- 全身の被毛が黒色
- 一部白い被毛が入っている場合もある
- グリーンの目が多い
「黒猫=不吉」のイメージがついた理由
「黒猫を見かけると不吉」「黒猫に横切られると縁起が悪い」など悪く言われることも多い黒猫ですが、日本では以前から縁起が良い猫」として大切にされていました。しかし、「黒猫に見向きもされず素通りされてしまうなんて縁起が悪い」という言葉が、いつの間にか「黒猫に横切られると縁起が悪い」と間違った解釈をされ、悪いイメージがついてしまったのだとか。
また、欧米で不幸の象徴、死の象徴などと悪いイメージを持たれたことも関係しています。15世紀頃に行われた「魔女狩り」では、数万人もの人が迫害を受け処刑されましたが、この時代に「黒猫は魔女の手先である」「魔女が黒猫に化けている」などの噂が立ち、黒猫=不吉というイメージを持つ人が増えたのだそう。欧米の影響を強く受けてきた日本でも、こうした考え方が広まっていましたが、最近ではその人懐っこい性格から黒猫人気は再び高まっています。
黒猫はとても珍しい猫
黒猫は、両親ともその遺伝を持っていないと産まれてこないことから、とても珍しい猫と言えます。
白猫
白猫は、体全体が白い毛色で覆われた猫です。
白猫の主な特徴はこちら。
- 全身の毛色が白色
- 体の一部に模様、まれに真っ白の猫もいる
- 緑、青色の目を持つ猫が多い
- オッドアイは全体の約25%
- 青色の目の白猫は聴覚障害の可能性が高い
緑、青色の目が多い、オッドアイの確率は全体の約25%
猫の目の色は、大きく分けて銅色、薄茶色、緑、青の4種類があります。
白猫の目は、メラニン色素が薄いことから緑や青色の場合が多いようです。
また、左右の目の色が違う「オッドアイ」(虹彩異色症)の猫が多く、その確率は全体の約25%とも言われています。
青色の目を持つ白猫は聴覚障害の可能性が高い
青い目をした白猫は高確率で聴覚障害を持っていると言われています。
野生の猫にとって致命的とも言える聴覚障害や、目立つ毛色のせいで、短命と言われることも多い白猫ですが、完全室内飼いであれば敵に狙われることもありません。少しでも健康で長生きさせるためにも、環境や健康管理をしっかり整えてあげることがなにより大切です。
ハチワレ
ハチワレは、額から八の字のように割れている模様のある猫です。日本では、キジトラの次に多い種類と言われています。
ハチワレの主な特徴はこちら。
- 額から八の字のように割れている模様がある
- メインは白黒だがいろいろな毛色がある
- 鼻・肉球は薄ピンク、黒、薄ピンクに黒斑
ハチワレは白黒に限らない
ハチワレと言えば白黒猫が代表的ですが、キジトラやサバトラ、茶トラであっても、額の模様が八の字のように割れていればハチワレと呼ばれます。
三毛猫
三毛猫は、黒、白、茶(オレンジ)の三色の毛色を持つ猫です。
三毛猫の主な特徴はこちら。
- 黒、白、茶(オレンジ)の三色の毛色
- ピンクの鼻が多い
毛色や柄によって3種類に分かれる
三毛猫は、毛色や模様によって3種類に分けられます。
- キジ三毛・・・白・こげ茶・うす茶
- 縞三毛・・・白・茶・黒の毛色のなかに縞模様がある
- トビ三毛・・・白・黒・茶のなかで白の割合が多い
海外では珍しく、高値で取引される
日本ではよく見られる種類ですが、海外では珍しく「キャリコ」「トーティ・アンド・ホワイト」などと呼ばれ高値がつくことがあるようです。
オスが生まれる確率は1/30000
三毛猫は、遺伝子の染色体の関係で、メスの割合がとても高く、オスが生まれる確率はなんと1/30000!
三毛猫のオスはとても貴重な存在なので、昔から縁起がいいと言われ、招き猫のモデルになっている場合も多いようです。
サビ猫
サビ猫は、黒と茶(オレンジ)の二色の毛色を持つ猫です。英名では「トーティシェル・キャット」と呼ばれています。
主な特徴はこちら。
- 黒と茶(オレンジ)の二色の毛色が基本だが、さまざまな毛色がある
- ゴールドの目が多い
- 肉球はピンク・黒・濃い茶色が混じった色
オスが生まれる確率は1/30000
サビ猫は、三毛猫同様メスの割合がとても高く、オスが生まれる確率は1/30000と言われています。
- ひとくちに雑種といってもこんなにたくさんの種類があるんですよぉ。とにかく数が多いですし、毛色や柄もさまざまなので、そのなかから好みの子を見つられる楽しさがありますよねぇ。私も真っ白に見えて、実は体に模様があるんですよぉ。。。ンフフ。
- えぇっ!先輩、どこから見ても真っ白で気づかなかったです!ぼくも名前はクロベエですけど、ベースは白なんですよー。体に黒いところがあるから、いつからか「クロベエ」って名前になったんですっ。
性格
雑種猫の性格は、さまざまな猫の性格を受け継いでいるため個体差が大きいと言われていますが、種類によって大まかな特徴もあります。
キジトラ
キジトラは、猫の祖先であるリビアヤマネコと似ていることから、野生味あふれる性格のやんちゃな猫が多いと言われていますが、猫によって2つのタイプに分かれます。白い色味が多いほど、穏やかな性格の子が多いようです。
- 警戒心が強いタイプ
- 人懐っこいタイプ
警戒心が強いタイプは、触られたり抱っこされるのを嫌がったり、家族以外の人間を威嚇する場合も。このタイプの猫には、適度な距離感を保ち、あまりしつこくしないように気をつけましょう。
一方、甘えん坊で人懐っこいタイプのキジトラもいます。このタイプは、どちらかというとメスよりオスに多いよう。飼い主さんの後をついてまわり、抱っこも喜んでさせてくれます。
サバトラ
サバトラも、野性的な性格の猫が多いと言われていますが、キジトラ同様2つのタイプに分けられます。
- 警戒心が強いタイプ
- 人懐っこいタイプ
警戒心が強いタイプは人見知りが激しく、知らない人が家に来たら姿を消してしまうようなところも。白い部分が多いほど警戒心が強くなるとも言われています。このタイプのサバトラには構いすぎず、適度な距離感を保つことが大切です。
一方で、甘えん坊で人懐っこいタイプのサバトラもいます。飼い主さんが大好きで、知らない人にも物怖じすることなくすり寄っていきます。
茶トラ
- 穏やかで甘えん坊
- 警戒心が少ない
- 活発で好奇心旺盛
- 小心者
甘えん坊で、猫には珍しく抱っこされるのを嫌がらない猫が多いので、初めて猫を飼う人でも買いやすい種類と言えるでしょう。
警戒心も少なく人見知りもほとんどしないため、訪問客にも自ら挨拶に行くなどとても人懐っこい一面があります。他のペットとも仲良くできるので、多頭飼いにもぴったりです。
活発で好奇心旺盛なので家中を元気に駆け回ります。飼い主さんがおもちゃで遊んでくれるのがとにかく大好きなので、「なるべく一緒に遊びたい!」という人にオススメです。
元気で甘えん坊な反面、小心者な面もあるのがオスの茶トラです。少しの物音でも怖がったり、仲間同士の喧嘩はなるべく避けたいタイプ。メスはどちらかというとマイペースで、ひとりの時間を楽しむタイプが多いです。
黒猫
- 甘えん坊
- 警戒心が少なく人懐っこい
- 動くものが大好き
- 賢い
クールな見た目に反して実は甘えん坊な性格です。警戒心が少なく、知らない人にも自ら近寄っていく人懐っこさも。
また、活発な性格で特に動くものに興味津々。猫じゃらしなどで遊んであげると楽しい時間を過ごすことができ、信頼関係も深まりますよ。
犬のように芸を覚えるなど、非常に賢い一面もあります。
白猫
- 神経質
- 気が強い
- 飼い主さんには甘えん坊
白猫は、その目立つ毛色のせいで敵から狙われやすかったことから、警戒心が強く神経質な性格をしています。少しの物音に過剰に反応したり、人見知りが激しい一面も。
また、なわばり意識も強いため、必要以上に近寄られるのを嫌う傾向があります。体を触られるのを嫌がる猫には、あまり構いすぎないよう気をつけましょう。特にメスはクールでマイペースな面が強いため、適度な距離感を大切にしましょう。
ただし、心を許した飼い主さんの前ではリラックスして甘えん坊なところも見せます。独占欲が強いところもあるため、多頭飼いの場合は注意してくださいね。
黒白(ハチワレ)
ハチワレは、生命力がありタフな性格と言われていますが、大きく3つのタイプに分けられます。
- 甘えん坊で人懐っこいタイプ
- マイペースなタイプ
- 人に近づかないタイプ
特に白が多いほどクールでマイペースな子が多く、黒が多いほど穏やかな子が多いと言われています。
三毛猫
- 気分屋で警戒心が強い
- プライドが高くわがまま
- 食事の好みが激しい
- 母性が強い
気分屋で警戒心が強い性格です。甘えてきたと思ったらすぐにどこかへ行ってしまう「つれなさ」はまさに猫の王道とも言える性格ですね。
好き嫌いも激しいため、食事の好みもはっきりしていて、気に入らないものには一切手をつけようとしません。
プライドも高く、厳しくしかると心を閉ざしてしまうこともあるため、しつけるときには優しく諭すように言い聞かせましょう。
また、三毛猫のほとんどがメスであることから、母性が強いのも特徴。家族意識がとても高く、危険な目にあっている自分の子を命がけで守ろうとする頼もしい母親の一面も見られます。
サビ猫
- 賢く、協調性がある
- 我慢強い
- 甘えん坊
- 母性が強い
他の猫の様子を伺いながら行動できる賢さがあり、協調性も高いのが特徴。飼い主さんの言うことをよく聞き、空気を読んでくれるので、初めて猫を飼う人でも買いやすい種類と言えるでしょう。
ただしその賢さからときに我慢しすぎてしまうことがあるため、ストレスには気をつけましょう。
控えめな性格ではありますが、一度心を開いたら飼い主さんに甘える姿も見られます。
また、三毛猫同様、ほとんどがメスのため、母性が強いとも言われています。自分の子どもだけでなく、信頼している飼い主さんを全力で守ろうとする姿はとても愛おしいですね。
- 雑種の種類によっても性格ってこんなに違うんですよぉ。猫らしいわがままタイプもいれば、空気が読めるタイプ、甘えん坊タイプなんかも。。。
- ぼく、デレデレタイプに見えるかもしれないですけど、意外とツンデレなんですよ!人見知りはまーったくないんですけど、抱っこだけはちょっと苦手で。。。全力でダッシュして逃げますっ。
入手方法
雑種猫はペットショップではほとんど見られず、ブリーダーもいません。そのため、雑種猫を飼いたい場合は以下のような方法で迎えましょう。
- 野良猫を保護する
- 保護団体から譲り受ける(里親募集)
- 愛護センターや保健所から引き取る
- 動物病院に問い合わせてみる
- 知り合いから譲ってもらう
- 譲渡会を利用する
野良猫を保護した場合はまず動物病院を受診
上記の方法のうち、野良猫を保護する場合は、以下のことを必ず行ってください。
- 動物病院の受診
- 病気の場合は治療・投薬など
- 飼い主がいないか確認
動物病院の受診
野良猫を保護したら、家に連れて帰る前に動物病院を受診しましょう。
野良猫は十分な食事をとれず弱っていたり、何らかの病気にかかっていることも多いです。特にノミやダニ、カイチュウなどの寄生虫がすみついていることがほとんどと言われており、なかには人間に感染する寄生虫もいます。
皮膚からの感染を防ぐため、受診の際にも肌の露出を控えた服装にするなど注意しましょう。
受診費用は病院によって異なりますが、だいたいの相場は以下の通りです。
- 初診料・・・約500~3,000円
- ノミ・ダニなどの駆除・・・約2,000円
- 予防接種・・・約4,000~5,000円
- 血液検査・検便・・・約5,000~10,000円
病気の場合は治療・投薬など
もし、何らかの病気にかかっている場合は、必要に応じて治療、投薬を行います。
万が一、ノミやマダニなどがお腹の中にいた場合は体からの駆除とあわせて、こまめな部屋の掃除も必要となります。
飼い主がいないか確認
一見野良猫に見えても、実は飼い主の元から脱走した迷い猫の可能性もありますので、以下のような方法で飼い主がいないか必ず確認しましょう。
- 動物病院に問い合わせる
- 保健所や警察署、愛護センターに問い合わせる
- SNSなどで情報収集する
- チラシや張り紙を用意する
迎える前のチェックポイント
雑種猫を迎える際には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 去勢・避妊の有無
- トイレトレーニングの有無
- 離乳の有無(子猫の場合)
- ワクチン接種の有無
- 人慣れの有無
去勢・避妊の有無
去勢・避妊手術に関しては、保護している方、飼い主さんがすでに行っている場合もありますが、もし行っていなければ自身で行う必要があります。
望まない妊娠や発情時期のストレスを防ぐためにも、去勢・避妊手術を行うことは大切です。
通常、オスの場合は生後9~12ヶ月、メスの場合は生後6~10ヶ月が発情期で、手術は初めての発情期を迎える前に行った方が良いと言われています。
手術費用は病院によって異なりますが、相場は以下の通りです。
- 去勢手術・・・約1~2万円
- 避妊手術・・・約1.5~3万円
猫の避妊・去勢手術についてはこちらの記事(猫の避妊・去勢手術について)も参考にしてくださいね。
トイレトレーニングの有無
すでに人間に飼われていてトイレトレーニングされている場合は必要ありませんが、野良猫の場合はトイレという概念がないため、トイレのしつけをしなければなりません。
成猫だと苦労する場合もありますが、失敗しても怒鳴らず根気よく諭してあげることが大切です。
離乳の有無(子猫の場合)
雑種の子猫を譲り受ける場合、離乳しているかどうか確認しましょう。
生後30日頃までは母猫の母乳で育ちますが、母猫がいない場合は子猫用のミルクを与える必要があります。
また、歯が生え始める頃から徐々に離乳食を始め、生後2ヶ月頃になったら子猫用キャットフードに切り替えていきます。
哺乳期・離乳期の食事、子猫用の食事については、関連記事で詳しく説明していますので、是非参考にしてください。
関連記事:哺乳期・離乳期の食事、子猫の食事
ワクチン接種の有無
ワクチン接種が行われていない場合、健康であればすぐに1回目の接種を行った方が良いとされています。1回目の接種の約1ヶ月後に2回目の接種を行います。月齢によってはさらにもう1回接種を行うこともあります。健康状態によってはリスクをともなうこともあるため、時期については獣医さんとよく相談して決めましょう。
母猫の初乳を飲んでいる場合は細菌やウイルスに対する抗体を持っていますが、そうでない場合はワクチン接種によって抗体を得る必要があります。
ワクチン接種によって、以下のような病気を予防することができます。ワクチンの費用は、病院によっても異なりますが、約4,000~5,000円が相場となっています。
- 3種混合ワクチン・・・猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症
- 5種混合ワクチン・・・猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症・猫白血病ウイルス感染症・猫クラミジア感染症
特に外飼いの場合は、他の猫との接触など病気の感染リスクが高いため、ワクチンは獣医さんの指示に従って定期的に受けることをおすすめします。
猫のワクチン接種については、こちらの記事(猫のワクチン接種について)でも詳しく説明しています。
人慣れの有無
特に、野良猫などで人間に慣れておらず警戒心が非常に強い場合は、根気強く人に慣れさせていく必要があります。
子猫の場合は比較的スムーズに懐くようになるかもしれませんが、成猫の場合はなかなかなじめない可能性が高いです。
ごはんをあげても食べてくれない、脱走しようとする、威嚇される、など思うような飼い方ができないことも覚悟したうえで保護することが大切です。
- 雑種の場合、保護猫を引き取ったり、野良猫を保護して飼い始めるという人が多いですから、飼う前には必ず健康状態などを確認してくださいねぇ。特に野良猫の場合は、いろんな病気を持ってることが多いので、まずは家に帰る前に病院ですよぉ。
- そもそも野良猫は人に慣れていないから、すぐに懐くなんてことはなかなかないんですよねっ。。。根気が大事です!
飼い方
続いて、雑種猫の飼い方のポイントについて説明します。
定期的な健診、日々の食事管理
純血種に比べ先天的な疾患が少なく丈夫な猫が多いため、雑種猫は飼いやすいと言われています。
雑種猫に限ったことではありませんが、定期的な健診をかかさず日々の食事管理で健康を保つことが大切です。
基本的なケアをこまめに
ブラッシング、爪切り、耳掃除、歯磨きなど、基本的なケアをこまめに行いましょう。触られるのを嫌がる猫も多いですが、小さいうちから慣れさせておくと成猫になってもお手入れしやすいでしょう。
関連記事:猫のブラッシングのやり方、猫の爪切りのコツ、猫の歯磨きのコツ
適度な運動ができる環境
猫が健康を保つには適度な運動が不可欠です。十分に運動できる環境を整え、運動不足にならないよう積極的におもちゃで遊んであげる時間も大切です。
寿命
猫全体の平均寿命は15.33歳で、純血種よりも雑種の方が長生きすると言われています。室内で飼育された猫の方が、外に出る猫より寿命が長いことから、長生きさせるためには完全室内飼いがオススメです。
少しでも長生きさせるためには、良質なフードとストレスのない生活環境を整えることが大切です。予防接種や定期検診などを積極的に受け、いざというときのためのかかりつけの病院を決めておくことも長寿の秘訣です。
犬全体の平均寿命は14.19歳、猫全体の平均寿命は15.33歳でした。犬は、超小型犬、 小型犬の寿命が長く、また、猫の場合、「家の外に出ない」猫の平均寿命は16.25歳、「家 の外に出る」猫の平均寿命は13.83歳と寿命に大きな差がありました。
外飼いと室内飼い
前述のように、健康で少しでも長生きさせるためには、完全室内飼いがオススメです。
しかし、飼育場所の問題などから、外飼いしたいと考えている方もいるかと思います。
外飼いする場合には、以下のようなリスクがともなう点をしっかり理解したうえで飼う必要があります。
- 交通事故や猫同士の喧嘩に巻き込まれる可能性
- ノミ・ダニなどの寄生虫、野良猫からの感染症
- 近隣からの苦情
- 動物虐待の可能性
飼育環境が違えばキャットフードの選び方も変わってきます。
外飼い、室内飼いの雑種猫に適したキャットフードの選び方については、関連記事で詳しく説明しています。是非参考にしてください。
関連記事:
よくある質問
ペットショップで販売されているのはほとんどが純血種ですが、純血種×純血種のミックス猫であれば販売されていることもあります。
値段は、両親猫の種類によって異なりますが、約3~15万円が相場と言われています。
おとなしいタイプの雑種猫は以下の種類ですが、もちろん個体差もあります。おとなしい猫はストレスを抱えることもあるので、その点は注意しましょう。
- 茶トラ
- 黒猫
- ハチワレ(白黒)
- サビ猫
サバトラとアメリカンショートヘアは色合いがよく似ていますが、模様や顔立ちに違いがあります。
- サバトラ・・・縞模様、鼻筋が長い
- アメリカンショートヘア・・・マーブル模様、目と鼻の距離が近い
ただし、サバトラはあくまで柄の種類を指す言葉なので、アメリカンショートヘアをサバトラと呼ぶこともあります。
いずれも縞模様のある猫ですが、ベースの色と模様の色に違いがあります。
- キジトラ・・・茶色ベースに黒い縞模様
- サバトラ・・・灰色ベースに黒い縞模様
- 茶トラ・・・明るい茶色ベースに濃いオレンジ色の縞模様
純血種のボンベイと雑種の黒猫はとても似ていますが、以下の点が異なります。
【ボンベイ】
- 黒一色
- 滑らかでシルクのような手触り
- ゴールド・カッパー(銅色)の目、両目の間が離れている
- しっぽは先端に向かって細くなる
- 被毛が少なく細くすらっとした印象
【黒猫】
- 黒い毛色だが白が混ざっていることもある
- グリーンの目
- しっぽが長い猫も短い猫もいる
まとめ
雑種猫の種類、性格、入手方法、飼い方、寿命については以下のまとめを参考にしてください。
- 雑種猫とは異なる猫種同士から生まれた、純血種ではない猫のこと
- 日本で最も多い飼い猫の種類は雑種
- ミックス猫も雑種だが、純血種×純血種の組み合わせで生まれた猫を指して呼ぶこともある
- 雑種の種類は大きく分けて8種類
- キジトラは茶色ベースの毛色に黒い縞模様で、日本で最も多い柄
- サバトラは灰色ベースの毛色に黒い縞模様
- 白い模様の面積によって呼び方が違う
- 茶トラは明るい茶色ベースの毛色にオレンジ色の縞模様
- 茶トラの約8割はオス、体が大きい
- 黒猫は劣勢遺伝で両親ともにその遺伝を持っていないと産まれてこない
- 白猫は緑、青色の目が多く、左右の目の色が違うオッドアイの割合は25%
- 青色の目の白猫は聴覚障害の可能性が高い
- ハチワレは額から八の字のように割れている模様で、キジトラの次に多い柄
- 代表的なハチワレは白黒だが他の毛色もある
- 三毛猫は黒、白、茶(オレンジ)の毛色
- 三毛猫のオスが生まれる確率は1/30000
- サビ猫は黒と茶(オレンジ)の毛色
- サビ猫のオスが生まれる確率は1/30000
- 雑種の性格は種類によって異なる
- 雑種を飼うには野良猫を保護、保護団体などから引き取るなどの方法がある
- 野良猫を保護する場合はまず動物病院を受診、飼い主がいないかも確認
- 迎える前には去勢・避妊、トイレ、離乳、ワクチン接種、人慣れなどを確認
- 定期的な健診と日々の食事管理、基本的なケア、適度運動のできる環境が飼い方のポイント
- 純血種よりも長生きするが、長寿のためには完全室内飼いの徹底を
- この記事を書いた人
守重美和
猫ねこ部編集室 編集&ライター保護猫団体の活動を仔細にお届けする「保護猫のわ」・飼い主さんと猫との幸せエピソードをお届けする「なないろ猫物語」の編集担当。
猫を通して「人」の姿にフォーカスした記事をお届けする猫メンタリーライターとして 猫好きシンガーソングライター・嘉門タツオさんへのインタビューをはじめ、街の看板猫、猫カフェ、猫が住める住宅からキャットフードメーカー、ペット防災の専門家、猫雑貨店、猫をモチーフにした漫画家さん、年間3000件ものTNRの不妊手術を行っている獣医に至るまで、半年間で約40名以上の猫と関わる方々に幅広く取材を重ねる。